意見書第9号

意見書第9号

       犯罪被害者の権利と被害回復制度の確立を求める意見書  

 わが国では、犯罪被害者が事件の当事者でありながら、刑事司法から除外されているなど、長い間、犯罪被害者とその家族は社会的に放置されて孤立し、十分な支援制度もなく、極めて深刻な状態に置かれてきた。
 近年、犯罪被害者自身の懸命な努力により、支援する団体も結成され、その権利の確立と支援について社会的な関心が高まる中、平成12年「犯罪被害者保護関連2法」が制定され、一定の成果は見られるものの、被害者とその家族等に対する人権擁護や救済措置はいまだ不十分なものである。
 治安が悪化し、多くの国民が犯罪被害に対する不安を抱くような現状にあって、犯罪被害者が被害の回復と支援を求めること等を正当な権利と位置づけ、国と社会の責務として、総合的に被害者を支援する制度等の確立が急務となっている。
よって、国におかれては、犯罪被害者の権利を明確に位置づける観点から、被害回復のための法的、経済的、精神的な支援制度を抜本的に拡充するとともに、刑事訴訟手続に参加する制度等について早急に検討するなど、犯罪被害者の権利と被害回復制度の確立に向けて全力を尽くされるよう強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成16年10月8日 

        奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
警察庁長官
法務大臣
国家公安委員会委員長