瑞夢記 ずいむき
記入年月日 2025/01/31



- 所在地
- 北葛城郡広陵町大字的場80番地
- 区分
- 歴史資料 | 文書・書籍・絵図・地図など
- 指定内容
- 奈良県指定有形文化財
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- 歴史文化資源の概要
- 本書は、大和国広瀬郡に所在する箸尾弁才天(現広陵町・櫛玉比女命神社)に関する説話集です。現状1巻の巻子(かんす)に仕立てられ、上・中・下の3部より成ります。本書最終話によれば、応長2年(1312)に弁才天の社僧の依頼に応じて、箸尾周辺に居住していた僧侶が編纂したもので、年代としては、弘安6年(1283)から正安年間(1299~1301)の年号の記載があります。本書は文安元年(1444)に書写された写本で、他に伝本の例を見ない孤本です。
その内容は、箸尾弁才天の由緒や利益を集成した霊験記です。上巻の冒頭は欠落していますが、瑞夢により病気が平癒した話や、貧困から脱した話など、具体的な霊験が31話にわたって叙述されています。各説話では、弁才天の社僧や勧進聖、神子などの神社構成員をはじめとして、箸尾周辺の氏人や刀祢と呼ばれる地域の有力者たち、あるいは遊女や管絃者といった芸能者など、多様な職種の人々の活動が生き生きと描写されています。言及される地域も箸尾の他、鏡作(現田原本町)や稗田(現大和郡山市)、万歳(まんざい)(現大和高田市周辺)、窪田(現安堵町)など大和各地に及んでおり、弁才天の信仰圏を示すとともに、鎌倉時代の大和の社会・風俗を知ることができる好個の書であると言えます。
本書は、中世大和を主題とする地域性豊かな説話集として稀有なものであり、地域史・社会史的にも文学史的にも高い価値を有するものです。
- 問い合わせ先
- 奈良県文化財課
- 電話番号
- 0742-27-9864
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