意見書第6号

意見書第6号

    地域医療の充実・強化を求める意見書


 少子・高齢化の進展、医療ニーズの多様化など我が国の医療を取り巻く環境は大きく変化している。また、医師や看護師をはじめとした医療スタッフの不足は、いまや大きな社会問題となり、地域医療をめぐる「医療過疎」や「医療の貧困」ともいえる状況は、日本全国で惹起している。
 しかしながら、政府と経済財政諮問会議等は、急速な少子高齢化の中で増大せざるを得ない医療サービスや医療保険財政を、歳出抑制によって乗り切ろうとしているが、その限界は誰の目にも明らかである。
 加えて昨年末には、総務省より公立病院改革ガイドラインが示され、経営の健全性が強調されるあまり、救急医療、へき地医療、小児・周産期医療など、採算の取れない地域医療を支えてきた公立病院は、その施策の転換や存続さえ危ぶまれている。
 地域医療は、住民の生命・健康に直結する必要不可欠な公共サービスであり、国民が安心と信頼の上に地域医療にアクセスできる医療提供体制を確保することは、国の責務である。
 よって、国におかれては、全国民が等しく安心と信頼のできる医療を受けることができるよう、次の事項を強く要望する。

1 社会保障費の2,200億円の抑制は、年金生活者をはじめとする社会的弱者の生活を直撃するとともに、地域医療の貧困化を助長している。来年度の政府予算を編成するにあたり、このキャップ制を廃止すること。
2 崩壊の危機に直面している地域医療を守る医療財源の確保を確実に図ること。
3 地域医療を担う医師・看護師等の確保と養成のための支援体制を強化すること。
4 「公立病院改革プラン」の策定にあたっては、画一的な指導・助言をすることなく、今後策定される地域ごとの「公立病院改革プラン」を最大限に尊重すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成20年7月11日

         奈 良 県 議 会 

(提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 総務大臣
 厚生労働大臣