意見書第13号
大学交付金の削減に反対する意見書
財務省は、政府の財政制度審議会財政制度分科会に「運営交付金に依存する割合と自己収入割合を同じ割合とする」として、国立大学への国の支出を大幅に削減し、残りは大学が「自己収入」を増やしてまかなう、という財政方針を提案した。今後15年間で1948億円の支出削減が見通されている。
この計画をうけ、「自己収入」を授業料値上げでまかなおうとするならば、毎年2万5千円程度の値上げとなり、15年後には現行の53万円から40万円増の93万円になる。すでに日本の大学は世界でも有数の高学費となっているが、さらに値上げにつながるものである。しかも、「国が半分、学費などの自己収入が半分」という運営方針は、大学が教育や研究を充実させようとすれば学生に学費値上げを強い、学費を抑制しようとすれば教育・研究予算を削減するという「選択」を迫ることになる。
国立大学協会は「授業料の引上げと併せて運営費交付金の減額を行うことは、経済格差による教育格差の拡大につながる」「意欲と能力のある若者を受け入れて優れた人材を社会に送り出すという国立大学の役割を十分に果たすことができなくなる」という声明を発表し、千葉大、新潟大、金沢大、岡山大、長崎大、熊本大の6学長も連名で反対声明を発表。中央教育審議会も抗議声明を出すなど危惧の声が広がっている。
政府においては、交付金削減という財務省提案を撤回することを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成27年12月14日
奈 良 県 議 会
(提出先) 衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
財務大臣
文部科学大臣