意見書第12号
ホテル・旅館等の建築物の耐震化の促進に関する意見書
南海トラフの巨大地震や首都圏直下地震の被害想定においては、死傷者や建物被害はこれまでの想定や東日本大震災を大きく上回る非常に厳しいものとなっている。一方、住民の避難意識啓発や建築物の耐震化等の防災対策による被害軽減も推計されており、行政は、可能な限り被害を最小限に抑止する防災・減災対策を早急に進めていく必要がある。
そのような中、大規模な地震の発生に備えて、建築物の地震に対する安全性の向上を一層促進するため、「建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律」が成立し、特にホテル・旅館、病院、店舗等の不特定多数の者が利用する建築物等で地震に対する安全性を緊急に確かめる必要がある大規模なものについては、建築物の耐震診断を実施し、その結果を平成27年末までに所管行政庁に報告することが義務付けられた。
わが国の経済は緩やかに持ち直しつつあるが、国策で推進している観光立県の下支えとなっているホテル・旅館等の経営環境は、なお厳しい状況が続いており、多額の費用を要する建築物の耐震化に対しては重点的な支援が必要であり、地方自治体においても、地震による建築物の倒壊等による被害から住民等の生命、身体、財産を守るため、耐震診断等に対する財政支援を行っているところであるが、耐震化の一層の向上を図るためには、その財源確保が不可欠である。
また、これらの耐震化を円滑に推進するに当たっては、当該建築物の所有者はもとより広く国民に対して当改正法の内容の周知と理解の促進を図ることが重要である。
よって、国は、ホテル・旅館等の建築物の耐震化を円滑に推進するため、予算の確保、金融支援の充実等必要な財政支援の強化を図るとともに、耐震診断結果の公表時期及び表示制度については公平性の確保の観点から、当該事業者の実情等を十分配慮した運用となるよう特段の高配をされるよう要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成25年10月7日
奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
国土交通大臣
内閣府特命担当大臣(防災)