意見書第1号

意見書第1号

   森林・林業・木材産業施策の積極的な展開に関する意見書

 近年、地球温暖化が深刻な環境問題として大きくクローズアップされ、二酸化炭素を吸収・固定する森林・木材は低炭素社会実現の主役として強い期待が寄せられている。
 しかしながら、一昨年来の未曾有の経済危機は、我が国経済に深刻な影響を与え、特に昨今の木材需要の急激な縮小とその価格の急落は、奈良県内の木材生産・加工・流通体制に甚大な影響をもたらし、経営基盤が脆弱な林業・木材産業を危機的な状況に陥れている。また、森林・林業の担い手と言うべき山村は高齢化・過疎化で崩壊の危機に立っている。
 このような厳しい状況のなか、今後、森林整備を着実に推進していくためには、国産材の振興による林業・木材産業の活性化と山村の再生が喫緊の課題であり、併せて、公的森林整備体制の確保が極めて重要となっている。
 よって、国におかれては、次の施策を実現されるよう強く要望する。

1 森林吸収源対策を推進するための安定的な財源措置の確保、植林による経費の定額助成等造林補助制度の拡充や山林相続税の負担軽減措置等による森林経営対策等の推進
2 環境貢献度(地球温暖化防止機能)に着目した住宅・土木用資材及び建築物への木材利用や木質バイオマス利用施策の推進による国産材需要の拡大とその安定的な生産・加工・流通体制の整備による林業・木材産業の活性化と山村の再生施策の推進、さらには木材利用推進のための税制上の措置の創設
3 木材価格が急落している実態を踏まえ、木材価格を安定させる基金や生産流通経費の一部助成など価格安定機能及び国産材の価格や需給状況に応じた国有林の木材生産量の抑制等国による国産材供給調整機能、すなわち「国産材の価格・需給に関する安定調整機能」を発揮させる仕組みの整備
4 水源林造成事業を推進する組織体制の整備、施業放棄地等民間による森林整備が困難な地域における国の関与の下での森林整備制度の創設、さらに国民共有の財産である国有林について公益的機能の一層の発揮を図るため国による治山・森林整備の一体的管理体制の堅持など公的森林整備体制の確立

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成22年3月24日

         奈 良 県 議 会

(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
農林水産大臣
林野庁長官

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