意見書第14号

意見書第14号

    国と地方の協議の場についての意見書

 我が国の財政状況は、平成21年度末において国と地方とを合わせた累積債務残高が少なくとも816兆円にまで達すると見込まれるなど、既に主要先進国の中でも最悪の水準となっており、また、100年に一度と言われる世界的な金融危機が発生したことによって、我が国の経済に深刻な影響を及ぼすことになった。これに対処すべく我が国においても累次にわたる経済対策がとられ、大規模な財政出動が行われてきたところである。
 こうした中、新政権においては平成22年度予算に限ってみても、子ども手当の創設、高等学校等就学支援金の創設など地方自治体の行財政運営に大きな影響を与える可能性のある制度の創設や抜本的な見直しに尽力されようとしているところである。しかしながらいまだ、国と地方を通じ巨額の累積債務と社会保障支出の今後の更なる増大を包括する、次世代に向けた持続的な国税・地方税の抜本的改革など財政全般を見渡す改善はなされていないのが現状である。
 厳しい状況の中で国民の求める政策を円滑に実施し、着実な効果を上げていくため、分権型社会にふさわしい「中央政府」と「地方政府」のあり方を推考すれば、先に提出された地方分権改革推進委員会第4次勧告の中にみられるように、できるだけ速やかに国と地方の事実上の協議を開始し、協議の場の法制化を待つことなく地方自治体の代表者から現場の実態と感覚とを聴取のうえ、その意見を政府の意思決定に反映させることがのぞまれる。
 よって、国におかれては、地方自治体の行財政運営に大きな影響を与える可能性のある制度の創設や抜本的見直しの際、地方自治体の自主性・自立性が確保されるよう、事前に国と地方の協議の場を早急に設けることを強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成21年12月14日

         奈 良 県 議 会

(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣・地方主権推進担当大臣