意見書第7号
交通基本法案の早期成立を求める意見書
交通は、国民生活及び経済活動にとって不可欠な基盤である。しかし、交通に関する基本的な取り組みについての骨格となる枠組みが存在しないため、個々の分野での個別・縦割りの対応に終始している。一方で、人口減少・少子高齢化の進展、いわゆる限界集落の存在や買い物難民の増加など地域コミュニティの崩壊、わが国の経済力の相対的立場の低下、地球温暖化など環境問題への対応など、交通を取り巻く社会経済情勢は著しく変化している。さらに、現在の厳しい財政状況の中、効率的な社会資本整備が求められており、交通分野における陸海空の特性に応じた役割分担を明確化するために、総合交通体系を確立することが極めて重要な課題となっている。
このような交通分野の諸課題に対して、交通に関する基本的施策を包括的に示すことにより、国・地方公共団体・事業者・国民が一体となって総合的かつ効率的に取り組みを推進させなければならない。既に地域交通に関わる基本的施策を実現するための枠組みを独自につくる地方公共団体も広がり、奈良県においても、この7月に「奈良県公共交通条例」を制定するなど、その積極的な推進に取り組んでいるところである。
今後、地域の公共交通の役割はさらに重要性を増していく。交通がその機能を十分に発揮し、真に活力ある地域や経済社会をつくっていくためにも、交通に関する施策を総合的に再構築し、これを計画的に進めていかなければならない。その骨格となる交通基本法の制定は待ったなしの状況にある。
よって、国におかれては、交通基本法案の早期成立に取り組まれるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成25年7月5日
奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
国土交通大臣
内閣府特命担当大臣(地域活性化)