意見書第10号

意見書第10号

    介護職員処遇改善のための恒久的かつ効果的な取り組み強化を求める意見書

 高齢化社会の進展に伴い、我が国の介護サービスに対するニーズは年々高まっているにもかかわらず、現在、介護現場では、深刻な人材不足に陥っている。こうした状況が長引けば、利用者に対するサービスの質の低下だけではなく、サービスそのものを提供することができなくなることも懸念される。
 現行の介護報酬改定は原則3年に1度行われてはいるが、過去2回の引き下げもあったことによって、介護事業所の経営が厳しくなり、さらには介護従事者の給与待遇に深刻な影響を与えている。
 介護従事者の離職率が2割以上に上る中で、本年4月に報酬改定として3パーセント引き上げる改定がなされたが、過去2回の引き下げ幅も加味すると、その限界は誰の目にも明らかであり、人材確保を基本に据えた介護従事者の抜本的な処遇改善が強く求められている。
 報酬改定の事実上の追加措置として、10月から介護職員1人当たり1万5,000円の賃金相当額引き上げを目的として、介護職員処遇改善事業が予定されているものの、その運用の手段は事業所の裁量に任された部分が多く、特に多数を占める常勤労働者以外のパートタイマー労働者の処遇改善にはつながりにくいと考えられる。加えて、この措置は2年半の時限的なものであることもあって、2011年度末に交付金の支給対象期間が終われば、待遇が元通りになりかねないという懸念がある。
 よって、国におかれては、介護サービスの提供者・利用者の双方にとって、安心と信頼のできる介護保険制度を維持していくため、平成21年度の介護報酬の改定が介護従事者等の処遇改善に反映されたかを検証し、保険料への影響にも留意しながら、適切な介護報酬の水準を引き続き検討するよう強く要望する。


以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


 平成21年10月9日

         奈 良 県 議 会

(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣