意見書第14号

意見書第14号

    米国産牛肉の拙速な輸入再開に反対し、BSEの万全な対策を求める意見書

 国内でBSE(牛海綿状脳症)感染牛が確認されて以来、政府はと畜されるすべての牛の検査及び特定危険部位の除去、飼料規制の撤廃などを行い、牛肉に対する信頼回復に努めてきた。また、2003年に米国でBSEの発生確認以降、米国産の牛肉及び牛肉加工品の輸入を禁止してきた。
 BSEはその発生原因も科学的に十分解明されておらず、そうした中での全頭検査の見直しや米国産牛肉等の輸入再開は、消費者の不安を増大させるものである。
 よって、国におかれては、BSE問題への万全な対策を講じるとともに、次の事項について特段の配慮をされるよう強く要望する。
1 米国産牛肉の輸入再開問題について
 (1) 米国ではと畜される牛で、BSE対策を行っているのは、全体の1%にすぎない。
 (2) 生産・物流履歴をたどるトレーサビリティ制度が整っていないため、月齢の判定が確認できず、現在、検討されている目視による骨化や肉質の状況での月齢判定は誤差を生じさせる。
 (3) 特定危険部位の除去では、日本はすべての月齢の牛の脳などの危険部位を除去し、焼却処分を行っているのに対し、米国は30ヶ月齢以上の牛に限られている。
 (4) 米国では除去された特定危険部位は処分されず、肉骨粉の原料とされ、豚や鶏の飼料として流通している。このため、飼料の製造段階での混入・交差汚染や、使用時に誤って牛に与える危険性がある。
 以上の理由から、拙速な輸入再開は行わないこと。
1 国内のBSE対策について
  国内では、特定危険部位の除去に関する監視体制の構築、牛をと畜する際のピッシングの廃止がこれから実施される予定であり、全頭検査の見直しはこれらの一連の対策の実効性が確認された後に検討されるべきである。さらに、自治体で行う全頭検査に対して、財政措置を継続すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成17年 6月30日

        奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長  
参議院議長  
内閣総理大臣 
財務大臣   
農林水産大臣 
内閣府特命担当大臣(食品安全)

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