出会う 奈良県歴史文化資源データベース

藤間家住宅主屋、表門及び土塀 とうまけじゅうたくしゅおく、おもてもんおよびどべい

記入年月日 2024/04/24

所在地
奈良県奈良市高畑町1325番1の1
区分
建造物 | 住居建築
指定内容
国登録有形文化財

※各歴史文化資源へのご訪問の際は公開日・公開時間・料金等を別途ご確認ください。

歴史文化資源の概要
 藤間家住宅は、奈良市高畑町に位置し、同町を東西に貫通する旧柳生街道に面しています。この地域は明治期まで春日大社の社家町として栄え、最大150軒ほどの社家屋敷が立ち並び、薬医門を備えた門と土塀が連なっていました。高畑の社家町の転機は明治初期の神祇制度の改革で始まります。明治4年(1871)の太政官布告令による神職の世襲廃止令で、大方の神職が職を失い離散し、明治20年代にはすでに多くの神職の屋敷地が畑や荒地となり荒廃することとなりました。
 しかし、志賀直哉が「名画の残欠が美しいように美しい」と形容したその風景に惹かれ、多くの芸術家や文人が来住するようになり、社家町の面影を残した高畑に変わっていきました。今も高畑界隈には、残照のように古い石組みが散在し、わずかに残る土塀から往時を偲ぶことができますが、中でも藤間家住宅は唯一、18世紀に遡る古式を留めた社家(祢宜)住宅の空間構成や建築意匠が良好に残された歴史的建造物です。
 幕末から明治期にかけて実施された藤間家住宅の増改築の変遷には、明治維新の激動期を乗り越えてきた旧社家(祢宜)の近代化への対応が刻印されており、近世・近代移行期の社家(祢宜)住宅の歴史的位置づけを明確にする上でも、また高畑の景観を読み解くうえでも、唯一残る近世祢宜の住宅であり、その屋敷構えや土塀や門という街路との境界要素の意匠の点において、極めて重要な建築物です。
地域にとって大切な歴史文化資源である、その理由
 藤間家住宅は、奈良市高畑町が春日大社の社家町であった歴史を今に伝える現存する唯一の建築遺構です。高畑の景観はその起伏に富んだ地形と飛火野や鷺池など風光明媚な立地環境が基盤となりますが、その上に社家町の発展という歴史的背景があります。近代以降、町としていったんは荒廃したものの、現在の高畑の街並みにもその歴史性の継承が見られます。高畑において藤間家住宅は歴史的景観の重要な構成要素としての役割をもっています。
 周辺を散策すると御蓋山と連なる山並みを今も変わらず望むことができ、街路の両側には特徴的な塀があり、塀越しに庭木と主屋の屋根が見えるなど、屋敷地の連担する街路景観に独特の趣があります。景観としてあらわれる要素と、それらが形作られた歴史的背景に着目することで、高畑地域の価値を語ることができます。まず町並みの骨格となる街路があり、その上に作られた土塀・石垣や建物などの構成要素に社家にみられる特別な要素が組み込まれているのが、高畑の景観です。
 数百年を経た土塀と薬医門の奥に藤間家住宅があることで高畑を視覚的に楽しめると同時に、旧社家町であるという歴史が、近世から近代、現代へとどのように変遷していったかを俯瞰することができます。その保全は、長い間人々に親しまれてきた土塀のある景観を守ることにつながり、歴史地区として地域価値を高め発展することに貢献するものです。高畑には人間と自然によって育まれてきた長い歴史があり、今日それをもっとも留めているのが藤間家住宅と土塀のある風景なのです。
問い合わせ先
一般社団法人高畑トラスト
電話番号
080-6472-4161

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