令和元年7月26日(金曜日)知事定例記者会見

司会:  おはようございます。

 それでは、知事定例記者会見を始めさせていただきます。

 本日は、発表案件ございませんので、ご質問ありましたらよろしくお願いいたします。

 それでは、お願いいたします。


質疑応答

案件:奈良市庁舎の耐震化について

NHK:
 奈良市役所の耐震問題についてですが、先日、知事と市長、直接お話し合いされましたが、その後、市議会のほうでは知事のご意見を押し切るような形で今、市議会で審議がされています。そのことについての受けとめと、今後の市役所の耐震問題についてどのように進むことを期待されているかの2点お願いいたします。

知事:
 知事会に行ってたので、市議会の様子をあまり知らないので、市議会で適切な議論されるとうれしいなと思いますが、そのぐらいです。

 それから、これからの展開ですが、大きなきっかけは、口挟むきっかけでもありましたが、国の交付税措置です。緊防債という、耐久の補修に出る緊防債が期限が切れるということを前提に今、あと保全債というのを、移転のときにも使える保全債というのも期限が切れるということを前提に進んでいますが、知事会では両方とも延長要望を議決しました。だから、まだ決まりませんが、そういう情報や動向を県のほうが多少知っているので、市にも一緒にお伝えはしたいと思います。国の保全債があったのを知ってたのかなと思ったりします。移転の保全債を全然検討した跡がなかったような、検討した結果切れるからということでしたが、12月に保全債が、工事着手で起債できると国の方針が変わったのも、その時点で変わったとは言ったんだけど、あまり全然反応ありませんでした。あまりそういうセンス、保全債については関心なかったのかなと思います。

 だから保全債は適用できないというので、28億円減らした比較をされているように思います。市側は保全債については念頭にないし、今もないのかなという印象があります。保全債も延長されると、仮定の話として両方延長された暁には、それがリスクでもありますが、何かということになるのになと思ったりいたします。いずれにしてもそういう国の動向に肉薄して情報を取りに行くことを、普通、公共団体がするものですので、もしそういう気になられるといいし、国の情報をとるのにはお助けしたいと思います。しかし、もとから考えてませんとおっしゃったら、そんな情報とるのも意味もないしなというぐらいには思ってます。こちらから押しかけて言うような話でもないし、余り移転ということについても眼中になかったように思います。保全債が、延長といいますか、受け付け期限がちょっと余裕ができた時点で、あるいはその前から保全債、移転の場合の新築についての検討もされたらというので、その1点で申し上げたということです。保全債についてどうなのかなと思いますが、だから応急補修、耐震補強ありきだったのかよくわかりませんが、比較をされたらというのを申し上げたという経緯です。もうあとはお任せのような気もします。

NHK:
 知事からは、今後市役所の積水のほうへの移転の話については、もうなさらないということですか。

知事:
 こちら的に積極的にアプローチはないと思います。向こうからまたもう少し説明に来いとか、動静、保全債の動向についてとかあれば可能性はあります。多分、知事会でその延長の決議されたのもご存じないかもしれないし、それぐらいは事務的に、まだ要望だけだから決まったわけじゃないとおっしゃると思いますが、それぐらいはお伝えは事務的にしておきたいと思います。

NHK:
 そうなると、知事もお考えだった、あの大宮通り、平城宮跡周辺のまちづくりについてのビジョンというのも、また変わってくるということですか。

知事:
 うん、市役所移転を絡ませたというのは消えてしまうということです。多少寂しいですが、いたし方ないと思います。  

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案件:知事公舎について

毎日新聞:
 知事公舎のお話ですが、先般の議会でもね、川口さんの質問があって荒井さん答弁されてましたが、今後一般に向けて広く公開していくということですが、ご認証の間という歴史的なものもあって、非常に文化的価値も高い部分もあると思います。荒井さんが知事公舎にお住まいのときに、このご認証の間というのはどういうふうに使われてきたかお聞かせください。本当にごく一般の方しかお通しされてなかったようにも思いますが、今後、吉城園のあの一帯の開発とともに、一般の方に見ていただくという意義なり狙いを改めてお願いできますか。

知事:
 あそこは歴史的由緒がある、日米安全保障条約とサンフランシスコ講和条約で天皇陛下がご認証、サインされたという場所です。そういう条約の内容も我が国にとって大変大きな意味があることですので、そのご認証された地が奈良の知事公舎だったということ自身大きなことだと思います。しかしご認証の間自身はもう大変小さな間ですので、当時の天皇陛下はどこにお泊まりになったかそれは発表されておりませんので、よくわからないです。知事公舎だったかなと想像はします。ご認証の間自身は小さな部屋で、すき間から光が入るようなたてつけでした。耐震性が極端に低かったので、消防法上、一般の人を入れることはなかったと聞いております。前知事もそうですけれども、私も、その文化的な価値のある建物が地震で倒れるのは困りますが、被害ということから言えば、老人二人死ぬだけだからと前知事も言っておられて、私たちも同じような気持ちで、二人だとベッドの横に逃げたら何とかなるかもしれないという程度で、耐震補強するというところまでは思いつきませんでした。

 それは公舎のこと自身です。認証の間自身も、一般に人を入れることはしませんでした。昔は知事がお正月にあそこで小宴されていたようですが、私はご認証の間でも公舎でも、そういうことは一切しませんでした。ただ、時々お客さんを招いたりしており、そういう方には部屋を見てもらったことはあります。

 今度は全体をホテルに整備するに当たって、ご認証の間に人が入れるように耐震補強されると思います。あの場所でご認証の間を保存するということになっております。そうなれば、ホテルのレセプションも今の公舎のところに置かれる予定ですので、一般の人も、レセプションを通過されなくても、ご認証の間を見学できることになると思います。優先交渉権者とはそういう約束になっておりますので、設計も隈研吾さんの設計が進んでいると聞いております。設計の概略は時々報告がありますが、具体的に確定した報告はまだ受けておりません。ちょっと遅れぎみにはなっていると聞いております。

毎日新聞:
 その認証の間は、今はプレートが張ってあるだけなんですが、今後は大きなプレートにするなり、何かどんどんPRされていかれますか。

知事:
 そうですね、公舎は県有施設ですので、ご認証の間があったということもあまり知られていなかった。それは、そういうことがあったと言ったら、見せてほしいと言われたときに見せられない状況だったから、耐震性がないからということで、そのようにしなかったのかなと思います。しかし、公開ができるとなれば、当時の写真も残っていますので、剱木(けんのき)官房副長官が批准書を携えて公舎に入られた写真なんかありますね。

毎日新聞:
 あるんですか。

知事:
 あるんですね。剱木さんが参議院を通って、参議院出身の官房副長官が抱えて来られた写真があるんですね。そんな写真も展示したり、歴史の経緯を少し書くような表示もできるかもしれないなと思っています。

 昭和天皇がサンフランシスコ講和条約をどのような形で、全面講和といいますか、ソ連も入った講和にするのか、アメリカ単独講和になるのかということも議論があったり、安全保障をどうするかというのを、日米安全保障ですから、日本は軍備させないようにというのが他の国の願いでもあったわけです。それが冷戦が始まる時期だったので、アメリカは日本と安全保障条約を結ぼうと踏み切った時期でもありますので、奈良の知事公舎というよりも、その時期の歴史的な意義は大きいと思います。戦後史を振り返るときにも一つのエポックになるような事例だと思います。両条約の意味というのはとても高いですから。そのような認証が奈良の地で行われたということは余り知られていませんので、なぜ公舎かというのも、お泊まりになったかどうかも不明なところがあり、わからないところがあるのですが、朝、陛下がお立ちになる写真もあるんですね。奥田知事が玄関の外側でご挨拶されている写真もあるんです。だからそういうものの展示の機会もあろうかと思います。それはホテルの中での展示、ロビーから入るのか、直接行くのかいろいろあると思いますが、その設計の詳細はまだ知らないのですけれども、とにかくあの展示は、ちゃんと場所を温存して、入れるようにして展示しますということは約束していただいていますので、それは大丈夫だと思います。

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案件:インバウンドの地域経済効果について

日経新聞:
 観光客の動向についてですが、インバウンドの調査などで、ここ数年でどうやら日本の中でも奈良へのインバウンドの、あくまで増加率がすごく高いというような調査結果がいろんなところで出ているようなんです。つまり人はたくさん来ているものの、消費額のデータを見ると奈良はやっぱり全国下位。人はたくさん来てもお金を使ってない、つまり利益がないけど忙しくだけなっているというような状況があると思うんですが、そういう状況を今後打開するための方策や、お知恵があったら伺いたい。

知事:
 インバウンドの地域経済効果というテーマでもあると思います。奈良は、インバウンドが随分増えてきたということ自体は喜んでおります。インバウンドの滞在パターンですけれども、やはりインバウンドの団体とFIT(=海外個人旅行)があると思いますが、やはり大仏殿は見たいなというお客さんが殺到しているように思います。したがって、極端に言えば、これまでバスで大仏殿前駐車場へ入って、2時間ほど見て、ぱっと大阪に帰る。すると旅行商品で奈良の大仏殿も見るというのが行程に入っているだけの可能性もあるんですね。そういうちょっとの間の訪問場所というような構造的な課題が、課題と捉えていますが、あったと思います。それが消費の増嵩につながらなかったと思います。

 ただ、それでも昼間の滞在時間自身は増えているんですね。5時間ほどになってきたかな。滞在時間が増えるということは、消費も増えるということで、今申し上げました大仏殿だけ見て帰るというのではなく、奈良公園バスターミナルがあると、この周囲も観るというようになってきたという報告は受けています。だから宿泊まで、オーバーナイトステイというところまで延ばすというのが、ずっとかねてからの課題であります。それが消費を増やすという課題でもあります。

 滞在場所は、やはり大都市のキャパシティーのあるところに集中する。大都市の魅力というのは、観光魅力というよりも、宿泊能力があるから滞在すると。そこでどうしても消費が発生するという傾向がどの国でもあるのが観光の動向ですので、その宿泊客を奪い合うというのがまた地域の観光競争になっています。奈良は、その宿泊客を奪い合うという観光競争に参加しなかった経緯がありますが、参加しようよというので、それにはキャパシティーを増やすしかないわけですので、それを努力してきて、伸び・増加については、今までに比べて大分増加してきていますが、全体の量はまだまだ全国最下位の客室キャパです。全国から注目されるほど最下位を走ってきたというような状況ですので、消費額という実績になかなか反映されてないという実態だと思っています。

 しかし、それに対しては、上質からリーズナブルまでバラエティーのある宿泊施設を増やすしかない、競争に参画するにはそれしかないということで、今、県としては進んでいます。

 インバウンドが増えること自身は、大仏だけでなく、いろんなところにも行っていただいているように思いますが、もう一つ動向を見ると、最初の訪問地とリピーターとして再三来られる人の訪問先、第二、第三のときの訪問先が定着するほうが望ましいと思っています。1回来たら終わりとならないように。これは修学旅行生を相手にしていた観光地の、1回しか来ないからということであります。それだって来る人は1回だけれども、連続して来られるには評判をある程度立てないといけない。だから戦略として、各県の知事さんは、外国にプロモーションで案内の紹介に行かれるんですが、奈良はほとんど行ってないんですね。奈良はほとんど行ってないんですけれども、とにかく地元でいい評判を立ててくださいよというお願いばかり、リピーターを増やすという戦略で、そればっかりやってきて、そのようにやっていただくとリピーター率が高くなると。リピーター率が高まるということを大きな戦略の柱にしています。リピーター率は奈良は多少高いんじゃないか。国内、インバウンドともに高いんじゃないかなと思っています。

 それは、アマンリゾーツを創設したゼッカ(エイドリアン・ゼッカ)が言っていましたが、アマンは、広報費、広告に1セントも使ってないよと自慢していました。アマンそのものが広告だということで、アマンに来たら、そのアマンジャンキーズと言われるアマンファンが宣伝してくれるという戦略ですので、奈良に来られた人は、奈良はよかったよと、今どきツイッターとかSNSで書いていただくのは、鹿のインスタでもやって書いていただくのが大きな宣伝になる。それと奈良は身がわりリピーターと言っていますが、本人がもう一回来るのには時間があきますが、そうしてインスタやツイッターに書き込んでもらうと、じゃあ行こうかと、その情報を知って来られる方を身がわりリピーターという名で呼んでいますが、そういう方も大歓迎で、そういう方はおられると思います。それがインバウンドの量の増嵩にはつながっているように思うんですが、今、日経新聞さんがおっしゃったように、消費額に反映されないという構造的な弱点があるように思います。消費額に反映されるのは宿泊と日帰りでもう全然額が違いますので、宿泊客の増嵩に直結しているように思います。訪問者数の宿泊者数、宿泊率というのがとても低いですから、これを上げるのが課題です。

 そのような課題までは認識をしているのと、その努力はしているんですが、なかなか最下位脱出までいかないという状況です。間もなくいくかもしれませんが、という状況です。最下位脱出できたらお祝い会でもせないかんかもしれないぐらいに、長期間低迷、野球でいえば低迷校でありました。情けない話ですが、本当に情けないと思っています。
 

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案件:奈良市の宿泊税検討について

日経新聞:
 奈良市の話ですけども、市長が宿泊税を検討したいというようなことをおっしゃって、ついこの間、7月に第1回目の検討会があって、2回目の検討会が8月に行われるということで、結構なピッチで検討委員会を開かれているようなんですが、そもそもの経緯でいろいろ過去にお寺の拝観料、観光目的税ですね、そういったものに関していろんな議論が、古都であるというのもあって、あったような経緯の中で、宿泊税というのは今なぜ、多分、奈良市にとっては財源が弱いというところからそういった発想が出てくると思いますが、受けとめを改めてということと、今後の県としての姿勢を伺いたいと思います。

知事:
 宿泊税については、猪奥県議が県議会でもご質問されました。そのときに、県としては宿泊税自身は反対ですと。県として取るかと言われたご質問に対しては、県としては取る気はありません、むしろ考え方としては反対ですという理由を述べました。それは今、その前にご質問されました宿泊のキャパ、そのベースですね。税から見ると、課税ベースが極端に小さい。それを増やさないといけないのに税金をかけるということは、考えないのが普通ですけれども、奈良市は財政状況が全国1,700幾つの地方公共団体ある中で1,700番台ですので、財政状況が極端に悪いということが背景にあると思います。それにはご同情いたしますけれども、宿泊税がいい財源かどうかというのは問題だと思います。課税ベースが極端に少ない、全国最下位というような中で課税対象としては不適切かなと、意見としては思います。課税されるのは市税ですから、市が政治的に判断されてもいいわけでありますが、考え方としてはおかしいなと考えます。

 それと、目的税か一般財源にされるのかということになりますが、財政が悪いということならば一般財源ということになります。目的税であれば観光振興のためということになりますけど、ぐるっとバスを初め、奈良市の観光振興は県がほとんど手を入れてますので、ホテルの増嵩とか、県をうまく使って観光振興をしてその収入が上がれば、市の課税環境を良好化するというのが普通の手だてであろうかと思います、常識かなと私は思っています。

 述べました事情で、市の税金ですので、それはおかしいぐらいは言えても、それを差しとめる権限もありませんので、市のご自由ということにはなろうと思います。県で取る考えはもちろんありませんし、税金としては不適切だと思います、奈良県の場合はですね。

時事通信:
 奈良県としては、宿泊税取るつもりはないということですけれども、一方で知事はホテルの客室増加にこれまで大変力を入れてこられていますが、市の宿泊税と県のホテル増という、ぶつかるような話ですけども、そのあたりどうお考えでしょうか。

知事:
 バッティングはすると思います。施策はバッティングしても自由にできるのは、独立した行政機関だからですね。だからいかんともしがたいですね、県としては。

時事通信:
 いかんともしがたい。

知事:
 市役所と同じです。

時事通信:
 市役所と同じように、市に何か申し入れをするお考えはありますか。

知事:
 あれは申し入れじゃなく……。                                        
時事通信:
 提案でした。

知事:
 意見を言ってたら、しゃべりに来いと議会がおっしゃったから行かせていただいたという程度で、これは民主主義の一つのパターンですから、またそうですね、これは想定ですが、市の税金について県は意見があるのかと、述べろと言われたら、別に今の述べている分、同じことですけれどもね、議会に行ってまで述べることもないと思いますが、それは議会の専決事項、市役所と同じように専決事項だと思いますけれども、考え方として合理的かどうかというような判断を市議会がされることを望みますけどね。

 合理的かどうかというのは、先ほどのご質問に答えて言いましたが、課税ベースとして小さいですよというのと、課税ベースとして小さいのに、その財源に寄与してもらおうと思ったら税率がすごく上がってしまいますよね。余りいい税金になりませんねというのが1つと、もう一つは税収が一般財源の、どうもほかで人件費も高いし、使ってるから宿泊者から取るよというと、納める人はインバウンドで、奈良市の財政寄与にどうして高い税金払わなきゃいけないか。税金の、その組み立てとしても変になってくるような気がします。

 財政の状況を頑張るのは、奈良市の固定資産や、ここで活動する経済人から税金をもらって、財政の底を厚くするのが常道であろうかと思います。外から来る人に税金取るのは、外から来る人のアメニティーを改善するというために、利益を還元しますからといって取る目的税が普通ですよね、外から来られる。そういう思考でもないかもしれません、よくわかりませんけど。そのようにすれば、それは県が、先ほども言った、県がやってますからねということを念頭に置いて、市はどのくらいされるつもりですかというように問われるのが普通だと思います。それはあまり無視しないで、税金の常道、基本思考を無視しないでされたほうがいいとは思います。

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案件:奈良市の財政について

産経新聞:
 ちょっとご参考に。奈良市の財政が特に、1,700ぐらいの自治体があって1,700番台だと本当に悪いわけですけども、はたから見ていて何でこの奈良市の財政というのはよくならないというふうに思われますか。

知事:
 そうですね、奈良県の市町村財政は全国最悪なんですね、平均しますと。ラストから2位とか3位あたりをずっとうろうろしているんです。それは4分の1の財政を占める奈良市の財政が悪いので、奈良県の財政全体が悪いということではあるんですけども、ほかもじゃあ悪くないかというと、悪いとこは悪いんですよね。

 奈良県の市町村財政がどうして悪いのかということになるんですけれども、いろんな理由があります。経常収支の税収よりも支出がバランス悪いというのが、普通は人件費と公債費ですね、借金と人件費という2つが大きな要素になります。

 人件費は、ラスパイレス指数からすると、市町村別の比較もして出したこともあるんですけど。県内市町村別の財政状況というのを出して市町村から嫌がられている資料を、かれこれ10年ぐらい出しているんですけど、しかし一向によくならないんですね。嫌だなとは言われますけれども、それで財政悪化の原因、人件費と公債費。公債費は、過去の乱雑な市町村債の発行が原因だと思います。現市町村長に言っているんですが、それは今の市町村長のせいじゃないよねと。前か、前々市町村長のせいだよねといって慰めながら、しかし、公債費の償却はやはりしなきゃいけないからというので、公債費の償却は、極端に悪かった御所市と上牧町に県の無利子貸し付けを30億ほどいたしまして、その早期償還というか、早期償還のための補助金もつけて高金利の公債費を激減することをしました。これは大変効果があったと思います、公債費のベースで。

 経常的な人件費、それともう一つ要素を上げると税源涵養ですね。固定資産税とか、固定資産税納めない土地が多いのかなと推察しています。そのためには企業立地とかホテル立地とか、いろんな税金を納める仕立てを、奈良市だけじゃないんですけど、全体見て、奈良県全体、税収構造は弱いもんですから、工場誘致とか、経済力を強化するのは働き口を探すというのが一番の名目でしておりますけれども、働き口、工場誘致すると一番潤うのは、物流を請け負う企業と、固定資産税を納められる市町村なんですね。だから、工場立地がある市町村は3年から5年固定資産税免除されてるとこも多いですけども、後確実に固定資産税が入ってくる。しかも広大な土地ですので、何百万、何千万というふうに入ってくるのが恒常的にあることは大変大きなことだと思います。それは県の工場誘致の努力でいろんなところに、それをよく察知して工場誘致を熱心にされる市町も出てきております。

 そういう税源涵養の努力をされるか、あるいは支出を抑えるかという2つしかないわけでありますので、そのような努力を、どこでも同じですけど、されないといけないと思いますですけどね。そういうのをされるところには応援しますけども、お金は使いたい、自分で出せないから県出せと言われるのは理屈がないので拒否しているわけです。税源涵養には工場立地とか商業振興、観光振興でお手伝いをして、県の働き口創出というのとともに、固定資産税創出ということも踏まえて、県としては助ける意味もあって努力をしております。その財政健康診断表をシリアスに見られる首長と、無視される首長との違いは感じています。ちょっと時間かかるけど、努力されるしかないかと思いますけどね。財政がよくならないと何もできないというのは、そのとおりだと思いますけどね。

産経新聞:
 奈良市は、どうしたら財政がよくなりますか。

知事:
 だから、常道に立ち返ってせないかんじゃないかと思いますけどね。常道しかないですよ、この地方公共団体は。

産経新聞:
 数字をシリアスに見るということ。

知事:
 シリアスに見るのが常道の第一歩だと思います。それを議会も市民も共有しないとというふうに思いますね、その状況の認識を共有しないと。それに共有してもらった以上は市役所が努力しないと、努力の姿勢を明確にしないとというふうに思います。その努力の道筋は節約、公債費・人件費の節約、緊縮パターンを続けるというのと、税源涵養の努力をする。常道として上げられるのはそういうことだというふうに思います。それに、そういう方向で努力されるとこには県が支援を惜しまないでやってきてますよということなんですけど。

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案件:働き方改革について

時事通信:
奈良市の予算関係をおっしゃってきましたので、財政課の働き方改革についてちょっとお話を伺いたく、奈良市は、昨年度から予算編成を7月に前倒しして実施した結果、財政課の職員の残業時間が年間合計1,700時間減るとか、奈良県内以外でも財政課の働き方改革が結構進んできているところがあるんですけれども、もうそろそろそのお話も、奈良県としてもそうなっていると思うんですが、荒井知事、来年度の予算編成、例えば財政課の働き方改革ですとか、そういったものに取り組まれるお考えはありますでしょうか。

知事:
 財政課は、各公共団体、議会対策も持っているところが多いんじゃないかと思いますね。今の財政改善の仕事も経常的にあるんですけども、よく練って長期的な視野で仕事をしなきゃいけませんので、恒常的に忙しいというのは、それにプラスアルファの事情があるんじゃないかなと思います。

 財政課がよく働かれて財政改善に結びつくんだったら、働きがいがあったねと、こう励まして褒めてあげたいです。奈良県の県債残高がどんどん減ってきてますので、財政課は、よくやってるねと、財政状況を改善してくれてありがとうと言っていますが、恒常的に忙しいのかどうかはよくわかりません。それぞれのプロジェクトのときに、いっとき忙しいことになると思います。予算編成の時期は財政課が大変忙しいことは承知しています。

 それから、先ほどの産経新聞の方がおっしゃった財政改善で、もう一つの要素があるのを忘れてましたが、徴収率、徴税率ですね。市町村の徴税率が全国でも下位レベルだったんですよね、情けないことに。財政が悪いのと徴税率と関係しているのかなと思ったときがあるんですけど、その財政マインドが低いということで同じことが言えると思うんですけど、財政マインドが首長と職員が低い、今の財政課ということになると思うんですけどね。それが徴税率は財政課でなしに、市町村税課とか、そういう税務課の話になると思うんですけどね。

 その徴税についても、県がマルサみたいにかわりに取りにいくよというとこまで奈良モデルで、ちょっと押しかけてみたところがあるんですけども、徴税率がどんどん上がってきました、本当に上がってきたんです。県が介入するのは、市町村の徴収率というのは県税の徴収率とマッチして、県税も一緒に徴収してくれるもんですから、住民税関係ですね。住民税の徴収率が低いんですね、奈良県の場合。だから奈良市、住民税の徴収率はどうだったかな、ちょっと記憶だけだけど、それほど高くなかったと思うんですけどね。だから徴税、徴収というのが課題かなというふうに思います。

 だから、そのようなのを、財政マインドを強化してまちをよくする動きに向けるのが首長の責任だというふうに思います。そのようなことを意識してもらうために情報の見える化をどんどんしてきているわけですけれども、意識して見ていただければ幸いですけども、資料を置いても見られない首長もおられたのかなと思ったりもするので、ちょっと寂しいですね。だんだん嫌がられても比較資料を出すと、嫌だなと言いながらやっぱり気にはされてるようには思います、普通の首長さんだと。そんなことでもしないといけないほど全国下位レベルでありますので。

時事通信:
 全国最下位レベルであるので、財政課の働き方改革はされないと。

知事:
 うん、何か奈良県の財政課はよく働いていただいているような気がいたしますけれども。それとね、働き方改革には取り組んで、県庁の働き方改革に取り組んでいますので、それは働き方改革の切り口といいますか、切り口は超過勤務をやめよう、全体量をやめようというのと、とりわけ無駄だと思われるような超過勤務をやめようということは徹底して、これは随分実績が上がってきているように思います。

 もう一つは、働き方となると、時間だけじゃなしに、働きがいとかその意味、モチベーションというようなことにも関係しますので、意味なく仕事しろよというのは余りいいリーダーじゃないんですよね。

 皆さんも同じ立場におられるわけですけども、何か余り玉をそちらに振っちゃいけませんけども、東京じゃ朝駆け夜討ちで、原稿の締め切りが2時ぐらいかな、2時までに帰るとデスクに怒られますからといって官舎によく飲みに来ていた記者さんがいました。それであえて、こちらも早く寝たいのに、2時まで帰れませんからといって狭い官舎で酒の相手をしたことが、余計なことですけども、大変だなとは思ったけども、それは東京のデスクの昔の話かもしれませんけれども。そんなことは常態でありましたが、働き方改革はみな関係するなといつも思います。官舎も思い出したというか。余計なことを言ってすみませんでした。

日経新聞:
 すみません、ご参考までに、夏休みとかってとられるんですか、夏休み。

知事:
 とります、いつも。

日経新聞:
 いつごろ。

知事:
 お盆の、東京で陳情大会、今年は参議院選挙があったから、来週か、今週だっけ、県内の陳情のキックオフとかというのをしますので、8月に東京に行って陳情をいたします。8月の10日ぐらいからかな、とにかく休むのが最大のご褒美ですので、とにかく休ませていただきますと。また元気になって仕事させていただきますので、とにかく休むということは実行させていただけたらと思います。とにかく休むということだけですけども。

 皆さんも、休めないのかな、休まれたほうがいいですよね。ちょっと何か言ってあげましょうか、ちょっと陳情を。休ませてあげてください、よく仕事してるからと言ってあげたいように思いますけど。支局長は休んでいるでしょう。休んだほうがいいですよ。いろんなことを勉強できますから。

 僕もそうだけど、仕事ばっかりしていると、それで日がな過ぎていきますけど、より広く知識を入れて、広く考えるというのは今とても大事なように思いますので、余計な知識をひけらかしているつもりはないんですけども、ちょっと関連でよく思い出してしまいますけど、やっぱり広く知識を仕入れるのには、そういう人とつき合うか、本を読むか、情報を集めるかということになりますので、休まないとできないですね。僕らもそうだけど、皆さんもきっとそうだと思います。日ごろちょっと楽になってもまとまった勉強できないでしょう、休まないと。せっかくだから奈良に来られて、休んでゆっくりと奈良では考えたというのは、自慢してもいい地域だと思いますけどね。

 支局長にもお勧めしますけど、皆さんにもちょっと。いや、休ませているつもりだとおっしゃるかもしれませんけども、休んだほうがいいですよ。日本人の特徴だけど、とにかく休むと日本人は元気になりますので、知恵も出るように思いますけどね。皆さんみたいなのは特にそうだと思います。あんまり機械をしょっちゅう使っていると疲れてくるからもったいないと思いますね。休むとまたすごく馬力が出て働かれる機械なのにと思いますけどね。場合によっては支局長にお願い、うちは言ってくれとおっしゃる方があればやぶさかではございませんけど。特にサービス業は、休み方を見つけないといけないですよね。うまく休む、どうされるんですかね、皆さんの世界は。記事の密度が極端に減るのは、もうそれでいいじゃないかと僕は思うんだけど。ほかのニュース源もありますからね、今は。

余計なことを言いまして、すみません。

司会:
 ほかにご質問はよろしいでしょうか。

 幹事社さん、ご質問よろしいですか。

 それでは、これで知事定例記者会見を終わらせていただきます。ありがとうございました。

知事:
 どうもありがとうございました。

                             以   上

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