意見書第17号

意見書第17号
                      難病患者支援の充実に関する意見書

 原因不明で治療法が確立していない、いわゆる難病は5千から7千疾患に及ぶと言われ、多くの難病患者が困難な生活を送っている。現在、国において難病対策の見直しが進められ、対象が3百疾患に広げられようとしているが、全体からみれば極めて狭い範囲にとどまっている。症例数の少ない希少難病や、小児の先天的な難病においては、難病対策の施策からも障害者施策からも十分な支援を得ることができず、本人と家族に深刻な負担がのしかかっている。これらの疾患に対する治療研究は遅れており、難病対策の施策を抜本的に拡充することが求められる。
 また、厚生労働省がすすめる難病の医療費助成見直し案では、これまで自己負担がなかった重症患者に負担を求める内容が含まれ、「軽症患者」を助成対象から原則除外する方針が示された。この見直しにより、現在負担ゼロの重症患者約8万人が新たな負担を負うことになり、治療や薬で症状を抑えている「軽症患者」の多くは状態を悪化させることが予想される。
 難病患者の負担は医療費だけではなく、家族の付き添い費用や遠くの専門病院に通う交通費などがあり出費がかさむ。激痛や慢性的なだるさなどで仕事を続けられなくなり、家族に経済的に依存しながら最低限の暮らしを維持している患者が多い。「せめて医療費だけでも負担を軽くしてほしい」というのが患者と家族の痛切な願いである。
 難病は、誰もがいつ発症してもおかしくない病気であり、発症しても絶望することなく、尊厳をもって暮らせる社会をつくることが政府の役割である。難病患者やその家族が安心して治療を受け、豊かな生活を送りたいと思うのは当然の願いであり、難病対策の見直しに当たっては、支援の一層の拡充が求められている。
 よって、政府に対し、難病患者支援に関し、次の事項を実現するよう強く要請する。

1 難病対策の対象となる疾患をさらに広げること。
2 難病治療についての研究を進め、有効性が認められた医療については保険適用を行うこと。
3 現在、身体障害者手帳を交付されていない難病患者についても、手帳の保持者と同様の支援を受けられるよう検討すること。
4 小児期から難病にり患している者については、医療費助成を20歳以上になっても継続するなど、支援を拡充すること。
5 難病対策のための十分な予算を安定的に確保すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

   平成25年12月13日
                           奈 良 県 議 会
                                     
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
厚生労働大臣

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