意見書第14号
難病対策の総合的な推進を求める意見書
2015年1月に施行された「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)によって、わが国の難病対策は、法的根拠をもつ総合的対策として新しく出発しました。
難病法第4条の基本理念では、難病患者が地域社会において尊厳を持って生きることができるよう、共生社会の実現に向けて、「難病の特性に応じて、社会福祉その他の関連施策との有機的な連携に配慮しつつ、総合的に行われなければならない」と定められました。そして難病法第4条に基づいて厚生労働大臣が定めた「難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針」(基本方針)では、難病の患者に対する医療等の施策の方向性について、法の基本理念に則り、「難病は、一定の割合で発症することが避けられず、その確率は低いものの、国民の誰もが発症する可能性があり、難病の患者及びその家族を社会が包含し、支援していくことがふさわしいとの認識を基本として、広く国民の理解を得ながら難病対策を推進することが必要である」と謳っています。
この認識に基づき、これまで56の医療費助成の対象であった難病は7月の段階で306に拡充され、難病患者は、障害者施策や就労支援などとあいまって、少しずつ施策が改善されていますが、それらの疾病による障害が見えづらいことから、難病に対する国民の理解を求め、企業の協力を求めることが必要であります。国および地方自治体が、この基本的な推進方向に沿った難病対策の総合的な推進と国民への周知をいっそう進めていただくとともに、治療や医療助成制度の充実を求めるものです。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成27年12月14日
奈 良 県 議 会
(提出先) 衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
厚生労働大臣