意見書第7号

意見書第7号

    警察官の増員に関する意見書

 古代国家発祥の地である本県は、「国のまほろば」として多くの国民に親しまれており、日本国内の世界遺産十三のうち三つが所在する、正に日本の歴史と文化が薫る地である。
 その一方、大都市・大阪に隣接し、治安情勢については、刑法犯認知件数が平成十四年をピークに減少しているとはいえ、治安が良いとされていた昭和四十年代の約二倍の二万件を超えており、県民アンケートにおいても「治安が以前より悪くなった」と感じている人が半数近くを占めるなど、非常に厳しい状況にある。
 その内容を見ても、全国民を震撼させた女子児童誘拐殺人事件をはじめとした凶悪犯罪の続発や、来日外国人等による組織的犯罪の急増など、県民に大きな不安を与えているほか、世界遺産である法隆寺をはじめとした社寺における仏像盗難等文化財関連事件の続発など、国民の財産が脅威にさらされている。
 さらに、交通事故にあっては、発生件数及び負傷者数とも昨年よりやや減少はしたものの、交通事故死者に占める高齢者の割合が増加するなど、厳しい状況が続いている。
 本県警察は、こうした厳しい治安情勢の中、「県民の期待と信頼にこたえる力強い警察」の実現を運営方針に掲げ、全警察職員が一丸となって、百四十万人余の県民や年間三千五百万人にのぼる観光客の安全・安心の確保に努めており、国におかれても六年連続して本県警察官の増員を認められているところである。
 しかしながら、本県警察官一人当たりの負担人口は六百人で、全国平均の五百十三人を大きく上回っており、依然として第一線警察官は厳しい勤務を余儀なくされている。
 よって、国におかれては、このような本県の実情を十分理解していただき、引き続き本県警察官の増員を図られるよう強く要望する。

以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。

 平成18年6月26日

     奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
国家公安委員会委員長
警察庁長官