意見書第14号

意見書第14号

  社会福祉法人の法人税非課税等の税制の堅持を求める意見書

 政府税制調査会は、平成26年6月、イコールフッティングの観点から公益法人等に対する課税の抜本的な見直しを行う必要性を指摘し、特に社会福祉法人が実施する介護事業のように民間と競合しているものについては、非課税の見直しが必要と提言した。
 しかし、社会福祉法人は、昭和25年の社会保障制度審議会勧告に基づいて成立した社会福祉事業法(現社会福祉法)に基づく特別法人であり、その性格から、法人設立時の寄付者の持ち分は認められず、事業で得た収益を他に支出することは制限され、解散時の残余財産は原則として国庫に帰属するなど、他の法人にはない厳しい規制のもとに公的福祉サービスの中核としての役割を果たしてきた。
 このことは、社会福祉法人が私的なものではなく明らかに公的財産の一種であることを示しており、その収益は一般企業等における利益とは全く異なったものであるといえる。
 社会福祉制度としての公的福祉サービスは、過不足なく安定的に供給されることが求められている。社会福祉法人は、他の経営主体では担うことが必ずしも期待できない福祉サービスを安定的に提供することが可能であることなど、社会福祉制度のセーフティネットとしての役割を果たして来ている。
 また、社会情勢の変化のなかで、福祉サービスの種類と内容は多様化しているが、制度によるサービスだけでは対応出来ない「制度の狭間のニーズ」が顕在化してきており、これらに対応できるのは、長年にわたり福祉サービスの中核を担い福祉サービスのノウハウや経験、専門人材や施設・設備を有する社会福祉法人であり、他の経営主体とは明らかに異なる役割を果たすことが期待されている。
 今後もますます増大する福祉ニーズに応え、地域のセーフティネットとしての役割を果たすとともに、地域ニーズへの対応など地域への貢献に取り組み、更に高めていくためには、社会福祉法人が持てる力を最大限発揮・活用することこそが最も有効な方法手段と考える。
 よって、国におかれては、社会福祉法人の法人税非課税等の税制が、今後も堅持されるよう強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成26年12月12日
         奈 良 県 議 会

(提出先)衆議院議長
     参議院議長
     内閣総理大臣
     内閣官房長官
     財務大臣
     厚生労働大臣