意見書第11号
所得税法第56条の見直しを求める意見書
中小事業者は、地域経済の担い手として、我が国経済の発展に貢献してきた。その中小事業者を支えている家族従業員の労働対価は、所得税法第56条の規定により、必要経費に算入しないこととされている。
事業主の所得から控除される労働対価は、配偶者の場合は、86万円、その他の親族の場合は50万円であり、このわずかな控除が所得とみなされるため、社会的にも経済的にも自立が難しい状況となっている。家業を一緒にやりたくてもできないことが、後継者不足に拍車をかけている。
税法上では、青色申告を行うことにより、給与を必要経費に算入することができるものの、同じ労働に対し、青色申告といわゆる白色申告とで差を設ける制度は矛盾していると言える。
なお、アメリカ、ドイツ、フランス、韓国など世界の主要国においては、家族従業員の労働対価は一定の要件の下で必要経費として認められているところである。
よって、本県議会は、国に対し、家族従業員の労働が適正に評価されるよう、所得税法第56条の規定の見直しが行われることを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成24年7月3日
奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
総務大臣
財務大臣
厚生労働大臣
社会保障・税一体改革大臣