意見書第14号

意見書第14号

    B型肝炎訴訟の早期全面解決を求める意見書

 我が国のB型肝炎患者・感染者は120万人から140万人いると推定されている。B型肝炎は慢性肝炎から肝硬変、肝がんに進行し、あるいは慢性肝炎を経ずして突然肝がんを発症することもある極めて深刻な病気である。
 B型肝炎訴訟は、B型肝炎患者・感染者がB型肝炎ウイルスに感染した原因は注射器を連続使用した集団予防接種にあるとして、国を被告に損害賠償を求めた裁判である。
 平成18年6月16日の最高裁判決では、B型肝炎ウイルスに感染した5人の原告について、国の行政責任が認められた。その後、被害者全員の救済を求め、本年10月1日現在、511人が10地裁で係争中であり、うち、札幌、福岡両地裁において、本年3月に和解勧告がなされ、4月には大阪地裁も和解による解決を促したところであるが進展していない。
 原告のみならず、多くの肝炎患者は、今後の症状悪化に対する不安や、多額の治療費の自己負担額、そしていわれなき差別・偏見に苦しみながら日々生活している。原告のうち既に10人が亡くなられており、救済まで一刻の猶予もない。
 よって、国におかれては、B型肝炎訴訟の早期全面解決を図るため、次の取り組みを進めるよう強く要望する。

1 集団予防接種による注射器の使い回しによって被害を受けた被害者が原告となったB型肝炎訴訟において、被害者に謝罪し、速やかに救済すること。

2 肝炎患者にとって経済的負担の心配がない医療費助成制度の整備を進めること。

3 肝炎患者に対する差別・偏見をなくすための正しい知識の啓発活動を進めること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

   平成22年12月14日

                           奈 良 県 議 会

(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
法務大臣
財務大臣
厚生労働大臣