意見書第10号

意見書第10号

    新たな過疎対策法の制定に関する意見書

 過疎対策については、昭和45年に「過疎地域対策緊急措置法」制定以来、三次にわたる特別措置法の制定により、総合的な過疎対策事業が実施され、過疎地域における生活環境の整備や地域特性を生かした地域づくりが促進されるなど、一定の成果が現れているところである。
 しかしながら、本県の過疎地域市町村においては、財政基盤が脆弱であるうえ、依然として人口の減少が続いており、しかも若年層の流出と相まって高齢化が進行し、基幹産業である農林水産業の停滞による耕作放棄地の増加や森林の荒廃を始めとし、公共交通の縮小、地域医療を担う医師及び看護師等の不足など基礎的な集落の維持・存続が危ぶまれる地域も増加し、地域活力が低下する厳しい事態に直面している。
 過疎地域は、豊かな自然や歴史・文化を有する地域であり、また、都市に対して、食糧、水資源の供給、都市住民との交流の場の提供などの多面的・公共的機能を担っている国民共通の財産であり、国民の心のより所となる美しい国土と豊かな環境を未来の世代に引き継ぐ努力をしている地域である。
 現行の「過疎地域自立促進特別措置法」は、平成22年3月末をもって失効することになるが、過疎地域が果たしている多面的・公共的機能を今後も維持していくためには、引き続き、過疎地域の振興を図り、そこに暮らす人々の生活を支えていくことが重要である。
 よって、国におかれては、こうした実情を踏まえ、平成22年4月以降においても総合的な過疎対策事業に取り組めるよう、新たな過疎対策法の制定を強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成20年10月9日

         奈 良 県 議 会

(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
農林水産大臣
国土交通大臣