意見書第10号

意見書第10号

    道路の整備・管理に要する財源確保に関する意見書

 道路は、県土の均衡ある発展と活力ある地域づくりや、豊かで潤いある快適な県民の暮らしを実現するための、最も基本的な社会資本整備である。
 奈良県においては、高規格幹線道路である京奈和自動車道をはじめとする、県土の骨格となる道路ネットワークが不十分な状況にある。
 このことにより、平野部においては、平日、休日を問わず慢性的な交通渋滞が発生し、県内の移動に多大な時間を要するなど、県民の日常生活や経済活動、また、県外からの観光客の約5割が自家用車を利用することから、観光の振興にも大きな支障となっており、全国でも有数の優れた歴史文化遺産、豊かな自然環境を十分に活用出来ていないのが実情である。
 一方、山間部においては、自動車が唯一の交通手段であるにもかかわらず、地域の主要幹線道路は未だ未改良区間が多く、また大規模な災害が発生するなど十分な安全性と走行性が確保されていない状況にある。
 今年度は、京奈和自動車道大和・御所道路の大和区間、五條道路の部分・暫定供用が予定されているが、県内のネットワークを形成するためには、大和・御所道路、大和北道路、また高規格幹線道路と一体となって機能する地域高規格道路などの整備促進が強く望まれる。
 また、昨年7月には「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録され、3つの世界遺産を有することになり、地域の資源を活かすためにも、アクセス道路の整備が必要不可欠である。
 2010年には、平城遷都1300年という大きな節目を迎えるにあたり、その記念事業を予定しており、幹線道路をはじめアクセス道路、JR奈良駅付近連続立体交差事業の整備が急務となっている。
 道路特定財源は、このような本県の立ち遅れた道路状況を改善する上で重要な役割を果たしているが、道路整備・管理に関する費用のうち、道路特定財源の充当率はわずか4分の1と、まだまだ不足しているのが現状である。
 このような財源状況にもかかわらず、受益者負担の考えを基本としている道路特定財源の一般財源化という意見があるなど、道路整備・管理のための安定的な財源の確保が危惧される状況にある。
 よって、国におかれては、地方の実情や地域の声を十分把握し、遅れている地方の道路整備を引き続き着実に推進し、適切な道路管理が実現出来るよう道路特定財源等による安定した財源を確保するとともに、地方の道路財源をより一層充実強化されるよう強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成17年 6月30日

        奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長  
参議院議長  
内閣総理大臣 
財務大臣   
国土交通大臣