意見書第4号

意見書第4号

      抜本的な都市農業振興策の確立を求める意見書

 都市農業は、消費者に新鮮で安全な農作物を供給するとともに、緑地としての環境保全、市民との交流を通じたコミュニティーの形成、災害時の緊急避難場所など多面的な機能を担ってきた。近年、街づくりを進めていく上で、都市農業の果たしてきた役割が再評価されるようになり、当議会は「県民共有の財産」として農地・農業を後世に残すことが、街づくりの重要な課題であると認識する。
 国政においては平成11年に成立した「食料・農業・農村基本法」で、都市農業の振興が国の責務であると初めて明記されたところであるが、生産緑地法や都市計画法、相続税納税猶予制度など都市農業関連の現行法制や税制の根幹部分は、「宅地化優先」の価値観を色濃く残したままであり、国の取り組みは、なお不十分であると言わざるを得ない。
 よって、国におかれては、都市農業者が安心して営農に取り組めるよう、次の事項について抜本的な都市農地保全・農業振興に取り組むよう強く要望する。
1 都市計画法、生産緑地法、相続税納税猶予制度などの都市農地関連の法制・税制などを見直し、新法制定も視野に入れた抜本的な都市農地政策を確立すること。
2 都市農地関連税制の見直しに際しては、市街化区域内に農地を持つ農家が希望を持って持続的に農業を営むことのできる仕組みに再構築すること。
3 多様な担い手の育成確保については、定年退職者、離職者や、ニート・フリーターなどの就農を促進するなど新たな支援策を検討すること。
4 学校給食と農家の提携など都市部における「地産地消」を拡充するとともに、農業体験農園・市民農園など市民参加型農業、農業体験学習などを通じた食育を推進すること。
5 右記の政策課題に対処するため、農林水産省、総務省、国土交通省、財務省など関係府省による都市農業政策の横断的な検討機関を設置し、平成18年度中に成案を得ること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成18年3月24日

     奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
農林水産大臣
国土交通大臣