意見書第2号
精神障害者に公共交通機関の運賃割引制度の適用を求める意見書
国の障害者支援施策においては、身体障害、知的障害及び精神障害の3障害一元化が基本方針です。しかし、JRや大手民営鉄道、航空会社等の公共交通機関における全国統一の運賃割引制度については、身体障害者及び知的障害者は適用になっているものの、精神障害者は除外されており、障害の種別による支援の内容に差があります。
精神障害者家族会の全国組織である公益社団法人全国精神保健福祉会連合会の全国調査では、精神障害者は就労が困難で所得保障も乏しく、経済的負担からデイケアや作業所も利用せず、外出を控えている実態が明らかになっています。
平成26年1月に日本は国連障害者権利条約の締結国となり、平成28年4月には障害者差別解消法が施行されます。
国連障害者権利条約第4条は「障害者に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し、又は廃止するための全ての適当な措置をとること」「この条約と両立しないいかなる行為又は慣行も差し控えること」を明文化しています。
また、障害者差別解消法第1条も「この法律は、障害者基本法の基本的な理念にのっとり、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする」と定めています。
国連障害者権利条約が締結され、障害者差別解消法が施行されても、尚、精神障害者を公共交通機関の運賃割引制度などの障害者施策の対象から除外されるならば、精神障害者の「社会参加」と「平等」への切実な願いは潰えてしまいます。
よって、国においては、このような状況を踏まえ、精神障害者も身体障害者や知的障害者と同等に交通運賃割引制度の適用を実現するため、公共交通事業者に対して適切な措置を講ずるよう求めるなど、積極的に取り組むよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成28年3月25日
奈良県議会
(提出先) 衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
総務大臣
厚生労働大臣
国土交通大臣