高校卒業以来、奈良を離れて40数年、その間年に何度か帰省して思うことは、「いつ帰っても奈良はあんまり変わってへんなぁ」…これを昔のままで良いと思うか、奈良は変化がなくて活性化してないな、と嘆くかは、人それぞれだろうか。 佐保の丘陵地にある中学校、高校の母校の窓からは、左手に若草山から大仏殿、東に山々が続き、綺麗な稜線の三輪山、そして正面に大和三山、その右手には金剛、葛城、二上山、さらにその右に信貴山、生駒山と続く。喧噪な都会で暮らす今でも、そういう大和盆地ののんびりした情景が思い出されて懐かしい。今も校舎の窓からは変わらぬ風景が見えるだろうか。活性化にご尽力されている方々には誠に申し訳ないが、「いつまでも変わって欲しくないなぁ」という気持ちにさせられる。 奈良の良さは、外に出て初めて分かる、と仰る方が多い。リニアモーターカーが通じれば、また大きく変わるかも知れないが、“日本人の心のふるさと”奈良にあっては、スローなモードで良いと思う。奈良らしい自然、名所旧跡の保存と、近代化との調和を図りながら、奈良の良さを次世代に引き継いでもらえることを、東京から切に願っている。
スマホアプリ「マチイロ」でも電子書籍版がご覧になれます。 詳しくはこちら
電子書籍ポータルサイト「奈良ebooks」でもご覧になれます。 詳しくはこちら