意見書第6号
低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)の治療推進を求める意見書
脳脊髄液減少症は、交通事故、スポ-ツ障害、落下事故その他頭頸部や全身への強い衝撃によって、脳脊髄液が慢性的に漏れ続ける病気である。この病気の症状は、頭痛、首や背中の痛み、腰痛、めまい、吐き気、視力低下、耳鳴り、思考力低下、うつ症状、睡眠障害、極端な全身倦怠感など、さまざまな症状が複合的に現れるもので、この病気で苦しんでいる患者が全国から数多く報告されている。
しかし、これまで医療現場においては、原因が特定できない場合が多く、「怠け病」あるいは「精神的なもの」とされ、患者の肉体的、精神的苦痛を軽減することはおろか、むしろ理解されることなく、苦痛を助長する現状であった。最近このような症状は脳脊髄液の減少に起因することが究明されてきており、この病気に対する治療法(ブラッドパッチ療法)が開発され、その治療効果が明らかになってきている。
髄液漏れに関する医学論文等の報告は数多くあるものの、認知が高いとは言えず、いわゆる「むち打ち損傷」を原因とする脳脊髄液減少症の治療であるブラッドパッチ療法が保険で認められていないのも、普及が進まない原因であるかと思われる。
よって、国におかれては、以上の現状を踏まえ、次の事項について適切な措置を講じられるよう強く要望する。
1 交通事故後の後遺症で苦しむ患者、外傷による髄液漏れの患者の実態調査を実施すること。
1 低髄液圧症候群についての更なる研究の推進と、ブラッドパッチ療法を含め、いわゆる「むち打ち症」の治療法を早期に確立すること。
1 低髄液圧症候群の治療法の確立後、ブラッドパッチ療法等に対して保険を適用すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成17年 3月25日
奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣