意見書第18号

意見書第18号 

 難病対策の充実等に関する意見書

 国の難病対策として実施されている特定疾患治療研究事業は、患者の医療費の負担軽減を図るとともに、病態の把握や治療法研究に重要な役割を果たしてきており、難病患者や家族の大きな支えとなって来ました。
 平成26年5月には「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」が成立し、医療費助成の対象が56疾病から300疾病に大幅に拡充される見通しであり、難病対策充実に関しての大きな改革が42年ぶりに実現しました。
 しかしながら、難病法においても、人口の0.1%程度以上の疾病や診断基準が明確でない疾病は医療費助成の対象とされておらず、また大多数の小児慢性特定疾患治療研究事業の対象者は依然として成人後に医療費助成を受けるすべがないという状況は変わっていません。
 このことは、国が指定難病の選定と医療費助成の制度設計にあたって、患者自身の病状、QOL、生活環境、背景等ではなく疾病の希少性や病名だけに着目してきたことが原因であり、そのため必要な支援・救済措置が十分ではありませんでした。
 よって、国におかれては広く国民の理解を得ながら、難病に関する医療費助成の仕組みがより慎重に構築されますよう、次の事項を実現されることを強く要望します。


1 難病患者支援が更に強化されるよう、希少性や病名で議論されることなく、患者の病状などが考慮されるよう、施行に向けた手続きは慎重にすすめること。

2 線維筋痛症、筋痛性脳脊髄炎、脳脊髄液減少症、軽度外傷性脳損傷、一型糖尿病など、人口の0.1%程度以上の疾病及び診断基準が明確でなく指定難病から除外されている疾病を持つ患者に対する救済措置を実施されること。特に重症化されている患者に対する救済については、自立支援医療の自己負担の減額措置や身体障害者手帳の交付などの措置を実施されること。

3 検査数値が表れにくいとされる線維筋痛症の患者については、患者がいわゆるドクターショッピングをすることを防ぎ、スムーズに適切な医療を受けることができること、及び、救急、夜間病院の迅速な受け入れ体制の構築及び女性の妊娠から出産、産後ケアの充実に向けて、医療現場への疾病の教育及び周知徹底をされること。
 また、このような疾病を持つ患者の痛みや障がいについて、国民への周知教育を行い、社会的認知と共に理解の向上を図られること。

4 制度設計に当たっては、地方自治体への速やかな情報提供や意見交換の機会の確保を徹底し、地方自治体からの意見を十分に反映させること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成26年12月12日
         奈 良 県 議 会

(提出先)衆議院議長
     参議院議長
     内閣総理大臣
     内閣官房長官
     厚生労働大臣