意見書第13号
骨髄移植等に関する提供希望者(ドナー)に対する支援の充実に関する意見書
骨髄移植及び末梢血幹細胞移植は、白血病等の難治性の血液疾患等に対する有効な治療法と言われている。広く一般の方々に対し、善意による骨髄等の提供を呼びかける骨髄バンク事業は、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律に基づき、公益財団法人日本骨髄バンクが主体となって実施されている。
骨髄バンク事業においては、平成28年12月末現在の提供希望者(ドナー)登録数は46万人を超え、ヒト白血球抗原(HLA)の初回検索適合率は9割を超えている。一方、ドナーの健康上の問題のほか、提供に伴う通院や入院等のための休暇を認めるか否かについて、事業主ごとに対応が異なることなどのさまざまな要因により、移植率は6割未満にとどまっている。
骨髄バンク事業では、骨髄等の提供のための検査費用、入院費といった費用のドナー側の負担はなく、また、万一、骨髄等の提供に伴う健康障害が生じた場合でも、骨髄バンク団体傷害保険による保険金が支払われるなど、ドナーの負担軽減に向けたさまざまな取り組みが行われている。
しかし、ドナーが検査や入院等で仕事を休業した場合の補償は、一部の地方公共団体や企業を除いて現在行われておらず、ドナーが安心して骨髄等をより多くの患者に提供できるよう、早急な仕組みづくりが求められている。
よって、国会及び政府に対し、骨髄移植等の一層の推進を図るため、ドナーに対する支援の充実に関し、次の事項を実現するよう強く要望する。
1 事業主等向けに策定した労働時間等見直しガイドラインの中でドナー休暇制度を明示するなど企業等の取り組みを促進するための方策を講ずること。
2 ドナーが、骨髄等の提供に伴う入院、通院、打ち合わせ等のために休業する場合の助成制度を創設するとともに、ドナー休暇の制度化を実現すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成29年10月20日
奈良県議会
(提出先) 衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
総務大臣
厚生労働大臣