意見書第19号

意見書第19号

    議会の機能強化及び地方議会議員の法的位置付けの明確化等を求める意見書

 地方分権をさらに推進するためには、地方政府における自治立法権を担う地方議会が住民に対する説明責任を果たしながら、政策立案機能、監視機能を十分に発揮する必要がある。特に、義務付け・枠付けの緩和などにより地方自治体の条例制定権が広がることに伴い、政策を提言し行政を監視する地方議会の役割と責任は益々大きなものとなる。
 地方議会は、これまで議会活動の透明性の向上を図りながら、議会に与えられた機能を充実するため自己改革に努めてきた。今後とも地方議会は、住民の負託と信頼に応えるため、地域の実情に即した自主的な議会運営を目指すとともに、住民に対する説明責任を自覚し、自ら議会機能の向上に努めなければならない。その上で、地方分権をさらに推し進めるためには、議会活動の自由度を高めつつ、地方政府における立法府にふさわしい法的権限を確立する必要がある。
 また、議会を構成する地方議会議員が、本会議・委員会において行政に対する監視や政策立案のための充実した審議を行うことは、当該地方自治体の事務に関する調査研究や、住民意思の把握など不断の議員活動に支えられている。しかしながら、議員の責務に関する法律上の規定がないこともあり、議員活動に対する住民の理解が十分得られていないのが現状である。議会が住民に期待される機能を十分発揮できるようにするため、公選職としての地方議会議員の責務を法律上明記するとともに、専業化している都道府県議会議員の特性を踏まえて、議員の責務を果たすにふさわしい活動基盤を強化することが喫緊の課題となっている。
 さらに、都道府県議会議員の選挙区について、「郡市の区域による」としている公職選挙法の規定(第15条)を改正し、地域の実情を踏まえ、都道府県が条例で自主的に選挙区を規定できるようにすることにより、住民意思を正しく議会に反映させ、地域の振興を図る制度とすることも重要な課題である。
 よって、速やかに関係法律の改正を行い、地方政府における立法府にふさわしい地方議会の法的権限を確立するとともに、選挙制度の見直しを含め地方議会議員の活動基盤を強化するため、次の事項を実現するよう強く要請する。

1 地方自治法の抜本改正にあたっては、議会の権限を明確にするため、議会の立法権及び行政監視権を明示する基本規定を設けるとともに、会期制度のあり方など議会の活動・運営・組織に関する事項は条例及び会議規則に委ねること。
  なお、専決処分や再議など長優位の制度は抜本的に見直すこと。

2 真の二元代表制を実現するため、議長に議会の招集権を付与すること。

3 議会意思を確実に国政等に反映させるため、議会が議決した意見書に対する関係行政庁等の誠実回答を義務付けること。

4 住民から選挙で選ばれる「公選職」としての地方議会議員の特性を踏まえ、その責務を法律上明らかにするとともに、責務遂行の対価について、都道府県議会議員については「地方歳費」又は「議員年俸」とすること。

5 地方議会議員の活動基盤を強化するため、現在法文上調査研究活動に特化されている政務調査費制度を見直し、住民意思の把握や議員活動報告のための諸活動を加え、幅広い議員活動又は会派活動に充てることができることを明確にすること。

6 住民意思を正しく議会意思に反映させるとともに地域の振興を図るため、都道府県議会議員の選挙区について、「郡市の区域による」としている公職選挙法の規定(第15条)を改正し、地域の実情を踏まえ、都道府県が条例で自主的に選挙区を規定できるようにすること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

   平成22年12月14日

                           奈 良 県 議 会

(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
総務大臣
国家戦略担当大臣