意見書第4号
「腎疾患総合対策」の早期確立を求める意見書
我が国では腎疾患(腎臓病)患者は1,300万人を超えると言われています。腎臓病は「沈黙の病」とも言われ、早期発見が大変難しい病気であり、いったん発症すると、長期にわたり根気強い治療が必要となります。また、腎臓病は重症化しやすく、末期腎不全まで至ると生命を維持するために人工透析治療を続けるか、腎臓移植をするしか方法はありません。
そのような腎臓病患者を一人でも少なくし、国民が健康で毎日を送るためには、病気を発症してからの対策、医療ではなく、腎臓病の発症を予防するための施策が重要です。また、腎臓病を発症したとしても、医療と施策によりその重症化をとどめる事が必要です。
近年、糖尿病の合併症として腎不全を発症する患者が急増していますが、腎臓病はもちろん、糖尿病も決して生活習慣だけから発症する病気ではありません。発症の原因を、患者個人の責任にするだけでは腎臓病患者はなくなりません。広く国民的課題として、国を挙げた取り組みが必要です。
また、腎臓病の患者は高齢化しており、通院をはじめとする生活に課題が山積しています。これは超高齢化社会であるわが国において、すべての高齢者にも共通する問題です。患者がよりよい生活が送れる社会の実現は、国民が安心で充実した毎日を送れる社会の実現につながります。
腎臓病患者団体やその関係者が、腎疾患分野における保健・医療・福祉の一体的な対策、すなわち「腎疾患総合対策」が早期に確立されることを願って、陳情活動に取り組み、その結果、慢性腎臓病(CKD)の重症化を防ぐための施策をはじめ腎疾患対策の予算化などが実現しています。しかし、「腎疾患総合対策」が実現しているとはまだまだ言えません。「腎疾患総合対策」が確立し、国民が腎疾患から守られる日が早く達成されるように次の事項を強く要望します。
1 腎臓病の早期発見と重症化予防に向けた総合的な対策が進むように努めること。
2 週3回の人工透析治療のため、通院困難な透析患者の通院を保障する体制を公的に整備するよう努めること。
3 広域で大災害が発生しても人工透析治療を受けることができるよう国、地方自治体が連携した災害対策への取り組みに努めること。
4 腎移植の推進及び再生医療の研究が進むように努めること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成28年3月25日
奈良県議会
(提出先) 衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
厚生労働大臣