平成30年6月28日(木)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 それでは、ただいまより知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は発表案件はございませんので、ご質問よろしくお願いいたします。


質疑応答

大阪府北部地震について

奈良新聞:
 先週、大阪府北部の地震があって、ブロック塀の倒壊等ありまして、大阪や京都では、ブロック塀の撤去に関する助成金制度が新設されていますが、奈良県でも同様の動きがあるか教えてください。

知事:
 大阪府北部の地震で、学校のブロック塀が壊れて、お子さんがお亡くなりになられました。そのブロック塀が倒れるようなものだったということが後でわかったので、緊急対策の必要があると思います。他山の石でありますので、奈良でも学校、また県有施設も含めまして、ブロック塀が危険な場合もあるということがよくわかりました。昔からブロック塀は倒れるというケースがありましたから、点検してもらっています。点検結果の報告がその都度来ておりますけれども、今日時点の点検でも、建築基準法の不適合であるとか、老化損傷の状況があるような報告を受けております。

 危険だから全部撤去とは、すぐにいきませんけれども、補修をしたり、とりわけ地震はいつ起こるかわかりませんので、危うきに近寄らずがまず第一です。危険であるという認識があればよかったというのと、身近な行動、特に児童も、大人でもそうですが、人がうろうろする時に危ないものがあるということは怖いことだということを改めて認識させていただいたわけですが、とっさの応急措置として、危険そうなところ、倒れるかもしれないところは、ブロック塀だけでなく山でも家でもそうですし、道路でもそうですが、近寄らないよう心がける。地震はばさっと起こるということを改めて思いました。

 このブロック塀については、先ほど調査していると言いましたので、危険なブロック塀が存在していることが、数も含めて、場所も含めてわかってきております。その調査が出ております。対応したいと思います。補修するとか、場合によっては撤去するということですが、対応を考えていただいております。具体的にどの場所というのはまたおいおい発表されると思いますが、その都度報告を受けております。

奈良新聞:
 私有地のブロック塀に関する助成、撤去費用の助成、補修の助成等、検討される予定ですか。

知事:
 私有地はどうなのかなあ。私有地は考えてなかったです。私有地、今の法律の原則は、土砂崩れもそうですが、民民になりますので、危険な家を建築しても何でも、他人に危害を、地震にしろ危害を加える時には、その建てた人の所有者責任ということがあります。危険なことが起こったら公が出るというわけではない、地震災害は民民、所有者責任が原則だと思います。それは変わりはありませんが、どういうケースで多少の被害がないようにできるかというようなことを考えないといけない。

 私有地のブロック塀について、今の考え方の延長でいきますと、自分の家の塀が人に倒れた時の責任が問われることになると、それが安全基準に適合している塀かどうか。これは自然災害、強い地震が来れば軒並み倒れて、その軒並み倒れた、10戸並んでいたうちの1戸に下敷きになった人がいる。そのたまたま倒れた塀の所有者が責任をとることになり得るんですけれども、ほかも一緒に倒れたといった時の責任というのは、少し違うような感じがします。民民の責任対応はケースで判断しなければいけないかなというのが、とりあえずの考えです。民について何か対応するということは、今持ち合わせておりませんということが正直なところです。

時事通信:
 関連しまして、今回の地震で奈良特有の地震の弱さというか、文化財に何点か被害がありまして、これはもっと大きな地震が来たらあちこちで文化財に被害が出るのではないかと思います。奈良の文化財を守るような方策等ご検討される予定はありますか。

知事:
 奈良の文化財は、個人的な感想で、よく今までもってきているなと思います。例えば大仏殿は人災で火をつけられて焼かれたことが二度あるわけですが、自然災害では、高野山は落雷で大概焼かれてしまって、奈良はそういう自然災害から守られていたんだなという思いがあります。だから安心だというわけではないんですけれども、すごくそういう面があるなというのは感じます。

 その上で、しっかり文化財を、完璧になるかどうかはわかりませんが、ここまで守ってきた文化財ですので、今の人知の及ぶ限りで守る手だてはできたらなと思います。単純に建物が倒れないのに、仏像ですから、ごろんごろんとして横に倒れて損傷するというのは、単純で倒れることは悔しいから、壊滅してしまったら仏像様おかわいそうにと、皆倒れてしまって、我が家も倒れましたが、仏像も倒れてしまったと、おかわいそうにというような感じになると思いますが、それでも仏像だけでも残ればすごいなと思います。耐震補強は、建物の耐震補強、木造は何となく強い感じがありますが、耐震補強の必要があれば、ブロック塀よりはるかに強いです。しかし、それを上回る大地震があるかもしれないので、どんなケースでも守り切れるかどうかというところまでなかなかいきませんが、ここまで守ってきたからには守りたいなという気持ちだけの話で、答えになっていませんけれども。

時事通信:
 仏像様が転がったり、倒れたりすることについて、対策は考えてはいないということですか。

知事:
 火災に弱いですが、地震に強いのは、仏像は転がっても皆、手で持っていく。それで助かっている。腕がもげても、またそれはつけかえるとか、そういうことで守ってきた歴史があります。今までの守り方を含めて、振り返って、どんな場合でも守るというようになれたらと思います。

 仏像も、先ほどの私有地の話ではありませんが、民間のお寺が持っておられるケースが多いですので、興福寺の国宝館も今まで耐震性が弱かったですが、耐震化をして、耐震性が上がった。国宝館の耐震性向上は、宗教法人がされましたけれども、あのような動きがあることはありがたいなと思っています。お金がないからできないんだというお寺も大分あると思いますので。

時事通信:
 災害警戒本部を県も立ち上げましたけれども、地震発生時の奈良県の行政的な動きについてどう評価されていますか。うまくいった、立ち上げが早かった等々。

知事:
 そうですね、7時58分に発表があって、たまたま出勤の、もう来られていた人もいるかもしれないし、すぐに執務にかかるという時間帯でありましたので、休日だとか夜間で人が来るのが遅かったということはありませんでした。私も、通常よりやや早目、通常どおり出勤いたしましたが、既に危機管理監が危機対応をされておりましたので、しかも対応のレベルがいろいろありますが、2段階目ぐらいのランクでされていましたので、通常マニュアル通りの対応のように思いました。

 その後、余震があり得ますので、余震への気配りを改めて、出勤後のことですが、指示いたしました。今の時点で欠けていたところがあるかどうかということはまだ見つけておりませんが、これから、まだ余震がすぐには起こっていませんが、時間を置いて連鎖の地震があるかもしれないというように用心しています。さらに大きなこととして、南海トラフに地中で連動する可能性も言っておられますので、これは大きなことになると思って、その際にはどうするか、かねてから対応の大きなポイントでありますけれども、改めて対応をチェックしていきたいと思っています。それだけ大規模地震を誘発することが何十年後にあるかもしれない。あるいはその何十年後に確率が高いのが、もう少し身近になるかもしれない。地震のご機嫌次第かもしれませんが、あり得るということを想定しながら対応していきたいなと思っています。

時事通信:
 今回の地震を含めて、災害対策マニュアルや防災計画等、手を加えていくお考えはありますか。

知事:
 そうですね、今回の地震はこの程度ですので、もっと先に大きなことが起こるかもしれないと思って、今までやってきたことをもう一度また考え直そうと動き出しています。南海トラフ等が起こるとすごいからというようなことで、そういうことに向ける気持ちをこんな地震で少し刺激されているように思いますし、そのような気持ちを大事にして、さらにもっと大きな大地震を想定した対応を考えようと職員に呼びかけています。

時事通信:
 具体的にはどういう形で結実することを想定されていますか。

知事:
 南海トラフになると本当に想像できない対応になると思いますけれども、奈良は防災体制が、地震が起こった時はまず命が助かるようにと、想定は地震と大水害と土砂崩れと、3つを主な災害を対象にしています。津波はないだろうということで、台風はありますけれども、それは通常のことで、地震と大和川の大水害、それから南部の土砂崩れ、丘陵地帯の土砂崩れを対象にして災害、それが連動するかもしれません、地震があったら土砂崩れがあって、水があふれるという連動があるかもしれませんので、それが大規模化することを想定して、その時にとにかく減災するということは知恵でできる面があると思いますので、そのような検討を重ねよう、とにかく知恵を出して備えておくと、その分だけ減災するんだからというようなことでやっています。

 水害については、内水対策をやり出しましたが、それだけ水をためれば減災するということであります。地震の減災はいろいろ知恵がもっと複雑になるとは思っていますけれども、備えがあれば減災するというように確信して、いろいろ対応しようという呼びかけを県庁の職員にしております。

 その時に、自分の周りのこと、自助の分野でやることと、共助、地域で助け合うと。答弁でも多少部長が答えましたが、県庁の現職とOBを地域防災支援員として選任していきます。それは今、県庁の職員が住んでいるところ、あるいは育ったところなどの防災は、支援員として、任命すると。支援員は、そういう防災の役目があるという感覚でいつもリエゾンを心がけていますと、県庁での防災対応の経験が地域の防災に役に立つんじゃないかということで、独自の発想で選任を始めていきます。現職には任命、OBには委嘱ということで、現職もそこで住み続ければ、できる限りお役に立つ限りは防災リエゾンとしての役に立つようにということで、彼らを中心に研修をしたり、役に立つ方法を勉強しようという呼び方を、県庁人防災支援ネットワークを作り始めています。

 それは、地震でも何でも、日本全体を襲う地震はないんです。その地域、ある程度余震がありますけれども、すごく大きな震度になる地域は限られますので、その地域が襲われた時に、その地域での防災が、減災がすぐにいけるかどうかに、命のなくなる量はかかってきますので、その時にリエゾンでも働けるような人がいれば、その場で例えば夜中に起こったら、県庁の職員が住んでいた時に、災害があったら市役所の人といつも顔つなぎをしておいて、何かの時はどうしようと打ち合わせしておいてくれと、こんなことを言っています。

 県庁の職員は市役所に出入りしたり、まちの自治体の様子なんかも多少気をつける、日頃の情報収集に気をつけていただくと、いざという時に役立つんじゃないかという発想をしています。そういうような方を、そういう心がけを日ごろしておくといざというときに役立つからお願いするといった支援員を、もっと増やしていこうと思っています。そういう県庁人利用防災対策というようなことをやり始めています。それは一つのやり方だと思います。役に立つことがあればと、何でも役に立つようなことは用意しておこうという感覚です。

毎日新聞:
 ちょうど出勤の時間で、電車で通勤しようと思ったけど閉じ込められて行けなくなって、歩いて来られた方が結構おられたんですが、奈良は震度5弱が14年ぶりで、あまり地震に慣れていない県だと思いますので、何かあったときに対応が大丈夫なのかという危惧があります。起きたときにすぐ駆けつけられない可能性もあるんですが、そういうことを想定して何かお考えの部分はありますか。例えば、特定の職員には勤務時間を早めて出勤させるシフトをしいたりだとか。

知事:
 対応の知恵はその都度積み重なっていきますので、今、思われたケースで、今ここですぐにぴったりとする知恵とはなりませんが、電車がとまったことによって今回のケースで心配するポイントが一つ二つあります。1つは、踏切がとまったままだったということ。踏切がとまったら救急車が通れないということで、電車は来ないんだけど救急車は行けないと。踏切がちんちんちんちんいっていると、これは電車優先なんですけどね。これをどうするのかと、考えないかんケースだと思います。

 電車はいつ動くかわかんないけど、とにかく電車がここまで来ていれば、この踏切は遮断機がおりたままと。もし救急車が行こうと思ったら横断できないというケースがあります。3時間もとまった踏切があると聞きましたので、電車に乗った人が閉じ込められたのもあるんですが、これはおりて歩かれました。それも大変だったけれども、奈良のケースはそう最悪じゃなかったんですが、最悪のケースは、電車がとまって踏切がおりたと。こちらで家が倒れたと。救急車を呼んでも渡ってこられないので救急車がおくれたというようなケースも想定できるなと思って、今のケースをちょっと重視して、どうするのか考えようよと指示しております。電車がとまったケースの一つのパターンだと。そんなときにはどうするのか。その踏切をあけろといっても、規則になってないから難しいんですよね。そのときの規則をつくっておこうかというような、いろんな対応を緻密に計算しとかないとルール化できないので、ケースを緻密にしようかと思います。

 私の抱えているプロジェクトで思い出したのは、西大寺駅周辺で踏切がなくなればいいのにな、と発想をしました。それは別の話としても、踏切がなくて高架であれば、今度のケースでは踏切がとまらないで、高架の上に(電車が)とまっていても下は行けるという発想はしました。だからやっぱり連続立体交差は要るなと思いました。できればできたほうがいいケースだと思います。それ以前に、踏切がとまった場合どうするのかなということを検討課題にはしたいなと思います。電車がとまったケースというのの、一つのパターンということですけどね。

毎日新聞:
 それは、県庁内で検討されて、行く行くは国や鉄道事業者に働きかけるような考えもあるんでしょうか。

知事:
 そのルール、そういう場合はこういうやり方がいいんじゃないのかというプロセス、プロセディア(手続き、手順)が発見できて、それを「今の根っこはこういう規則だからというんだったら、そういうことをできるようにしてくれ」となるのが想定できますが、「こういうケースをどうしてくれるんだ」という単なる要望を出しても、僕らの立場は、知恵を出して「これを適用したらどうか」というところまでいかないといけない立場だと思いますので、誰かが考えてくれるというよりも、まず考えて知恵が及ばないところは、「もう少しいい知恵があればお願いしますよ」という言い方はできると思います。まずは県庁で知恵を出したいなと、防災を研究しようと言い始めたところです。

 ほかにも類似というか、今回は起こらなかったけど、こういうケースもありそうじゃないかということがどんどん出てくる可能性がありますので、一挙に全部できませんが、その都度、その都度検討して積み重ねておくと、忘れたころに役に立つと私は思います。とにかく積み重ねて検討しておくと、あのとき検討したのはあれだと。あれをやれば今度のケースは助かる。10年後であってもですね、ということになると私は思いますので、とにかく真面目に、気がつくことは検討して、その解決案の糸口ぐらいのところまで行っておけたらなと思います。

 いつも引き出しから取り出せるようにできたらというような感覚ですね。棚の上に置いて、その解決案はどこに置いたのか、と探すようではなかなか大変ですから。防災対策の薬箱をたくさん置いて、あのとき検討したあれだという、そんなもんだと思うんです。忘れたころに対応策が必要になるのかなと思っています。しかし、その都度薬箱を用意しないといけないので、今、一つのケースをご示唆いただきましたが、そこからまた検討を深められたらと思います。その都度、その都度だと思っています。

毎日新聞:
 わかりました。それからもう一つ、先ほど話にも出た私有地のブロック塀の件ですが、確かに助成という点では今の法律からは難しいと思うんですが、とはいえ危険性があることは事実なので、どこに存在して、どんな対策が求められるかぐらいのことは、やはり皆さんで共有されるべきなんじゃないかと思います。県の土木事務所や、主要3市で電話相談窓口をつくられた対応はいいと思うんですが、さらにもう一つ私有地に対しても、もう少し情報提供をスムーズにできるような仕掛けがもう一つ必要なんじゃないかと思いますが、いかがお考えですか。

知事:
 どういうやり方ができるのかなと思うんですが、それぞれご自宅なり、施設の形態が違いますので、昔はつくったブロック塀がだんだん危ないということがわかってきたという、そういう進展はあろうかと思います。ブロック塀が流行っていた時期がありました。それがどんどん倒れ出して、ブロック塀は危ないぞということで、あんまりブロック塀はつくられなくなる傾向にはあるんですが、逆に残っているのは危ないぞという感じはあります。古いのが残ったりするもんですから。

 ブロック塀は、塀としては安かったと思うんですね。簡便に立てられるいい塀だということだったと思うんです。だから昔の土塀とか、古い家は割と強いところもあるんですよね。土塀なんかは潰れても、下にどさっとなるので、ばたっと倒れないので加害が少ないかもしれません、想定ですが。だから加害するのは用心しようよというのが第一で、痛い目に遭って、やっと危ないケースがわかるのが人間ですので、「こういうケースでこうであったから、おたくのは大丈夫ですか」と注意喚起を促すのがこういう災害の基本だと、私は一般的な話では思っています。こういうケースがあった、それじゃ、うちの家のところも危ないかもしれないと思っていただくのが、まず出発点かなと。

 奈良県は災害が少ないので、行政がのんびりする傾向もあるかもしれないし、またそうあっちゃいけないと思って、災害があるところに派遣して被害の状況を調べるようにしています。今回の北大阪にも行ったかな。今度はわりと報道がたくさん身近だから出ますので、こういうふうに危なかったということを検証して、それを糧にして奈良県ではどういう対応をしようかという知恵を少しずつでも、すぐにはできなくても、出していくのが大事かなと思っています。

 奈良県で起こらなくても、大阪、福岡で起こった災害に、救援には役に立たないけども、視察に行くようにしたんです。立派な勉強になりました。福岡の場合には流木の被害がすごかったから、流木の被害をなくそうというのが、森林環境制度をしっかりやろうという気持ちとしてつながってきています。流木被害というのはひどいじゃないかという感じになってきました。切り捨て間伐が多いですから。間伐を縦に置くなんて最悪だと、せめて横に置けと。縦に置くと流れやすくなって、家を壊したと福岡で報道されているんですけど、我が身のこととして発見したというケース。今度は、北大阪で、我が身のこととして発見するのは何かということを勉強をしてもらおうかと思っています。

 今、死者が出たので土塀の話が出ましたが、そのほか水道とかガスとかいろんなケースがあるかもしれないので、都市型の地震で気をつけるポイントはどういうものがあるかということを、他山の石ですけども、勉強をしてもらおうかと思っています。それの積み重ねで、土塀だけじゃなしにいろんなことで気がつくことがあれば、時間かかっても対応を、薬箱をつくれるようにと思っています。まだこれを、地震のような災害は、すぐに薬箱つくったと言ったら記事的には終わってしまいますが、忘れたころにしか薬箱は要らないと思って、そんな対応でもいいからつくっておこうよと。場合によってはすぐに余震が来るかもしれませんが、そのような息の長い防災対策というふうに心がけていきたいと思っています。

毎日新聞:
 大阪のほうに行かせているというのは、危険度判定士とは別ですか。

知事:
 別ですね。それは救援ですが、行ったということは積極的に言っても役に立たないのであまり言わなかったんだけども、実は偵察じゃないんですが、勉強に行けよと。災害の現場は勉強になるからと、災害の度に行かせるようにしています。救援に役に立たないのが来るのかと思われちゃいかんので、あまりこういう場で発表しなかったんだけど、基本的な対応のパターンは、災害のケースでしかなかなか知恵が出ないのでね。こういうケースだったら奈良じゃどうするんだいと、こういうことをしなきゃいけないので、起こったところは先進事例になりますので、どんな対処をされるのかよく見たり、聞いたりしようよと。それを積み重ねて奈良の備えにするパターンをとろうと。災害はしょっちゅう起こりますので、その都度勉強の材料を学んで持ち込むといったやり方を、奈良県はしようとしています。

読売新聞:
 地震で、水道管が大阪で問題になり、かなり長いこと断水をしてましたが、奈良県も老朽水道管がかなり多いようで、全国で4番目、大阪が一番悪いですが、耐久年数のもともと40年を超えているのが大阪が29.3%で、奈良が4位で20.7%ということです。このあたりのてこ入れといいますか、どのように今後していくかというのは、何か検討されますでしょうか。

知事:
 そうですね、老朽管率が4番目とは、すぐに知りませんでした。古い管があるということは知ってました。その老朽管対策ということだけではありませんが、老朽管が放置されるのは、水道経営の採算と経営力の弱化も関係していると思っています。

 そのときに、老朽管を持っているのが、多分奈良県は市町村の管が弱いのではないかと思っています。奈良県でそれも含めた対策ということで、38年に水道の経営統合しようということを打ち出しております。

 経営統合いたしますと、県の県営水道も多少のノウハウ、財政力が市町村水道まで及ぶということを想定しています。市町村水道まで及ぶと、今の老朽管を修繕できます、県営水道としてできますよと内心は思っています。そのためだけの経営統合ではないですが、老朽管対策が割と水道経営の中では大きなポイントであります。人口が減り、高齢化で水道の消費量が減ってきております。人口密度の場所も変わってきているので、まちづくりの中でどこに、どういう配水が要るのかというのもあわせて研究しながら、ダウンサイジングの経営効率化というテーマで水道経営を考えています。県営水道と市町村水道と2つに、日本の方式は県の役割、市町村の役割と切るのが得意です。しかし、地方の僕らの立場だと、この二つをつなごうと考えています。

 奈良モデルの基本はつなごうということで、県域水道という発想をし始めております。これは何度か、県域水道がつなぐという、磯城郡の田原本で出ましたけれど、県の水道は多少高度があって、遠くから持ってくる投資をしました。大滝ダムから持ってくる、吉野川の取水をして上水道の水を持ってくる。これは何十年の長い事業で、やっとそれができるようになったら、人口減少で水余りになってきました。その水余りの恩典を市町村水道に分けようとしております。

 県営水道の料金は高いです。しかし、今後市町村の施設の更新があるときは、県営水道につなぐと浄水場が要らなくなります。それで県営水道をそのまま落とすと高度があると助かるところがあると聞きます。

 こういう発想で県水利用率を高める、そのときに市町村の経営効率化に資するようなところをやりだそうと、幾つかケースが出てきております。磯城郡、田原本がそうですが、それをだんだん話していると、更新するのをやめて県水にかえようという市町村が出ております。高くても効率、長期的には100億も、何百億も得になります。県営水道の効果額は800億だったかな、すごい量だということがわかり、これはいいやと興奮しております。

 そのときの、その節約を老朽管の更新に向けようという発想はもとからあります。ちょっと迂遠な話かもしれませんが、老朽管の更新だけ一生懸命やると、また財政的に負担がかかります。そのため県営水道を県域水道にかえる過程で老朽管を見ていこうと考えております。

 それは、38年の統合で、すぐに老朽管がきれいになっていくわけではありません。しかし、市町村水道にだんだん体力がついてくると、老朽管の更新も、浄水場のかわりに老朽管の更新に向けてくれると思っています。そのようなちょっと迂遠なことですが、そういうことも地震対策で改めて大事と思います。

読売新聞:
 将来的なトータルな目で見ていく感じで、現段階でどうこうというのはなかなか難しいですね。

知事:
 個別にこうすると、非効率になる面があります。それでもせないかんという政治課題になるかもしれません。たとえばここは水があふれ出したら、その一つ一つの、場合によっては、弥縫策と言われます。でもそういう政治よりも全体を見て長期的な計画で、間に合うようであれば、そのほうが何百億も得するじゃないかと、こういう計算をしております。

NHK:
 この地震の後に、国の地震調査委員会が、奈良県が近畿の中で一番地震が起こる確率が高いと、61%ですという、この30年で震度6弱以上が起きる確率を出しています。その数字を聞いて、近畿で一番確率が高いということを把握されて、どういう受けとめをされていますでしょうか。

知事:
 確率ですから、近畿で高いですが、全国的にも高いとこもあるし、高いからといってめげてるわけにいきません。先ほどの、人間でできることは備えをすることしかありません。避けてくれよと祈るタイプもありますが、行政のできることは減災対策を積み重ねるしかないと思います。先ほど毎日新聞さんのご質問に対応して申し上げたのが基本です。

 だから確率が高いといって、これおどかしととってはいけないと私は思います。確率が高いという、そういう確率の話だから、現実に起こるかどうかはまだこれからだからって安心してもいけないけど、心配し過ぎてもいけないというのが、災害に対応する心構えのほうだと思います。こんな確率高いのを心配してないのかというご質問じゃないと思いますけれども。

NHK:
 いや、そういう意味じゃなくて。

知事:
 ないと思うんだけれども。

NHK:
 要は奈良が災害が少ないと言われています。昔から大きな地震がないと言われて、みんながそういう気持ちの中でこういうことがある意味が、ちょうどタイムリーじゃないでしょうかと。これを機にどういうふうに進めていきますかという趣旨です。

知事:
 災害がないと思ってきたことは、災害のない県、例えば同じ実績の統計だと、自然災害で亡くなった人が一人もいない年数が全国2番目に長いと結果が出ております。これは統計ですからそれだけの話で、だから安心というわけでもありません。ただ、今まで実績的には自然災害から安全な県だったということは実績からわかるわけです。だからといってこれから安全かどうかわからないというのが、そういう統計の見方です。確率に対する統計の見方と、今、三瓶さんおっしゃった気持ちの持ち方にどういう影響があるのか、どういう影響があればいいと思うかというご質問にとると、奈良県、災害の備え、適度な心配という言葉になりますが、過度の心配をしてもいけないし、軽んじてもいけないとなります。適度とは難しいわけですが、適度な心配というのも踏まえた、できることを真摯にやるというしかないかもしれません。そういうつもりの答えにもなるかもしれませんが、とにかく行政にしろ個人にしろ思いますが、少なくとも行政においては、できることを、気がついたことを積み重ねるのが、営々と積み重ねてきているのが人間の歴史だから、災害の確率が高くても低くても同じようにできることはしなきゃいけないと思っています。そのときに投資をどうするかという、早くせないかんのか、もっとお金をかけてしないといけないかです。

 これは行政判断になりますが先ほど読売新聞さんがおっしゃった、水道管の破裂にすぐに備えなきゃいけないかと、こういうテーマとしてはあるかと思います。そのときに、いや、備えるけども、長期的には効率化も含めて全体としてそういうことも視野に入れようと考えてますのが、水道管の破裂に備えるケース、あるいはブロック塀のケース、いろいろあると思います。しかしその対策にいろんな知恵を、長期的にしか達成できない場合もあります。またそれがうまくきくかどうかは、本当にその地域の運のように、私が運と言うとちょっと責任放棄みたいになるといけませんが、一生懸命備えているところは助けてもらえるかもしれないという気持ちを持っています。だから気がつくこと、できることは一生懸命せないかんと思っています。

 ただ、災害の備えは、100億円使ったから助かるよというものではないという面もあります。どのように使えば本当に助かるのかはわかりません。バランスのいい備えをしなきゃいけないなとは思っております。ただそれは結果的にどんなふうに出るかわかりませんので、真摯に災害の神様に対応するように詰めていかなきゃいけないと感じております。これは県民の人がどう思われるかというのに、どう同調してもらえるのかは、わからないところであります。県民の人が災害がないと思っていたら起こったというのは、阪神大震災、熊本のときもそうでしたが、熊本だって災害の起こらないところだと思っておられたことがありました。阪神もそうだったと聞いております。奈良も同じことがあるかもしれないというふうには行政としては思っております。だからといって、もっと用心しろと言ったほうがいいのかどうか、それはまだわかりません。

 そういうケースは、熊本も神戸もそうだったね。いつ起こるかわかんないねって。

 元春日大社の岡本権宮司が言われた本の中に書いてあった。いつまでもあると思うな親と金。ないと思うな運と災難。年をとっても運もある、まだあるかもしれないよ、災難もあるかもしれないよ。ないと思うな運と災難という、今の我々、NHKさんの質問に何かぴったりなような、ないと思うなというふうに思っとこうよと、奈良にあってもというふうに思います。しかし、運も、まだ来てない運もあるかもしれないというふうにも思うよと。

NHK:
 気持ちの切りかえってなかなか難しいとは思うんですが、ただ備えることはやっておいたほうがいいと思います。きょう一部新聞報道にありましたけども、市町村が地域の防災だけではもう足らなくなって、外から災害時に応援を受ける受援の計画、これが大阪では市町村になかったと聞いております。奈良では、十津川ぐらいと聞きまして、県も去年つくって、今年度からモデルを進めると思われているようですが、そのあたり強力に進めるぞという意気込みというか、受けとめも含め聞かせていただきたいんですが。

知事:
 県の総合防災訓練のやり方を数年前から変えています。デモンストレーションで火災をなくすよう、いろんなのをやるんですけど、ちょっと現実的なケースを想定して救難訓練を、地域救難訓練を入れたりしています。

 その地域教育訓練を入れるときに受援というのが必ず入ってくるというので、受援を、その小さなコミュニティーをどうするかというのを訓練の中に入れ始めております、総合防災訓練。そういうのをやり方を変えて、受援のケースが、受援も入れるということを小さな救難ケース、もう少し大きな受援、大規模災害のときに奈良県は、大規模広域防災拠点がありません。広域防災拠点は公園とか指定されてますが、紀伊半島大水害では五條中学校と校庭が自衛隊の受援基地になりました。そういうことも可能ですが、恒常的な広域拠点がないので、それを早くつくりたいなと思っています。

 それは広域の展開を、私の考えだったら道が寸断されたりするので、空からの救援がこれから大きな役目を果たすという感覚を持っています。それはドクターヘリが飛び出し、空からの患者さんのピックアップが山の中では、威力を発揮しているので、災害のときもドクターヘリが活躍することがあるんだなという感覚を持ち始めています。

 大規模な受援基地というのも大事かなと思い始めているところです。また身近な小さなところの受援体制は、そういう訓練でやり始めました。

 すると、受援の、先ほど福岡に県庁の人が行ってもらったときのポイントも、土木の材木の流出で加害をしたという報告とともに、受援体制の報告も受けたと思っています。

 受援体制は、組織ですね。たくさん物資集まるんだけど、何が届いて何が不足しているのか、それを必要なところに配分する体制が地元ですぐにできません。だから災害の起こった地でしばしば目撃して、東北でも、救援物資が集積して積み上げられて、必要なところになかなか配分できないと報告を受けてます。この流通の拠点が受援の、物資という点では一つ大きな点だと思います。

 医療が必要なときにもそういうこと。最近ではメンタルケアが必要だと聞きます。そういう必要な需要と供給のマッチングが受援の一番のポイントになります。そのときに過不足があるのは、これはソフトの面で、施設があるとできるというよりもその組織だと思いますが、組織ではどういうケースでどういうニーズが発生するのか、災害の規模とか災害の中身によって随分違うと思います。

 こういうような気があるから、奈良の南のほうでも、スーパーでちょっと物資買おうというような動きがあったと聞いてますが、今どきだとそんなことしなくてもいいのになとは個人的には思いました。

 物資というのは不足することはない、世界的にという意味です。

 どこからか届くけど、遮断される集落があると届かない、奈良の十津川なんか特徴的です。ほかのところでもあろうかと思います。まちの中でもあるかもしれないと思います。しかし、物資はドローンでも届くんだし、と最近では思っています。

 ほかのケースで困られた例を勉強して、そういうケースは奈良でどうするのかということを積み重ねていくのが、先ほどの繰り返しばっかりで恐縮ですけれども、奈良県でやろうとしていることです。

NHK:
 今年度受援計画のモデル市町村を募集されているというのは、やはりそういったことも含めて受援計画をもっとつくらなきゃという思いがやっぱりあるんですか。

知事:
 そうです、そういうことですね。市町村と受援、ありきたりじゃないよと。工夫をして訓練するとそれが生きるよということを、県にもそういう工夫をして訓練する過程が頭にしみ込むよというようなことです。

 それと受援体制をつくると、先ほどの県庁リエゾンもね、うまく使えるような訓練体制になればいいなと思います。

 やっぱり実際にやってみないと、動いてみないと知恵は出ません。特にとっさのときは大変だと思いますので、日ごろやっていてもその何分の一かしか能力出ないのが普通です。

 しかし、していないよりもしたほうが絶対いいこともありますので、そんなところです。

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県立高等学校適正化計画について

NHK:
 県立高校の再編で一部反対の署名が大分集まって、教育長のところへ行っているようですが、この動きを改めてどう受けとめていらっしゃいますか。

知事:
 県立高校の適正化、議会でも随分議論が進みました。それへの知事の所見ということだと思いますが、昨日も平城高校の陳情書が届きました。原則的なことから入りますが、県立高校の設置・改廃、これは人口が減ってきていますので、再編というのは10年前にも再編されましたが、なかなか避けられないことだと思っています。再編は教育委員会の権限でありますので、そのこと自身、内容についてどこの学校とどこの学校をどうこうしたらいいのではないかと口を挟んだ経緯は全くございません。報告は時々受けていました。議決が間もなく始まりますので、あまり所見を言うのはタイミング的にふさわしくないかもしれませんが、教育長、教育委員会がずっとやってこられた報告を受けて、よく詰めてこられたなと、再編ということにつきましてはよく詰めてこられたなという印象を受けます。基本的に生徒数減少への対応ということになりますが、「いろいろ工夫をしてます」という報告は受けています。それに口を挟んだことはありませんが、印象としてはそのように思います。

 知事の立場からは、教育振興大綱を作りましたので、そういう再編をするときは質を落とさないようにしてください、質の向上が願いだと。これは知事が申し上げられる願いなので、質の向上を図ってくださいということは、具体的にいろいろ言ってまいりました。公立の小・中学校は、市町村の教育委員会に関係しますが、体力、学力、学習意欲、規範意識という4項目のランキングを気にしています。これを上げてくださいと、教育の質の内容について言ってまいりました。高校につきましては、内容では、実学教育が大事ではないかということを、言ってまいりました。その程度です。今度の再編成については、よく考えておられると思います。

 その中で、平城高校の同窓会長の野田保隆さん、それから保護者代表の平井さん、それと後援会長の大野さんが陳情書を出されました。読むと、平城高校の伝統継承という言葉が目につきます。具体的に伝統継承というのは、名前を残してほしいということなのかなと、こういうふうに解釈できるのかなと。それだけではないとおっしゃるかもしれないので曖昧ですが、名前を残してほしいということなのかなというふうに拝察をしています。

 読むと、今までの卒業生は、38年間存在して、卒業生が1万4千5百名おられると書いてある。今度の署名は2万694名、卒業生自身が書かれている場合もある。同窓会長、野田さんは卒業生かもしれないし、平井さんは保護者会長だから、お子さんが卒業生か、あるいは現役の高校生かもしれない、こう思うのですが、そのぐらいの数の伝統継承というふうに受け取りました。名前ということかなというふうに。気持ちだろうと。解釈がちょっと単純であれば申し訳ないが、名前を残したいお気持ちが強いのかなというふうに思います。平城高校という名前は、私が高校にいた時は、なかった高校ですが、成績もいい立派な高校だというふうに聞いています。だからこういう運動になるんだろうと思います。しかし平城高校の場所に行く奈良高校もそれに劣らない立派な高校です。その地域の高校が立派かどうかというのは、名前だけではなく、学力とかレベルからいうと、こういう言い方、私立の場合だと想定して、私立が落ちる高校が来たよと、何だというようなことではなしに、同レベル以上の高校がそこに来るのだからと、朱雀地区の人にとってみれば悪い教育環境になるわけではないですねという感じは、冷静に見ると思うところがあります。すると伝統継承という言葉は、卒業生としての名前ということかもしれないなというふうに、そのように理解をいたします。その気持ちはわからないところはない面がありますが、再編とのバッティングがあるというふうに思います。

 そういうふうにして思えばということで、皆さんもそうかもしれないが、私も、小学校、中学校は名前なくなっているんですよね。郡山小学校、郡山中学校だった、大和郡山。しかし、みんな郡山南中学校とか、郡山北小学校とかになっている。多少寂しいといえば寂しいかもしれないけども、しかし、こんな年になると、このあたりにいるので郡山中学、小学校の同窓会はすごく盛んに集まる。しかし、それは伝統継承というわけではないが、思い出の集まり。同窓会というのは日本は強いので、そういうものはずっと続くと思います。1万4千5百名が卒業された学校だから、平城高校38年間のそれぞれの同窓会というのは、ずっと生きておられる人がいる限り続くと思いますし、平城高校のレジェンドはずっと続くと思います、それだけの立派な学校だったのだからというふうに思っています。

 伝統継承というのは、レジェンドが続くよと。名前がなくなっても、あのときの平城高校はすごかったんだというふうなレジェンドですね。それはどこでもあります。同じ名前でも学校は名前というか、実質の浮沈はあります。個人的なケースで引きかえると、昔はすごく学力が高かったんだけど、今はだめらしいなと、そういう話は同窓会でささやかれます、当時の卒業した高校。しかし、だからといって今の先生とか生徒を責めてもしようがないんだし、あのときは割と優秀な人が集まっていただけだというふうに思われる、そのように思うしかないというふうに思います。

 しかし、そのときの同窓会はずっと続いていますので、同窓会という観点からはそんなものかと、これはちょっと同窓会の野田さんとは気持ちはちょっと違うんだとおっしゃるかもしれない。お会いしたことないですけど、聞いて書いてあることを読むと。同窓会のセンチメントというか、感情とはこんなのと違うんだとおっしゃるかもしれませんが。答えにはなりませんが、感想とか所感とかおっしゃったので、多少ちょっとふわっとしてしまいましたが、施策の権限とかっていうのはタッチしておりませんということと、お気持ちは理解できるところがありますけれども、見方はいろんな見方があるとも思いますよといった類いの、答えにはなりませんけども、感想にすぎないことかもしれません。そのように今回のケースは感じを持ちました。レジェンドは残るように、ちょっと励ましにはなりませんが、残るようには思います。平城高校って名前は残らなくても、レジェンドは残るというふうに思います。

奈良新聞:
 それに関連してなのですけど、同窓会長の野田さんや現役の生徒さんなどを取材していたら、全員共通して言うのは、その移転方法です。今回のその手法に関して相当憤りを持っているようです。だから単純に吸収合併という形ならまだ理解できる。ただ、今回はこの平城、登美ケ丘、西の京、3校を2校にして、平城高校が出ていくと。その空き校舎に奈良高校が来るという手法に対して相当憤りを感じているようで、そういう感情みたいなのですが、その手法に関してはどういう所見を。

知事:
 陳情書には、そのようには表れていないように受けとめている。だから共産党の宮本さんが乗っ取るとかね、追い出すとかっておっしゃる、あれちょっと違うように思います。乗っ取るとかっていうのは、私立学校ではあるが、公立はないと私は思います。乗っ取るとかっていう感情は、この署名書には言葉としてはあらわれてないというだけの話で、おっしゃるようなお気持ちがあるのかもしれませんけれども、ただ、もう少し冷静に考えてみると、結局奈良高校という名前が来て、その地域の教育レベルは維持されますということと、公立高校なので、平城高校というのは実態が、経営が違って移るわけでなく、あそこに通っていた学校は平城高校と呼ばれてたんだと。そのレベル、皆公立高校を選ばれるところは、その通いやすさと学力のレベルとかで選ばれるので、その手法とかと、乗っ取りとかということじゃないというふうには私は思います。その手法のご不満というのがちょっとまだ理解がいってないかもしれません。奈良高校が押しかけてきて、平城高校が押しやられたと、そういうことではないと思います。

奈良新聞:
 その理由が、納得できないと思います。結局耐震化ができないと、奈良高校が耐震化が困難だと。それで空き校舎に奈良高校が来るという、それもあって。

知事:
 別の人格のように思われてますけども、高校の配置だからどこでどういう名前の学校、先ほどの自分の卒業した学校の名前、陳情書読むとね、名前、伝統継承ということにこだわっておられる。名前かなという印象を受けたというのが先ほどの話。今の話であると、手法に憤っていて、手法の憤りは何なのかなという議論をしているわけですが、手法で憤られるのは、宮本さんの言うような乗っ取りじゃないなということを今、感覚で言ったのですが、今、谷村さんおっしゃった、奈良高校が押しかけてくるとかね、そこまででもないように思うのですが、どうでしょうか。押しかけてきて押しやられたということなのか。私立学校なら経営主体が違ってくるので、あるかもしれないが、同じ県立高校であると私の立場だと思います。どこの学校がどういう名前になるかというのは関心事項だろうというふうに先ほど申し上げた、それはセンチメントが当然おありになるだろうと思いますけども。同じようなことは、移転したり名前が変わることはよくあります。慰めにもならないかもしれませんが、それを全部乗っ取りだという人は世の中にあまりいなかったなと思って、宮本さんのご質問を聞いていました。

読売新聞:
 関連して、今のお話はわかりますが、その手続の進め方に関して批判があると思います。特にパブリックコメントのとり方については、今回の再編計画のもとになる方針案の段階でパブリックコメントをとりましたと。このときには当然校名は一切伏せられていたわけですけが、それがあってから本格的に再配置のどこをなくすかという議論をした後で、今回の再編案が出てきました。ただし、その前の段階でパブコメをとっているから、今回は要らないでしょというようなご説明を教育長はされているのですが、パブリックコメントのとり方としてはそれでいいのかどうかというのは、どのようにお考えですか。

知事:
 パブリックコメントをどのようにとるのかというのを、そのパブリックコメントは今までとられて、ほかの人はいろいろ納得されて、納得されてないのが残っているというのが陳情書になってきているというように思います。そのような方々がパブリックコメントのとり方がおかしいと言っておられるのではないかと思います。そもそも反対があるからもっととれというのはなかなかできないことだとは思います。もしそういう事情であれば。そもそも粗雑でということであると、もっと他からもあると思うのですが、他の方は、このやり方でよく分かったと言っておられる方が大多数ということですので、そういうことも斟酌されて、議会の判断だと思います。斟酌されて、そういう意見があることはありますが、どのように意見が存在しているのかということは、民主主義なので、判断しなければいけません。私自身はとり方がおかしかったかなというところまでは思っておりません。

 私が言う立場にはないかもしれないが、おかしいと言われているがどうかとの質問ですが、私はそうなのかなという感じです。パブリックコメントはいつも絶対反対者が何人かいますが、では念入り、念入りといってもどこまで念入りかという程度の話だと思います。普通のパブリックコメントのとり方、進め方ではないかと思います。念入りにはされたと思いますが、こういう再編はなかなか難しいと思いますので、全部納得というわけにもいかないかなと思っています。コンセンサスにはならない。憲法改正ではないが、僅差の多数よりも、大多数の賛成があって成立するものだとは思っています。少数の反対があれば進まないものかというわけにもいかないかなと、ちょっと一般論ですので今回のケースでそうだと決めつける回答になると、野田さんの気持ちを害してはいけませんので。気持ちはわかるということを前提に決め方についての質問でしたので、一般論ですが、そのように思います。

読売新聞:
 反対があるのは当然ですし、それを全部酌んでいたらもちろん進まないのはわかるのですが、であれば、逆に校名を出した後で意見を募っても、もちろん反対が多数になるとは思いますが、それでも進めますよというやり方のほうがまだ納得がいったのかなと思うのですが。

知事:
 ああ、校名の出すタイミングということか。

読売新聞:
 そうです。

知事:
 それも一つの論点かもしれません。

読売新聞:
 もちろん簡単には、いかないと思います。

知事:
 何か色々な噂が出て、奈良商工になるとか、奈良高校はどうだというのを、それを察知して動きがあったように聞いています。私も介入しないから、そういう申し入れもあったように聞いてます。面談もしませんでしたが、噂だけでは正式に聞いたことにはならないというのは、おっしゃるとおりだと思います。私の立場からは特にひっくり返すのでなく、ちょっと校名を出すタイミングが遅かったのではないかということは、後日ちょっと伺ってみたいと思います。検証してみたいと思います。そういうポイントはあり得ると思いますけれど。詳細に、そういえばそうだという程度で、正確には覚えていませんでしたが、校名を出す、オピニオンに入れるタイミングということですね。わかりました。

毎日新聞:
 県教育委員会、特に教育長だと思うのですが、説明する姿勢がかなり欠けているのではないか。特に議会の答弁を見ていても、まるでやりとりになっていない。質問に対しては答えてない。教育担当の記者に聞いても、記者会見でもまるで成り立ってないという意見も聞いて、ちょっと県の教育行政のトップとしてこの人で大丈夫なのかというふうに正直思います。こういうことになってしまったので、完全な納得というのは多分得られないでしょうが、やはりきちんと丁寧に説明するということはしないといけないのではないかと思います。2月議会で、再任を求める同意案を出された立場として、やはり教育長に対して丁寧にやれということを言うべきではないかと思うのですが、いかがですか。

知事:
 特に今回のケースは随分神経質にはなっておられると思いますが、そういう意見があったということを私から言っておきます。今回のケースでリカバリーのチャンスがあるかどうかはわかりませんが、そういう意見もあったということを、もう公表されていますので、私からもそういうご意見がありますよということはお伝えしたいと思います。

奈良新聞:
 それに関しては私も同感で、伝えてください。

知事:
 はい、わかりました。皆さんのご意見大事ですから。

奈良新聞:
 やりとりが、Q&Aが成り立ってないというのは、教育長へいわゆるその説明責任果たすと言いながら、こっちの質問に対しての答えが全然成り立ってないので、そこをよろしくお願いします。

知事:
 はい。記者会見ですか。

奈良新聞:
 記者会見でも、囲みのときでも。

知事:
 そうですか、わかりました。

朝日新聞:
 その点について僕も同じように思います。何か丁寧に説明しますと色々な場面で今回の計画案についておっしゃっていたと思うのですが、何か実際の応対についてちょっとかみ合ってないなというようなところもありましたし、スケジュール的にもこれから丁寧な説明をといっても、もう2週間くらいしかない中で何がなされるんだろうと。

知事:
 間に合わないかもしれませんが、今後のためにもなりますのでお伝えしておきます。

司会:
 ほかに質問はよろしいでしょうか。幹事者さんもよろしいでしょうか。
 それでは、知事定例記者会見を終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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