平成29年10月25日(水)知事定例記者会見

司会:
 お待たせいたしました。おはようございます。
 それでは、ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日の発表案件は、みつきうまし祭りに関する1件です。知事から発表していただきますので、よろしくお願いします。


みつきうまし祭り~平城京天平祭・秋~を開催します
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
 お手元にパンフレットなどお配りしておりますが、みつきうまし祭りをこの11月3日から5日まで開催いたします。

 みつきというのは、貢ぎ物の貢ぎですね、みつき、お供えをするような風習があります。特に秋は収穫を神様に供えるというような風習ですので、その秋のお祭りとしてみつきうまし、おいしいものを供えるという語源からとったものです。日本の古代の言葉です。このパンフレットの中に多少書いてあるんですが、天平みけつくに市、みけつくにというのは御食、おいしいものを持って来る国が平城京にありましたので、その特産品を持って古代でみけつくに、後ろの天平花絵巻の下にみけつくに市というものがありましたが、これは古代の風習をなぞって再現いたしますが、みけつくにと言われて、この平城京においしいものを届けた国が、若狭、志摩、淡路、それぞれ海のあるところから、海彦の海の幸が届けられたという古代の奈良の盆地の都の食材調達のいわれをたどって、若狭、志摩、淡路の特産品を販売するといったようなことをいたします。

 また、阿倍仲麻呂遣唐1300年ですので、阿倍仲麻呂をテーマにしたシンポジウムなどいたします。それと、天平祭のオリジナルご朱印帳というものを、金色と銀色で販売いたします。2,000円ですけれども、このように訪問された方にこの朱印を押すということを、去年初めていたしましたが好評でありましたので、都めぐりという意味で、奈良は平城京の前、藤原京、飛鳥京、浄御原と三京ありますので、その三京をめぐるような場所を選んで、その周りの社寺めぐりというようなのを楽しんでもらうと思います。楽しみ道具ということですが、銀色と金色で提供します。1冊2,000円ということで、あといろんな場所でためていただけるとご利益もあるんじゃないかといったようなイベントです。三都周遊というようなことです。それから、お子様のお祭りとか、わずかの期間ですけれども、天気に恵まれますと平城宮跡、遊び場としていろんな年代の方に遊んでいただけることを目指しております。

 それから、この三都で特徴的なのは女帝様でありますが、女帝があったのはこの時代だけですので、その時代の女帝ということに焦点を当てたイベントをこれから心がけていくといったことも特徴になっております。秋の天平祭の開催のお知らせです。

 ご説明は、以上です。

司会:
 ありがとうございました。
 それでは、本件に係る質問をよろしくお願いいたします。

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質疑応答

みつきうまし祭り~平城京天平祭・秋~を開催します

毎日新聞:
 女帝に焦点を当てたイベントとおっしゃいましたが、具体的には何をされて、それが今までとどう違うんでしょうか。

知事:
 女帝に焦点を当てると申しましたが、今の朱印帳の三都朱印、女帝たちでつなぐというストーリーをつくっているという、この三都の有名な、天武天皇とかいろいろおられますけども、天智天皇とか藤原不比等、中臣鎌足とか、天皇ではありませんが、主役はおられますが、女性も、女帝も相当の主役でありますので、それを三都物語ということで、この朱印帳でつないでいただこうと、具体的にはそういうことです。ストーリーとして女帝というのを軸として出したという趣向です。

 それと、ストーリーの中で女帝たちゆかりの古寺マップというようなものを作って偲んでもらおうということです。

 そこのお寺に行きますと、女帝様の思い入れが分かるというようなことです。平城京のそばですと、海龍王寺というのは遣唐使船の無事を祈るという、これは公人の女性の、女帝というわけではなく、女性の願いを込めたお寺というふうに感じてもらおうと、今の時代でも企業戦士の公人を家庭で守る女性といったように、ちょっと思い浮かべてもらおうというような趣向です。それから、法華寺は光明皇后のゆかりというようなことです。女帝ということではございませんが。また、飛鳥は斉明天皇の思いがあります。それから、ストーリーを辿ると、平城京は孝謙、称徳、今、聖武天皇のお嬢さん三代の運命というような本も出ていますので、娘三人、全く運命が違ったというようなのも、歴史をたどるとその一人が重祚されて孝謙、称徳になった。流刑された娘もおられる。そのようなことを知るとちょっと感慨深くなるということを、歴史検証をこのようなめぐりで感じてもらおうというストーリー。歴史は現物の歴史を再現できないので、ストーリーを記憶で呼び起こしていただいて、その呼び起こしていただくきっかけを朱印帳や、三都めぐりということで感じていただこうという趣向です。

毎日新聞:
 はい、わかりました。

司会:
 ほかにはよろしいでしょうか。
 それでは、その他の質問を含めてよろしくお願いいたします。

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衆議院議員総選挙について

時事通信:
 先日、衆議院議員総選挙も終わりまして、奈良県内の議員も3名、自民党の方が当選されましたけれども、選挙が終わりまして、知事のご見解、ご認識というか、ありますでしょうか。

知事:
 そうですね、今まで毎日各紙は読まなかったんですが、(この衆院選に関しては)、どんなふうに見立てておられるのかなと、ずっと各紙を読んでます。今まで県政にかかわることは、抜き書きしてもらったりして、いろいろ情報が届きますので、そういう集約版を読んでいたんですが、最近は総選挙についての見立てをいろいろ興味深く読ませていただいております。

 選挙関連の新聞を読むのは今日でもういいかなと思って、大体出そろったのかなというような気がいたします。その上での所感というと、読んだことの所感という程度にしかならないようも思います。所感としては、正直言うと整理もしてないような感じがするんですが、といいますのは、私の立場からすると、我々地方の仕事、いろいろやりたいこと、しなきゃいけないことがある中で、これから中央の政治はどのように助けてくれるのか、動いてくれるのかということでどちらかというと頭がほとんどいっぱいですので、見立ててこうだというほどの頭がまだ働いてないということです。

 正直言うとそんな感じなんですが、それだとお役に立たないので、急遽考えているんですが、そうですね、全体の所感というわけではないですが、前に岩手であった知事会に小池さんが来られてたんですよね。東京都知事として会議に出席されるのは、石原さんはなかったし、舛添さんも一度来られたけどもわずかの期間だったので、小池さんが来て発言もされ、東京都知事が発言されると、同じ知事ですが、日本の地方の政治の構図は東京都が断然大きいわけですので、松井さんが来られたり小池さんが来られたりして全体会議で発言されると我々も注目いたしますので、ああ、来られるんだなという印象でした。そのときは小池さんは、勝利の後でしたので、とても上機嫌でおられたという印象がまだ残っています。最近のテレビでは、フランスの(新聞の)フィガロが冷やかしたそうですが、「流浪の女王」とかそのように冷やかされ、おかわいそうな逆風になっておられるのかなという、個別的な、情緒的な反応がまず先になります。

 それと、安倍さんが少し前は、森友・加計問題で随分困難に直面されていたので、今これで吹っ飛んだと、見かけは少なくとも喜んでおられるわけではないようですが。小池さんがむしろ安倍さんをターゲットといいますか、そのようにして選挙に出られたようにも見えるんですが、何か選挙の結果が、それぞれの当時の思いから、選挙で随分逆立場といいますか、逆になったのかなという印象が、ちょっと情緒的ですが、ございます。

 選挙はやはり民意を反映する一番大きな道具ですので、今、分析されているのを読んでますけど、国政全体の関心というよりも、国政の動きの中で我々の仕事に少しでもいい影響にならないか、基本的には中央政府が安定してずっと続けるのがありがたい。そのような観点からすれば、やはり地域振興とか経済振興、地方では雇用の確保とか所得水準の維持とかいろんな課題がありますので、それを一つ一つ解決に向かうのが地方政府の役割だというふうに思っていますので、そういう認識が中央政府にも強く発生するんだったらいいな。地方政府は現場に近いから、現場を見て「何とかしなければ」というのがまず着想の原点、出発点。「何とかしなければ」というときに中央政府が多少鈍感だと困るわけなんです。現場の事象に敏感になっていただければありがたい。選挙のときだけではなく、構造的な変化は何なのか、「単に君の地域のところだけだよ」と言われるのか、「日本を覆っている基礎がこうなっているから国としても何とかしないと」と、こう言われるのか。このようなことは、いろいろ現場に近いところで見てますと感じるところがありますので、中央政府がそれを感じて対処の手を繰り出していただくとありがたいなといつも思ってますので、それが継続されるのが基本的にありがたいことかなといったような感想です。

 また、最初に小池さん、安倍さんのことを言いましたが、あとは個別の知った先生方が大丈夫だったのかと思います。奈良では現職の馬淵さんが落ちられたので残念です。今までお世話になった先生ですので、個人的な希望として、比例復活をしていただいたら、やはり働いていただけるのでありがたかったのになと思っています。

時事通信:
 先ほどのお話の中で、現場の問題を中央政府に敏感になってもらえればということがありましたけれども、具体的に奈良県として、どういう問題について、政府に取り組んでもらいたいとお思いでしょうか。また、馬淵澄夫さんが落選されたことで、県政のほうに影響はあるんでしょうか。

知事:
 中央に何を期待しているのかということで、多分、記者さんは地方消費税の清算基準と思っているのではないかとご推察かと思いますが、それでは特段ございません、(その件は)どちらかというと中央お任せみたいな気持ちですので。今の状況ですと、社会保障の今後というのが、診療報酬の改定と国保の県営化。診療報酬の改定は中央でありますが、国保の県営化というのは、この12月議会でできるかどうかというのは我々現場のとても大きなことです。国保の県営化は単なる制度ですが、県営化の目指すところは、言葉で言うと保険者機能の強化ということになりますので、それは健康増進をして、医療費を抑制し、無駄な医療費を使わないで医療費適正化しようという医療費適正化計画ともつながっていると。そのためには地域医療構想で医療の提供体制をバランスとろうと、その3つを奈良県は三位一体で考えています。

 繰り返しますが、国保の県営化と、地域医療構想と、それは包括ケアと一緒になりますが、その3つを一体的に考えています。それを国のほうはリンクは必ずしもしてないんですが、地域医療構想を任され、また国保の県営化をすることになってということです。県で医療費適正化の計画をつくる、これは、今度の予算で話題になりますが、診療報酬の全体、総量の抑制をどうするかと、国の中で個別の診療報酬はどのように決まっていくのかということには個人的な関心もありますが、地方が社会保障の、特に医療関係、健康関係の社会保障制度、大変すぐれたものになっていると思いますが、これが持続力を持って維持できるかどうかというのが一番大きな関心事です。私にとっては大きな関心事ですので、その設計を中央政府は忌憚なく、遺漏なくやっていただければというのが一つ大きなことです。

 それは消費税増税の使途とも関係してくるわけですが、社会保障ばかりというわけではなく、その使途の変更についても大きな政策の争点になりましたので、教育の無償化、あるいは実質無償化という言葉であらわされますが、現場に近い県で一番焦点当てていますのは、就学前教育、これはどちらかというと無償化というよりも、内容の高度化ということなんですが、それと実学教育、就職に結びつく教育、それは働き方改革に結びついているという意識を持っております。そのように現場では統合的に考えて、国の制度はどちらかというと分散的ですので、地方の意識にできるだけ寄り添ってほしいというのは、統合的に国の制度ができ上がってくるといいと日ごろ感じています。大事なのはここですよと、教育の無償化という公約だけではなく、教育の無償化の就学前教育といえば、そのあたりの教育が大事だということはとても思っていますので、そのように中央政府も思って、就学前教育の無償化だけ、お金だけではなく。すると幼稚園と保育園と、省庁が分かれているのをどのように規制を統合されるのかというところにも関心があるわけです。

 中央政府は、金を配るのはもちろん得意なんですが、その制度の統合化というか連携化というのは多少苦手であるように思います。地方は統合したほうがいいなと、こう見えるわけですので、幼稚園と保育園、例えば国に要求しているのは、公立幼稚園は設置者と管理者が同一でないといけないという規制なんですが、そのアウトソースができないんですね。公立幼稚園を民間に、あるいは保育園の人が幼稚園をするよと、アウトソースでこれだけ十分保育士だけでなく、幼稚園の教員の資格ある人もいるからといってアウトソースすると、公立の負担が減るかもしれないと。しかし、何でも公立のほうがいいという党派もいますので、それとは思想的にはバッティングするんですが、現場だとやはり経費を少なくして、効率的・効果的な内容になるようにとというのが現場に近い者の感覚です。ちょっとした例ですが、予算だけでなく、公立幼稚園のアウトソース化が可能になるようにというようなことは、陳情の要望の中に入れているんですが、そのような就学前教育、教育の無償化だけでなく、合理化というのも大事だと中央政府が思ってくれるとうれしいといった感想を持ちます。

 それから、実学教育も職能教育も、昔の労働省がやったこと、高等教育の改革ということを文科省が概算要求で言い出しておられますが、そのようなのがその予算でどう決着するのかということに関心があります。これから予算編成に入ります。それと先ほどおっしゃいました税制改革、税制も決まりますので関心は持っています。願いはございますので、奈良の願いが実現すればいいなと期待をしています。

 それから、馬淵さんの県政への影響というのは、馬淵さんは存在感がありましたので、いろいろアドバイスしていただいたし、実際に助けていただいてきました。民主党、民進党の先生にも助けていただいた経緯があります。引退された前田さんや大西さんという先生ですけれども、とりわけ政権時代は助けていただいたことがありました。だから奈良の先生の勢力がなくなるのは、地域にとって、どういう党派であっても打撃だということは間違いないと思います。だから県政のこちらへの影響よりも、国政への反映、今申し上げました願いを国が聞いてくれるのは、やはり、俗に言う圧力というか願いが国政の先生を通じて届くというのが、有力な先生一人減ったわけですので、個人的には残念でありますとともに、国政への地方の願いの反映という点では、やはりダメージになる面はあろうかというふうに思っています。

日経新聞:
 関連で、自民の圧勝で日経平均株価が16連騰しておりまして、アベノミクスの評価と、県内経済の採り不足がかなり強まって、求人倍率かなり高くなっていますけれども、そのあたりどのように受けとめていらっしゃいますか。

知事:
 アベノミクスが地方経済にも波及するようにというのは、我々の立場の願いです。地方創生とかいろんな政治の言葉で地方に経済波及するように、それは一極集中の強制的な是正でなくて、経済の構造がいいように変化することによって、人の働く場所あるいは働く分野とが変わってくるというのは、経済政策の大変大きなところです。

 アベノミクスはどういうものかということですが、金融の緩和がずっと続いていたので、これは多少心配です。景気が、株価だけでなく、やはりGDPのプラスが続いているというのが大きいと思います。これは政権の安定ということに結果的にもつながるし、安定があるから続いているという面もあろうかと思いますので、やはり大きな安全保障の危機、政治的な動揺があると経済にも影響しますので、そういう意味からは今度の選択でいろんな紙面を読んだりしてますと、経済が安定しているのが政権維持の期待に反映されているようにも思いますので、それはやはり我々にとってもそのような感じは持ちます。安定して経済を揺るがないようにしてほしいと。

 先進国の経済ですので、高度成長の夢を見てはいけないと私は思っています。あんなことはもう起こらないんだと。ああいうのは日本でしか起こらなかったわけですので、高度成長自身は中進国で起こりますけど、雇用の安定と社会保障の充実と並行して起こったのは日本だけだと言われていますので、ああいうことは起こらないと。低成長でも社会を維持するという知恵が要るという時代に入っていますので、物すごく知恵が要るというふうに思います。しかも人口減少ですので、高度成長、成長と経済、財政ということになりますが、やっぱり高度成長というのは期待すべきもないので、1%、2%が低成長だと表現されなくても、普通の成長だと思って1%か2%ぐらい成長してたら立派なもんだと、それが続けば立派なもんだと私は思います。

 それがずっと続いているのはありがたいことと思いますし、それがアベノミクスのせいかどうかはちょっとまだよくわかりませんが、それが地方にうまく波及してバランスとれた成長を願っているわけですが、地方の成長、経済の活性化は地方の努力によるものも大きいと思います。地方の政府だけでなく、これはやはり民間の方の努力というのが何よりも大きなことだと思います。地方が結構豊かとかでありますけれども、それが投資に回ったり働きに回ったりするというのは大事なことですので、それをどのように、経済活性化ということになりますが、達成するのかと。これは一番日夜頭を悩ませているところですので、そのいろんな経済活性化のためには、景気のDIのような動向だけでなく、公的なインフラの投資も要ると思います。インフラの投資があって、その働く場ができ、商売の場ができて、それは民間の人がやるわけですが、それで経済が回り始めるといったようなことはあります。ケインズの地方版みたいなことですが、それを実行できるような力、財政の力を中央政府から与えていただくとありがたいなというふうに思います。あとは、地方の工夫でしなさいと言われても当然のことだと思っています。だからアベノミクスの恩恵だけを受けるという地方の心構えではいけないと思います。

 それから、地方の雇用状況で、有効求人倍率が上がるようにと、また近畿の帯の中で後ろにならないように、上になるようにと思ってましたが、近畿の帯の中では随分上になってきていますので、雇用の底がかたくなっているのはありがたいと思っています。また、あまり行き過ぎると人不足ということになりますが、労働力は人口減少で減ってきていますので、日本は基本的に人不足になりつつありますが、もう一つは地方でやるのはマッチングですね。人がどこかで余っているかもしれない。奈良県では女性の労働力、これからもっと活性化しないといけない高齢者の労働力、引退後の労働力、とりわけ60から70ぐらいまでの人の働き方というのは大きなポイントであるように個人的には思います。それを会社で働くのか地域で働くのかというのは大きな課題、地域で経済的なギアのパーツの一つになるように、会社を離れてでも働いていただきたいと思いますし、それは県庁のOBをどのように働かせるのかという身近なところにも返ってくる課題だと思います。

 労働力は、できるだけうまく使うのが大事かと思っています。とりわけ有効求人倍率上がると人手不足というふうに見えますので。それと、人手不足もセクター別で随分違うので、セクター別の分析を始めていますが、セクター別の過不足は有効求人倍率2倍、3倍のセクターもあるわけです。医療とか看護師とか。また、やはり1を下回っているセクターもあるわけですので、そのセクター別の有効求人倍率というのはどんなふうにマッチングするのか。とりわけ有効求人倍率が高いセクターの供給が大きな課題、保育士でもそうですし、看護師でも、医療関係はずっと高いままですので、大きな課題だと思っています。

 そのような地域の実情にあっての課題解決は大事だと思いますが、全体の数字も見ながら、個別の数字も見てというふうに、手がなかなかすぐにこうすればよくなるよということはない、経済はより複合的な処方が要りますのですぐには悩ましいところでありますが、今おっしゃったポイントは大事だなと感じています。

NHK:
 知事、先ほど馬淵さんのお話ありましたが、逆に当選された、選出された議員への期待、望みを聞かせてください。

知事:
 小林先生は、自民党で政権党の方ですので、例えば違いがあるとすれば京奈和自動車道建設促進議連、これは自民党の議連です。あるいはリニア新幹線の超党派の議連もあり、促進協議会もあるんですが、自公のリニア名古屋-大阪の議連というのもありますので、馬淵さんは大変な実力者ですが、そういう議連には入っていただけなかったわけです。

 小林さんならば入って(もらって)、その中で、例えば京奈和自動車道で今要望していますネクスコ化というようなことについての発言をしていただける、というようなことが具体的にいろいろあります。我々もそうですが、政治家は個別にいろいろなことを働いて評価してもらうのが基本だと思います。国家のことを、大きなことをおっしゃっていただくのはもちろん大事だと思いますけが、何百人もおられますし、具体的なことの成果を一つずつ積み上げていただきたいし、私どももそういう連携をとって、とりわけ自民党政権の中での会議あるいは自公での会議に発言をしていただくのが一番ありがたいというふうに思っています。

奈良新聞:
 選挙区が3つあって、これが全て自民党議員になって、それから奥野さんも比例の方へ回られたけれども自民党であって、それから参議院のほうへ目を向けると、参議院のほうも堀井さん、佐藤さんということで自民党であって、参議院の比例代表の関係者の中にも一人もおられませんので、全て自民党の議員ということになって、これが例えば今のおっしゃっていた地域の課題なり、それから国と地域を結ぶ中で個別の県の一つというか、奈良県としてこういう状況になったということは珍しいことだと思うんですけれども、そういうことが何か影響するのか、影響しないのか、そういうことは例えば一色になるということは知事はどう見ておられるのか、いかがですか。

知事:
 最初のご質問と、後は大分性格が違うご質問のように感じました。一色になるので地域に役立つのかと、こういうポイント、少し解釈はずれているかもしれませんが、そういう観点からすると自民党一色になったら県政がとても助かったということはないと思います。これは陳情のパターンからすると、個別の先生の力量によることのほうが陳情の成果は今までの経験から多かったと思います。有力な先生が地域に一人おられると、昔のことですが道路が早くできたとか、そういうことは喧伝されますので、陰に陽にプレッシャーが政権の中に届くということはあると思います。その意味で個別の先生の力量によるので、みんな自民党になったからパワーアップというわけでは、陳情という観点ではないように思っています。しかし、先ほど言ったように小林先生が自民党の中に入られると、陳情のパワーがふえるというふうには思っています。

 もう一つ、自民党一色になったことの勢力図といいますか、政界構図ということは、国政の先生の保守一色だからその地域はどうなるかというよりも、国政の中での判断のように思いますので、国政の中の国会議員の働く場は国会ですので、基本的に国会で賛成、反対の手を挙げるのが一番のメインの仕事ですので、私の感じから言えば、その中での政権運営、議論を尽くすというのが大事かと思います。

 県のホームページで書いた面もあるんですが、アメリカのトランプさんを批判したり賛成したりするテレビ対談などは、立場ははっきりしているんですが、とても論理的に発言される方が多いんです。だから国会でもエビデンスと理屈で論争していただくのが何よりだと。数は最後です。数は最後できくわけですけど、最初から数というのはちょっと困ると。一色であってもマジョリティーが多くあったり、ある程度マジョリティーが安定してないと安定的な政権運営はできないのでいいんですが、安定政権がふえると議論も沈滞するかというと、今までの政治は決してそうでなく、野党に論客が出てくると議論は活性化します。野党も数だけでなく、理屈を言う論客が出てくると、皆さん方もそれにとても注目されるのは当然だし、いい論点は注目を浴びるのは当然だし、そのような政治は、最後は数になると思いますが、最初からこれ決めたではないと思いますので、そのときの論点というのが政治の醍醐味であろうかと思います。国のほうは保守一色になっていませんので、論争を期待したいと思います。

 県内でも、議会でも別に保守一色ではありませんので、県内で国政の先生が物を決める場はないわけです。国政でしか決める場はないわけですので、それを自民党の先生の中でもとても右のことをおっしゃる先生とリベラルな先生がおられるのは、話を聞いてみるとすぐわかりますので、国政の議論を県内へお伝えしていただくというのが一つ大きなことだと思います。やっぱり政治は論争だと思います。それが合理的な論争になるように、国でも地方でもそうなるように期待しますし、そのように心がけたいと思っています。

朝日新聞:
 選挙関連で、正当性を揺るがす低い投票率の問題です。これについては、今回の数字が少しだけ上がりましたが、この数字についての知事の認識と、県として難しいとは思いますが、何か無作為であるわけにはいかないと思うんです。作為、何を施策としてやって数字を上げていくか、何かお考えがあれば教えていただければと思います。投票済み証など話題になったりしましたが。

知事:
 そうですね、投票率とやはり直接結びつくのが政治的関心じゃないかと思うんです。もとから政治のスタンスが決まっている人は必ず投票に行くと。私は専門家ではないので当てずっぽうかもしれませんが、右でも左でも何党でも行くという固定投票者数というのはあるように思います。政治的関心を立場上持っておられる方は何割かおられると。よくデータで出てくる無党派層と無関心層とは一致するのかどうか、言葉の使われ方に関心を持っています。無関心層、無党派層は必ずしも一致しませんが、多少連動しているように思います。政治の関心を上げるためにどのようなことをするのかという、その一つはシングルイシューで大きく世の中を揺るがして投票率が上がる時期はあります。そのシングルイシューという、まあ複数のイシューでもいいんですが、個別イシューでやると、それはすぐに消えますので、基本的な政治関心が高くなって、それが投票率の高さに結びつくといったようなほうが望ましいと思います。

 政治の役割は大事だと思いますが、基本的な政治関心というのをどのように醸成するのかというのは課題だと思います。無関心層というのは政治への期待が低い層でもあるのかなという、定義は違うかもしれませんが、そのように感じることがあります。政治というのはすごく生活に影響することが多いんですが、そのときに身近な、関西だけではないと思うんですが、自分にどちらが得かと。政治の関心は得か損かでないほうがいいかなと個人的には思います。政治の関心は、世の中のために役に立つかどうか。世の中の見方が、その投票者の方にそういう関心を持っていただくのが高いほうが、政治の意思の反映がバランスがとれるように個人的には思います。

 だから、投票率に複合的にあらわれるように思いますが、個別のシングルイシューで関心をあおって急に高めるというのは、僕はあまりいい手法じゃないと思います。基本的な関心を持って、それが上がってくると、どのような分野であってもそのご家庭なり投票者のメインの関心とマイナーな関心は必ずありますので、世代によっても違うと思いますが、若い世代の方は子育てとか教育とか雇用とかに関心があり、高齢者になると社会保障一辺倒になるように思いますが、偏らないように、持続性、あるいは多世代で関心を持ってもらうようにというのが政治のバランスだと思います。そのときの争点と言われるものが政治の関心を盛り上げることは確かですので、争点が今度の国政は与野党争点ということになりますが、そうなると与野党が拮抗したり、与党が変だというときはものすごく関心が上がるんですが、政治の今の動き見ると、実際の政策を決めるのは与党内の論争がいろんな細かいことになると多いですよね。与党内の論争が投票にどう響くかということに、国政だと党派でくくられてしまいますので、与党内の論争が消去されてしまうので、与野党論争を国会でちゃんとしたのかというような、いわゆる無関心層が強いと白けるということになると思うんですが、そういう風潮は余り好ましくないように思っています。国会の論争がおもしろいなと言われるようになると、関心層が上がってくると思います。論客を期待するのも、そんなとこかなと思っています。

朝日新聞:
 確かにその論争がおもしろくなれば上がるということはおっしゃるとおりだと思いますが、それをぼーっと期待しているだけだとなかなか難しいと思います。だから何か打つ手は県としてないのかというのが2つ目の質問なんですが。

知事:
 ないですね。

 そういうよりも、私の感じでは、それが基本だから。それは国政の役割だということを発信しているわけだから、しっかり論争してくださいよというのが最大の期待です。それを県として、国会の論争がおもしろくないから何か手がないかということですと、ない。

朝日新聞:
 論争をおもしろくするのではなく、投票率を上げるための策は。

知事:
 基本は国会の論争だという見方です。逃げているわけではなく、それ以外で上げるというのは何か、手がないと思ったほうがいいんではないかと。今、とっさの言い方で大変失礼しましたが、「ない」と言ったのは、そういうので上げるのはあまりよくないのではないかというのが根っこにあると思います。基本は国会の論争で上げてほしいというのが、私の立場から見ても基本だと。国会に預けているわけじゃなく、国会の選挙なんだからというふうに思います。県会のレベルでは、その論争が正確に届くように、我々が議会でちゃんと論争できるようにというのが私どもの役割ですので、県政レベル、地方政治レベルで関心が十分上がっているかどうかわかりませんが。国会で上がらなければ地方政治も上がらないとは思いませんが、政治関心の強い地方とそうでない地方というのは確かにあります。

読売新聞:
 いわゆる18歳投票権、18歳選挙権が前回の参議院選から解禁になりまして、国政としては今回2回目だった。県選管も、例えば出前授業をやったりとか、投票箱を高校の生徒会の選挙に貸し出したりとか、いろいろな取り組みをされているところもありますが、そういったようなことが投票率の、いわゆる若手が、若い者が投票に行ってくれるようになれば投票率の底上げにもなりますし、そういったようなところに力を入れるとか、どうお考えですか。

知事:
 そうですね、自分の18歳、大学時代は、全学連が活躍した時代ですので、すごく政治意思の強烈な人もいましたが、僕はもうノンポリでした。法学部に行って、こんな立場になりましたが、全然政治的な関心はなく学問的関心、成績関心のほうが強かったというだけなんですが、そんな感じでした。高校時代、政治的な主張をした友達もいますが、成熟しているな、早熟だなと思ったんですが、もっと悩みが昔は「若きウェルテルの悩み」とか、そういうちょっと情緒的なもので悩む世代であったように思います。そのような世代の人に政治的関心を持てというのは難しいと思うんですが、しかし基本的な政治の意味というのを、身近なことしかもちろん関心が直接発生しないんですが、いろいろ後になって勉強すると、政治というのはいろんなとこで影響を及ぼしているなということが最近になってそうしますと政治の意味とかを、主張でなく政治というのはこんなふうに動いてきて、こういう結果になっているんだということを関心持っていただくというのは、基本的に大事かと。それは長いスパンだけどとても大事だと思うんですが、だから若い人に政治の勉強、政治プロパーの勉強、政治と経済とか安全保障とかが結びついてますよね、外交とか。だからそれを現実にいくと、それを離れて本当は生活がないように思いますので、政治だけでなく、政治だけ関心持っているのは、おまえ政治好きかみたいに揶揄する風潮もありますので、全体をいろいろ、社会好きだと、人好きだというふうに思ったほうがよかったのかなと思います。戦後の教育は、戦前の政治がとても偏った反動で、政治と経済、政経分離が国内の政治の場でも行われていたかと思うんですが、今は政経は一緒に考えないといけないというのがどこの国でもそうなっています。あるいはそれは身近なことに直結するよというのがもう少し世の中の常識化すればいいなと、個人的には思います。それが若者の関心にもつながると。

 先ほどのご質問にもありましたが、どうすれば投票率が上がるのかということにもつながると思います。出前トークで投票に行きなさいよとお願いするのも大事ですが、政治の関心をこのように持ってくださいというのはやっぱり基本で、なかなか難しい面があろうかと思いますが、それにはそういう情報が県民の方にも常時うまく流れること、主張の情報じゃなしに、どのようにして物が動いているかという情報が常時流れていたほうが私はいいかと思います。まだそこまで行ってないような感じはしますが。教科書の教えることと、日ごろ接する情報と、なかなか結びつかないですよね。

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生駒市西松ヶ丘違法盛土地について

奈良テレビ:
 話が変わって、台風の被害の話なんですけれども、西松ケ丘の無許可で盛り土されていた場所が崩れた件なんですが、まず崩れてしまったということに関して知事がどう思っていらっしゃるのかということと、今後の対応についてお伺いできればと思います。

知事:
 西松ケ丘の質問がありそうだというので、見にくいかもしれませんが、このように図面を用意いたしました。県民の方、余り知られない方もおられるかもしれませんが、これが西松ケ丘の住宅地、これが住宅の所有者の境界です。住宅地の所有はここです。ここを住宅地にするのに、この白いところが、この住宅造成業者の盛り土です。この茶色に見えるところが違法業者の盛り土です。一番のポイントで何度も言ったのが、この盛り土があったから、この下の土も崩れるんじゃないかということが、お住まいの方の一番のご心配事と認識しております。

 今度の雨で、今までこの亀裂というのが、所有者の所有権のある敷地の外に亀裂が入って、これが所有地の境界なんですが、亀裂があったのはここなんです。これは、こちらの人の所有者で、盛り土をした人の所有地じゃないかと思いますが、そこに亀裂が入って、この盛り土をしたところが崩れたら、下の土まで切ってこれが揺らぐんじゃないかということが、今申し上げました基本的な心配です。

 共づれ崩壊ということになるんですが、今回起こりましたことは、正確ではないかもしれませんが、これが所有権、これが亀裂、この亀裂からこの崩壊があるわけです。このわずかか大きいかどうか、この上にかぶさったよりも多少崩壊が削られたようにも見える、これが重要なことで、ここに注目しています。これが今後さらに広がって、この住宅地の基盤に影響を与えるかどうかということが最大の関心事です。

 この共づれ崩壊するかもしれないという危惧があったので、この違法盛り土をした人に除去しなさいということを是正勧告していましたが、おられないので、かわりに行政で対応しようと。しかし、代執行していいのかどうか、これも法的にも論争がありまして躊躇した面は確かあります。それは、法的なこの盛り土をした人を探し出してさせることが基本だということは間違いないですが、逃げた時にこの安全性の程度によって代執行しなければ、代執行の根拠は、こちらの安全性とこの土砂崩れの下のほうの安全性と、道路があったりすると早く崩れるといけないから。下のほうがわかりやすいのですが、上のほうは、これが本当に危ないかどうかという判断がすぐにつかない。余計な代執行したら、崩れもしないところの代執行したと言われる法的なリスクもあるということが、担当の感触であります。

 しかし、危惧をどのように、ご心配をどのように行動するか。代執行に踏み切って、予算もつけていただきました。その予算をつけて代執行することは、これを基本的に押さえるという工事でありますので、この土を押さえるために代執行しようといった矢先にこの崩壊があった。崩壊が上の土だけなのか、下をどれだけえぐったのかという、この図だとごくわずかに見えるんですけれども、これが心配ないほどのわずかさなのかどうかを検証しなければいけないということで、しかもこれが影響があるかどうかを常時監視しなさいということを担当に命じています。こちらの住宅地の基盤に影響があると緊急の手当てをしなければいけないということ、今のところはないんですけれども、今後ともないかどうかというのは、今までの議論の最大のポイントでありますので、ここまで崩れたのがわずかかどうかということが最大のポイントです。

 これは一つの、この崩れたところの断面図なんですけれども、上から見た図になります。これが住宅地で、ここが少し下がって境界になって、このように崩れている。この横は、こちらは崩れてないんですが、乗ったところのボーリング調査をこのあたりでしていますが、上がここまで先ほどの横断面図のこちらですけれども、崩れた場所はこのようになっています。これが広がるとすごくたくさん崩れそうだから心配だ。これだけでも心配かどうかということを判定しなければいけないということが今の最大の課題です。これ以上崩れるかどうか、わずかかもしれない、これわずかかどうか、住民の方が、それ崩れたぞということでありますので、その上だけだったら、盛り土をしたところだけ崩れてほかが崩れなかったら盛り土者の土だけだということでよかったんですが、共づれ崩壊というのがあるかどうかということが最大のポイントであるというように認識しています。

 今度のこの共づれ崩壊の程度がどの程度かということを検証することと、やはり今、代執行で予定しておりました押さえつけ保全。代執行ですので、この違法盛り土が共づれ、もとの地面はわずかという言い方は変かもしれませんが、崩れたと認識しております。それがこの住宅地の基盤に影響するかどうかが、このご心配が本当のものか、リアルかどうかが最大のポイント。それを判断しなければいけない。その代執行、基盤が心配ないのに、土が崩れただけなのに代執行のような大げさなことをしてと、その法的なリスクも実はあるわけで、余計なお金使ってというリスクも実はこういうケースはありますので、繰り返しになりますが、多少慎重であったということは一つなんです。しかし、もう代執行に踏み切りましたので、この違法盛り土は撤去するといって撤去しないので、もう代執行するよと、押さえるということに踏み切りましたので、その矢先に起こった上滑りの事故、それと多少削ったというようなことでありますので、それで今何をするかということは、まずさらに崩れる兆候がないかということを常時監視することと、専門家に至急見てもらうことにして、今やろうとしている工事でいいのか、工事の手法を変えなければいけないのかを確認して、至急工事をしたいと思っています。

奈良テレビ:
 具体的なめどというのはありますか。

知事:
 調査に入っていただく先生が11月に入ってからになります。やっぱり専門家の調査があったほうがいいと思います。この崩れた後の心配があったのか、あんまり発生してなくてももう代執行に踏み切ってますので、心配がなくても安心のためにしようと。これは法的なリスクも覚悟して、違法盛り土した、そんなことまでしてくれてと、請求しても知らんぞと、こう言われるリスクがあるという、繰り返しになって恐縮ですが、しかし、それはリスクを冒してでもやろうということにしたわけでありますので、その代執行の土どめをするスケジュールはいつごろかということで、一応念入りで専門家の方に来ていただくのが11月の初めになりますが、予算はつけていただいておりますので、この状況は説明いたしますが、工事はその専門家に見ていただいたすぐにでもしていきたいと思います。

 今、雨がしみ込むと土が崩れるので、このように、この坂に雨がしみ込まないようにブルーシートをしていると聞いております。これだけでは、また雨が降るかもしれない、また台風来るかもしれない、また土が軟弱になってさらに、やはり違法盛り土でありますので、ふわっとかぶせただけかもしれない。何のためにかぶせたのか、あんなところですのでよくわかんないんですが。これは所有者はこちらの人のものだから、造成しようと思っていたのかちょっとよくわからないですが、黙って許可なしにされたということでありますので、それがこちらの住宅地の被害にならないか。

 雨が降ると土が落ちる、上はふわっと置いているだけなのでそれは落ちやすい。下は造成のための盛り土であったので、普通はちゃんとしているはずですが、上に乗せると共づれになるかもしれないというご心配があって、それが亀裂にあらわれた。亀裂は、ここにありますように、ちょっと細かいですが、盛り土があったのはここなんですね。亀裂があったのは、その少し内側なので、この既存の今まで盛り土したところから亀裂があることが心配だと、これは正当な心配だと思うんです。これから削られると、これで支えていた住宅地がもとから削られるんじゃないかというご心配で、これは正当なご心配だったと思いますが、実際にそこから盛り土が削られたと。いろいろ推察は、ここら辺もこの住宅地はここまでですので、ちゃんと押さえが、この下の押さえはとても大事ですが、上の押さえというのは、この住宅地の基盤には余り構造的に影響がないように見えますので、多少ふわっと置かれたかもしれない、これは推察なので、崩れていいとは思いませんが、この崩れ方が、上のほうが崩れると。ここは土がたまって、基盤はこちらを支えるのは、そこからこう支えなきゃいけない。素人でもそう思いますけれども、だからこちらのご心配が、このような崩れ方でより心配が発生するかどうかということを専門家に見立ててもらわなければいけない。

 これは、こちらのほうの基盤に影響するとなれば、もう緊急の工事をすぐにでもしないといけないと思いますが、それはもう少し様子を見ながら、すぐにすることは間違いないですけれども、心配があればこちらに影響すると退避してくださいというところまで言わなければいけない、そういう責任もあると思っていますけれども、そこまではまだいっていないような現場の感覚でありますけれども、このような構造だということをご理解願ってと、そのように見ております。

 そして、この先ほどの、次の雨で範囲が広がったり、その結果、こちらがよりえぐられたりというのが一番心配なことでありますので、住民の方のご心配と同等の心配はしております。土の様子を、土のご機嫌をちゃんと伺って監視する。ふわっと乗せているだけの盛り土を押さえつけることが代執行の基本的な工事のように聞いておりますので、一刻も早くそれをしなければいけないと思っています。専門家の方、ちょっと出てきていただくのが11月になりますが、土の動き、あるいは雨があった時に、今度降る時にはやっぱりブルーシートで雨がしみ込まないようにするという、これは応急措置の類いですが、当然しなければいけない。

奈良新聞:
 行政代執行の予算化はされているわけですが、11月に専門家が来て、代執行はいつしますか。

知事:
 そうですね、専門家の先生に見立ててもらって、発注してからです。

担当課:
 
発注手続きの関係があるので、今いつ行政代執行するかは、申し上げるのは難しいです。

知事:
 大至急ということになります。手続的には、発注をして工事ということで、工事のやり方は、今度は土砂崩れがあっても基本的に変わらないと思います。土押さえということになると思います。もう代執行するということを踏み切っていますので、この土が雨で崩れる前にしていれば、多少影響があったかもしれないですが、見かけは土は崩れてなかった可能性はあります。代執行して雨が降って崩れていたら、何をしてたのかと言われることになるのは当然であります。しかし、土が崩れた後でも、1つは、今のポイントは、もとの基盤、一番のご心配の住宅地基盤に影響があるかどうか。見立ては軽々にできませんけれども、すぐに家が傾くとか、下が土砂崩れでえぐれているということはない模様でありますので、対策工事は今の予定していたままでいいのかどうかというチェックを専門家の人にしてもらうというのが今の状況です。それが見立てありましたら発注をすぐする。発注の手続も準備も、見立てと並行してやっておいたほうがいいかと思います。

奈良新聞:
 何カ月もかかるような話じゃないですよね。

知事:
 ないと思います。発注して工事してもらうということで、工事がどのくらいかかるのか、工事の内容によると思いますけれども、そうですね、1年もかかる話じゃないし、何カ月といってもそんなに長くないと思います。

奈良新聞:
 また台風も発生していて、今のところは応急処置はしていて大丈夫だという話は聞いているんですが、大丈夫でしょうか。

知事:
 この土が崩れるのは、どこでもそうですが、土の中に雨がしみ込むことが一番大きな問題で、雨をしみ込ませないというぐらいだから応急措置ということでありますので、応急措置でも雨が先ほどの横から来るという可能性もあるわけです。横から来たときにどうするのかという、ここが谷になっていて、たまり場になっていると、横から水が集まってきてここに来るとか、この地下から水が浸透してきて来るとかということは想像できる。この上は、例えば道路であると、地下にしみ込む率は少ないわけですね。アスファルトのブルーシートということになって、それがよそに流れてどこに水が流れるのか、この横に排水口があって、そこから川に落ちていくというのが通常の流れ方、あふれるとここの水がぶわぶわになる可能性があるということが土の心配。だんだん土の専門家風のことになってきましたが、そのような心配が発生しますので、それを監視するのと、とにかく応急措置は水をためないようにということであります。

 いざとなって土が大きく崩れると、ここにすごい雨が降って、ブルーシートでもカバーできないということがリスクとして発生しますので、その時は押さえていても難しいかもしれませんが、その時は他の土砂崩れ、この盛り土による土砂崩れか、基本的に脆弱かどうか、とにかく後の検証に任せて問うてられませんので、そういうことがあればこの盛り土事業者の責任か、県の遅れた責任か、もとからこの造成された責任かということはわからないわけですけれども、とにかく避難してもらわないといけないということになります。その避難は、ここの責任者はもとの造成事業者、違法盛り土者、許可を見逃した県の責任と、その三者の責任になりますので、盛り土のもとの事業者はおられると思いますが、昔の話だからもう責任を果たした、瑕疵責任はないと、こうおっしゃる。こちらの違法盛り土は、土盛っただけだといってとんずらされる。当面、県がここの安全を守らなければいけないと認識しております。だから、大雨が降って、ここの下の土が流れそうだということになれば、責任の所在を問わずとにかく避難してもらうということに県は主体的に関与していきたいと思います。

関西テレビ:
 関連で西松ケ丘をお伺いします。今回の崩落について、改めて原因としてはどういったところにあると思いますか。やっぱり大雨になるんでしょうか。

知事:
 そうですね、専門家に詳しく見ていただきたいんですけれども、単なる推察、当てずっぽうに近いと言われるとあまり根拠もありませんが、このもとの造成者の盛り土と違法盛り土の盛り土は固さが違うように素人考えですが思っています。上のほうはふわっと乗っているような感じがします。そうすると、ふわっと乗っていれば、水がたまるとすぐに流れてしまう、これだけあってもやはり根っこはそんなに流れてないですね。これが大きくもとの盛り土からえぐられていると、土が上でとっただけではなく、もとが弱かったかもしれないと、こう推察も可能かもしれないですが、やはり住宅地を建てるんだから一応しっかりと盛り土されたと当然思いますし、検査も受けておられる。

 今度の崩れたのは、違法盛り土のところを中心に崩れたということなので、推察になりますけれども、違法盛り土は固めて何かというよりも目的がはっきりしませんので、土をふわっと乗せておられたというようなことかなと推察されます。土の固さです。そうしますと、そういう土はやはり斜面にふわっと乗せると雨が降ると崩れやすいように素人的に思いますので、そういうことかと。崩れる時に、県の立場からは違法性というのはもちろん相手の方との関係ですけれども、公共空間としては、上の心配もありますが、下で道路があったりして崩れると、土留めをしないといけない。違法であっても公共空間を守るための、それは公共工事的になりますが、しないといけないという役目を2つ、下と上と2つあるわけなんです。違法であっても公共空間を守るという役目がある。

 下のほうは、多少川に流れているんですけれども、川を閉塞するというところまで至ってないと聞いておりますが、これも関心、注意をしております。川を閉塞すると、これは水が流れず、水がどっかにあふれるかもしれないということで関心を持っています。先ほどのご質問の原因は、やはりふわっとした土と雨の量ということかなと思います。大概の土砂崩れは水を含んだ土が流れてくるということでありますので、まだ専門家の見立てがあったほうが良いと思いますけれども、私のいろいろ聴取した感じでは、おっしゃったように大雨ではないかと思います。

関西テレビ:
 あの大雨、最寄りの地区の観測所でも雨量計見ると、この1週間で300ミリぐらい降っているので、相当な雨が降ったのかなという推察は確かにあります。一方で、先ほども知事がおっしゃったように、一義的には当然こうした盛土をした業者の責任ではあるんですけども、住民からすると、今回の一連の対応を受けると、県が実効性のある対策を業者に対してなり、現場に対してなり、行ってこなかったのではないかというお気持ちが強いみたいで、自然災害ではなくて人災ではないかというご指摘があるんですけれども、そういったお声に対して知事はどのようにお感じでしょうか。

知事:
 住民の方にとってみれば、心配を解消してくれなかったということは、そういうお気持ちになるのも自然かと思います。それが人災という言葉にあっても、そういう気持ちで表現されたことは理解いたします。人災というのは、違法盛り土の人災か、県の人災かということは我々にとって関心事項でありますので、責任の所在というのは法的なことになれば申し開きもしないといけない立場にもなりますので、人災ですというふうに今の法的な意味も含めると申し上げられないと思いますけれども、県の責任として思っていますのは、違法盛り土はもちろん主たる責任者でありますけれども、この違法盛り土があった後、少しの間ああだこうだ議論して対策の手がなかった。是正勧告はしたんですけれども、是正勧告に応じない時の次の手が出なかったという期間がご不満だったということに思います。その時に早くから、こういうケースはなかなかないものですから、その代執行の先ほど法的なリスクというのも、もうそんなことをしなくてもいいのにしてと言われる面も。

 県は余計なことをした、代執行がおかしいという訴訟がもう既に違法業者から起こっている。それとも対峙しなければいけない。

 ほかのケースではない、このケースで訴訟を受けていますので、いえばこの代執行は正当ですということを、そちらの法廷闘争もしないといけないということで、当初からそういうことも想定してシュリンク(躊躇)した面もあるのかなと。これは推察ですので、言いわけに聞こえるといけないんですけれども、ああだ、こうだと言っているうちに日が過ぎたと、すぐにしなさいといったときに、今みたいな構造になっていて、やり始めても余計なことをしてと言われる。多分、求償なんてとんでもないという予防線の面もあるんじゃないかなと思うんですけれども、これは求償しないと県が盛り土したわけではないのでというのが立場でありますので、だからちょっとその一つのポイントが追加されているということです。だから人災だとおっしゃる方も、二人登場人物がいて、違法盛り土者と、それを放置した県と二人の人災だと。いないのはほっておいて、おまえだとこうおっしゃりたいと思いますけれど。躊躇があったことは認めますけれども、代執行に踏み切ったと、訴訟リスクもあるのを覚悟で踏み切って、案の定、訴訟が起こっているということでありますが、両方対峙しないといけない。

 しかし、訴訟が起こって、これで訴訟で負けると、仮処分が出ると代執行もできない。仮処分が出るかどうか。しかし、仮処分を、裁判の推移を見て工事しないということはできないので、もうそれこそ訴訟で、仮処分が出なくて工事して負けるとそちらにも求償できなかったりしますが、そんなことを、これまた議会でそんなことも、仮処分出てまで待てよと言われる判断もあり得るんです。なかなか難しい、その無駄なお金使って、求償も訴訟で負けたら、どうするかというのは、負けてもするかどうかということはあります。代執行ではなくなるわけで、すると公共事業で予算付け替えないといけないが、公共事業としてできるのかどうか。その違法事業者のとんずらを県が代替するということは、世の中あり得ない。議会として、そんな予算は認めていないと、こうまた言われるから、それこそそういう工事費の損害賠償をしないといけないというリスクは、個人的なリスクも発生する可能性がある。あれやこれやはあるんですけれども、そういうことは県民の皆さんへ言ってもしようがないし、詐称しても安全第一、まず避難してもらう。

 もし、責任はわかりませんが、住宅が揺らいだ時の補償というのは、またどうするかというのもあります。まず、人命第一、その住宅が揺らいだ時の補償は、今度は登場人物がもう一人増えるわけです。宅地造成者になるわけで、宅地造成者と違法盛り土者、県というのがその補償の可能性のある主体として出てくるので、そこまで想像しないといけないので、なかなか住民の方のご心配はよくわかりますが、県としてその訴訟リスクを冒してでも、できることは最大限したいと思います。多少ほったらかしたと見える点は、言いわけもあるんだけれども、そんなの抜きにして反省をして、今やるべきことは即刻でもしようという姿勢であります。

 具体的には、代執行を早くする。代執行はすると決めて予算要求してますので、その仮処分で差しとめ仮処分が出ない限りする。これは仮処分が出ても執行すると工事自身が違法になる可能性ありますので、ちょっとできないのかなと想像しておりますけれども、裁判の帰趨よりも雨の方が心配だということもあって、論点として悩んで決断しないといけないポイントはまだ少しあるように思いますが、代執行実行ということが基本的な方針であります。

関西テレビ:
 弊社の取材では、もう既に2年前に本庁の方と土木事務所の方がこの件についてご協議されたときに、もう崩壊するかもしれないというようなご発言が出ているようなんです。そういった崩落の、今回の事態を予見するかのような報告というのは、これまで知事のお耳には入っていましたでしょうか。

知事:
 いつぐらいから入ったのか少し覚えてないですが、当時の現地での西松ヶ丘問題が、協議された、その時点では入ってなかったですね。それが課題になってきて、こういう協議をして、後追いで情報をもちろんいただいております。その時の、後はどういうことだったのかということは、我々責任の問題にもなりますので検証していかなければいけない。土木事務所の対応の言葉が、崩壊するかもしれないと、それが権威を持って言ったのか、心配だから従前の手当てをしようかということか、そのときの県の立ち位置が代執行の是非ということになるんですが、判断が少し躊躇があって遅れたと今は思っています。

関西テレビ:
 住民説明会では、これまで斜面が崩れる可能性は、地盤伸縮計の監視等々から言っても今のところは安定しているという説明しかなかったので、崩落の危険があるというお話は今回初めて聞きました。

知事:
 亀裂を観測したのも知っています。亀裂の観測の時点はもう当然届いていました。亀裂が広がるかどうかということが最大の一つ、先ほど言いましたように、この所有地の外だけれども、かぶせ土の手前に亀裂が入ったということは、旧地面のところが割れるかもしれないという危険性が普通だと思います。これが、この崩落と、茶色い地面の崩落と、この白いところの崩落というのは質が違うわけです。盛り土した責任主体も違うわけなので、この白いところが崩落すると、この住宅に危険。この黄色いところだけ崩落してももとに戻るだけだから、そういうふうには土は行かないかもしれないけれども、その崩落というのが黄色いところだけなのか、もとの土まで共づれ崩落ということがあるのかどうかは、これも事務所がどう言ったかどうかわかりませんが、すぐには分からないと思います。もとの土が崩落するかどうか、この亀裂がもとの土のところに入ってますので、それが拡大するかどうかをずっと注視しよう。これは一つの正当な行為だったと思いますけれども、それが余り動かなかった、私の報告では動かなかったから、当面もとの土の亀裂というものは動きはないです、と報告を受けてました。だからそれはこの住宅地の崩壊につながらないので安心だということで、それは住民の方にも報告いっているように聞いております。

 しかしこの外の土だけではなく、もとの土がどうなるかということは最大の関心事で、先ほど繰り返し言っていますので、今度の亀裂はここにありますように、多少もとの土も少しえぐれているんです。このもとの土がそれはえぐれたじゃないか。この黄色い土はえぐれるのは、ふわっと乗せたかもしれないので、それはともかくとして、もとの宅地造成者の土がともにえぐれたということが、共えぐれなのか、もとえぐれなのかという、これは分からないですが、そんなこと言ってられないので、これは危険性が発生するかどうかを注視しないといけないということが今の体制です。誰の責任かというよりも、どうして起こるのか、起こらないようにするのはどうすればいいのかというのは、県の最大のポイントであります。

 人災だということが誰の責任かということは、これはゆっくりとまた忘れないように検討していかないといけないと思っています。当面何をしないといけないかということに注力しないと、誰の責任かと言い合っていて、違法行為者の責任だなんて言い合っているうちにほったらかしたというようなことでもありますので、そういうことであってはいけません。責任は後でじっくりとやればいいから、当面もとの宅地造成者はいるかもしれないけれど出てこないし、違法盛り土者はどっかに行って、しかも訴訟だけ、そんなことしてはいかんという訴訟だけ起こすような状況なので、そういうことを受けながらでも、ここの安全性を守るということが今の最大の業務で、それは人災だ、何とかと言われても、それは後でゆっくりと判断しましょうといったような気持ちにはなります。

 それは大事な点でありますけれども、言ってたじゃないかとか、そういうことを言ったところで、どう言ったのかという検証をすると、わからないまま、ここのもとがはぐれるのか、上だけなのかって誰もそのときはわからないので、もとのところ、わずかにちょっと入っているところから、このもとのところはこのあたりの土がね、ふわっとかぶせてもそう安全性に影響ないと業者が思ったかもしれない。これわからないんですが、この根っこがしっかりしていればこれは崩れないというふうに、そう思ったか、みんな上まで、見かけもおさまっているのがもちろんいいに決まっているわけなんですけども、今度のこれが、今度の災害の調査の関心は、こちらの基盤が逆にここに土が乗って押さえつけられたようには見えるんだけど、そんな悠長なことを言ってられないので、これが大きくさらに雨が降ったらえぐれるかどうかということは、今の緊急の最大注視事項だと思っています。今度は人災だと言われないように、それが正当な見方かどうかは別にして、言われないように努力したいと思います。

関西テレビ:
 業者から起こされている訴訟というのは、控訴と仮処分両方ということですか。すぐそういった行為をやめてくださいという仮処分と、いわゆる控訴、両方並行してという形になるんですか。

担当課:
 仮処分を申し立てられております。是正命令について申し立てられています。

知事:
 是正命令をした日から裁判ができるのは半年なんですけれども、その期間にまだ入っているのでできるということも、そう主張していまして、県からすると、もうそれは過ぎてませんかということを主張しているのが1点と、もう一つは、自分たちで盛り土した範囲が、県が今、行政代執行でしようとしている範囲と違う。もっと小さいということをご主張されてきておりますので、それに対しての対応となっております。

関西テレビ:
 今のところ本訴は出てない、仮処分申請だけですか。

担当課:
 是正命令について争っている。仮処分申請は出てます。

時事通信:
 今回西松ケ丘のところ以外にもあちこち県内で崩落とか災害発生したものがあり、なかなか市町村単独でやるのは難しいかと思うのですが、県として補助ですとか、そういった助け船を出されるお考えはありますでしょうか。

知事:
 災害対応ですが、昨日も南部振興議連があって災害報告がなされました。災害対応の今の県の姿勢ですが、一つは、災害復旧について、道路が塞がっているところもありますので、災害復旧について、あるいは民家が被害を受けているところもありますが、特に公の場所は災害復旧について対応する。大きいと激甚になりますが、そんなことにもならないと思いますが、被害の状況の確定とそれの対策の確定が当面最大のことであります。

 それと、この際、検証、災害の時は事後検証ということが大事だと、こう言っておりますので、事後検証をするようにお願い、指示をしております。事後検証のポイントは、3つほどあった。1つは、避難指示、避難勧告は随分出たんですけれども、避難された方は少ない。それ自身は無事だったからよかったんですが、今の避難指示、避難勧告の市町村が発出されるのは、やはり早めに、多めにというような志向なので、これはご理解願いたいんですけれども、全然避難された方がいない地区もあるんです。

 逆に、明日香村長が昨日言ってましたが、少し前に避難訓練をしたんだそうです。そこの字は100名ほど出てこられたということで、一度練習をすると避難しやすいということは多少わかったので、やはり避難をすることに慣れることが大事という、その避難の勧告と実際避難との差というのをどんなふうにやるのかということが1つです。

 もう一つは、森林のところの土砂崩壊です、土砂崩れなんですけれども、写真など、それと事後検証の中で崩壊の現場の記録をしっかりととるようにと、記録というものをとるようにということを指示しました。これは水があふれた、あふれた状況というのはなかなか映像にならないんですが、NHKの協力も得て、あるものをいただいて保存しておこう。どの地区は、どの川のところがこのレベルまで来たということを映像で保存して、何かの時はそれをこんなふうになるから、もうヒヤリ・ハットのケースも結構ありますので、それはどうなのかという、事後検証の中で大きなのは記録。土砂崩れでも、こういうところで崩壊したんだよということの記録、あふれた記録、あるいはあふれそうになった記録というようなものがとても大きなことだと思います。事後検証の大事な記録。

 もう一つは、森林の土砂崩れの中で、五條は柿畑が随分崩れた。あるいは大きな崩れの上のほうに植林がされていないように見える。植林の仕方が十分ではなかったことで崩れたのかどうか。

 スイスの森林環境管理を学んでいますけれども、森林の防災力というものはもう日本国は軽視をしっ放しじゃないかと、そういう関心を持っていますが、スイスは150年前に大災害が起こったので、その反省の上に立って、この150年間森林の政策を抜本的に変えてきた。森林の防災力を重視していきたいと教えていただいていますので、森林自身の防災力をどう発揮するのかと奈良県の関心を見て、それはこの土砂崩れが森林の、植林の仕方で森林自体の防災力が発揮できないか。公共工事で堰堤を作るということは、ここが崩れそうだから堰堤をつくるという工事はめったにない。崩れたから堰堤をつくる、二度と起こさないという工事ばかりですので、堰堤という予防措置も事後措置なんだけれども、その事前の予防を森林で砂防森林というようなことができないか。砂防植林ができないかというようなことに関心を持って、スイスに学ぼうとしています。それはこれから時間がかかりますけれども、何十年かかっても、できたらこの土砂崩れがあって道路に土が落ちてこないということが達成できたらすごくいいなと思っております。森林の土砂崩れ。

 もう一つは、大和川の浸水、内水も外水も、内水は多少ありましたし、外水もヒヤリですね。ヒヤリだったんで、これはどこが浸水被害が生じて、どこが危険水位になったのかということを記録に残すのと、それはどうしてなのかと、それを防止するにはどこの遊水地が緊急なのか、個々の浸水箇所を、ここまで水を上げさせないためにはどこをどうすればいいのかということを事後検証で発見しようということを指示しました。これはとても大事なことだと思いますので、幸い大きな人身事故が発生しなかったということがありますので、そのような事後検証で予防の備えというものを何をすべきかということを発見できたと思っています。

 そのようなこと、森林と河川、それとヒヤリ・ハットという3つを記録にとどめるのと、対策のアイデアを出すようにということを指示をしております。

時事通信:
 確認ですが、指示を出されたのは、例えば県の危機管理(担当者)なのか、それとも市町村なのか、事故検証の指示を出された先はどちらでしょうか。

知事:
 指示は県の職員です。昨日は市町村にもお願いしました。まず記録をとりますので、市町村で持っておられるヒヤリ・ハット、災害の写真、映像、特に映像をくださいと。映像を地図落とししようという基本作業を始めたいと思っています。

関西テレビ:
 西松ケ丘の件なんですが、きのう生駒市は午後1時に避難指示を解除しましたが、知事がおっしゃるように、また雨が降ったら崩れるかもしれないという懸念が心配される中、なかなか解除するって踏み切った判断だなと思ったんですけれども、県として改めてその辺、生駒市に対して、その判断はどうなのというようなことを言ったりするお考えというのはあるんでしょうか。

知事:
 避難指示解除は市町村の最大の責任なので、今度のこの西松ケ丘は、土で関係しているから県としても関心を持っていますが、避難指示解除というのは安心かと言われても、県の立場からは何とも言えないように思います。避難指示解除したけど心配箇所であるという、その問題意識は市と共有したいと思います。避難指示解除しないと家に帰れないという生活の難儀がおありになると思いますので、いや、帰っても心配事に寄り添ってという言い方はちょっと情緒的ですが、市も寄り添わないといけません。県もその違法盛り土の対処という、その一端の責任者であろうと思いますので、寄り添って、何よりも危なければ避難しかないわけでありますので、次の発生の危険性が増すかどうかを日々注視する。日々見るようにということは県の職員に対して指示をしておりますが、生駒市とも少し危ない、心配意識を共有するようにということは改めて言っておきたいと思います。県も心配をできれば共有して、差がないようにしようと。

 それと、住民の方との心配意識はどうしても差があると思いますけれども、これは客観性で判断したり、責任の所在を判断しますので、必ずしも住民の方の心配が悪いほうの結果に結びつかなければ、それはそれでいいわけでありますけれども、心配事を客観的に防止するのはどのようにするのかというのは、市でも県でも大きなことであります。災害の時はまず逃げるということを言っていますので、やはり危なければ逃げる。危ない判断は市がされるんですけれども、先ほど言いましたように、避難指示、避難勧告が出ても避難されなかった方もおられたように聞きます。ここは避難指示ですので避難されたと思いますけれども、心配事はずっと続いておられると思いますので、その住民の方の心配には寄り添ってという言い方、ちょっと情緒的ですが、共有させていただきたいと思います。

司会:
 申しわけありませんが、かなり時間が超過してしまいました。
 これで知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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