意見書第16号

意見書第16号

    アスベスト対策を求める意見書

 アスベスト使用の有害性については、すでに1970年代には医学的に指摘され、国際的にも明らかになっていたが、政府は75年に吹き付け作業の原則禁止の措置をとったものの、発ガン性が強いとされる青石綿、茶石綿の使用は95年まで放置してきた。また、白石綿についての使用を原則禁止したのは昨年のことである。
 全国において、アスベスト関連製品を製造していた事業所の従業員やその家族、周辺住民が中皮腫や肺がんなどの、アスベストが原因と見られる疾病死が多数発生していることから、国民の生命や健康を守り、その不安を解消することは緊急の課題である。
 よって、国においては、国民の不安を払拭し、安全と安心を確保するため、次の事項の方策を早急に講じられるよう強く要望する。
1 アスベスト被害にかかわる法律が関係省庁に分散しているが「石綿に関する総合相談窓口」を一本化し、政府をあげて対策を推進すること。
2 学校施設をはじめとする公共施設等におけるアスベスト除去及び継続的な健康診断実施等に対する財政的支援を講じること。
3 補償を受けずに死亡された事業所の元従業員やその家族、周辺住民の被害者に的確に対応するため、速やかに新たな立法措置を講じること。
4 中皮腫登録制度を創設し、そのための診断治療体制の整備と治療法の開発のための研究を進めること。
5 建築物の解体や補修に伴うアスベストの飛散防止対策及び適正処理のための廃棄物対策を強化すること。
6 アスベスト含有製品の全面禁止を早期に実施するため、代替化の促進を図ること。
7 アスベストに関する輸入、製造、使用・在庫、除去後のアスベスト廃棄物等の実態調査を厳密に実施し、明らかにすること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成17年10月6日

        奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長  
参議院議長  
内閣総理大臣 
財務大臣   
文部科学大臣 
厚生労働大臣 
経済産業大臣 
国土交通大臣 
環境大臣