意見書第17号

意見書第17号

    耐震化促進のための施策の拡充を求める意見書

 昨年10月の新潟県中越地震、そして今年3月、大地震発生の可能性は低いといわれていた福岡でも福岡県西方沖地震が起きる等、最近、大地震が相次いでいる。いずれも多大な被害をもたらしている。さらに、今年7月の千葉北西部地震では首都圏の交通網・通信網の脆弱さが露呈した。
 大地震はいつどこで発生してもおかしくない。大地震への備えとしては、防災対策のみならず、大地震発生時に被害を最小限に抑える「減災」への取り組みが求められている。そして、減災のために最も有効な対策が、住宅や建築物の耐震化である。
 その観点から本年6月、国土交通省の「住宅・建築物の地震防災推進会議」がまとめた提言では、住宅や建築物のそれぞれについて、今後10年間で耐震化率を9割にまで引き上げることとする数値目標を設定し、達成に向けた促進策を提示した。まさに、「耐震化は時間との競争」である。
 よって、国におかれては、地震による人的・経済的被害を最小限に抑えるために、耐震化促進のための施策について、次の事項を早急に拡充するよう強く要望する。
1 耐震改修に関して税制、予算両面で施策を拡充
  国土交通省は今年度から、従来の耐震診断・耐震改修に対する補助制度を統合し、用途を広げたほか、自治体が地域の実情に応じて民間住宅の耐震改修に活用できる地域住宅交付金制度を創設した。これらの制度を全国に普及させるとともに、税額控除制度等税の優遇措置を創設すること。
2 耐震改修促進法等に関する制度の充実・強化
  密集市街地等の地震による被害拡大の恐れのある地域の住宅等については、耐震診断等の指示(勧告)を推進し、耐震性が不十分な多数のものが利用する建築物に対しては、指示、報告徴収、立入検査や正当な理由がなく指示に従わない建築物の公表を行うようにすべきである。
  また、防災上重要な建築物や不特定かつ多数のものが利用する建築物については、耐震診断及び耐震改修計画を義務づけ、改修を実施しない場合は改修命令を出せるよう耐震改修促進法に関する制度の充実、強化を図ること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成17年10月6日

        奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長  
参議院議長  
内閣総理大臣 
財務大臣   
国土交通大臣