意見書第11号
アルコール健康障害対策基本法(仮称)の制定を求める意見書
アルコール飲料は、我が国では「酒は百薬の長」、「社会の潤滑油」とも言われ、古くから、私たちの生活の中で親しまれているが、その一方で、アルコール依存症等の健康障害が、依存症者本人の健康の問題であるのみならず、その家族への深刻な影響や重大な社会問題を生じさせている。
平成20年に行われた厚生労働省研究班による調査によれば、我が国のアルコール依存症者は約80万人、その予備群を含めると約440万人にも上り、また、アルコール健康障害による死者数は年間約3万5千人とも言われている。
こうした中、平成22年、WHO(世界保健機関)は、「アルコールの有害な使用を低減する世界戦略」を採択し、「国が適切な行動をとれば、アルコールの有害な使用は低減できる」として、加盟国に対し、施策の推進と報告を求めたところである。
しかし、我が国では、飲酒運転、うつ、自殺、震災後のストレス障害、DV、児童虐待、生活習慣病、認知症など、現在直面している多くの問題にアルコールが深く関連しているにもかかわらず、多岐にわたるアルコール健康障害対策について、総合的な施策を定めた法律がなく、十分な対策が講じられていない。
よって、国におかれては、アルコール健康障害対策を総合的かつ計画的に推進し、アルコール依存症の発生、進行及び再発の防止を図り、あわせてアルコール依存症の人々の断酒の取り組みに対する支援の充実を図るため、アルコール健康障害対策基本法(仮称)を早急に制定するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成25年10月7日
奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
厚生労働大臣