意見書第3号

意見書第3号

       障害者支援施策の充実に関する意見書

 厚生労働省は、昨年10月12日に「今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)」を公表し、去る2月10日には、閣議決定の後、「障害者自立支援法案」として、国会に上程した。
 この「改革のグランドデザイン案」とそれに基づく「障害者自立支援法案」は、施策体系の再編をはじめとして、現状の福祉施策を大きく転換させ、サービス利用者である障害者から「応益負担」としての費用負担を求めるとともに、市町村が審査会を設置して、一元的なサービス体制を構築する責務を負うことなど、障害者をはじめ支援団体、地方自治体等の関係者に与える影響は極めて大きく、慎重な検討が必要となる内容である。
 障害者施策としては、一昨年、新しい障害者施策としての「支援費制度」がスタートしたばかりであるにもかかわらず、財源論だけを優先して「障害当事者」や「地方自治体」からの不安や反対の声を無視した拙速な議論の進め方には問題があるものと思われる。
この法案が本国会で決定されれば、平成18年1月から利用者の費用負担もはじまり、障害者の地域生活に大きな影響を及ぼすこととなり、混乱を招くことは必至である。
 よって、国におかれては、障害者自立支援法案を議論するにあたっては、次の事項に留意されるよう強く要望する。

1 「障害当事者団体」や「地方自治体」など、関係機関への公聴会を開催し、この法案に対する意見を十分に聴取した上で必要な見直しを行うこと。
1 サービス利用者にとって、現状の「支援費制度」からサービス内容が後退することのない内容にすること。
1 必要な事業費には、すべて国が義務的負担をする等財政的責任を明確にすること。
1 障害者の地域生活基盤整備のための財源を確保すること。     

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成17年 3月25日 

        奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
厚生労働大臣