意見書第17号
地方消費税の清算基準の見直しを求める意見書
商品の販売やサービスの提供に対して課される消費税について、現在の税率8%のうち、1.7%は地方消費税として地方の税収となる。なお、平成26年4月に税率が8%に引き上げられた際、その税率引き上げ分については、年金、医療および介護の社会保障給付、少子化に対処するための施策に要する経費やその他社会保障施策に要する経費に充てることとされた。
この地方消費税は、いったん各都道府県に払い込まれた税収を最終消費地に帰属させるために、各都道府県ごとの「消費に相当する額」に応じて税収を清算している。
その清算をするための基準として、「小売年間販売額」、「サービス業対個人事業収入額」、「人口」および「従業者数」の各都道府県の割合が使われており、そのうち、「小売年間販売額」については商業統計、「サービス業対個人事業収入額」については経済センサス活動調査といった統計が用いられている。
しかし、商業統計や経済センサス活動調査は供給サイドの統計であり、供給地や事業所の所在地での計上となるため、これらの統計を使用している現行の清算基準では、地方消費税収が的確に最終消費地に帰属する仕組みとはなっていない。また、これらの統計については調査設計の大幅変更が行われるなど、統計データの更新、使用に当たって十分な精査が必要となっている。
かねてから奈良県は地方消費税の清算基準の見直しを訴え続けており、平成27年度税制改正において「人口」の比率が8分の1から8分の1.2に引き上げられたが、「小売年間販売額」と「サービス業対個人事業収入額」の比率8分の6と比較すると、依然として「人口」の割合が小さく、過度に統計に依存しており、改善が十分でない。
よって、国においては、地方消費税の税率引き上げ分が社会保障財源に充てられることも鑑みて、地方消費税の清算基準について、「人口」の比率を抜本的に高めることをはじめとして、最終消費地を反映した基準になるよう見直すことを求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成28年12月16日
奈良県議会
(提出先) 衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
総務大臣