意見書第12号

意見書第12号

    学費負担を軽減し、経済的理由で学業をあきらめる若者をなくすことを求める意見書

 雇用と景気の急速な悪化のもとで、「世界一高い学費」が、高校生や学生、その家庭に重くのしかかっている。高校入学から大学卒業までにかかる費用は1人平均1千万円を超え、大学生のいる世帯の平均教育費は年収の34%に達している。現在、都道府県が独自の基準で高校授業料の減免を実施しているが、減免対象の基準は都道府県によりばらつきがあり、大学生が利用できる奨学金制度も返済が必要で有利子のものが大半という実態である。
 憲法は、国民に「ひとしく教育を受ける権利」(第26条)を保障し、教育基本法は、第四条ですべての国民は経済的地位によって、教育上差別されないと明記している。国際人権規約は、「高校や大学の教育を段階的に無償にする」と定めており、欧米のほとんどの国では高校の学費はなく、大学も多くの国で学費を徴収していない。
 誰もがお金の心配なしに教育を受けられる条件を整えることは、国の責任である。それは、若者に安心と希望をもたらし、日本の未来を支える安定した基盤となる。
 よって、国におかれては、高校教育、大学教育等の無償化をめざすとともに、当面、経済的理由で学業をあきらめる若者をこれ以上出さないために、次の対策を講じるよう強く要望する。

1 政権公約を速やかに実行して直接助成による公立高校を実質無料化し、私立高校の学費負担を軽減すること。
2 大学生を対象とした国の奨学金を、以前のようにすべて無利子にするとともに、イギリスのように一定の収入(年300万円)に達するまで返済猶予すること。欧米で主流である、返済なしの「給付制奨学金制度」を創設すること。
3 「学費の段階的無償化」を定めた国際人権規約への留保を撤回し、大学の学費を計画的に引き下げること。


以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成21年10月9日

         奈 良 県 議 会

(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
総務大臣
文部科学大臣