意見書第12号
慢性骨髄性白血病の長期高額疾病認定を求める意見書
慢性骨髄性白血病(CML)とは、造血幹細胞が癌化し、白血球、時には血小板が異常増殖する血液腫瘍、いわゆる「血液のがん」である。
日本国内では、年間100万人当たり10人から15人程度発症し、全白血病発症者(年間100万人当たり60人程度発症)の約2割を占め、現在8,000人程度の患者数である。
CMLは、慢性期から移行期を経て急性期に至り、他のがんの例にもれず致死的な病ではあるが、近年、大変有用な分子標的薬が開発され、多くの患者が寛解を得られるようになり、患者の社会復帰も進んでいる。
しかしながら、この薬は、治癒を得られるものではなく、進行を止めるものであり、使用を中止すると、直後から急激に病状が進行し、一旦進行させてしまうと、使用再開後の効果は低いとの臨床現場からの報告があり、死ぬまで飲み続ける必要がある。
薬は非常に高額であり、かつ長期間継続しなければならないことから、患者にとっては相当な負担となっている。経済的理由により、治療の継続が困難になり、自らの判断で治療を断念することにもなりかねない。
長期高額療養制度の対象となれば公的支援に頼ることができるが、現在、その対象となる疾病は「HIV」「血友病」「人工透析を行う慢性腎不全」の3種類のみである。CMLは、これらの疾病と同様に、治療の費用が著しく高額であり、かつ長期間にわたり継続しなければならないことから、長期高額療養制度の対象に該当するものと考えられる。
よって、国におかれては、CML患者救済のため、慢性骨髄性白血病を長期高額療養制度の対象となる疾病として認定されるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成23年10月12日
奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣