駐車場について

2 日常生活に係るトラブルとその対処
(3)駐車場について

Q1  マンション敷地内に不法駐車が多くて困っています。よい対策はないですか。 
A1  不法駐車を見逃すと、消防車や救急車等の緊急活動やゴミ収集車の収集活動などに支障が出ます。また、歩行者の通行の妨げになり、事故が発生する恐れがあります。
 解決のための絶対的な決め手はありませんが、管理組合は日ごろから広報等で不法駐車について注意を呼びかけ、組合員とのコミュニケーションを密にして地道に取り組むことが大切で す。
 なお、一般的な対策としては次のようなものが考えられます。
 (ア)広報等により不法駐車に対する排除の啓発を行う。
 (イ)規制看板や注意看板を要所に設置する。また、駐車禁止文字やゼブラゾーンを路面に表示する。
 (ウ)フラワーポット等の障害物を置いて、駐車できないようにする。
 (エ)役員や居住者による夜間・休日の見回りを行い、不法駐車車両のワイパーに警告票を挟んで注意を促し、ナンバーを控えておく。
 (オ)駐車場不足が原因の場合は増設を検討する。

  

Q2  駐車場の増設を考えています。どのように進めたらよいですか。
A2  駐車場を増設する場合、法令上の制限がありますので、建築基準法、消防法、各自治体の条例等を良く調べ、それに抵触しないようにする必要があります。
 また、緑地を削っての増設や機械式駐車場を設置する場合は共用部分の変更に当たりますので、総会において組合員総数及び議決権総数の各4分の3以上の特別決議が必要になります。
 さらに増設が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすときは、専有部分の所有者の承諾を得なければなりません。
 具体的な進め方の手順は次のとおりです。
 (ア)理事会で増設について検討し、方針を決定する。
 (イ)駐車場専門委員会を設置し、アンケート等により実態・要望を把握する。
 (ウ)法律的に増設が可能かどうか調査して、具体的な計画案づくりを進める。
 (エ)安全面、環境面において、専有部分の使用に関し特別な影響を及ぼすか否か確認する。
 (オ)委員会の進行状況を広報等で継続的に流し、合意形成の土壌づくりをする。
 (カ)居住者に対する説明会を実施する。
 (キ)総会に提案し、決議する。

 

Q3  敷地内の駐車場を借りていて、住宅を売却する場合、駐車場付という条件で売ることが出来ますか。
A3  通常、駐車場は専有部分として設定されていないので、駐車場付きという条件での売却はできません。
 駐車場は、管理組合と区分所有者との間で締結されている駐車場使用契約に基づいて、区分所有者全員の共有物である敷地の一部を排他的に使用しているにすぎず、住宅を売却し、区分所有者でなくなった時点で契約の効力を失います。

 

Q4  駐車場を特定の居住者が継続して利用しています。不公平ではないですか。
A4  区分所有者全員で所有する共用部分である駐車場の利用に関しては、不公平のないよう利用のルールをつくっておくことが望まれます。
 特定の居住者のみが駐車場を利用し、それ以外の居住者がいつまでも駐車場を借りられないようなことになると、不満をもつ居住者が増え、駐車場管理のうえで大きなトラブルの基となります。不公平のないよう定期的に抽選を行ったり、順番を入れ替えたりするルールをつくっておくことが必要です。

 

Q5  専用庭を駐車場に変更できますか。
A5  通常、区分所有建物の敷地は、専有面積割合による持分の共有となっており、専用庭が共有敷地であるかどうかは、管理規約によって確認することができます。
 専用庭はその住戸の専用の庭ですが、それ自体は区分所有者全員の共用部分ですので、専用庭を勝手に変更することは出来ません。
  したがって、専用庭は規約や細則で定められている用法に従って使用しなければならず、規約等に定められている目的以外に使用するためには、規則や細則の改正が必要になります。

 

Q6  駐車場使用料の額はどのように決めればよいですか。
A6  駐車場使用料金の設定にあたっては、基本的には近隣駐車場料金の相場とのバランスを重視すべきです。なぜなら、マンションの駐車場使用は、近隣の民間駐車場と代替できる駐車サービス提供の一面をもっているからです。
 また、マンションの駐車場を使用できない自動車保有者は、近隣の駐車場を利用している場合も多く、この点からも近隣駐車場料金とのバランスを考える必要があります。
 なお、料金決定要素としては次の事項が考えられます。
 (ア)駐車場施設償却費、修繕費、管理事務費、駐車場敷地の固定資産税等
 (イ)駐車スペースと需給関係
 (ウ)近隣の駐車場料金の相場

 

Q7  20年前のマンション分譲時に、駐車場は専用使用権付で分譲されました(専用使用権の対価として分譲会社に一時金を支払っている。)。専用使用権を持つ者と持たない者との間で不公平が生じているので、駐車場を管理組合の管理に移したいのですが、できるのですか。
A7  駐車場の専用使用権に関しては、民法や区分所有法等が複雑に絡み合っている問題なので、ケースバイケースで考えなければなりません。
 専用使用権の設定が分譲契約成立以前の重要事項説明としてなされており、かつ、分譲時の規約に専用使用権が定められている場合には、区分所有者は、専用使用権があることを知って契約したこととなり、契約が公序良俗に違反しない限り適法であることになります。従ってこの場合は、専用使用権者の反対があれば、管理組合の管理にすることはできません。
 一方、分譲時に分譲会社が区分所有者全員の承諾なしに専用使用権を設定し、かつ一時金を徴収している場合には問題があります。この場合の具体的な解決方法は、当該専用使用権者と管理組合と分譲会社の間での話し合いによる解決が望まれます。
 専用使用者及び分譲会社が駐車場管理の管理組合移行に理解を示してくれる場合は、分譲会社から一時金を返還(分譲会社が現在までの管理に要した費用を除く)させ、あるいは管理組合で専用使用権を買い取り、その時点であらためて管理組合と契約者が契約するものとし、必要なら新規に駐車場契約者を選びなおすという方法が合理的と考えられます。

 

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