意見書第15号
年金積立金の専ら被保険者の利益のための安全な運用に関する意見書
公的年金は高齢者世帯収入の7割を占め、6割の高齢者世帯が年金収入だけで生活しています。また、特に高齢化率の高い都道府県では県民所得の17%前後、家計の最終消費支出の20%前後を占めているなど、年金は老後の生活保障の柱となっています。
そのような中で、政府は2014年10月、年金積立金を運用する基本ポートフォリオを見直し、国内株式と外国株式の比率を倍増させてそれぞれ25%に引き上げるとともに、国内債券の比率を従来の60%から35%に引き下げることを認可しました。
これまで安全資産とされてきた国内債券中心の運用方法から、株式等のリスク性資産割合を高める急激な変更は、国民の年金制度に対する信頼を損なう可能性があり、国民の財産である年金積立金を毀損しかねません。現に本年7月から9月期の年金運用損失額は約7兆9千億円に上っています。債権中心、国内中心だったこれまでの運用を株式と債券を半々に引き上げたことが年金運用損を膨らませた大きな要因となっています。年金積立金が毀損した場合、結局は厚生労働大臣やGPIFが責任をとるわけではなく、被保険者・受給者が被害を受けることになります。年金積立金は、厚生年金保険法の規定にもとづき、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から安全かつ効率的な運用を行うべきです。
こうした現状に鑑み、本議会は政府に対し、次の事項を強く要望します。
1 株式比率を倍増させた年金積立金運用の基本ポートフォリオを見直し、専ら被保険 者の利益のために、長期的な観点から安全かつ効率的な運用を行うこと。
2 GPIFにおいて、被保険者の利益を第一に考えた運用が確実に行われるよう、早 急にガバナンス体制を構築すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成27年12月14日
奈 良 県 議 会
(提出先) 衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
厚生労働大臣