意見書第5号
障害者基本法改正案におけるインクルーシブ教育に関する意見書
障害者権利条約の批准に向けて、障がい者制度改革推進会議が真剣な議論を重ねてきた。2010年12月17日に「障害者制度改革の推進のための第二次意見」が障がい者制度改革推進本部へ提出された。教育の項目ではインクルーシブな教育制度の構築を提言しているが、担当省との間に大きな乖離があることに関係者は強い懸念を抱いていると聞いている。
インクルーシブ教育とは障害のある子どものみでなく、万人にとっての抜本的な教育改革であり、障害によって子どもを分けるのではなく共に学び合うことを原則として、すべての子ども一人ひとりに必要な支援を行うというもので、障害者権利条約第24条で規定されている。
私たちは、障害のあるなしで子どもたちを分断してきた日本の悲しい歴史を直視して、障害のある子を排除しないことを原則としたインクルーシブ教育へと転換した上で、障害者権利条約を批准することを強く望む。「共に生きる社会は共に学ぶ学校から」始まると考えるからである。前記第二次意見は、私たちの思いと同じくするものである。
別学が原則の現在の教育制度から、共学を原則とし同時に合理的配慮を行うインクルーシブ教育に転換させる、希望する場合は特別支援学校・学級への選択もあり得る、この方向へと転換させるべきだと考える。
よって、以上の認識に基づき、次の事項を要望する。
1 障害のある子どもは、他の子どもと等しく教育を受ける権利を有し、その権利を実現するためにインクルーシブ教育制度を構築すること。
2 障害のある子どもとない子どもが同じ場で共に学ぶことができることを保障するとともに、本人・保護者が望む場合に加えて、最も適切な言語やコミュニケーションを習得するために特別支援学校・学級を選択できるようにすること。
3 就学先の決定に際し、本人・保護者の意に反して決定がなされないことを原則とすること。
4 障害のある子どもの個別のニーズにこたえるため、合理的配慮や必要な支援が提供されるために必要な施策を講ずること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成23年3月16日
奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣