意見書第15号
「受診時定額負担制度」導入に反対する意見書
平成23年6月30日、政府・与党社会保障改革検討本部は、「社会保障・税一体改革成案」を正式に発表し、その中で、社会保障改革の具体案として、「受診時定額負担制度」の導入が提案されている。同制度は、高額療養費制度の負担軽減の財源確保のためとして、初再診時に一定の定額負担を患者に求めるものである。
しかし、本来、高額療養費制度は、保険加入者全体で支える仕組みであり、財源が不足する場合には、税財源など公費による負担や保険料により対応すべきもので、同制度は、相互扶助の精神に反し、国民皆保険制度の根幹を揺るがすものと言わざるを得ない。
社会保険本人の窓口負担が、平成15年に2割から3割に引き上げられた際の健康保険法の改正法には、「将来にわたり保険給付は7割を維持する」と附則に明記されている。しかるに、今回の受診時の定額負担はそれに反することになる。
すでに我が国の患者一部負担割合は先進諸国と比べても高い水準にあり、そうした中で、患者にこれ以上の負担を強いることは、特に受診回数の多い乳幼児や高齢者等の受診抑制へとつながり、症状の重篤化など健康被害を招くことも懸念される。
よって、国におかれては、誰もが等しく安心できる医療を確保するため、新たな患者負担を強いる受診時定額負担制度を導入しないよう要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成23年12月14日
奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
厚生労働大臣