平成30年5月23日(水)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 ただいまから知事定例記者会見を始めます。
 まず、本日、最初に知事から奈良県版図柄入りナンバープレートについて発表いたします。
 よろしくお願いします。


図柄入りナンバープレートについて

知事:
 昨日国交省で図柄入りナンバープレートの報告があり、その中で奈良県の図柄が採用されています。ご承知のことかもしれませんが、このような図柄です。テレビでも奈良県の鹿が映っていますと紹介されました。奈良の地域のイメージを展開するのは、図柄入りナンバープレートの目標ですので、きのう国交省の発表があり喜んでおります。奈良県の図柄入りナンバープレートについて、結果がこのような形で出たということです。図柄入りのプレート自身どういうものがいいのかなと検討してまいりまして、このような図柄を奈良県で提案して、そのまま認められたということです。

 なお、もう一つ、17地域が認められた地域別プレート。「あすか」もこのように、飛ぶ鳥、飛鳥で、奈良県の地域別プレートです。地域名を入れたプレートは、この飛鳥、何年か前にチャレンジしたんですが、そのときのハードルが10万車という、人口10万人の市町村の賛成が要るということでしたが、今度はハードルが下がって5万人になりました。

 この奈良の鹿プレート、鹿、五重の塔、桜、もみじ、川ですが、奈良の自然環境をイメージした図柄入りと、飛鳥が昨日発表されたので、うれしさ余って発表させていただいた次第です。以上です。

司会:
 ありがとうございました。
 それでは、発表案件に関しましてご質問があれば、よろしくお願いいたします。

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質疑応答

図柄入りナンバープレートについて

時事通信:
 このナンバープレートですが、地域のアピールとか観光アピールとか、そういう意味があると思うんですが、奈良をアピールするという点でどういう強みになりそうでしょうか。

知事:
 図柄入りナンバープレートの意味ですが、20数年前、自動車交通局長のときに図柄入りナンバープレートを答申で決めたんだけどね。当時は登録課長が担当で、登録課長の反対にあって実現しなかった。20年ぶりに発表できるのは、個人的にはうれしいなと。その当時もこんな図柄を試作してみんなに見せびらかしてたんだけど、新潟の業者さんが持ってきてくれて、こんなになりますよと。

 今、岩嶋さんのご質問の意味ですが、アメリカでは、ニューヨークというのはENPIRE STATEと書くんだよね。ハワイはALOHA STATEと書くんです。そのようなプレートに遊びがあってもいいじゃないかというような。アメリカのプレートは図体が大きいんです。ヨーロッパは細長い。そのかわりヨーロッパの細長いのは、地名を数字であらわしてますよね。フランスのプレートは95と書かれる。これはパリの場所が95と出るようになっていて、デジタル的で、アメリカはアナログでALOHAとか。その中で図柄が、例えばFLORIDA STATEと書いたフロリダにはロケットが発射するような図柄があってね、地域の自慢をプレートに掲げてその地域の宣伝を、俺はこの地域出身だといって郷土愛の発露みたいに、そういうメンタリティーがアメリカにはある。日本人にもあるんじゃないかという感じもしたので、どうも図柄を見ていると似たような図柄が多いので、もう少しとんがった図柄があってもおもしろいのになと思うくらいなんですけど。右へ倣えじゃないと。うちはこういう地域なんだということを、郷土のアイデンティティーとまで言わないけども、外への宣伝という意味もあるんですが、本当はその地域のアイデンティティーの認識を深めるという方が僕は意味が大きい感じがしました。

 日本人のアイデンティティーは自然好きという感じがします。くまモンがありますけどね、広島、福山は野球が出てきたり、下関は灯台と橋が出てきたりね。構造物だけど。福井は恐竜とか、お国自慢をあらわそうよという趣旨がありますね。

 よく地域認識、日本で一番わかりにくい県とか、そんなことをいろいろやるんですが、奈良は古都というアイデンティティーがあるので、実質はともかくとして、アイデンティティーはこうよく言われます。うちはこういう地域なんだよということが見えるようなイメージであらわすことを、後輩が図柄も入れていいとしてくれて、うれしいことです。

NHK:
 関連ですが、このプレートを通して、奈良県知事としてはどんなお国自慢をしていきたいですか。

知事:
 お国自慢ね、アイデンティティー。これは個人のプレートじゃなしに民主的に選ばれたプレートで、いろんな図柄の候補があったけど、これが選ばれた。だから今のご質問、個人としてというか、県代表としてというか、選ばれたのに寄り添って発表せないかん。私はちょっと違うことを考えてたけども、というご質問じゃないと思うんですけどね。今のこの選ばれ方、いろいろあったんだけど、結果的に何かふわっとしたイメージ、ほかも同じようなのが多いので残念ですが、奈良だけがふわっとしていればよかったと思うんだけど。奈良のふわっとした土地柄をあらわしてませんか、ぼんやりみたいな感じで。こういう議論を呼ぶのがこういう図の意味なんですね。

 せんとくんもそうだけど、どうして角生やしているの、と、こういう会話があるのが図の意味なんですよね。あらゆる世界を飛び回っているキャラクターの意味は、どうしてそんなちょっと変なキャラクターを売り出してるのみたいな会話から始まる、言葉で言うよりも手っ取り早いコミュニケーションのスタイルが出てきています。アイデンティティーというのはほかに例がないというのを売るのが一つの特徴ですよね。ユニーク・アイデンティティーという、鹿、五重の塔は非常に奈良らしい。桜、もみじはどこでもあるじゃないかとなりますが、ここしかないよというのは皆が持っているわけではないので、全体のイメージを見ると、こういうタイプが多いですよね。奈良のを見てるとふわっとした感じかなという。ふわっとしてるということは、とんがった迫力はないんだけど、飽きないという意味があるし。

NHK:
 そういう議論を通して県外でこれを見た人たちの間で話題になって、奈良がPRできればいいなみたいな期待の言葉をいただきたいんですが。

知事:
 奈良の認識がね、相変わらずぼんやりだなというのだって一つの会話ですけどね。話題の中でどう思われているかというのもわかりますからね。すごくユニークだと思ってたけども、そうでもないんだということもあるし、逆の場合もあるしね。何も知られてないと思ったら、すごくよく知っている。大体ほかの人のほうが奈良のことをよく知ってるような気がします。

 そのようなプレート効果ということですが、これが多分、今の時代だったら、何がいいのと誰かがけしかけるとね、せんとくんもそうだけど、人気投票ランクが出てきて、総理の支持率じゃないけども、どれが人気あるのと。その全体の人気度でまた志向がなびくというのが日本人の特徴であるのをマーケッター(マーケティング活動全般を行う人)はよく見ているんでね、あおればなびくみたいな消費者心理があると思われているんじゃないかなと。だから別にこれでランクが上がればどうこうでもないんですけど、そのような生活を楽しむ技術の一つかなと思います。

奈良テレビ:
 今回このでき上がったものをたくさんの人につけていただかないと意味がないと思うんですが、ぜひつけてねというPRがあればお願いします。

知事:
 ああ、そうですね。これを見せるのも、これはつけてもらわないと。奈良県庁プレート、県庁車プレートをどうするかまだ決めてなかったけども、全部これにかえるかな。せんとくんフレームプレートをなくすのは惜しいけど、これにせんとくんプレートをかけるか、ちょっとしつこいかな。事前に議論しなかったけど。今の県庁車走らせて、せんとくんプレートがあるから赤い色なんで目立つんですね。1300というのは、なぜ1300なの、710って書いてあるのは、なぜ710なのかと。もう忘れられているかもしれませんが、遷都1300年とか、何と見事な平城京の710とか、そういうふうにプレートであらわしたり、プレートのナンバー申請制というのもつくったんですよね。希望ナンバー制という名前で、自分の名前を語呂合わせで入れるとかね。希望プレートのアイデンティティー、それは個人アイデンティティーで、これを地域アイデンティティーと受けるかどうか。奈良は何となくそういうアイデンティティー主張の意欲が薄いかもしれないので、昔に藩があって、我が藩、と固まっているところはね、これ受けるんじゃないかな。先ほどの希望が多いんじゃないかな。

 飛鳥は希望じゃなしに、強制ですね。飛鳥地区は奈良から飛鳥にかえることになるんですが、これは奈良の番号さえあれば図柄があってもなくてもというのが併存すると思います。図柄は奈良は少ないなとか、大阪は多いなとか、いろいろ出てくると思いますので、わざわざかえに行くのも難しいかもしれないけど、ふわっとしていいじゃないですかと。

読売新聞:
 確認ですが、決定でなくても結構ですが、県庁の車のプレートを変更することも考えたい、くらいは大丈夫ですか。

知事:
 どうする。

担当課:
 県庁車分はかえるように、予算を確保させていただきます。

知事:
 予算要求をして、県庁車をこのようにかえますと。ほかの公用車もなるべくかえてもらうようにお願いするとかね、公用車にいかがですかというくらいは働きかけていきたいと思います。強制はもちろんできないんだけど。

産経新聞:
 飛鳥ナンバーについてですが、ずっと南部地域の方が導入したいとおっしゃっていたので、やっぱり奈良という言葉じゃあらわせない文化とか歴史があるということが飛鳥ナンバーだと思うんですが、知事は奈良県内に奈良と飛鳥という二つのプレートができることについて、どう思われますか。

知事:
 今までも軽自動車は、さらに小さい地域ナンバーというのがあって、奈良という地域アイデンティティーも、都道府県制で奈良と。本当は個人的には大和にしたかったんだよね。昔の国のほうがいいんで、大和にしたかったんだけども、プレートの変な流儀が昔からあって。品川と練馬とかがあったじゃないですか。東京のほとんど全域は品川、練馬と足立で覆われているんだけど、なぜ品川、練馬、足立だと思われますか。登録事務所の所在地なんだよね、ナンバープレート交付所の所在地の名前をつけること、そんな規則があって、こんなのやめろと言ったことがあった。登録事務所所在地名称になっていたんでね、練馬とか足立、品川。

 奈良は、地域名称よりも登録事務所が奈良市にあったから奈良というような、今では大和郡山に行ったから大和郡山にせないかんじゃないかと、規則に、昔に合わせるとそうじゃないかと冗談も言ってたんですね。東京で品川しかナンバープレート交付所がないと、全東京が品川になるという変な規則ですよね、運輸省の規則。だからそれを地域の名称にかえていこうと言ったんだけど、すぐに実現しなかった、規則は変わったかもしれないけれども。軽自動車とか自転車は登録届け出が市町村ごとになっているから、それぞれの市町村とか、また小さな地域でもいいよということになし崩しで変わってきたという事情があって、日本的ですよね。今ついにこのようなところまでいったと、なし崩しであっても、もとがなぜ品川でいくかというのが残らないぐらいに昔の規則が形骸化しているのも日本的だなと。

 またそのようなことを理屈立ててしようと言ったときも抵抗があったのを日本の官僚的だなと思ったりするんですけどね。この地域アイデンティティーというのは外国の政治的な意味でもすごく大事にされるんですよね。アメリカ大統領選の選挙区割の地域は、地域で選んでその合計という考えですので、地域というのはすごく大事な政治の区域である、自然の区域以上に人為的な区域である。その人為的な区域の名前をつけるというのは、一家の名前をつけると同じように地域の名前をつける。登録事務所の所在地によるという全く官僚的なのと意味が違ってたとずっと思ってたんですが、なし崩しであってもそうなってきたのは、湘南が最初だったかな。湘南という行政区はないんですよね。湘南という地域で入れていいよというのが、地域の俗称という、愛称をプレートにしていいよというので、これも飛鳥という行政の地名はないんだよね。地域の俗称で、明日香、あしたの香るだから。行政区域はね。だから、行政区域じゃないのが入っているのも一つの特徴です。足立と違うんだということですね。

産経新聞:
 その地域アイデンティティーという話を踏まえた上で、飛鳥ナンバーの導入が決まったことについてどう思われますか。

知事:
 この決まる経緯の、賛成が人口5万人要るよというところですが、5万人確保したのは橿原市、磯城郡三宅町、田原本町、高取町、明日香村、5市町村なんですね。明日香という、あしたの香るの行政地名は明日香村でとても人口少ないんですよね。4,000か5,000人ぐらい。それが橿原も飛鳥で、飛ぶ鳥でいいよと。橿原を走る車は皆飛鳥にかえなきゃいけない。地域の愛称は、ほかもそうなんだけども、足立にかえて葛飾ですね。葛飾区だけでも5万人以上あると、葛飾、板橋、上越というのが複数の市町村で出ている。知床は、知床という行政はないけど知床という。

 伊豆もあるんだけど、区は葛飾区があるから行政がそうなったと思うんだけどね。葛飾は脱足立ナンバーということも見方によってはあるかもしれない。そうではなくて足立ナンバーのアイデンティティーよりも葛飾という地域愛着が強いというあらわれとも読めるかもしれないけども、昔からずっとそこに定住されている人ばかりではないからですね。奈良に住んでいる方も、奈良という行政区の地名に住んでいるからこのナンバーつけるんだよというような、ずっと日本の国柄になってきていますのでね。昔から住んでいる村のナンバーをつけるわけじゃないんだと。人の移動があってもその地域全体の、湘南も同じですけど、全部飛鳥という地名に入るわけではもちろんないけれども、飛鳥地方に住んでいる者たちのプレートですので、どんなふうに人の気持ちがそれに寄り添っていくのかというのは、社会的な意味でもちょっと興味を持っています。

産経新聞:
 その図柄は、また新たに選ばれるんですか。

知事:
 ええ、選ばれるようです。

産経新聞:
 例えば、知事どんな図柄が飛鳥だと。

知事:
 これは私、あんまり発言力もないし、構想力もありません。また同じようにいろいろアピールされる方が出てくるんじゃないかと思いますけどね。どんな感じですかね、飛鳥。後ろ(記者会見場内のポスター)にあるじゃない、持統、天武、今聞かれたので、ああいう土地の飛鳥の自然よりも難しいかな、昔の方であっても、何か二人並ばれると、天武、持統、すごいキャラクターですよね。そういうことが可能だったら個人としてはうれしいけど、余り言うと誘導するわけでももちろんないですけど。

奈良新聞:
 さっきの図柄入りをもうひとつアピールというか、宣伝する一言をいただければ。

知事:
 そうですね、鹿が入っているのは奈良だけですよと。鹿は奈良市だけしかいないじゃないかという人もいるかもしれないけど、全国的に見てね、鹿が入っているのは奈良だけですよと。昔は大きな鹿の顔が入ったマークも候補に入っていたかもしれないと、鹿の顔がぎょっとね。あんなのも迫力あっておもしろかったと思いますけどね。奈良は、全体としてふわっとしているというのと、鹿が入っているのは奈良だけですよ、と思います。

読売新聞:
 できるだけ多くの人につけてもらって、それがアピールにつながればという思いがありますか。

知事:
 先ほどのご質問みたいに、どれだけ奈良の人がつけてくれるんだろうか。郷土愛のはかり方になるかとか思ったり、あるいはまた奈良は少ないなとか、記者さんに冷やかされるかもしれないけど。奈良はキャラクターいけませんねとか。多分このプレートで図柄入りのプレートの装着率というのをまた比較する人も出るかもしれない。そのランクが低くなることを恐れてますけど、えらい消極的ですけどね。奈良の、各地の自己愛の程度が出るのかなと。飛鳥は強制だけど、飛鳥は多分、プレートがかわればついでに図柄もしようかという人がふえるかもしれないから、あれ図柄早く決めたほうがいいよね。購入するときに、図柄入りか白かという選択はあろうかと思いますけども、図柄があると、どうせつけるなら図柄にしようという選択があるような気がするから、図柄を早く。これはいつかえますか、飛鳥。

担当課:
 飛鳥は平成32年から交付になります。

知事:
 ああ、まだ大分先だと。それまでに図案が間に合うように。白よりも、どうせ飛鳥にするならば図柄入りにしようという人が、飛鳥の場合は多いかもしれませんね。

NHK:
 知事、装着率の比較は我々がやりたいと思うんですけど、奈良県知事として、つけてねというPRを一言いただいていいですか。

知事:
 このようないいナンバーだから、本当に多くの奈良県民の人につけていただきたいと思います。

司会:
 よろしいでしょうか。
 その他の案件も含めましてご質問あればよろしくお願いします。

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2040年度における社会保障給付費の試算について

時事通信:
 先日の政府の経済財政諮問会議のときに試算が出されまして、高齢者人口ピークの2040年で社会保障費が現行の1.6倍の190兆円になるという、嫌な試算が出まして、奈良県も全く無関係ということはないと思うのですが、この190兆になるというところの知事のご所見をいただけますでしょうか。

知事:
 経済財政諮問会議は何年か前から骨太の方針、その年度の予算編成方針、有識者も入れてオープンで決めようというスタイルになってきてます。その中で、予算的なものは、経済、消費税のアップとも関係しますが、社会保障給付費が伸びている。それは予測であります。そのような社会保障関係費は年金、医療、介護、子育て支援が入り、4項目です。

 その中で年金はある程度設計ができる。医療・介護は設計が思いどおりにいかない。どうなるかというのが、日本の国運を左右する大きな課題だと思います。国運を左右する高齢化の進展と並行した国のあり方。その中で、日本は国民皆保険という、これ自身はすごくすばらしい制度を持っていて、このような負担で、社会保障をそのように達成しているのはあまりない。

 私も少し変わった見方かもしれませんが、高齢化が進んだり格差が出たりすると、様々な不満が鬱積され、政治にはね返る社会現象は当然いつの時代でもあるわけですが、今のその社会現象の中での大きな特徴は、象の鼻と言われるような、横に所得の貧富の差が横軸で、縦に所得の増減があるのを、図を描くと象の背中と鼻の下と、伸びるようになる。この象の鼻の下のところに先進国の中産階級がある。この不満が政治に反映されているのではないかというのがトランプ現象であり、欧州の右傾化というような感じの論評が出て、日本は右傾化になっているかどうかは皆さんの判断ですが、不満がああいう政治の投票に顕在化しないのはどうかなとふと考えたことがある。ヨーロッパも北と南で随分違いますが、社会保障の充実がアメリカ、ヨーロッパよりもすぐれているのではないかと思うとこがあります。

 社会保障は、後世にツケを残すと言われますが、これはそうかどうかも少し分からないところがある。国が借金をして社会保障に充実して社会を安定させているというふうにも見えるわけです。借金をしないで社会保障が充実されればそれにこしたことはないが、借金をしてまで社会保障を充実させているということは、社会の安定、政治のはね返りを抑えているというような感じもします。

 ヨーロッパでもアメリカでも社会の不満を戦争に向けるというのは昔から古典的手法であるが、それを日本は放棄をしているし、そういうふうにならないように社会保障の借金で抑えていれば、それもいい知恵かなと思うところがあります。明治150年でどうして戦争に向かったのかというのは、社会保障のかわりに満州に人を移民させ、軍隊が行ってと、国の生命線だと。生命線というのは、防衛の生命線よりも経済・社会の生命線のようにその言葉から受けるのですが、戦前の傾向を思うと借金してでも社会保障をして、そういう反応を抑えている、そのように設計したのかなと。そのように社会保障がずっと戦前から、そういう面で続いてきた。これは役所の人、あるいは民間の一部の人がそういうふうにしてきた国柄になって、それも一つのあり方かなというふうに、ある面、借金社会保障を積極的評価というとちょっと誤解がありますけれども、そのようにも見えるんじゃないかなと思います。

 問題は持続性です。こんなに膨らむと、持続性がいずれ破綻するのではないかと、過去からも思われている。これだけ膨大な借金があるので、他の国では考えられない借金社会保障、そんなものは破綻するんじゃないか。また、公正さを損なっているんじゃないかという見方があります。それは見方の違いだけでも済まないリアルなリスクというのはあると思う。リアルなリスクをどのように下げるかという今、チャレンジが国を挙げて、あるいは都道府県も基本でタックルしようと。これは正当なアジェンダだと私は思う、大事なアジェンダと思います、政治アジェンダだと思います。

 先ほどの経済財政諮問会議での社会保障給付費が問題になりましたが、今年は5月28日に社会保障制度改革推進会議に奈良県が呼ばれています。実は、奈良県の取り組みを報告しろというふうに、言われています。その背景は、社会保障費の中の医療費について、国保の、医療費を支えているのは健康保険だが、健康保険の皆保険の中の国民健康保険というのは一番受益と負担のバランスが悪く、それを都道府県化をして持続性を確保しようという大きな取り組みだと思います。それがこの30年度4月からスタートした。その取り組みの成果を見ようというような動きが、「社会保障改革推進に向けて」と題し、伊藤元重さん、榊原定征さん、高橋進さん、新浪剛史さんが出していますが、これは奈良県の取り組みを応援してもらっているような感じもする。各都道府県はという書き方ですが、将来の社会保障の取り組みを総合マネジメントするということを民間議員のペーパーで推しておられます。そのようなことが奈良県がやってきたこととも一致しますので、そのようなことを28日の会議で言いなさいということだと思います。プレゼンをしようかと思っております。

時事通信:
 多分、お手持ちのペーパーは、その財政会議で出された「社会保障改革の推進に向けて」というものですね。

知事:
 そうですね、5月21日ですね。

時事通信:
 同じペーパーを見ているのですが、それを拝見しますと医療・介護を通じた提供体制の効率化とか、医療費適正化、あと法定外繰り入れの計画的な解消等々あるのですが、奈良県の国保の一元化がモデルだというふうに思うのですが、そのプレゼンというのは、奈良県の国保の一元化のモデルというのの仕組みというのを国のほうへ説明するという、そういうことですか。

知事:
 書いてあることを見ると、3月28日に、この会見で発表した国保の県営化についての奈良県ペーパーと同じようなことが書いてあるなという印象がまずあります。奈良県の取り組みを応援するぞといって、そのようにしろということを激励されているようにも思います。だからそのような取り組みをしたということもあって、5月28日に呼ばれているのかなと思う。

 5月28日の会議では、「地域医療構想の推進」と「国民健康保険の総合マネジメントの取り組み」という、2つのプレゼンをしようかと思っています。そのプレゼン資料を配布させていただきますが、ここで発表した資料をもとにはしておりますけれども、その後のいろんな進捗を踏まえて資料を作っておりますので、わずかな時間ですけれども、プレゼン資料を用意しましたので、その発表をします。もし幹事社さんよろしければ、こちらでも配布させていただきます。

時事通信:
 もうちょっと詳しく、どういう経緯で荒井知事がこの会議に呼ばれるのですか。

知事:
 よくわからないのです。

時事通信:
 これは政府としても、奈良県の取り組みを横展開したいと思っているのですか。

知事:
 そのようにも見えます。この社会保障改革の推進について書いてあるのは、各都道府県は将来的な医療・介護費の見通しと、それに基づく将来的な保険料水準の見通しを策定し、給付や負担の姿を幅広く共有しつつと、あと奈良県がやっていることで、医療・介護等を通じた提供体制の効率化、住民等の行動変異を通じた医療費適正化、法定外繰り入れの計画的な解消等の国保財政の健全化に一体的に取り組むべきと書いてあるのは、奈良県がやったことそのまま書いていただいているような感じがしました。大変名誉なことだと思っています。国は、先進優良事例を横展開するとともに、遅れが見られる地域の課題を明らかにし、その地域の取り組みを促進していくべきと、国、都道府県の果たす役割、私のイメージでは都道府県は縦投資にしろと、国はそれを横展開するように働けよと、こういうやり方が一つは出てきている。現物給付は、現場が都道府県とか市町村もあるが、市町村はちょっと小さ過ぎる。医療は都道府県だと、医療と介護が一緒になった都道府県と。奈良県は奈良モデルで、県と市町村がやり出しているので、ちょうどそういう土壌があるというふうにも見れるようには思います。市町村と一体的に、県・市町村が一体的に取り組むようにとはここでは言われてない。各都道府県はという言い方ですが、国保財政の健全化に一体的に取り組むべきというのは、県がやろうという志向と全く同じように思います。国はそれを横展開する。跛行性(物事が釣り合いのとれない状態で進行する性質)が当然ありますので、各県の事情があって、ばしっといくところ、それほどいかないところとあります。それをその地域の取り組みを、なぜ遅れが見られるかの課題を明らかにして跛行性を解消する。これは国づくりに際して、国がやって一律的にやれと、ナショナルミニマム的なやり方だと一律志向がいいが、先進的な取り組みは突出する縦突進の都道府県が出て、それを横展開を図るという国の作業があったほうがいい分野も結構あると思います。

 さまざまな分野がそのようになってきているように思います。現物給付、国が絡む、公共団体が絡む場合は縦突進を、小さな地域でやって突進して失敗も含めて教訓を得て、それを横展開する。だから失敗してもいいんだよというのも一つの大きな地方分権の大きな特徴です。有意義な失敗をする地方があっていいんだよというのが、自治の地方分権の大きな意味だと私は思っています。だから意味のある転び方をしないと、転ぶときも立派に転ばないとというのが教訓です。同じ攻撃パターンを繰り返して、負けてばっかりいたのが戦前の日本軍だから、同じパターンをしないよというのも大きなポイント、A県とB県で違うやり方でして、どちらがうまく進むのか比較しながら学び合えよというのが地方分権の大きな意味だと思っています。それを社会保障は現場が大事だからというのを、この民間ペーパーでは言っておられるように思います。

時事通信:
最後に、奈良県の取り組み、施策のすぐれたところというのを、どういうふうにアピールしていこうとお考えでしょうか。

知事:
 アピールをするというので気負って行くわけでは全くないのです。現場の取り組みを、その意味を論理的に説明したい。どうしてそんなふうなタイプの取り組みをしたのかというふうに説明しなくてはいけない。とりわけ、地域別診療報酬の採用もあり得るということを言ったのを注目している医療業界もあります。毎日発信するRISFAXという医療業界のペーパーに、ここでしゃべっているのを、荒井知事がこう言って、こう言ってということを、あれは誰がどのように聴取したのか、しゃべり方もちゃんと書いてある。そのように書いていただくと、正確に言っていることが伝わっているのでありがたい。なかなか奈良版には載らないような書きぶりがちゃんと一字一句が、微妙なところであるので地域別診療報酬はどのようなふうに考えているかということを、そのRISFAXという1枚ぺら紙で記者会見から引用された言葉が載ってて、ああ、このように拾っているところもあるのだなと。多分ユーチューブや、この会見が公表されているので、それを取材して書いておられるんじゃないかと思います。

時事通信:
 奈良県の特徴である地域別診療報酬のアピールというか、話もされますか。

知事:
 その中に入ってますけど、それはアピールではないです。どういうふうに地域別診療報酬という選択肢の1つとしてやったかと。この記者会見で言ったことをそのRISFAXに書いてあるが、結局ここに書いてあることですが、将来の保険料水準の見通しを策定して、それに向かって36年に、保険料と受益と負担を均衡させようと。均衡しない場合ということは、医療費が上回った場合があります、下がった場合もありますが、保険料が足らなくなったときは保険料を上げるか診療報酬を下げるかしかないでしょうと。もう一つの選択肢は法定外繰り入れ、その決算が出た後の補助というのは、今まで法定外繰り入れということをやってきたが、これはもう決算が出るまでの間にどんどん法定内繰り入れでやってきている話だから、法定外繰り入れはしないですねということ、あとの選択肢は保険料を上げるか、診療報酬を下げるかというふうな選択肢でしょうということを説明しているというようなペーパーにしようかと思っています。

 これ逆に下がれば、1,177億だが、その想定が国民健康保険の36年度奈良県水準は1,177億です。それに合わせて保険料を徴収しますよと、36年度はってね。それより下がれば保険料を下げるので還元するか、ためておいて将来の保険料の先に回すか、医療従事者に還元するか、診療報酬を上げるというのも何か後追いで上げるのは難しいから、医療の改革にためるかというような選択肢が、その目標よりも、1,177億よりも医療費水準が下がればそういう選択肢もある。上がった場合の選択肢は、保険料の値上げか地域診療報酬の下げかになるでしょうということを、それを選ぶというのはその時点での選び方だからというふうなことを、ここでも言ったつもりでもありますし、そのRISFAXはそのようなことを割と言葉でよくとっていただいているんですよね。だからそのようなことをペーパーとして説明するというようなことを考えています。だから、それを説明した後、こちらで同日配布よろしければさせていただきます。

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民泊の届け出について

NHK:
 民泊の会合がありまして、これまでに届け出が8件出てきました。この8件の受けとめと、対応がまだわからないところが170件程度あって、そのままもし営業すれば違法民泊ということになりますが、ここに対して呼びかけたいこと、その2つを教えてください。

知事:
 施行日が6月15日で、5月18日時点でありますけれども、それまでに届け出が8件、未対応件数が170件、この帰趨が注目されるわけです。各県とも出足は遅いようですが、サイトで登録されている民泊の件数が373件、そのうちの旅館の許可をとっているものは195件、これはそちらでいかれるのか、民泊の届けに変えられるのかということもありますけれども、両方、旅館を民泊がされるのかと、あるいは今は無届けでもされているわけだけれども、民泊に届けられるのか、旅館業法の届け出をされるのかというのが、これからの帰趨ですので、170件がどうされるのかというのが今のご質問であります。何かしないと営業できないわけです。届け出しないと営業できない、その時点で違法民泊になるということになります。

 これはどのようにされるのかなという推察でありますけれども、想像ですが、民泊はサイトで見られて行かれる。特にインバウンドは行ったことのないまちの民泊に行くのだから、エアビーアンドビーみたいな大手がサイトで紹介して、それが例です。そのようなサイトがあるから373という民泊があるということがわかっているわけなんです。サイトがないとどれだけ実態があるのかわからないのが、サイト商売だからということがあります。そうすると170件は無届けだとサイトに載せられないというような措置があるように聞いていますので、サイトに載せずに民泊営業をすることは極めて難しいと思います。それとも、そんなに難しければ、やめたというのか、届けを出してサイトに引き続き載せられるかどうかということに、帰趨の予測ということにはそのようになると思います。

 それはご選択ですが、行政としては民泊はパブリックな公的な関与があって、いい営業をしてほしいということが基本で、旅館業法とのバランスをとるというのも、規制のバランスをとるというのが一つ大きな目標で条例化をしました。それと、民泊というような実態が先行しているところを万が一でも変なことにならないようにというのが届け出の背景にあるわけです。だから見える化をしっかりしようと。見える化するとその動態がわかるのでということが、今の世の中、大交流時代に欠かせない基本設計の条件だと思います。

 どのように経営されるのか。民泊が住宅宿泊事業法と言われるように、既存の住宅はありますので、それを利用しようという、そういう利用もいいですということになってきたわけでありますので、人を泊める建物専用ではなく、かつて人が住んでいたところを旅館にしよう。今、人が住んでるところも宿泊所にしようということは、ヨーロッパでは大昔からはやってきている宿泊形態でありますので、夏はバカンス、パリの人が南フランスへ2カ月ほど行く、その時に2カ月間貸すんです。その貸す業者が昔からあった。それを借りるのを、もう居抜きで借りて、ちゃんと返す。調度もそのままあって貸す。どういう仕組みになっているのか、保険があるのかもしれないですが、そういう定着した民泊業がちゃんとでき上がっている。

 日本はそのようなものはまだないんだけれども、それができ上がりつつある。細切れ民泊みたいな感じですが、細切れという言い方は悪いですけど、小さな宿泊所の住宅利用ということだと思います。奈良県では、良質な民泊業が進展するようにと願っていますので、見える化するとちゃんとした民泊業者さんだけが残っていくものだと思っています。

NHK:
 良質な民泊という時に、届けの出足が遅くまだ8件のみ。この数字を聞くと心配されませんか。

知事:
 どのように業界が動くのか、あるいはどのような気持ちであるのかということは、行政のほうからなかなか見にくいとこがあります。行政上つき合っている業界でもないので、届け出がありますので、これから多少つき合いが深まると思いますけれども、このような条例ができたのでサイトのこういう数自身も、最近ではようやくわかってきているということで、どのような実態なんだといって聞いたりしているんですけれども、だんだんわかってくると思いますが。このぐらいの数ですから、大都市みたいにどこにどれだけあるかわからない。

 これはサイトで公表されていて、エアビーアンドビーなどのサイトで公表されていますので、その闇サイトというものがもしかしたらあるのかなとよくわかりません、闇サイトは僕は目が届かない、その中まで貸しサイトがあり、信用しろよと、ここで泊まれるからといって泊まっているサイトもあるかもしれない。それはプライベートなサイトであったり、そういうアクセスができる人あるいは昔だったら口コミサイトとかで、電話だけでやるとかがもしかしたら大都市ではあるかもしれません。それは少し普通の人は行きづらいのではないかと推察しますので、奈良県みたいなところはこれだけの数だったらその動向を察知することもそう大都市ほどは難しくないように思っています。動向がわかれば教えてください。

NHK:
 動向は県も見ていきますか。

知事:
 そうですね、動向を見ていきます。この表は6月15日までずっと進捗をとって、6月15日で残り幾らとなっていますということは発表しようと思います。どうするんだろうかということで、これから営業をもし続けるなら違法になりますということが明確になるわけでありますので、想像だからわかりませんが、駆け込み届けになるのか、やめた格好になるのかよくわかりません。よい民泊になるようにと願っています。

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消費税増税について

毎日新聞:
 来年秋に予定されている消費税の増税の件で、最近発表された四半期GDPが久方ぶりのマイナスということもあって、その3度目の延期も濃厚じゃないかという話もあったり、与党議員の中では、もう延期じゃなくて凍結というような意見を出されている方もいて、ちょっと政権がどうなるかという部分もあって不透明な部分もあるんですけれども、地方自治体のトップとして、地方税収の大きな税になっている部分もあるので、来年秋の消費税のアップについてどのようにお考えか、お聞かせ願えますか。

知事:
 8%から10%に上げるというのは、法律で上げることは明記されています。そのため、上げない場合は法律改正が必要だということになります。今、増税の是非ということについて改めて経済動向との関連で今、おっしゃったような議論が政治でもあります。

 また、学者の間でも増税、財政再建というか、財政重視派と経済重視派で論が分かれているように思います。

 経済と財政は裏腹ですが、先ほどの社会保障の議論と関係するとおっしゃったように、まさしく借金社会保障です。それで社会の安定をもたらしている、借金で社会保障するというのを我々がそれでいいと思うかどうかも含めてよく知っていないと、それが後世のツケになるのかどうかも議論が分かれていると思います。

 結局、どの議論が正しいのか後でしかわからないことが多いわけです。ただ、今そういう議論があることを、国民の皆さんによく知っていただかないといけませんし、私のような立場はもっとよく勉強して意味をよく知っておかなければというふうに日ごろ、思っている分野です。

 リフレ派という学者の論ではなしに、地方の知事としての所見ですが、かねてここで聞かれたときに一貫して言っているのは、私は増税必要ですということです。ずっと昔から消費税増税、5%から8%のときもずっと言っていました。経済との関係は、経済をてこ入れする必要があるわけでございますが、増税のインパクトを緩和するという意味では、とりわけ消費です。消費税の増税が直撃するのは日本の経済を支えている消費が、さもなくても弱い消費を打撃するのでないかというその論の一つの根拠であります。

 その消費をどうするかは、本質的に大きなことです。これまた裏腹で、消費が伸びないのはどうしてだと思われますかと、これも論があります。社会保障が安定し、消費が伸びないと、老後の不安から貯金をして、貯金が金融機関に入って、その金融機関の貯金は国債に回って、国債が社会保障しているという、そういう循環形態になっています。それで安定しているというのは、理想の形ではないようには思います。ただし、社会の安定の仕方として、先ほど言いましたように一つの知恵かなと最近は思う面もあります。でも本当はもう少しドイツ風だと借金をしないことになります。

 こういうものの破綻シナリオになると、ドイツは破綻、ハイパーインフレに襲われた経験があるから、財政を極めて重視しております。それをヨーロッパの中に、EUの中に共生しているから評判が悪いというか、ついていけないEU参加国が出ている状況かと思います。

 ドイツでなくて日本のようなパターンがあれば、借金で遊ぶよという南の国がもっと出てくるかもしれません。

 消費に後ろ盾つけばいいじゃないかというのと、社会保障に回ればより使うよというような国柄と、また社会保障がある程度充実してても、心配だ、安心できない、貯金をしとこうというメンタリティーの国柄と、いや、もうひどい目に遭ったからとにかく借金しない、健全財政でやるという、一番際立っているドイツのような国と、国のやり方が3つに分かれていますが、日本の国柄がどうなるのかは、政治、そのときの政治判断ということになると思います。この場合は賢明な判断をしなくてはと思っております。

 主な判断者は国政だと思います。地方という名を冠して私個人の意見や感触であれば、少なくとも8%から10%ぐらいにはする必要がある、まだ社会保障を続けるということであれば、借金社会保障というのもある程度限界があるかと思っております。

 一つの出口は、高齢化の進捗は10年か15年ぐらいで山を超えるというのを、少なくともそれまでに破綻しないようには健全財政といいますか、うまく乗り越えなくてはと思います。

 その現場が国民保険の県単位化とか、医療費抑制とかという地域の努力をして、合理的な給付をせめても務めないといけないというのが、借金で金が回るからどんどん使っていいではなく、そういう問題ではないというのが、先ほどの議論との関連になります。

 それは受益を健全にしよう、抑制しようということになります。この負担を健全にするのは増税ということになります。保険料を増嵩する、増税するというのと負担の話でありますので、負担と受益をどのように政治的に判断するかということにかかっていると思います。

 負担の影響、経済の影響はどうかという判断だけでなく、受益をどう考えるのかというのが政治的判断の大きなもう一つの柱になります。構造的には受益と負担というのは、何のためにこんなに財政が悪くなっているのかということになります。

 毎年数十兆の借金をしているのは、社会保障の赤字を、赤字とは言いませんが、負担を税金で埋めて、安定させております。それは受益を現世代への社会保障というので現世代に展開しているのを、借金の財政でやっているということです。

 その同世代間の負担というのは日本の国の弱くなっている建前、原則ですが、同世代間の負担を達成できたら税金も含めて将来に借金が残らないということになります。

 しかしそのプライマリーバランス達成がいつになるのかということになるわけです。どれだけ急ぐのか、あるいは目標としてこのまま拡散する、拡散が一番怖いですから、ハイパーインフレになる可能性ありますから、国債の引き受け手が国内にいないとなれば、世界からあっという間に見放されてしまうと思います。

 そういうことにならないように本当に切に願います。そのためには受益、給付を合理化するというのが大きな話だし、負担も合理化というのはどういうふうになるのか、経済に打撃を与えないで、かつ負担を公平にするというのをどうするのかということは大きな、昔と違うのは高度成長でないということです。

 低成長の時代の負担をやるのは受益の分配という政治から、負担の公平という政治のアジェンダに重点が移っていると思います。負担の公平というのは多世代含めて、同世代も含めて負担の公平を達成するという政治理屈が要る時代になってきております。

 負担の公平というのは、負担の公平の前提に受益とのバランスということが当然関係すると思います。受益とのバランスは、社会保障の分野では明確にならなかったけど、奈良県は見える化して明確にしていこうという試みを健康保険という分野でチャレンジしようと思っております。

 それを国民、県民の人は目をつむらないで見て、これは戦争ほど怖くないですから、現実の生活の話だから、怖がらなくても僕は大丈夫だと思います。見ないのが一番いけないと思います。見える化をしてどのようにするかですが、みんな日本の人は賢明だから考えていきましょうと、地方の行政の立場としても取り組みたいと思います。だから、負担をこれからするよといって安心できるわけではもちろんありません。しかしその受益、支出をどれだけ意味があるようにするかというのを、新しい社会保障の中では、県が結節点に立っていると思います。

 医療費の均てん・適正化と、医療費の支出の抑制、これは受益の問題、負担をどのように展開するか、これは保険料をどのように払ってもらうかの問題です。国民健康保険は一番弱い保険であるため、保険料だけではだめなので、ほかの保険集団から払っていただいている、あるいは税金から払っていただいているという意味を明確にすることは今、非常に意味のない支出ほど怖いものはないというふうに私の感覚では思っているところです。

 何かの意味はもちろんありますが、意味のわからない投入ほど、昔、戦争では意味の分からない戦力を逐次投入といいましたが、これは今は社会保障は税金ということになりますが、意味のわからない税金の戦力を逐次投入してばたばたとやっているのは、これはどういうことかと後で聞かれてもわからないとなることもあります。

 公文書も残ってないということは往々にして日本の行政でもあります。だから、そういうことをなるべく避けるように努力しないとと思っているところです。それが県の立場で、今度は国のやっていることを多少やゆして言うんじゃなく、自分の、当事者にもう4月から成ってきているというのが、もっと勉強しないとと感じております。

毎日新聞:
 わかりました。そうすると、消費税で10%に伸びることを前提に、県の医療費の適正化計画をつくられているんですか。その8%に据え置きになった場合は、結構影響があるものでしょうか。

知事:
 8%でも10%でも、12%でも、これはお金だけの話で、医療費適正化というのはそれを超えて、真に必要な医療に支出しているかを見える化しようというのが基本的な方向だと思います。

 それはお金があればそんなこと関係なくてやっていいよというのと、今の話は8%、10%は負担の話で、それと関係づけて医療費適正化やるわけでなしに、医療費適正化というプロパーの話がありますよというのが一つあります。

 またそれに関係もありますが、お金で償ってもらうという関係になっていますが、受益をどれだけ負担するかという関係で初めて消費税8%か、10%になるかと出てくる関係になります。

 10%になったら、保険が減って税金が入るのかと、すると税金を入れると保険料負担が減るという関係にあります。保険か税金かというと、負担者の個別負担者は違うけど、もとは国民になるわけです。保険料で払うか、今、社会保障費で払うか、税金で払うか、その負担の社会保障費はフラットですが、税金だと所得の考慮が、再配分効果がありますが、やはり税金の重圧感というのもあるし、消費に影響するとか、そういう全体の設計が必要だと思います。今みたいな議論を見える化したほうが私はいいと思います。

 今の話で、医療費適正化は受益プロパーとして適正かという課題があると思っています。無駄に使ってないでしょうねという、他人様からもらうお金も入っているのにと、皆自己負担でやっている医療費だったらこれは立派なものだけども、そうじゃないんだからちゃんと医療費使ってますよということを自己証明せないけないと思っています。

 それが医療費適正化計画の一番大事なところだと思います。自己規律がないといけないということです。規律というのは抑えるというふうに医療界は言うかもしれないですが、ちゃんと意味のあるように使っていただいているんですねということを言いたいところがございます。

 すると、これは医療の使い方、供給主導みたいに言われますけど、真の医療費需要を客観的に把握できるのかを厚労省の担当にはたびたび言っております。真の医療費、医療支出を客観的にどう把握するんですか。ちなみにまだ日本、世界どこでもできておりません。それは医療費適正化の根本問題だと思っています。

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せんとくんの活用について

毎日新聞:
 せんとくんの今後の活用はどうお考えですか。

知事:
 そうですね、せんとくん、記事のおかげで全国ブランドになった覚えがあります。いじめられキャラのような感じもしますが、私と同じようにといいますと余計なことですが。例えばこういう活用(記者会見場のバックボード)は無料ですが、売ってるというようなものに入ると有料だと、こう言っているんです。

 しかし、先ほどのせんとくん自身は奈良のイメージキャラクターなんだから、売っているものに張ってくれてもいいじゃないかということをどう思うのかということを、さっきも議論しておりました。

 今後の活用の方向として、無料でいいよと言うと、民間の商標とはいかないまでも、おかしいのかどうかという類いの検討をしてもらおうかと思います。

 有料のせんとくんが稼ぐから良いと評価するのか、有料、無料を問わず、せんとくんが世の中に知られるのがいいのかと、何をその評価基準とするのかという問いを私からは最近投げかけています。

 それは新宮さんのおっしゃった今後の活用の方向、考え方に結びつきます。まずは、少し検討して考えが固まれば、具体的には有料をなくすのか、有料をそのまま維持するのか、稼ぐこともやってくれよということをせんとくんにお願いするのか、もう稼ぎはいいよと、もうそれを使って商売する人もいていいというふうに言うのか、そう言うとちょっと不公平じゃないかと思われるのかどうかといったような公正さの問題かというふうに思いますので、その点をちょっと議論したいと思います。

 先ほどのこのマーク(ナンバープレート)と同じように、そういう象徴キャラクターをどのように社会的に利用するのかという政策の考え方にも関係すると思います。別に県が商売しているわけではないので、これをたくさん使ってもらったら、県が何か稼ぎがあるとかという、そういう主体でもないわけです。するとこういう、ほかでいろいろキャラクターが出てますが、そのどういう意味というふうに考えればいいのかということもそろそろ問い直さないとというふうに思っています。

 前から思っていましたが、問いかけ始めているので、そんな生真面目に考えなくてもいいよと言われるかもしれないですが、ちょっと理屈立てて考えたほうがいいのかなと思うとこがありますので、また考えてご報告いたします。

毎日新聞:
 めどとしては、いつぐらいまで。今年度中ですか。

知事:
 もっと早くと考えていますが。そんなに悠長でなく、物を変えるわけでもないですし、考え方ぐらいを議論すればどうでしょうかというぐらいまでは行くと思います。

 使用の考え方をどうするかという、そのGIF(画像)をどうするかということだと思います。みんなポスター、みんなこうGIF(画像)にキャラクターを出して、このプレートもそうですけどね、世の中図柄系が、テレビも図柄系が出て、図柄音声で出るようになってますので、文字系がだんだん弱くなっております。

 しかし文字系も大事ですから、こういうふうに理屈立ってメッセージを伝えるのもいけないので、図柄を間に入れて文字系でも考えないといけないということは当然あると思います。

 それは僕の感じから言えば、社会のコミュニケーションスタイルだと思います。いろんなコミュニケーションがあったほうが社会の安定に資するのでないかと思っております。

 日本人は割とコミュニケーション下手というか、日本人流儀があるように思います。それをなるべくコミュニケーション、特に医療・介護とも関係しますが、終末を迎えると、ホスピスになるとコミュニケーションが、医療よりもとても大事だという医療の先生が出始めております。

 すると医療というのは何なのかと考えさせられます。永遠に生きられる医療はないので、最後、終末期をどのように迎えてやるのかがコミュニケーションです。するとそういう目に遭ったときにコミュニケーションの社会とのつながりをよくするように心がけるのか、日ごろからいろんな状況を発散、いじめとかも関係します。アンガーマネジメントというように、いろんな感情のマネジメントが閉じ込められ、ふたをして、どっかにぽこっと吹いて人を殺すという事例が日本の特徴であるように思います。

 武器が近くにないんだから、アンガーマネジメント、感情コントロールを、エモーションコントロールをうまくするのがコミュニケーションだと思います。それがうまくできるようになれば、社会がもっと安定していくと思います。安定して抑えるのではなく、すごくイノベーティブな活動がなるようにというふうに、型にはめないということでもあります。また、そのときのコミュニケーションの流儀というのをなるべく、お互いに不快にならないように設定していくというのも大きな課題だと思います。

 不快にならないようにとは、最近出ているセクハラ、パワハラの話もありますし、コミュニケーションをどんなスタイルでやるのといったら、日々のそういう関心の延長だと思います。

 このような話しをすること自身も、コミュニケーションの考え方というのをお伝え、考え方を述べてまた教えてもらうきっかけになるように思います。最近は余計なおしゃべりがたくさん入りまして、いつもおわびを入れながらコミュニケーションをするように心がけております。

司会:
 よろしいでしょうか。ほかにご質問よろしいでしょうか。
 幹事者さんもよろしいでしょうか。
 それでは、これで知事定例記者会見を終了させていただきます。
 ありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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