意見書第12号

意見書第12号

     運輸安全基本法(仮称)の制定等鉄道輸送の安全確保を求める意見書

 4月25日に発生したJR福知山線の脱線事故は、死者107名、負傷者が500名を超える大惨事となった。この事故により亡くなられた方々とそのご遺族に対して深く哀悼の意を表し、負傷された方々におかれては、1日も早くご回復されますことを心より祈念申し上げる。
 事故の背景には、効率優先、安全性を軽視したJR西日本の経営体質も明らかになりつつある。同時に、国鉄を分割民営化し、安全基準の規制緩和を進めてきた政府のあり方も問われている。
 事故原因の解明は事故の再発を防止するのみならず、他方で当該事故に遭遇した遺族、被害者にとって事故により病んだ心を癒すことにつながる。
 鉄道は、国民の足として公共交通機関の中で輸送量も多く、今後も高速化が予想されるとともに、できるだけ利用率を高めることも望まれ、最も安全な交通機関としての信頼を回復する必要がある。
 よって、国におかれては、この度の事故原因の徹底解明と、再発防止を進めるため、次の事項の実現を強く要望する。
1 運行計画(列車ダイヤ)については、必要な余裕時分を確保した無理のないものとし、新型の自動列車停止装置(ATS-P)、自動列車制御装置(ATC)、脱線防止ガードなど事故防止設備の普及を図り、安全投資に対する国の補助制度を充実・強化すること。
1 JR西日本の経営姿勢、運転士の安全教育、健康管理等事故の背景要因に至るまであらゆる角度から解明し改善を図ること。
1 安全基準の強化等を内容とする「運輸安全基本法」(仮称)を制定するとともに、鉄道事業法における工事計画、施工、検査等について認可から届け出にしたこと等、安全面の規制緩和を抜本的に見直すこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成17年 6月30日

        奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長  
参議院議長  
内閣総理大臣 
総務大臣   
財務大臣   
国土交通大臣