出会う 奈良県歴史文化資源データベース

平城京左京三条二坊宮跡庭園 へいじょうきょうさきょうさんじょうにぼうみやあとてんえん

記入年月日 2020/06/23

所在地
奈良市三条大路一丁目
区分
遺跡 | その他
指定内容
国指定特別史跡・特別名勝

※各歴史文化資源へのご訪問の際は公開日・公開時間・料金等を別途ご確認ください。

歴史文化資源の概要
 平城京左京三条二坊宮跡庭園(以下「宮跡庭園」)は、昭和50年の発掘調査により発見された奈良時代中頃の庭園遺跡です。特に中心となる園池遺構は保存状態が極めて良いことから、遺構を露出展示する手法で昭和54~60年度に整備を行いました。庭園は自然を模した芸術であり、しかも千年以上土の中にあり後世の改変を受けていないため、当時の自然観や美意識を純粋に知ることができる「奈良時代のタイムカプセル」といえます。さらに発掘調査の成果に基づき、園池を囲む木塀と庭園鑑賞のための檜皮葺建物を復原しており、来園者には奈良時代の庭園空間を実体験してもらうことができます。宮跡庭園は、古代庭園の実物がほぼそのままの形で残っているという、他に類を見ない事例です。
地域にとって大切な歴史文化資源である、その理由
 宮跡庭園内の遺構平面表示の範囲には芝生が広がり、子どもが安全に遊ぶこともできることから、幼い子どもを含む家族が一定時間をすごすことも見うけられます。あるいは、一定の広さがあることから楽器の練習に訪れる若者の姿も見られます。このように特に地域住民にとっては、宮跡庭園は気軽に利用できる憩いの空間となっています。
 また、宮跡庭園近隣は平城京内ではあるものの、高度経済成長期以降に開発された地域であるため、地域の個性を、古都奈良にふさわしいものとして形作るうえで、国宝級庭園である宮跡庭園は有効な資産となりえます。宮跡庭園は、極めて類まれな、我が国の庭園史上貴重な歴史文化資源であることから、地域の誇りとして十分に活かされるものと考えます。
「記紀・万葉集」との関連とその概要
 宮跡庭園を詠んだと確定できる歌はありませんが、『万葉集』には庭園の情景を描いた歌が少なからずあります。そのような歌に描かれた庭園の、まさに実物を鑑賞できるのが、この宮跡庭園です。
当資源と関連する歴史上の人物とその概要
 宮跡庭園を利用したのがどのような人物であったのか、誰の邸宅であったのかはよくわかりません。ただし、宮跡庭園の北側は長屋王の邸宅跡です。発掘調査からは長屋王と宮跡庭園と年代が異なることがわかっていますが、長屋王との関連を指摘する説は今でもよく聞かれます。
当資源と関連する文献史料
 長く地中に埋没して保存されていたため、関連する文献史料はありません。
当資源と関連する伝承
 長く地中に埋没して保存されていたため、関連する伝承はありません。
他地域の関連する歴史文化資源
 特別史跡平城宮跡、史跡平城京朱雀大路跡は宮跡庭園と同じ奈良時代の史跡であり、国営公園平城宮跡歴史公園として整備が進められています。さらに平城宮跡内には特別名勝東院庭園があります。また、史跡法華寺旧境内阿弥陀浄土院跡にも庭園遺構が確認されています。そして宮跡庭園の徒歩圏内にある法華寺、海龍王寺には国宝、重文に指定された建造物、美術工芸品が多くあります。
問い合わせ先
奈良市教育委員会 教育部 文化財課
電話番号
0742-34-5369

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見解・学説等の相違については、ご了承ください。