意見書第3号
慢性疲労症候群患者の支援を求める意見書
慢性疲労症候群は、健康に生活していた人が、ある日突然原因不明の激しい倦怠感に襲われ、それ以降強度の疲労感とともに、微熱、頭痛、脱力感、思考力の障害、抑うつ等の精神神経症状などが長期にわたり、健全な社会生活が送れなくなるという疾患である。米国疾病対策センターにより1988年に提唱された比較的新しい疾患概念であり、今なお原因が特定されておらず、治療法も確立されていない。
日本においては、1999年、2004年の疫学調査により、慢性疲労症候群患者が労働人口のうち24万人いると推定されている。苦痛を伴いながらも何とか仕事を続けることができる患者もいるが、症状が重く寝たきりに近い患者も多い。
また、職を失うほど深刻な疾患でありながら、原因が解明されていないために、詐病の扱いを受けるなど、偏見や無理解に苦しんできている。さらに、障害認定が受けられずに、介護や就労支援等が必要にもかかわらず福祉制度の谷間におかれ、必要な福祉サービスを受けられない患者がいるのが現状である。
よって、国におかれては、次の項目について早急に実現を図るよう強く要望する。
1 厚生労働省に慢性疲労症候群専門の研究班を設置し、重症患者の実態を調査し病気の原因を研究すること。
2 慢性疲労症候群の実態を医療関係者や国民に周知するとともに、患者が診察及び治療を受けられる環境を整えること。
3 障害者手帳がなく制度の狭間におかれた慢性疲労症候群の患者が、日常生活や社会生活に制限を受けている 場合には、介護・就労支援等が受けられるよう法整備等を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成24年3月23日
奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣