(1)
土地所有者及び関係人等は、収用委員会に対し損失の補償等について意見を述べる機会が保障されています。しかし、その時期及び方法等について無制限ではありません。土地収用法の定めるところに従って権利を行使し、自分の意思をはっきりと表明することが大切です。
なお、収用委員会の審理と関係のない事項(事業の認定の適否、精神的損失、他の事業にかかる損失など)については、審理において口頭で意見を述べることもできませんし、意見書に記載することもできませんからご注意ください。仮に意見書に記載しても、初めからその記載がなかったものとみなされます。
主張の内容ごとの意見を述べる機会及びその方法は、次のとおりです。
損失の補償に関する事項について
土地調書及び物件調書に記載された事項について
(地番の境界、収用地又は使用地の区域、物件や権利の存否又は帰属など)
調書の記載内容に関する異議は、調書に署名押印する際に 調書に附記することができます。この後の手続においては、調書に附記した異議の内容以外は、真実に反していることを立証しなければ主張することができません。ですから、起業者から立会を求められれば、是非これに応じて調書の記載内容を確認してください。
上記以外の補償に関する事項について
(補償額、補償方法〈金銭補償か現物補償か〉、残地収用の請求など)
縦覧期間中に意見書を提出することができますし、 審理において意見書を提出し、又は口頭で意見を述べることもできます。ただし、「損失の補償の主な種類」において、「意見書により」請求し、又は要求することができると記載している事項について主張するときは、収用委員会に意見書を提出して主張することが必要です。
また、意見書の様式については特に指定はありませんが、少なくとも作成の日付、提出者の住所、氏名を記載して押印してください。
損失の補償に関する事項以外の事項について
(裁決申請書等の記載事項、申請の前段階における手続、権利取得の時期など)
この事項に関する意見については、 縦覧期間中 に意見書を提出することができます。しかし、審理においてはこの意見書の内容を単に説明できるだけです。
(2)
以上でもわかりますように、損失の補償に関する事項が特に重視され、これに関する意見については、審理が終わるまで新たな意見を述べることができるように保障されています。なぜならば、これが最も利害に関する事項であり、最大の争点となるものであるからです。
また、土地収用法では損失の補償について、収用委員会は起業者と土地所有者等とが意見書でそれぞれ申し立てた範囲内で裁決しなければならないことになっています。
なお、意見を述べられるときは、収用委員会の審理に関係のある事項を具体的に主張し、それを裏付けるような資料があれば、併せて提出してください。
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