奈良県では、「奈良らしい森林ツーリズム」の趣旨に基づき、「奈良の木ツアー」を開催しました。
「奈良の木ツアー」がココロやカラダに与える影響を数値化し、その効果をより客観的に示すため、参加者の皆様にご協力いただき、ツアー開始前と終了後に血液検査を行い、専門家による効果検証を実施しました。
『奈良らしい森林ツーリズム』とは・・・
従来の森林見学ツアーに森林療法の考え方を取り入れ、さらに郷土文化や歴史などの「奈良らしさ」を活かした
ツアーを実施することで、県内外の奈良の木ファンの拡大を図る。 |
効果検証における結果概要
血液中に含まれる成分「サイトカイン」の濃度変化を測定したところ、「奈良の木ツアー」参加者の多くが、
ツアー前後でからだの面でも、こころの面でも、ストレス状態が緩和される傾向を示した。（下図参照）
これにより、今回のツアープログラムが、身体に悪影響を及ぼすストレスの緩和や、からだやこころの状態を
整える効果がある可能性が示された。
☆ツアー前→★ツアー後
からだのストレス
1 何等の自覚がない・安静後など
2 良好
3 正常範囲
4 やや疲弊
5 強く疲弊
こころのストレス
1 休日の朝・深呼吸・瞑想後など
2 良好
3 正常範囲
4 精神的ストレスを明瞭に自覚するレベル
5 相談要
※ツアー前後の平均的な変化
『サイトカイン』とは・・・
からだの防御力や抵抗力を司る物質。
身体だけでなく、精神の不調などにも対応して、身体と精神の両方を守る。 |
その他の効果検証結果
●血液検査（高感度CRP）
身体に悪影響を及ぼすストレスとの関連が指摘されている高感度CRPの値がツアー後に低下する傾向が示された。高感度CRPとは、体内で炎症や組織崩壊が起きると生じるC反応性タンパクを高感度でとらえたものであり、動脈硬化や心筋梗塞の早期発見のきっかけになるなどの有効性がある。
今回の結果においては、体内における炎症のリスクが低下したと考えられる。
●POMS（Profile of Mood States）短縮版
対象者が置かれた条件により変化する一時的な気分・感情を測定する質問紙による調査。全30項目について、5段階で評定。POMSを用いることで「緊張」「怒り」「抑うつ」「活気」「疲労」「混乱」の6つの気分尺度を同時に評価することができる。
今回の結果においては、「緊張」「怒り」「抑うつ」などネガティブな意味を持つ指標は低下、「活気」を表す指標は向上した。
これにより、ツアーに参加することで、活発になる、やる気が出ることが示された。
●奈良の木ブランド関心度チェック
ツアー参加者の「奈良の木」に対する関心度と理解度を、全25項目について、5段階で評定。
結果は以下のグラフに示すとおり。ツアー参加者の「奈良の木」への関心度が高まったことが示された。
ツアーに参加し、実際に木に触れたり、囲まれることで参加者自身が気分の変化を実感した結果と考えられる。
「奈良の木ブランド関心度チェック」因子別得点プロフィール（平均得点差の大きい順）
「奈良の木ツアー」実施概要
《 日 時 》平成28年10月1日（土曜日）8時00分～18時30分
《 参 加 者 》19名（男性 3名、女性 16名）
《プログラム》明日香村栢森周辺の古道森林を散策、郷土食材を活かした昼食、桜井市内の製材所見学、
座学『奈良の木の話』、ふりかえり、体調チェック（ツアー前後で実施）
《効 果 検 証》以下の方法により、ツアーの開始前および終了後に調査
○血圧、脈拍数
○血液検査（サイトカイン、高感度CRP ほか）
○POMS（Profile of Mood States）短縮版※
※参加者が置かれた条件により変化する一時的な気分・感情の状態を測定する 質問紙を用いた調査
○奈良の木ブランド 関心度チェック
ツアー当日の様子
