平成29年4月26日(水)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は、発表案件がありませんので、その他の質問がある方からよろしくお願いいたします。


質疑応答

県と市町村とのまちづくりに関する協定について

奈良新聞:
 市町村とのまちづくり包括協定で、今回、桜井市と初めて基本計画の策定まで状況は進みましたが、その意義と、まだ包括協定を結んでいない市町村との格差の問題があると思いますが、どう解消していくのかということを教えていただければと思います。よろしくお願いします。

知事:
 奈良モデルのまちづくりですけれども、現在、20市町村47地区と包括協定を締結し、基本構想を作って、もう少し絞り込んで、包括的に検討しています。地区を決めましょうというようなことで、スキームは県の財政支援も基本的に適用します。基本計画は、もう少し方向を絞り込んで具体的な案が出てきたらと思っています。その包括協定、基本協定と、個別事業が出てきたらまた別途個別協定、その3本柱でやっております。ご質問は、包括協定が20市町村で、包括協定の対象がもっと広がるのかどうかということの所見と、桜井市のような基本協定、基本計画のような進み方はどうかというように受け取らせていただきました。

 まず、桜井市は割と熱心に進んできています。桜井市は大神神社のほかに、長谷寺、大福、桜井駅、それと粟殿と、5つあります。粟殿の事業が実はもう進んできています。桜井市は市長さんが熱心なこともあって、具体的な進捗が割とあり、またその対象の事業が、例えば粟殿の県の総合庁舎を市の施設にし地域包括ケアの支援ステーションのようにするとか、県の支援として、県有財産を安く払い下げますというのも入っています。それをうまく利用されたのが粟殿でありました。

 大神神社のまちづくり協定で、県の貢献の一番大きいものは、大神神社の参道である県道で、まちづくりの中で県道のあり方をフィックスしてもらうと、県道はその線に沿って整備します。今まで県道は、広域的な県道というのが大きな基本的な位置づけなので、まちの真ん中に走っていた県道を、まちの外に迂回させて走らせる県道にするというのが交通の観点からの基本的な方向だったんですが、今度はまちの中にある県道も街路的に整備しましょうかというのがこのまちづくり協定で出てきました。県道の性格が変わってきました。それは、まちづくりの街路だから市でやりなさいということではなく、普通はそういうようになってくる地域が多いと思います。奈良県では、県道のまま街路的な整備をしますということが一つの発信であって、それに大神神社参道がのってこられた。

 同じような種類のものとして、近鉄郡山駅の矢田筋というのは県道なんですが、2車線を4車線に拡幅する計画がある。まちの中の道路を現道拡幅するという都市計画で入っているんですが、そんなことはできないから、中は車をとめて、外に回しましょう。中は街路に整備しましょう。県道であっても街路的な整備をしますという発信をしてきています。桜井市のケースでは、そういう風に進んできているというのご報告です。そのようなパターンを、桜井市が進むということで、市内中心街路的な県道を街路利用にしよう、まちづくりの中で有望な空間として利用しましょうというケースだということを申し上げたかったんですけれども、そうすると他でも県道のそのような利用というものが進む可能性もありますということが1つです。

 もう一つは、全体の20市町村、47地区からさらに進むかどうか。全部をする必要はないんですけれども、市長さんが県と協働してまちづくりをしようという、市のイニシアチブも必要でありますので、これは上から押しつけるのではなく、対等な関係だからパートナーシップでPPPと言われます。PPPはパブリック・プライベート・パートナーシップという意味が多いんですけれども、奈良県の場合はPPPのPがパブリック・パブリック・パートナーシップという意味が奈良モデルでありますので、その対象が田舎のほうは出ないのかなと思っていたんですけれども、十津川や川上村で出てきて正直驚いています。田舎でもそういうまちづくりをしようというイニシアチブがあり、村と協定ができるとは思わなかったのですが、出てきたなということであります。したがって、そういう対象地域があれば一緒にまちづくりしましょうということです。

 その対象地区が広がるかどうかは、テーマによると思います。村なり町のまちづくりという観点のテーマをどうしようかと。いろいろ議論しています中で、テーマらしき形や姿が見えてきたのが、高齢者が田舎でも多いので、高齢者の住まいを新しいまちづくりとしてつくり上げましょうという十津川村の高森のいえのような感じです。だからこのまちづくり協定のテーマが都市部では駅前まちづくりと、西大寺や天理、結崎、橿原でも出てきました。それともう一つは、県有地を活用したまちづくり。これは五條市役所や、奈良市内の県有地活用のまちづくりも、県が貢献できる分野だということで、テーマは高齢者、地域包括ケアのようなまちづくり、地域のにぎわいの拠点にしましょうというようなものが出てきております。天理駅前など、これは駅とも重なりますけれども、奈良はにぎわいの拠点が余りなかった。できれば天理駅前で、イベントもできるような、高齢者の健康のためには、出てきてもらって楽しく遊んでもらう、多世代で遊んでもらうというものがこれからのまちづくりの志向性かと内々思っていましたが、市町村長の中にもそのように考えられる人も出てきて、それと呼応できるということであれば進むと思います。

 例が出てくると、ほかの市町村長の方も、うちもそういうことだったら場所もあるぞといって発想が広がってくるような気配を感じています。ここも、ここもしろということではありませんので、こちらから気がつく場所は、ここも可能性があるのではないかというような言い方はすることもあるんですけれども、県もそのイニシアチブといいますか、提案のイニシアチブをとれるということがこのPPPの一つのメリットだと思いますので、対等の立場で提案させてもらうこともあろうかと思います。だから今後いろんな形が出てきて、この奈良モデルまちづくりが発展する気配もあるのでうれしいなと思います。

奈良新聞:
 例えば、生駒市等は協定を済まされていないですが、そのあたりへのアプローチはどうされますか。

知事:
 生駒市は、大きなプロジェクトとして、高山第2工区が出てくる可能性があるなと思っています。高山第2工区のまちづくりの関係について、今、生駒市で検討されていますので生駒市次第でありますが、協定の対象として、県も協力しようということであれば、包括から個別事業になるかもしれませんし、高山の開発の基本計画ということに進展すればと思います。この奈良モデルの特徴は、市の意見と県の意見、同じ方向で構想が一致すると、その限りでやりますと。そうでなければ、まちづくりは市のほうが大きな責任を負っておられますけれども、進められても、協力ができる場合もできない場合もあります。高山が市の参画も基本的には望んでおられると思いますので、あそこは市民の間の議論がまず優先、大事かなと思って見ています。

奈良新聞:
 ありがとうございました。

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奈良公園周辺整備について

NHK:
 奈良公園のことについて2点お伺いしたいんですが、1点は、奈良公園の中にある県有地で、宿泊施設の事業者、優先的な交渉権を持たれる事業者が決定していってますが、今後どのように2020年に向けて進めていきたいかということを知事のお言葉でお聞きしたいです。

知事:
 名勝に指定されている公園ですので文化庁の許可が要ります。文化的な雰囲気を携え、それが今、交渉に入っています。順調に進んでいるように聞いております。文化庁は個別の塀の塗り直しも本庁のほうで審査されるということで、それと同等以上の審査があります。また、そういう審査があれば、それでお墨つきだと私は思います。個別の家をつくられる場合でも対象になります。それから、名勝指定地というのは、景観とか外装とかすごい規制がかかっているわけで、それが文化庁が直轄で審査をやりますよということでありますので、文化庁に、こういう計画で進めていることを申請し、それで指導があればそれに従うということであります。だからそれが進めばどのような、市有地である場合もあるし、県有地である場合もあるし、公園のたたずまいということを基本にして規制もかかっていますので、それの統括をされているのは記念物課ですので、その指導を仰ぐのは必要不可欠、必須だと思っています。だからそれは大変なオーソリティーがありますので、それに従って進行するということになると思います。

NHK:
 実現した際には、奈良県に対してどういうメリットあると確信されていいますか。

知事:
 どう思われますか。ないと思われますか。

NHK:
 いや、良いと思います。

知事:
 本当に良いと思います。すごく雰囲気がよくなります。先週、BSのテレビの取材があって、高畑の敷地の中に初めて入りました。様子は写真で知っていたんですが、中はすごい庭園がありました。滝が、あれも開放すればよかったですが、石の滝があって、そこで別荘みたいに住まわれていたんです。石が立っていて、そこに水が流れるような風情があって、復元されると思います。鬱蒼として灯籠が倒れていましたが、ちゃんと立った灯籠に戻されると思います。そこは誰でも歩ける空間になりますので、奈良公園の一角としてふさわしいなという感じがします。それを今までは、個人の保有地だといって塀で囲っていたんですが、今度は、管理はありますけれども、自由に出入りできる庭になってくると思います。

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奈良公園の鹿の管理について

NHK:
 もう1点、奈良公園の鹿の管理の問題なんですけれども、これからさらに進んでいくことになるかと思いますが、その管理について知事はどのように受けとめていらっしゃって、今後どのように進めていきたいかということについて、県民の皆さんも関心事になっていると思いますので、ご意見お願いできますか。

知事:
 鹿は、奈良公園の訪問者のアイドルです。すごく大きな役目を果たしていただいていると思います。鹿をめぐる課題は、最近までずっと最も大きかったのは交通事故です。鹿は、割とけなげに交差点を歩いて渡られます。奈良公園は人にも鹿にも気をつけて運転しましょうと注意していますが、鹿は早いからぽっと飛び出してぶつかられる。鹿が飛び出すときは、向こうで餌がもらえるとなるとぴゅっと飛び出すということもままありました。交通事故をなくすためにゾーン30や、鹿のアテンションマークを導入して、奈良は鹿がいますからここではスピードを出さないようにということを注意して、鹿の交通事故死を抑制しております。

 もう一つは、鹿にとっての食害です。鹿がいろんなものを与えられて、胃袋の中にいろんなものが入っているということがわかって、鹿は何でも食べてくれるのでありがたい動物でもあるんですけれども、人の与えたものは何でも食べられるということで、餌づけをあんまりしないように、鹿の食料管理が大きな課題であります。どのようにすれば、動植物の、動物の生態を鹿の生活環境をどのように守るかという、食事についてということでありますので、今、研究中です。

 一つは、例えば害になるものを与えないようにということが大きなことで、それで害にならなくても一般の人が与える自由があると、餌づけをすると、鹿の嗜好が変わってきて、長期的によくないかもしれません。これは研究しないとわかりませんけれども、パブリックなスペースで共生しているという大変珍しい例でありますので、鹿にとってどんな食がいいのかということを生物学者の方々にも意見を聞いております。ほかの地域でもお猿さんなど、目に見えるところで一緒に共生している地域もありますが。

またもう一つは、鹿が空腹時に、鹿せんべいをねだって突進されるということも聞いています。扱いなれないと思わぬ衝突があるかもしれない。これは鹿と訪問者とのインターフェースということになります。交通事故、食の環境、それと人間との接触、この3つが課題で、奈良公園の鹿の生活環境をどのように守っていくかということを、今、研究してもらっています。

NHK:
 例えば、餌づけ禁止条例など、具体的にお考えですか。

知事:
 餌づけ禁止条例を私から考えたことはないです。前の情報で、餌づけどころかビニールなど悪いものを食べているという話は聞いていました。放っておくと悪いものをおもしろ半分に食べさせてしまう、これも食べるんだという観光客の方もおられたのか、そのように思っていました。だから鹿の健康にとって何がいいのか、何が悪いのか、鹿の胃袋にとって、どういう食生活をしてもらうといいのかということで研究します。それがどのような環境のための体制が要るのかということは、ポイ捨て条例のように、条例という形もあるかもしれませんが、まだ条例にすべきと私のとこに上がってきたこともありません。条例の検討についても上がってきたことはありません。事務的にはそういうことも視野に入れて検討されているかもしれませんけれども、まだ煮詰まってないように思います。先ほど申し上げましたように、まだその事前の検討の項目があるように思っています。

NHK:
 捕獲や頭数の調整、そういった点についてはどのようにお考えですか。

知事:
 奈良公園の鹿以外に、春日山の鹿、あるいはそこから離れた鹿があって、離れると鳥獣害被害という面も出てきます。畑の中に、例えばキャベツなんかは体にいいだろうと思っていると、キャベツの味を覚えて、今の知事公舎の前に県警本部長の宿舎があって、県警本部長はひとり住まいで野菜がつくることが好きな人で、キャベツがおいしそうになると、おいしいところだけ食べられたといってぼやいておられたので、多分ほかの畑の中でもそのようなことがあろうかと思います。これは鳥獣害の野菜奪取被害ということになりますので、それをどうするかということは、奈良公園の近隣だけでなく、ほかの地域でも課題であります。先ほどの話の延長で、鳥獣害被害の一環にもなるかもしれません、離れたところでも。

 ただ、奈良公園の鹿というのを、どこまで奈良公園の鹿と言えるのかどうかというのもまだはっきりしておりません。若草山の山の上のほうに、縄張りがあるような感じがします。夜移動されたり、集団で移動されたり。支局のほうにはあんまり行かないですか。

NHK:
 来ます。

知事:
 来ますね。公舎の前も、夜、とっとっとっとっ歩かれる鹿さんに挨拶したことが何度もあります。そのような課題として認識をしております。

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衆議院小選挙区の区割り勧告について

共同通信:
 先日の区割審勧告のことですが、知事も意見を求められていたと思いますが、改めて区割り勧告の評価をいただけますでしょうか。

知事:
 国政の区割り、選挙体制ですので、知事の感想は余りないと言っていいように思っています。国政をどのように代表制を運営するかということは、本当に国政プロパーの話で、今までの、少し理屈っぽくなりますが、徳川時代までは幕藩体制で、幕府と藩があって、藩の行政は藩主がやる。幕府は転封とか場所変えを専らして、藩の中の政治行政にはあまり手を出さなかったです。村の中の行政にも手を出さなかった。藩主も村の行政には手を出さない、村落自治とか藩営自治というものが結構ありました。徳川時代から明治時代になって、国が中心となって、国主導の発展形態になった。それがいまだに続いているということだと思います。国の発展はできるだけ統合的にということは、金太郎あめ的に一丸となって発展しようということが明治政府で、今、地方分権と言われて、地方のダイバーシティーというか、特色をどう盛り込むかというステージに入っていると思います。

 国政のほうは国政のほうで効率的な、今、グローバル化の中ですごく差配が要りますので、地域の格差が地域の代議制で確保できるのか、地域のことも中央政府が気を使わないと国がもたないというのは、フランスの大統領選でも、アメリカの大統領選でも、地域格差が国政の主要な課題だというように出ているわけであります。地方の格差は地方の課題だと言っているような国はどこもないです。国政の大課題だと言っておられます。それを国政の中での課題として認識してもらうことが一番だと思います。そのような国柄をどのように考えるかという上で、国政の例えば代議員の数や、割り振りは国政の大基本であります。その中で基本的に認識すべきことは、これは地方の我々の為政者という立場だけではなく、国民全体が意識されていることでもありますが、最高裁の判例が出て、人口比例でやるべきであるということ。選挙の1人当たり代議士を通す人数は格差があってはいけないという、とても強い要求でありますので、それに応えようとされている方向だと思います。これは違憲ということにもなりますので、人口で選挙の代議員、代議制の基本は人口格差が広がらないようにというのが、もう今一番大きな課題だと思います。

 その人数がどうなるかということは、ドイツやスイスの例を見ますと、国政の代議員の数が多いほうが地域の声の反映が多いということはないと思います。国政の中でも地域の課題、個別の課題ではなく格差を生じさせないということは国政の重要課題だと私は思います。地域、地域の頑張りは当然でありますけれども、国政の重要課題だと思いますので、そのようなことからいえば、人数が多いとうまく地域の格差が是正されるとは私は思いません。国政の視点と国政運営の効率性というのはもちろん重要でありますけれども、代議員の選出の母体は人口の格差がないようにというのは、絶対的な基準で出てきておりますので、それを実行されようとしているのかなと印象を持っております。基本的なことの認識をして、あとは具体的にどうこうというのは、国会議員の人は関心ありますが、知事としてどういう区割りになるかというのは、それほどの関心ではありません。

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県立医科大学の将来像の策定について

日経新聞:
 先週、県立医大の新キャンパス構想を発表されまして、改めてになるんですけれども、県立医大の将来的な位置づけと、早稲田大学との医学のまちづくりの提携を今後どうしていくのかということを教えていただけますでしょうか。

知事:
 そうですね、県立医大はできてから70年になります。医大がどんどんできたのは70年前の戦中なんです。兵士がたくさん負傷するから、医者をたくさん養成しないといけないという軍の要請が中心になって、医専というものが随分できました。県立医大もその医専からできました。そのときに奈良県庁に国の内務省から来られた衛生課長で砂川さんという、沖縄県出身で最初に医師免許を取られた方だと聞いていますが、今、郡山の砂川医院に定住されていますけれども、その方が、当時の県知事は奈良県の医専設立には反対だということだったらしいんですけれども、知事を説得されて奈良医専をつくられたという歴史が県立医大の出発だと思っています。

 戦後、公立の医大を国立大学の医学部にしようという動きがあった時に、当時の奥田知事は県立のままで残そうという決断をされたという歴史ですので、公立医大として単科大学として残っているという、かいつまんだ歴史です。山口は国立山口大学医学部となった、群馬も国立大学医学部になったというような経緯があります。

 ところで、そのように残った公立大学が13ぐらいありますけれども、公立大学をその地域の医療の医療人育成の拠点にするというミッションがありますので、70年たった県立医大のあり方というものを研究して、その中で、手狭だけれども、いつ移るのか、現地に依拠するのかということを大学に聞きますと、あの場所は由緒あるのと、狭いけれどもうまく建てかえてできないかということで、現地に依拠するという方針が大学で出されました。それを基本に、別地を探すのではなく、改良の道を探そうというのが最近のの検討の出発点であります。

 いろいろありましたけれども、とにかく手狭だということで、教育研究部門が近くに移す場所がないかと探して、県有地の農業研究開発センターが近所にありました。少し離れていますが、歩いて行ける、あるいは自転車で行ける距離なので、そこへキャンパスを移転するのはどうかということを諮ると、承諾され、今のキャンパスの整備の場所が確定しました。教育研究部門が移転すると、病院の施設整備がさらに進みます。移転するとグラウンドがあきますので、そこに近鉄の医大前駅を設置して、病院のアクセス性をよくするというアイデアも浮上したわけであります。

 かいつまんだ歴史ですけれども、現状は移転の絵ができるまでになってまいりました。移転先の買収も大変進んでまいりましたので、これからのプロジェクト議題は教育研究部門の移転と、現敷地に残っており、一番古く、老朽化が進んでいる外来棟すなわち今のA病棟を現在の位置で建て替えるか、南に建てるかということです。南に新医大駅ができると、鉄道とのアクセスがいいので南に外来棟を建てるという案で進んでおります。教育研究部門の移転には260億ぐらいかかりますが、それと外来棟の設置、それと新駅の設置ということで近鉄とは合意しておりますので、その新駅の設置に伴う医大周辺のまちづくりの開発、この3つの大きなプロジェクト要素が残っているという段階です。

 それをどんな段取りで作るのか、財源をどう捻出するか、という課題があります。

ご質問ありました細井学長が唱道されておりますメディシン・ベースド・タウンですが、医学教育・医療の拠点を中心としたまちづくりというのはどういうものかということを探索されております。そのような過程で早稲田大学も関心を持って、これは新しい関心ですが、その前の関心としては、奈良県と早稲田大学も協同連携協定を別途しております。医大と早稲田大学もされております。これは早稲田大学は医学部がありませんので、早稲田大学としては東京女子医大と提携されたり、医学教育、体育学部は優勢ですので、医学の提携先を探しておられたということもあって、県立奈良医大とは学問、医療の分野での提携を進めようとされて、奈良県にとっては早稲田大学と連携協定で、こちらから研究費を出して早稲田の先生に毎年研究テーマを選んで参加してきていただいております。これは予想以上に成果があるように思います。早稲田との提携は、県との提携・医大との提携で着実に進んでいるように思っています。

 また、今の医大のプロジェクトの中で、早稲田のような関東の大学がどのように入ってこられるかというのも興味があるところです。近畿の関係では近畿大学と提携し、近畿大学の医学部もありますのでその関係の進化、あるいは医大は外国の医療教育機関との提携といいますか、協力も模索されておりますので、そのような発展も期待しているところであります。医学教育の国際化といいますか、そのようなことも考えられるというように思っています。最近のかいつまんだ進捗であります。

 今の現下の課題ということでありましたら、財源もそうなんですけれども、グラウンドの中の遺跡の存在がわかっておりますので、一度発掘した跡もあるんですけれども、改めて全面発掘をしようと、これが時間がかかりそうだということが、懸念といいますか、進捗に影響する材料です。それと新駅をつくる場合、八木西口駅を廃止してほしいというのが近鉄のご要望ですが、西口周辺の方からは反対の声も上がっておりますので、これをどのように解決するのかというのが課題であります。八木西口駅の西のほうへ出られる方が不便になります。南のほうへ出られる方は、新駅ができると、そのほうが便利だということになると思います。また、畝傍高校や東のほうへ行かれる方の便利さはどうかということもありますけれども、そのような乗降客の経路調査もしておりますので、八木西口駅も課題だと認識しております。

 それを解決できたら、最短であれば33年度に医大のキャンパス移転ができるかというスケジュールを組んでおりますが、今の進捗が、遺跡の発掘に少し時間かかりそうなので、この場であんまり早々と言うことでもないですけども、多少遅れ気味になるのかなということが心配の種であります。ただ、プロジェクトがしっかりと順調に固まってきておりますので、医大の移転は確実なものになってきていると思います。その際、新キャンパスは藤原京をイメージにしようと。藤原京のそばでありましたので、また藤原京は道教の思想ででき上がっており、道教の最高目的は不老不死でありますので医学教育と少し関係があると思います。玄武、青龍、朱雀、白虎という相撲の土俵の四隅に今、反映されております道教の神様の門をつくったらどうかというようなことも、パースの中であらわれてきております。

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衆議院小選挙区の区割り勧告について

毎日新聞:
 区割り審の話に戻りますが、昨年11月に荒井知事の意見の2つのうちの1つが、結果的に今回の区割り審の変更に採択されたという形なんですけれども、その受けとめ。内外の政治家が荒井知事に何か意見されてきたのか。事務方に対して、知事が何か指示なり意見なりされた事実があるのか。今回、区割り審で3区が南北に分けられて、生駒が1区に入ってきた形になるんですけれども、今後どういった影響があると見ておられるのかということを教えてください。

知事:
 最初の質問は、経緯のことだと思います。それと結果についての評価というようなご質問だと思います。経緯についてですが、この区割りの勧告が出た、成果については先ほど知事の役割ということで、国政の仕事であります。2つ目の質問はまた後で申し上げますが、知事の評価というのは余り正直ない部門であるように思います。

 経緯ですが、区割り審の勧告をすると、そのときに知事が意見を言うという報告がありました。知事の役割は何なのかということで最初の報告を受けたわけですけれども、区割りは国政でございますので、国がされる。知事はどういう役割を果たすのかということです。報告を受けた時点で確認をしたような記憶がありますが、要は区割りは区割り審が、国の機関が決める。決定権は向こうにある。知事は意見を言うのはどういう役割かと事務的に聞きましたら、区割りの方針を決めるときに地域の実情が阻害されるようなことがあってはいけないので、そのチェックを要請されているように解釈いたしますということ。それなら、地域の実情を離れて区割り作成方針が適用されると問題だと区割り審自身が思っておられるんだなということでした。だからそれに淡々と答えなさいと、そういう知事に対する、知事部局に対する応答は淡々と事務的に答えなさいということを、最初の報告のときに感想らしきものを言った記憶があります。

 それで、区割り審から、何を聞かれたのかということですけれども、3つ聞きますということだという報告を受けました。1つは、作成方針がありますが、それについて意見がありますかということと、作成方針の適用について意見を言ってくれますかということと、その他特別の意見がありますかということ、その3つを聞いておられますということでありました。

 3つの中で、作成方針は、飛び地をつくらないということが一番大事で、その次は、市町村の中の分割をしないというのはその次の段階、これ順番大事ですので、分割をしないのがより優先順位の高い方針なのか、飛び地をつくってもいいから分割しないというのは、奈良では山添村のケースでどちらかにあります。それは区割り審の方針が飛び地をつくらないということが、より高度な、絶対的な方針だということをその時点で確認をいたしました。それは作成方針ですので、これは区割り審自身がつくられることなので、特段意見はないという返事をするという報告を受けました。3つ目の、特段の意見についてはありませんということでありました。

 その作成の具体的な案を知事が出してくれという報告ですので、その作成方針に沿った案を協力して出しなさいと。区割り審が判断して決められますということでしたので、そのときの作成方針の、飛び地をつくらないというのと、市町村の分割をしないということとともに、作成方針の中では私の記憶では、1つは、何よりも人口バランスが大事だと、差を設けない。これは2倍以上になってはいけないということが最高裁の憲法に基づく絶対的な判断基準です。

 人口割だったら何でもいいのかというと、もう一つは地勢と交通があるという作成方針がある。地勢と交通というものがあるので、知事の意見も聞かれるという報告であります。地勢と交通というのは、谷があまりあると、谷をまたがって向こうの選挙区になると、文化が違うところを一緒にするというのは難しい。国政ですから大きな地域になりますので、そうも言ってられない部分もあると思いますけれども、交通が大きな影響を与えますということでありましたので、交通は人口の流動とか生活圏で、今の課題は生活圏としてまとまっているかどうかです。陳情もそのような生活圏に基づいて複数の市町村が国政へ陳情されるケースが多いということを反映して、そのような区割り審の方針がある。地勢と交通については、区割り審が作成した方針が地勢と交通の実情に合っているかどうかの判断を知事がしてくださいというので、具体的な作成を命じられているというような経緯であろうかと思いました。

 それで事務的に淡々と方針に基づくと2つの案が出てきますということでありましたので、地勢と交通だと、奈良は大阪の通勤圏という性格がとても強いですので、大阪の通勤圏に行っている交通、鉄道など、あるいは道路などの地勢がまとまりがありますという考え方があります。昔からの集落のつき合い、交通よりも歩いて平地は平地でつながっているというつながりがあります。2つの考え方が出てきますということで、事務的にどちらともつけない案だったら、区割り審に実情を話して、作ってくださいよということになるわけでありますけれども、その考え方に基づいたら、地元の意見としてはどのような案が考えられますかというお問い合わせがあったので、案を出したと聞いております。

 それは意見を出す直前の報告であって、その最初の報告を受けたときは、淡々と事務的に協力しなさいということを言っておりましたので、そのような案が出てくるということでありましたら、決めるのは区割り審だなということを確認したことは記憶にありますけれども、それで出したということであります。

 その1案、2案の、もう一つ確かめたのは、1案、2案と出して、順番は優劣ではないだろうねというようなことは言った記憶があります。それは複数案がある、どちらでも区割り審が決めるんだなということは確認した記憶があります。

 政治的な関係ですが、これには政治家からはご相談ももちろんありませんでしたし、相談したこともありません。知事の役割というのは、実情を反映して事務的な報告、区割り審に協力するということに認識をしたわけですので、政治的な関係、中央からも地方からも連絡もご相談もありませんでした。それが経緯です。そんなことがご質問の内容かと思います。

 その感想は、この結果についても今もはっきり覚えていないぐらいなんだけれども、どこが、どのまちがどうなるかというのは、接続しているところがつながっているのが、飛び地がいけないということだから、とにかく接続して、今の現状から4を3にするわけだから、どこかを分散してくっつけていかなければいけないということなので、それは区割り審の考え方が反映されて、それを事務的に適用するとどのような絵になるか。具体的な絵を出せれば出してくれと言われたので、出したというように認識をしております。

 その結果についての知事の評価というのは、先ほども少し申し上げましたが、国政の話ですので、知事がどうだこうだということもありませんし、また政治家がゲリマンダーで俺の選挙区はこうして欲しいというようなことは、今の時点ではゲリマンダーはあまりできないのではないかと思いますが、それは国政の関係の人の話であります。何といっても人口、一つの、一人の代議員を選ぶ時のその投票権者、コンスティテュエンシーの範囲で格差を生じないというのが、もう絶対的な憲法に基づく最高裁の要請であると認識しておりますので、それに基づいて区割り審という国の機関が決められるということになったのだろうというのが、繰り返しになりますが、基本的な感想です。

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東大寺拝観料の値上げについて

日経新聞:
 知事、東大寺が拝観料の値上げを打ち出しまして、国際的には、日本は寺院や文化施設の料金は安いらしくて、そういう議論もあると聞いたのですが、知事はどのような感想をお持ちですか。

知事:
 社寺の拝観料というのはどういう性格のものかというと、日本は美術品とか国宝の所蔵が社寺に任されてきた歴史があります。宗教物として偶像崇拝のない国と、偶像崇拝してないけれども、美術品として値打ちのあるものを愛される国柄といったようなこともあろうかと思います。また一方、社寺の維持ということであれば、お経を上げてもらうとお布施を出すといったような檀家制度と違って、社寺にある文化財を、拝観と言っていますが、展覧してもらって、その展覧料で、観覧料で社寺を維持するということを実際に行ってきていただきました。そういうタイプの社寺の維持という面があろうかと思います。だから檀家もなしに、文化財もないお寺というのは大変です。南都は檀家がないお寺が多いわけでありますし、内山永久寺という天理でとても大きなお寺は、檀家もないし、時の政権が大事にして、政権の喜捨が多かったお寺もあります。政権の喜捨が、寄進があったお寺は、政権が倒れるともう途端に廃寺になります。だから檀家で支えられるか、一般拝観者で支えられるかというのが、そのお寺の施設を維持する基本になっていると思います。

 奈良は、南都宗教は檀家が少なく、一方文化財が多いので、文化財を大仏殿のように見に来られて観光資源になっているという特徴があります。その拝観料のレベルは、私物の美術品を展示されるわけだから、お寺が自分で決められるということであります。その拝観税を取ろうかという動きが京都はありましたけれども、奈良はそんなつもりはありません。奈良の社寺に景観と美術品の展示を維持してもらうための公共団体の役割は、環境維持です。公園や、境内になるとお寺の仕事になるわけですが、境内の外、トイレや歩道を作るのは公共団体の仕事ということで心得ております。奈良公園についても県が管理させていただいていますので、大きな仕事だと思います。

 もう一つは、お寺、美術品の拝観だけで観光が終わるというのは、教科書で、あるいは写真で見るのと変わらないので、その地域地域でのエピソードをつくってもらって、エピソードは何かイベントを見るとか、食事をするとか、人と触れ合う等、その見た値打ちがすごく上がるというのが観光の特性であります。そのようなエピソードをつくるのはその地域の公共団体の仕事であると心得て、社寺拝観のアメニティーを整備しようという心がけでしてきました。それは並行イベントをする、社寺をかりてムジークフェストをするというのは、大変コラボの相性がいいという面もあります。例えば唐招提寺で日野皓正さんがジャズをされたときに、拝観料は必要だが、演奏会は無料ですといったようなことは行ったことがありますが、そのようなコラボ協力体制で社寺の振興、ビジネスモデルの維持を図っているというような一面があります。その中での拝観料というのは、安いにこしたことはないんだけれども、やはり1000年以上も続いたお寺の維持をするために、拝観料というのは貴重な財源であります。

 奈良のお寺では、拝観料と写経ビジネスもあります。普通は祈祷とか、おさい銭ということになりますが、祈祷というのは、祈祷ビジネスでもっているのが普通でありますので、御利益はたくさんあるお寺でありますので、それでお寺を維持していただくしかないわけです。お寺を公共が維持するという、政教分離でそれはあり得ないわけでありますので、環境を整備してお寺の繁栄を、お寺にたくさん喜捨していただくというのが奈良モデルと思っております。

 ストレートになりますが、肝心の拝観料の是非というのは、特段の所見というのはありませんという返事になります。

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奈良市長選挙について

毎日新聞:
 奈良市長選ですが、間もなく2カ月になろうにも、なかなか構図が見えてこない、県庁所在地としてはあり得ないケースだと思うんですけれども、県庁所在地でもあるので、どんな方たちが出てきて、どんな政策論争していただきたいと知事は思われていますか。

知事:
 いつ構図が決まるのかなと思って新聞を毎朝見ています。きょう出馬表明があったとか、ありそうだとかというのを新聞を見させていただきます。どこが最初に抜くのかな。個別に言いに来てくださる記者さんもおりませんし、よくわからないです。だから誰がどうだというのはないんですが、先ほど奈良モデルの例で申し上げましたが、今の県の姿勢だと、仕事を頑張る市長さんがいいです。市のイニシアチブに呼応して県もマッチングしようよということを旺盛にしていますので、県が上から押しつけるということは大体ない。奈良モデルの性格がパートナーシップで平等ですよということを、対等ですよということを盛んに言っていますので、予算はこちらから出すかもしれないけれども、しかし予算を使う使い役でもない、国の予算を使う使い役でもないんです。工夫しなきゃいけない。市町村の工夫があるからというので、奈良モデルは協働・対等のパートナーシップだと言っていますので、県にとってありがたい市長さんは、仕事師の市長さんがありがたいなと一般論で思っております。

 奈良市長選だとか、郡山市長選だとか、どの市長で誰がどうこうということはありません。今まで伝統的に現役を支援するというスタイルをとっておりますので、現役が出られたら、現役で仕事を続けてくださいよというので、具体的には出陣式に行ったりという程度ですけれども、そのようなことをしているのが、私どもといいますか、後援会の慣例でありますので、十津川の村長選にも行きましたし、負けた葛城市長選の山下さんのところにも出陣式に行きましたということです。

 ただ、仕事が始まりますと、行政官の面が出てまいりますので、パートナーシップで、行政の仕事を協力して、奈良をよくする具体的な案を進めましょうということであります。いつまでも政治の投票が、スイスみたいにレファレンダム(国民投票)が毎週あるわけでもありませんので、行政を任されるわけですから、とにかく行政を一生懸命するしか役がないのが私どもの立場です。一生懸命される人が望ましいという一般論はありますが、皆一生懸命されていますので、ありがたいと思っています。


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北朝鮮の弾道ミサイルについて

奈良新聞:
 国のほうから都道府県の危機管理担当者にも説明会が東京でもあったようです。北朝鮮のミサイルが、ひょっとしたら奈良県にも飛んでくるかもしれない。今の状況について、お考えを教えてください。それから、5月10日から、東アジア地方政府会合を、中国の成都で開催する予定で準備を進めておられると思いますけれども、北朝鮮と、奈良県とは直接には関係ないかもしれませんけれども、東アジアということではどこかで、何か関係を持ってもいいのかもしれませんし、今後のこともあるかもしれませんが、今の状況をどう見ておられるかということで、今のミサイルの話と、今度の5月の地方政府会合をにらんだ状況について、何かご感想があれば教えてください。

知事:
 北朝鮮をめぐる安全保障の体制ということですけれども、知事としてなかなかあまり感想にも近づくような発想を持っているわけではありません。昔、海上保安庁のときに、北朝鮮の不審船を、私の前任の海上保安庁長官が追尾に失敗をして逃げ帰らせたことがあった。私のときにRFSという銃器を開発した。ブリッジの人を打つと無実の人をあやめることになるかもしれないので、海上でも警察官職務執行法というのが適用されて、緊急避難等の場合を除いて、銃を向けて銃撃してはいけない。それは海上保安官にも適用されますので、そういたしますととにかく航行不能にできる船尾を狙えるような銃器を開発するということで、RFSという1キロ離れても、波が立っていても、一度照準を合わすと、どのような状況になっても船尾のスクリューの5メートル以内に着弾するという銃器の開発が成功して、それが使用可能になりました。その銃器についても、警察官職務執行法があるので、あやめると射撃命令を出した現地の保安船の船長が罪に問われる可能性があります。その都度撃っていいかと上申されても、戦局がわからないので撃っていいよということも具体的に上官命令ができないので、私の場合はもう船長が現場で判断してよいという包括許可を与えた記憶があります。

 私の後になって、不審船が宮崎沖で発生して、銃撃を加えて、操舵不能になった後、自爆して沈んだということがあります。これは想像ですけれども、北朝鮮の船は覚醒剤の密輸にかかわっていたのではないかと思っています。それは安全保障上、爆撃をするために日本にああいう小さな船で来られたのではなしに、覚醒剤をどこかで、日本のマフィアの人に引き渡す役目があったのではないか。それは国家の財源になっている。昔の日本陸軍は、満州のアヘンを中国で売りさばいて軍費にしていたということが今、歴史上検証されておりますけれども、そのような時代が今でも北朝鮮の国家ビジネスで続いているのかという思いを当時持ってた。これはイリーガルであり、法の秩序を守るのが警察の役目でありますので、その取り締まりに専念した。

 その際、ロシアと大変協力がありまして、不審船の例については、北朝鮮に行く海域の通路が大変狭いので、韓国のEZとロシアの領海とを狭めて、ロシアと韓国と協力して、ここはもうとめてやるぞとウラジオストクの長官が僕に言ったことがあります。それは海上警察の仕事で単なる思い出話ですけれども、ミサイルとか、核ミサイルとか、しかも大陸弾道ミサイルとなるとアメリカが標的になって、あるいはアメリカの基地が標的になっている気配もありますので、これをどのように抑止するかというのは、私の昔の知恵でも今の知恵でもあまりない。ただ、怖いことは怖いなという印象を持ちます。

 それと、奈良に来るかどうかということですけれども、奈良を選んでくることはないかなとは観測しています。その保証は何もないわけでありますけれども、エピソードでありますけれども、平山郁夫さんという亡くなられた画家さんが、韓半島の芸術家と交流があって、飛鳥寺に北朝鮮の文化人を案内されたときのエピソードを直接聞いたことがありますが、飛鳥寺というのは、百済かもしれないけれども、高句麗かもしれないので、北朝鮮の使節団に対して、皆さんの先祖がつくられたお寺ですといって紹介したら、大変誇らしげに思い、かつ感激されたというようなことを平山郁夫さんが紹介されて、あれは北朝鮮の先祖が作ったお寺だという認識があると、先祖のものをなかなか壊されないのではないかという希望的な観測を内心は持つこともありました。

 また、平山さんが原爆症で、ずっと家に閉じこもっておられたときも、北朝鮮政府から、お見舞いの電報が来たというエピソードを直接聞いたことがあります。

 北朝鮮に対し安全保障のコントロールをするのは、アメリカでも難しいと思います。5月10日から11日まで東アジア地方政府会合をしておりますが、その意味は、奈良は韓半島、大陸との交流が、飛鳥寺、岡寺だけではなく、経文や仏像はやはり韓半島から伝わったものが多い。韓半島の仏師が、飛鳥寺をつくられたのは止利仏師という方ですけれども、渡来人であることは間違いない。渡来人が北の高句麗系か百済系かわからない。百済も北から追い出されておりてきた国でありますので、もとは中国との国境に依拠した国だと思いますけれども、そのような後任が来て瓦の工法を伝授して、また仏像もつくった。韓国系の顔とも言ってもいいような、非常に日本と違う作風が奈良に残っているということでありますが、その昔の文明をいただいたという恩を奈良県は忘れてませんというのが基本的にあり、国際化が、国際性が一番日本の歴史で著しかった。明治時代よりも著しかったのが奈良時代ですという歴史認識のもとに東アジア地方政府会合をしてきておりますが、成都で、三国志の蜀の都でありますけれども、成都で今年の5月10日から11日にさせていただきます。

 新しい中国は、東アジアの盟主といいますか、中心国家になりたいという希望はあると思いますが、できればそうなっていただいてもいいんですけれども、唐の時代のようにグローバルな国際的な、阿倍仲麻呂が外務次官までなった国ですので、外国人がそのように出世されるような国であれば、よりこのグローバル化社会にいい国柄になるのではないかと個人的には思っておりますが、そのような方向で成都での東アジア地方政府会合が、初めての県外持ち出し会議ですので、続けばいいなと思っております。

 なお、その直後に、一帯一路という中国の国際会議がありますけれども、二階俊博先生が団長で行かれますが、それにも二階幹事長から知事として来いというお招きがありましたので、今、事務的な調整の段階ですけれども、出席してこようかというふうに思っています。そのような、今のおつき合いというのも欠かさないようにするのが地方政府での役割だと思います。おつき合いが安全保障のリスクを下げることになれば、コミュニケーションなしで戦争が起こることが戦前ありましたので、少なくとも今の時代、為政者のコミュニケーションがいろんなレベルで、トップレベルだけでなく、各地域レベルでもコミュニケーションの道は相当広くあったほうがいいと思っておりますので、そのような活動が安全の、リスクを少しでも下げる方向で働けばと思います。

 中国の人に対しましては、戦争中の記憶がやはり強いものがありますので、奈良は1300年の昔の文明をいただいた感謝は忘れてませんよというメッセージをいつも発信するようにしています。それにはあまり文句は出ないです。そうかと言っていただけます。奈良の発信の一つのいいパターンだと私は思っています。

司会:
 よろしいでしょうか。
 幹事者様、よろしいでしょうか。
 それでは、これで知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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