令和元年8月27日(火曜日)知事定例記者会見

司会:  おはようございます。

 それでは、ただいまより知事定例記者会見を始めさせていただきます。

 本日の発表案件は2件ございます。「奈良県大芸術祭」「奈良県障害者大芸術祭」いよいよ開幕!というのが1点目、2点目は中華人民共和国・清華大学との包括交流に関する覚書を締結したという、2点でございます。

 それでは、知事より発表いたします。

案件:「奈良県大芸術祭」「奈良県障害者大芸術祭」開幕について   
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
 「奈良県大芸術祭」「奈良県障害者大芸術祭」ですけども、お手元に資料がございます。印象としていろいろ盛りだくさんになってきていると思いますが、まだこれから増えるということでもあるようです。8月9日現在で666のイベントで、今後も増える見込みがございます。大をつけたら大きくなってきたというように、そういう印象も持っております。

 もう一つの特徴は、障害者芸術祭の一体開催であります。全国で初めて国文祭と障文祭を一体開催いたしまして、各県ともそれに続いておられますが、県下の芸術祭も昨年から一体開催をしております。一体開催の成果をこれからフォローしていかなければいけないというように思っております。盛りだくさんになってきたということと、一体開催を続けますということです。できるだけたくさん参加をしていただきたいというように思っております。芸術で、発表のほうで参加されるのと、見る、あるいは活動のほうで参加される方と2つあると思いますけども、ぜひ参加をしていただきたいと思います。

 それから、もう一つの今年の特徴は、開催する地域が南にも展開すると、田舎にも展開する。壷阪寺とか、社寺などでの開催が奈良県の特徴になってきておりますので、そのような傾向がございます。写真を撮るのにわざわざ壷阪寺まで行った記憶がございます。田舎と言ったら悪いですけど、離れたところで開催するということを一つの売りというか、目標にしているところがございます。過疎地でも、このようなお祭りでにぎわいを作ろうというようなことを思っております。「関西ウォーカー」で例年広報していただいておりますが、5万部を見込んでおります。県内各地で約8万部の配架をしております。この秋の芸術祭は、初夏のムジークフェストとともに、県が力を入れているイベントでございます。芸術祭については、以上でございます。

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案件:清華大学との包括交流に関する覚書の締結 
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
 先日、中国の清華大学を訪問いたしまして、包括交流に関する覚書を締結いたしました。邱勇(キュウユウ)さんという学長との覚書を締結いたしました。大学と県という関係の、日本の大学では早稲田大学あるいは近畿大学と県がしておりますけども、外国の大学とは初めて。スイスのベルン応用科学大学というのがありますが、それはベルン州と友好提携している関係でスイスのベルン応用科学大学との交流は盛んになっております。今度は、直接清華大学との交流ということでございます。

 清華大学ですけども、キャンパスを初めて訪問いたしました。大きなまちになっているんですね、びっくりしました。泊まったホテルもキャンパスの中にある、大学が関係したホテルでございます。ほとんどそのキャンパスの中でこの訪問の仕事が済んでしまう。まちになっていて、清華大学を訪問される観光客ですごくにぎわっておりまして、道が昼間は混む。写真を撮っておられる方がとても多いというような大きな大学。大学の位置は、天安門のある中心地から都の西北ですね、西北のほうにあるというように聞きました。空港が東の北ですので中心部には寄らず、大学に行って帰ってきました。

 清華大学は、ご案内のように、すごく大きな大学であるとともにレベルが高い、いろんなランキングでアジアの中でトップ、日本も含めてトップの大学でございます。理工系が強いということも有名でございます。それから、中国政府の高官を輩出されているという、胡錦濤さん、習近平さんなど清華大学のご出身でございます。清華大学が設立された1911年は、そういえば辛亥革命の清王朝が滅びた年でありますけども、清王朝の最後の皇帝がこの清華という名前をつけられたようでございますけども、歴史のある1911年からですので相当古い大学でございます。

 奈良との交流、どのようなことを期待されているかということですけども、理科系は強いわけですけども、美術学部とか文化の学部もありますし、奈良は中国とは歴史・文化のゆかりの深い地域ですので、歴史・文化を中心とした交流というようなことを念頭に進む可能性がありますが、奈良県としては科学の分野でも交流が進めばいいと思って、スイスとの交流も、当初の観光とかそういうことだけじゃなく、森林の分野でも進みましたので、交流の中から具体的な成果が見えてくればいいかと思っておりますが、それを今後追求していくというように思います。

 それと、交流の中に、若者の、学生の交流というのもありますけれども、先生方の交流というのも大事かなと私は思います。優秀な先生方がおられますので、そういう先生方に来ていただいて、あるいは日本の奈良以外にも訪問をして、研究者、教師の交流というのもこれから意味があるんではないかなというように思いました。

 覚書で交流をしようということを取り決めたばかりでございますが、これから具体的な成果が出るように、また知恵を働かせていきたいと思っております。ご報告は、以上でございます。

司会:
 ありがとうございました。

 それでは、ただいま発表ありました案件につきましてご質問よろしくお願いいたします。

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質疑応答

案件:清華大学との包括交流に関する覚書の締結 

時事通信:
 清華大との協力の件ですけども、人的交流がまずメインということで、現段階で何か交流事業とか予定されているものはありますでしょうか。また、もう1点、理科系の大学ということで、知事は今、人的交流以上のものもいくべきだなということでしたけども、具体的な事業とか分野とか、美術の中でも研究ですとか、何かアイデアはありますでしょうか。

知事:
 そうですね、最初の交流事業に関係するご質問ですけども、具体的に何をするかという中で、1つは、一般交流、テーマを選ぶことができたらというように思います。双方関心のあるテーマ、また人材が要るテーマということになると思います。それぞれ分野は分かれて強いけれども、日本の研究体制は、非常に細分化されているのが学校のサイエンスの弱点のように思います。向こうは、理科系の大学だけど、政治家を輩出するという気風があります。胡錦濤さんも習近平さんも理科系の学科を卒業されて政治家になられたという、日本では余り考えられないパターンでありますが、外国では普通そういうことがあります。日本の理科系の教育が、個人的だけどまずいのではないか。皆さんの職業は、理科系の人はあまりおられないんじゃないですか。理科系、おられますか。

 理科系の人がこういう社会的なことをされるというのはとてもすばらしいことだと、私は個人的に思います。すると、文理を分けている教育はそもそも、理科系が強いと言ったからこういう話になったかもしれませんが、文理を分けているのが何か日本の特色だと。しかも、特に理科系は細分化されて、外国の学問を移植するのに細分化するのが効率的だというような仕組みで、それをイノベーティブにしようというような形をなかなかとれないと、これは日本の課題であります。日本の課題を認識して、それを克服するのにどのようにするかというようなことでありますが、この交流事業の情報交換で、前学長の顧秉林(コ・ヘイリン)という人と3回目に会った時に、興味深い話がありました。それは今の話に関係する大学改革ですね。清華大学は大学改革したと。大きな1つは、教授や助教授のポストで、その場所に6年以上いてはいけないということを決めた。これはすごく大きな、日本だととてもできないなという感じです。6年たったら外に出ていかなければいけない。外に出ていって、またもちろん戻ってこられてもいいんですけども。それを決めるのに、顧秉林さんという前学長に、よくできましたねと言ったら、いや、相当大変だったとおっしゃってました。文科省から奈良県に来ている教育振興課長に日本でできるのと言ったら、とてもできませんというような感触でありました。だから、それが日本の弱点というように意識しますと、そのように人が動く、研究のタコつぼから出てきて、一度はほかのタコつぼに入ってまた戻るといったようなことが、日本のサイエンティストにできるかどうか。特に理科系ですね、できるかどうかというのが大きな課題で、それは清華大学でやって、だからそういうものができると研究のレベルがどんどん発達するというようなことになります。

 どういう事業でやるのか、具体的なテーマを決めようというのでいろいろ議論いたしましたが、向こうがこだわっているテーマというか共通テーマの言葉はイノベーションなんですね、イノベーションというのを目標にしようと。イノベーションというのは、向こうは創新、創るというのと新しい、創新というのがはやりの言葉になっていますけど、イノベーション、イノベーションとおっしゃる。大学のイノベーションというのは今みたいな話から発展したんですけども、なかなかマッチングするのが難しいけども、一緒に刺激し合う、刺激をいただくというのには期待ができるように思います。イノベーションをどんな分野で交流をして実現するのかと、テーマの分野ですね。

 ジャンルは、向こうは歴史・文化、奈良の持っている資源を中心にしたらどうかという話もありました。歴史・文化というようなこと。それと歴史は、近世だけではなく奈良は古い歴史がありますので、中国との交流の歴史もありますので、歴史・文化というのもテーマの1つであろうかと思いますけども、もう一つは観光というような、人の交流ということも一つあるように、私からは観光も分野になりますね。あるいはサイエンスですね。科学は幅広いけど、科学の中でのテーマを決めて交流する。スイスとは森林という、森林環境というテーマで交流が深まりましたが、清華大学との交流ではどういうテーマか、候補としては高齢化社会とか医療、介護というような分野のイノベーションというのが一つのテーマになり得ると思いますけど、東アジア地方政府会合で今年のテーマが観光と社会保障ですので、東アジア共通の課題になってきているというので、そういうようなテーマもあろうかというように思います。共同研究テーマというようになろうかと思います。

 まだその程度の話でございますけど、直接話をしていろいろ進みました。その交流のプラットホームをつくりましょうというようなことでございます。それは県もできることでありますので、できれば組織のようなものをつくりたいなというご意向が向こうは強いですけど、交流センター、交流院とか文化院というようなことが口には出ておりましたが、そのテーマと骨格は、まだ向こうに行っている間で固まり切れませんでしたので、そのような話をして帰ってまいりました。これからまた話を進めていきたいと思います。

読売新聞:
 そもそもこちらにこういう締結をお願いしたいというのは、奈良のほうから持ちかけたんですか。

知事:
 いえ、清華大学は世界でいろんな交流を深めておられますが、日本の県とも交流を深めておられまして、鹿児島、北海道などで同じような協定を締結されておられます。

 聞くところによると、まだ具体的には進んでいないということであります。経緯からいたしますと、そのような流れの中で知り合いに、清華大学の日本研究センター副理事長というポストの日本人の方がおられまして、浜田さんという方ですが、その人は私の旧知でありましたので、NHKの経営委員長もした方なんですけども、彼とよく知り合いなので、顧秉林さんという前学長を奈良に連れてきて、平城宮跡で会いました。それがきっかけといえばきっかけです。そのときはそういう交流の話があるとは知りませんでしたけど、そこから急速に話が進みました。顧秉林さんが来たのはいつだったかな、そんな前ではありませんけれども。

担当課:
 昨年の12月です。

知事:
 昨年12月ですから、もう半年ぐらいでこんな覚書まで行ったということで、急速なことでありますけれども、昨年の12月に来られて、初めて会ったということなんですけど。それまでそういう交流を進めてこられたというのは、その後で知りました。

 奈良もどうですかというお誘いがあってということでございます。平城宮跡で会いまして、そこで木簡という字は漢字として間違いだとおっしゃったので、木簡って、木でたけかんむりに間、これは木の片々に、木片には使わないとおっしゃって、漢字としてですね。なかなか漢字は厳格だなという印象を受けましたけれども、そのようなエピソードがございました。経緯はそのようなことでございます。

 具体的な交流は、ほかの県でもまだあんまり進んでないということでございますが、奈良県は早稲田との交流を具体的にいろいろ進めておりますので、それも参考になると思いますが、これから案を練って提案していきたいというふうに思っています。

毎日新聞:
 関連して、清華大との話ですが、3つほどですが、まず1つ、簡単なタイムテーブルってあるんでしょうかね。大体いつぐらいに具体的なことを始めたいというのはあるんでしょうか。

知事:
 そうですね、邱勇さんという現学長が9月に日本に来られて、奈良にも来られる予定なんですね。

 9月25日だったかな。そのときにも一緒に記者会見してもいいかな、そういう方だから。歓迎のレセプションをしようと思うんですけどね。レセプションなんかは皆さん参加されても別にいいと思うんで、支局長が来るか、そんなことで、それはイベントですけども、場合によっては直接ね、記者会見の場があってもいいかな。今ちょっと思いついたことなんですけど、考えてませんで、今みたいなどうするんですかというような、そういうことも想定して、9月に来られるときにはもう少し話を進めたいなというふうに思っています。どういう交流のパターンがあるのか候補みたいなのを選んで、それをまた持ち帰って担当が進めましょうというようなことが1つあると思います。

 その形が、多少でも予算が要りますので、補正でもとれますけれども。このような締結をしたということは、議会には内々報告しておりますけれども、議会に報告して、じゃ次どうするんだということが質問もあるかもしれませんし、それを練って形があったら予算がつく。補正でもいいですけど、普通は当初で予算をつけて、交流事業の予算を来年度当初予算でお願いして、その事業を来年度のある時期に形をつくるといったようなことが、通常あるパターンの段取りというふうに考えております。

 先ほどの話のように、具体的な形としてはまだありませんけれども、このようなパターンではということで多少議論は進んでおります。あれもこれもというわけにはいかないので、テーマを決めてこれから始めましょうかというようなことにできたら、具体的な交流のプラットホームができるといいなと。組織のような交流センターとかというようなものの設立を目指すんですかということもあると思いますけれども、これは県と清華大学というだけじゃなしに、民間も、奈良県だけじゃなしに日本全体として何かそのような動きが、清華大学は大きいですから、考えておられることは大きなことで、奈良県としてはなかなかそのマッチできるほどの力はありませんけれども、アイデアを出して奈良の昔の歴史・文化資源を活用して、今の問題に当たっていきましょうか。

 学長は歴史は大事ですからとおっしゃいましたので、歴史、過去の流れを振り返って今の時代をどう切り開くかという課題は、中国とでもそういう思考が盛んになって、イノベーションというのはそういうことだというふうに感じましたが、日本はイノベーション力がちょっと衰えたかもしれませんので、刺激を受けてイノベーション力を伸ばしていけたらと。奈良県なんかは特にイノベーションの力が刺激を受けて伸びたらいいなというふうに思っております。

毎日新聞:
 それから、2つ目と3つ目を一緒にお聞きするんですが、まず人材の交流という形で学生さんあるいは先生方の交流とおっしゃいましたが、交換留学生だとか、あるいは日本で向こうの先生受け入れて単位が受けられるようにするとかいったようなことが、まず手っ取り早いかなと思えるんですけども、県立大はじめ県内にも大学がありますので、そういったお考えがあるのかということと、テーマとして観光とおっしゃいましたが、もうちょっと具体的にどういったイメージなのかというのを、教えていただけますか。

知事:
 青少年交流もあるんですが、交換の留学生では、大学で、今、奈良県はサマースクールをしております。向こうの会議でも、サマースクールしてますよと、中国の方も韓国の方も来てますよという、これはもう実績でかれこれ八、九回になっておりますので、昔お世話になりましたから、その感謝の気持ちを込めてといつも言っております。遣唐使船、今遣唐使みたいなのですね、遣奈良使であれば誇らしいんですけども。

 交換留学というのは、大学の単位互換性をある程度できるかどうかというようなこともありますね。あるいはもうシニアになられた方でも勉強できるような場が、シニアカレッジやっておりますけど、向こうへ行ってシニアの方が何カ月か留学の機会あるかどうかというのも一つあります。外国のオックスフォードにちょっと滞在、オックスフォードなんかそういうシステムはあるんですよね。中国でも、清華はちょっとそのような話はしませんでしたけれども、あれば奈良から送れるかもしれませんよ。

 現役の留学生も向こうで単位互換性があれば、県立大学はそういうことを仕立てやすい面があろうかと思いますけども、国立はなかなか難しい面があると思います。それでもこちらの単位になれば、例えば最近は日本も変わってきて、1年留学すると日本は留年して遅れてしまうわけですけども、向こうで単位互換性があれば、向こうで1年過ごしても遅れることがないようにできるようになっているという話も聞きましたので、その個別の単位だけ、1年間の単位は全部こちらで取得したと。この選ぶ単位は決めないとだめかもしれませんけど、何でも学生時代は、広く学べばいいということであれば、ある程度のレベルであれば単位互換性が発生する可能性はあると思います。そのような仕組みの改善というか改革も含めて考えなきゃいけない分野があるかもしれませんが、交換留学というのも、お客様扱いじゃなしに、本当の留学になればというふうに思います。

 もう一つは、観光のほうですけども、向こうで一応は言ったんですけど、UNWTOという国連の機関の本部以外のアジア太平洋事務所が奈良にありますが、その奈良にあるUNWTOというのを通じて観光交流、シンポジウムとかをするというのは、シルクロード的なシンポジウム、観光交流の中国の奥地を含めたシンポジウムがあると思います。

 言い忘れておりましたが、朝食会に西安市、長安ですね、西安市の副市長が参加されました。その方は清華大学のご出身だということで、そういう人脈で随分違う。西安市から奈良市との交流の提案がたくさん出たんです。その中にもちろん観光も入って、6つか7つぐらい出てますので、それが西安市と奈良市の交流ということではあるんですけど、西安市がある陝西省とは奈良県は、友好関係、友好提携しておりますので、実際に行くと西安市でも600万とか、奈良県よりはるかに大きいですから、陝西省との交流で、行かれたらどうですかということもありました。

 すると、西安市は内陸ですので、航空機の部品とかいろいろ工業が盛んにされているんですね。内陸開発というテーマですけどね。中国の内陸開発というテーマで、奈良県もそれほど奥地ではありませんけど、一応内陸なので、内陸開発のテーマは共通するので学ぶことはあるかもしれません。その中の部品、モジュールの産業おこしというのもありますし、それも盛んであります。大きな工業都市に西安市がなりつつあります。

 それと観光。観光のほうは、びっくりしたんですけど、西安まで行って、真南が蜀の成都なんですね。西安と成都を結ぶ新幹線をつくるというのを、おととしかな、西安市で聞いたら、もうできてるんだって。だからそのときに思った。西安から蜀の成都に新幹線で行って、成都から四川料理食べて帰ってくるという観光ルートは、日本にとっていいんじゃないかなと、こう思ったりしてましたので、奥地の縦新幹線というのは興味があるんですね。こちらの北京-香港の新幹線、こちらの西安-成都の新幹線というのはとても興味がありまして、川はこのように横に流れていますけれども、それを奥地観光、さらに先にはシルクロード観光というふうになりますので、その協力ということであります。シルクロードから奈良に文物が来たというのが歴史の奈良の資源でありますので、そのような経緯、奥地観光のきっかけは、観光というテーマで西安市も出てきましたので、そのようなシンポジウムをしたりというようなことはあると思います。

 UNWTOの関係で、奈良でUNWTOの会議を、コンベンションセンターができるので招致しております。UNWTOの会合を、その総会というのが、たいへん大きい会合があるんですが、これもものすごい会合なのでちょっと諦めぎみなんですが、10億円ぐらいかかるんですけども、ホテルもできて、もう少し小ぶりのUNWTOの会合、ガストロノミーとかの会合は今申し込んでいるところです、奈良でUNWTOのコンベンション。

 そうなると、奈良でもテーマとしてガストロノミーというのは、スイカにしろ、ザクロにしろ、西から来て奈良でよりおいしいものができているというような、歴史を振り返らなくてもおいしいものは今おいしけりゃいいんだということでありますけれども、そのような歴史を振り返った東アジアの観光交流と、今大きなブレイクになっておりますので、そのような中国にも観光というのは恩恵があるように思います。ウインウインになると思いますので、観光も一つのテーマかなと思って提案はしております。

毎日新聞:
 そうすると、とりあえずはシンポジウムの開催、相互開催みたいなイメージですね。

知事:
 すぐにできるのはそのようなことですね、交流とか。

毎日新聞:
 わかりました。

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案件:「奈良県大芸術祭」「奈良県障害者大芸術祭」開幕について 

NHK:
 芸術祭ですが、先ほど知事が、ことしは南に展開するのが特徴だとおっしゃっていましたが、これは9月1日にオープニングを五條市でやられるのもその一環ということでしょうか。

知事:
 ああ、そうですね。一昨年は国文祭・障文祭のクロージングを五條でしたんですよね。ちょっと寂しかったなといって、今度はオープニングで盛り上げますよという経緯もありますが、五條がだんだん便利になってきていますので、南で。南のほうはとても遠いという印象を奈良県の人自身が持っていますが、京奈和ができてくるとどんどん便利になってきています。南のほうにも関心を呼ぶように、南のほうでの活動を強化していこうといった一環です。

NHK:
 先ほど、全てのイベントが666あるとお伺いしましたが、このうち南部のがどれぐらいありますか。

知事:
 どのぐらいあるんだろうな。大ざっぱでもいいんですけど。

担当課:
 後ほど調べて報告します。(666催事中、南部東部地域における催事数は60催事)
NHK:
 南部で開かれるイベントの中で、知事が注目されているものがあれば教えてください。

知事:
 南部、やっぱり社寺イベントが興味がありますね。社寺で、五條もあるけど、壷阪寺のイベントや、南部のお寺って山の上に、密教系ということでもあるんだけれども、密教も奈良の盛んな時代で影響があったと思います。社寺でイベントをすると山の上のお寺でイベントをするということになりますので、お寺の上のほうはシアターがないこと、雨が降ったら野外になるので、この秋に地域伝統芸能全国大会というのを開催いたしますが、奈良県で全国大会を開催して、地域伝統芸能大会、伝統芸能という形で地域に残っているものを観光資源として取り上げるんですが、観光資源だけじゃなしにコミュニティーの気持ちを寄せ合う資源というのが伝統芸能であろうかと思います。伝統芸能を復活して、地域に今住んでいる人が確認すると。地域で一部の人がそのような伝統芸能を守っておられますが、今度の大芸術祭でもその伝統芸能を展開される方もおありと思いますが、それはその場でされるのが大変意味があると。それを観光に結びつけるには来てもらわなきゃいけない。地域の者だけでやるというのもコミュニティーとしては意味があります。来てもらうと、さらに観光として意味があるというふうになりますと、シアターが要る。組み立て式の木造のシアターを今つくっておりますので、それを各社寺の境内に、ちょっと大きなイベントの場合は置けるようにしていきたいという構想も持っております。展開の場所が大都市だとホールがありますけど、田舎のほうはホールがなかなかないので、田舎のほうにイベントホールをつくって、イベントがないとホールをつくっても意味がないわけですが、今みたいにイベントを展開するとイベントホールも要るんじゃないかというふうになる。五條は体育館ですが、イベントホールにもなっているという形で、イベントはスポーツのイベントホールでもありますが、芸能、芸術や文化のイベントホールにも共用できます、というふうなことが一つのパターンとして願っているところでもあります。

NHK:
 あと、障害者の芸術祭なんですが、数年前から始めて、少しずつ積み上げてこられていると思うんですが、その辺の積み上げ方というか、理解の広まりの状況は知事としてはどのように。

知事:
 そうですね、障害者に対して奈良県、優しいんじゃないかという印象を持っています。それは障害者の雇用率がずっと全国の1位、いっとき2位になりましたが、全国1位になっていることは大変誇らしいと思っています。それは中小企業の方が障害者をずっと雇用されているというメンタリティーがございます。それで、障害者の人がインクルーシブに(=排除されずに)、一般の健常者と変わらない扱いを受けて参加され、芸術の場でそういうのを実現しようということです。スピードはハンディがあります。芸術は競争ではないので、参加し合うということになります。

 そのときにいろんな分野で芸術を表現されるというのと、鑑賞するというのと、一緒になるというのと、三つのパターンがあると思います。そのために参加していただくというのも一つあると思いますが、それがずっと進んできています。いろんなイベントで障害者の作品ですよということで進んできております。今度は、参加されるということはバリアフリーにならないといけない、移動の不自由さを克服しなきゃいけないというふうに、社会生活を変えるってほかでも効果があるような動きになってくると思います。そのほか会場もバリアフリーにだんだんしなきゃいけないというふうになってくると思います。

 それと、舞台というので上がらなきゃいけないけれども、舞台が床の上ということは奈良の障害者も一緒の芸術祭ですので、車椅子の方が舞台に上がるのに横の階段というのはとても狭い階段になっています。その舞台に上げない、舞台は音楽やお囃子の場になって、下のほうで踊ったりされるような、車椅子ダンスなんかは下のほうでされるという傾向もありますが、設営をそのように、いろんな工夫をして、障害者も参加されるのが普通だというふうにだんだんなってくればいいかと思っています。

 その障害者の団体の方が言っておられましたが、障芸祭って、障害者のお祭りとして別にあるように、一体開催だけど、「一体開催だ」と言うのをやめて、もう、一つの名前にして一体が普通だというふうにしてほしいと、大変先駆的な言い方をされました。そのうち奈良で芸術祭といえば一体開催なんですよということを言わなくてもわかるようになればと願っています。だんだん意識が進んできているように思います。

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日韓関係悪化による観光への影響について 

時事通信:
 最近日韓関係の悪化に伴って、韓国では日本不買運動が起きているとのことで、日本への海外旅行を自粛する動きも進んでいるとのことですが、奈良もたしか昨年度のランキングで、韓国からの旅行者が2位か3位かだったと記憶しているんですけれども、奈良の観光への影響についてどうお考えでしょうか。また、何か影響は現時点でありますでしょうか。

知事:
 観光は、いろんな事情で、あるマーケットからの客が途絶えることもあります。過去の例で、中国で病気が発生したので渡航が禁止になった例も、SARSですね、そのようなことがありますし、戦禍があるとそこは行けなくなったりしますので、だから観光はしょっちゅうそのようなことが起こる産業であります、私の観念では。だから北のお客さんが急に来れなくなった、南のお客さんをまた呼ぶのを熱入れようと。全世界一斉に凍結するということは幸いないわけでありますので、ほかのところでカバーするのが観光産業でありますので、私は観光産業というのはそんなもんだから、一つのところから来ないのでそんなに慌てることはないですよというのが私の感じです。

 奈良ということだけでないかもしれないけども、ほかからも来れば、別に地元の観光産業として、韓国だけじゃなしにほかからも来てますのでというふうになればいいだけの話だというのが基本的な考えであります。全方向的にマーケットを開発するようにと、いつも備えているのが観光産業というふうに思っておりますので、奈良はどんな感じかわかりませんが、方向的にはいろんなところから来ておられますので、西日本は韓国特化が大きいのかなという感じがいたしますですね。だから打撃が大きい。あるいは北海道も直行便があるとその特化が大きいからということがあります。奈良なんかは、どっかで上陸されて、ゲートウエーがあって奈良に、奈良だから来られるという人がほうぼうから来られてますので、多少その影響は薄まっているかもしれませんが、薄まっているからいいとかっていうんじゃなしに、観光産業はそもそもほうぼうからお客さんが来ていただいておもてなしをするというのが本質でありますので、こういうことはしょっちゅう起こりますよというふうに備えるべきではないかなというふうに私は思っています。韓国との関係で、余り目くじら立ててきいきい思わないほうがいいんじゃないかなと、こう思っています。感情的なことは、時が済めば感情は穏やかになりますので。

時事通信:
 現段階で、例えば実際奈良に来る人が、韓国人観光客が減っているとか、そうした影響というのは知事の耳に入っていますか。

知事:
 数字はまだ把握しておりませんが、事業的には、1つは、韓日文化キャラバンが8月31日から、なら100年会館で開催されます。8月31日ですから間もなくですけども、現在のところは実施されると聞いております。一般の申込者が1,700名ぐらいあるというような事業になっておりますので、できる見込みであります。できればいい、普通どおりできる、事業としては。

 もう一つは、今、東アジアのサマースクールというので例年の事業を、奈良県でやっておりますが、韓国の人が例年よりふえているのかな。10名以上学生が来られていました。一緒に写真撮りましたけども、韓国の人が10名以上来られていました。44名の人ですけども、韓国の人も来て一緒に写真撮りました。普通と変わらないような参加者であります。

 それから、今年の11月6日から東アジア地方政府会合がありますので、これは例年どおりできたらと思います。まだ今の時点で不参加というような申し出はございませんけど、まだちょっと先の話ですので、気にはしておりますけれども、このような事業が進めばいいなというふうに思っております。

 観光の落ち込みは、先ほど申し上げましたように、西の客が少なくなれば東の客を大事にするようにと。北の客が少なくなれば南へ声をかけるようにというのは観光の鉄則ですので、奈良はそのような全方位的な観光産業に成長すればいいなと思っています。

時事通信:
 西のほうが来なくなれば東ということですけれども、仮に今後、日韓の対立と不買運動が長期化した際を考えて、奈良県としては今後どういうところ、地域、国にターゲットを絞って観光客を集めていこうとお考えでしょうか。

知事:
 そんな特化しなくても、北だったら南と言いましたけど、西でも東でもいいわけですね、北西でもいいわけでありますので、あんまりきいきいしないというのが大事かと思います。不買運動も、あんまりきいきいしないでというのが、感情のエスカレーションというのは、余りいいことを生まないと思いますので、感情のエスカレーションをしないように、気にしないというのが一番いいんじゃないかと私は思っています。

共同通信:
 今の質問で確認なんですけれども、8月31日のイベントがそのまま続行の見込みということで、中止ではないということですね。

知事:
 そうですね。もうすぐだから、今の時点でだめという話はないんだから、ドタキャンというのがあるかもしれませんけど、心配はしてますけども、できればいいと思っています。

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政府要望(企業立地に資する道路整備の強化)について 

日経新聞:
 きのう配布がありました政府予算の要望、明日行かれるということなんですが、企業立地に資する道路整備の強化ということで、名阪国道の抜本的な見直しというのが入っているわけなんですけど、これは今回初めてか、従来からされているか。

知事:
 名阪は無料でありますけども、従来言っておりましたのは、名古屋-大阪を結ぶ幹線が名神、新名神、名阪と3つあるんですけど、名阪は西名阪が有料で名阪国道が無料ですので、ヘビーになっているんですね。みんなトラックが南を通っていくと。料金が大阪-名古屋が7,000円台、こちらが3,000円台になるといったようなことで、その3,000円を稼ぐために奈良公園の中を、岡山とか埼玉、福島のトラックが通っていたというのに目をつけた。何かおかしいなと思って。天理のインターから入るんですけど、そこから、そこまで、のたのたと行って、ぴゅっと走られると。

 今までの経緯を言いますと、名阪の国道の有料化という陳情をいたしました。有料の陳情を出すのは珍しいんです。これは地元の通過交通有料化であります。名神、新名神、名阪イコールフッティング、同じような条件で幹線を取り扱ってくれということを陳情しておりました。

 国交省のほうは、無料になったのを有料にするのはなかなか難しいという返事でございました。地元の人は、あんまり大騒ぎになりませんでしたけれども、「有料になるのか、今まで無料で行ってた」ということがありますので、陳情の内容は、地元の車が近所でインターを1つ、2つ、針から福住とか行かれるのはそのまま無料になるように、あるいは地元の人が行って帰ってくる間は無料になるように。通過交通を有料にするというのはテクニックが要ると思っています。通過交通が有料だと一度おりて、地元の車のようにしてまた乗るというトラックが出るかもしれない。余計なことになるかもしれない、それはまたテクニックが要る。そのようなことも考えて、有料化をお願いしていました。

 一方、国交省の国道ですけども、オメガカーブで、特に下りのほうで追突事故が多いので、安全上問題だという関心はありました。それを改良するのに、オメガカーブをなくすような、直行の有料高速道路をつくろうかという構想はございました。そのような構想を南から上げるのと北のほうで上げるのと検討して、南からはちょっと難しいという県の結論になりまして、今の段階では北のほうのオメガカーブのところを上げるような構想で検討してくださいと。これは国土軸の幹線ですので、県は事業主体として手を挙げることはないと思いますが、できると有料でも負担金がありますので、手を挙げるということは負担を覚悟しますよということの表明でもあります。新しい道路をつくるという構想になると思います。具体的には、国のほうで考えていただかないといけないわけで、地方整備局とはそんな話をしております。

 横軸になりますので、県としては第二阪奈と京奈和を結びつける道路と一緒に、その横軸の強化と名阪の改良路線の新設を合わせてお願いをしているところであります。そういたしますと、企業誘致と関連する。名阪の近所で、福住などに、針・福住の工場団地がありますが、奈良の工場は京奈和の沿線に集中している状況ですので、名阪もありますけれども、名阪が非常にスムーズになると東のほうのところに工場団地をつくれる可能性もあります。山の中ですけど多少の空き地がありますので、そこで工場団地をつくって針とか福住にアクセスするといった工場団地の計画をして、勉強を始めております。

 県内の道路網は、東のほうの桜井とか宇陀のほうから通勤してもらうと。工場自体は、高速道路へのアクセスのいいところ。その工場への通勤が可能な道路、これは県の地元でつくるという構想であります。同じような構想で、五條とか御所に工場、京奈和自動車道のところに産業団地をつくりますと、五條の工業団地には十津川の道路が改善されますと、十津川が通勤圏内になります。御所に産業団地ができますと、黒滝とか天川が通勤圏内になりますというような発想であります。そうすると雇用が発生する。京奈和自動車道の周辺で発生しても、定住者は黒滝とか十津川とか。東のほうで工場団地があると桜井とか宇陀とか曽爾、御杖からも通える。曽爾、御杖から大阪に通うというパターンはとても難しいですので、その近くで工場が来ればありがたいという構想で、その道路の整備もお願いをしております。そのような考え方でございますので、経緯といえば、有料化の経緯があった上でのことです。今度はそれとまた別の構想になってきております。

日経新聞:
 確認ですが、名阪国道の例えばオメガカーブを解消するとかいうのではなくて、新しい道路をということですか。

知事:
 そうですね、オメガカーブのところをぐるっとこう、勾配がありますので、素人の考えですと、トンネルでぐるっとループをつくると、北陸のトンネルのようにループをつくると高度を稼げるということがありますが、大工事になりますので、オメガカーブ解消道路、バイパスでするのか、解消だけだったら。それと別途、オメガカーブはそのままにしておいて、新設の有料道路をつくったほうが効果的かというのは、道路のつくり方の検討課題というふうになりますので、これはどちらかというと国のほうへ下駄を預けるという形になると思います。

日経新聞:
 今回は、だから新設してもいいんじゃないかというのを提案されるという結論ですか。

知事:
 そうですね。新設というのはなかなか大胆なので、県から言い出せるような話ではございませんが、国のほうからもそのような考え方はどうなのかというようなご下問がありましたので、多少南のほうからはどうなのかというようなことを検討した経緯があります。南のほうからというと、
大和高田バイパスを延伸できないか、これは大胆な発想なんですけれども、大和高田バイパスから橿原、桜井の北を通って針に向かうというような道路でありますけども、そのような構想を国から提示されまして、県も検討し、藤原宮跡があるので橿原市内を通過するのが難しいというようなことで、あまり現実的でない道路構想かというように返事をした経緯があります。

産経新聞:
 今、問題なのは、奈良公園にトラックが流れてくるというのが一番問題なんですか。

知事:
 奈良としてはそうですね。来なくてもいい大型トラックが大和平野の中をうろうろされるのは、やかましいし、事故も起こるからというのが、要望したきっかけです。

産経新聞:
 天理のところで有料になりますよね。あそこを無料にして、(国道)24号のバイパスまで無料にしたら、トラックはそこから北に向かって、24号に行くほうが早いですよね。

知事:
 24号の……。

産経新聞:
 奈良公園なんか通る必要なくて、南北に流れる24号まで無料にすれば、トラックは全部そこから北に行くのではないですか。

知事:
 今度、有料になりますけどね、大和北区間は。

産経新聞:
 ええ。だからそっちに逃がすのかと。

知事:
 いや、考えとしたら逆ですね。無料区間があるのが流れをいびつにしているという、これは国のほうで全体として考える話ですけどね。名神、新名神、有料道路とはどういう意味がありますかとなりますよね。無料と有料との組み合わせはどう考えるんですかとなりますので、それは国だけでなく県も考えていい話ですけど、ただ、意見を言うだけにはなると思いますけども。

産経新聞:
 私自身、三重から大阪によく使ったんですけど、そのときに天理から有料になるので、必ずおりて、下道で行ったことはすごく経験があるんでわかるんですけど、ただ、そこからもう少し無料区間を長くしてくれたら。

知事:
 しません。

産経新聞:
 しませんですか、そのほうが便利かなと。

知事:
 道路のあり方で、有料区間は要らないと、払うから要らないというのはあると思いますけど、そうやっていたら道路が進まないし、有料区間はどんな意味かと。道路整備を税金でやってきたのが、税金でやるかわりに、有料区間の通行料でやろうという体系になってきています。税金の体力が弱ってきた。自動車諸税よりも有料区間の上がりのほうが今大きいんですよね。有料で維持・更新しないと、みんな税金で維持・更新すると大変になると思います。だから払われるのが、有料区間で払うのか自動車税の保有税やガソリン税のいろんな財源で払うのか、どちらかで払わないとインフラは維持できないですよね。有料区間は一々払うから嫌だ、黙って引かれるのはいいやと。感情としてはそうですけど、それはずるい取り方じゃないかという見方もありますので、全体としてわかるように、いい取り方とは何か。税金でか、有料道路にして取るのがいいかという考え方はありますけれど、今までドイツなんか無料でしたが、だんだん有料化されているんですよね。

 税金の財源が、高齢化先進国では、高齢化社会になって社会保障に回ってきているという傾向が日本でもあります。道路なんかは税金でつくるという、国が取って投資する時代が過ぎて、維持の割合がふえてくると、維持と受益と負担は、有料で取るほうが何となく維持のために払っているんだよとなってくるので、投資主体の財源と維持主体の財源と感じがまぜこぜになるような、雑駁なことですけど。それを今、有料道路制度の根幹を国交省で考えておられると聞いてますけど、大きな話ではあります。奈良県は名阪という特殊な事情がありますので、この際、体系的によく考えてほしいというのが基本的な願いです。

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政府要望(吉野山観光リフト)について 

奈良新聞:
 今回の政府予算要望に入ってないんですが、前回の重点項目に入っていた吉野山の観光リフトについて、その要望書の中には、国に対して国立公園の計画について特段の配慮を求めるという内容があったかと思うんですけど、その特段のというところが具体的に県がどういうものを求めておられるか聞かせていただきたいと思います。

知事:
 これは前回に行ったんですけど、具体的には環境省の事務次官のところに吉野町長と行きました。過去何回か、吉野山のチェアリフトの構想について説明に行ってまして、門前払いでなく検討しましょうとなって、ここまで進んできた話です。公園の森の上にチェアリフトを走らせるのが是か非か。これは環境省の権限がありますので、環境省にお伺いを立てるということですので、ずっとその話を進めております。具体的に今、吉野山はゴンドラリフトでなくチェアリフトでやる方向ですが、吉野町がみずからされるということですので、5本ですか、奥千本まで行くチェアリフトも含まれてますけれど、それを環境省に持っていきました。これは環境評価をちゃんとするのに、環境省の方も参加していただいて検討するということになっています。環境の評価がそれでいいとなるかどうかをお願いする、評価してくださいというお願いです。

 国立公園の上にもスキーリフトとかゴンドラリフトが、日本の山々を走ってますので、ほかで走っているのと吉野山で走るのとどういう違いがあって、吉野山でもできる可能性があるのではないでしょうかということを申し立てていますので、そのような過程で事務的に環境省の環境評価をしてくださいと。

 環境というのは、動植物の生態系や景観への影響とかといろいろありますので、客観的といいますか、正当な評価をいただきたいと。一部の方が、こんなの嫌いだと反対されて押されてしまうというパターンにならないようにという願いも込めています。正当な評価を環境省でお願いしたいというのが、特段の配慮ということです。

奈良新聞:
 5本の(リフト)という話になって、その中には、場合によっては現在植わっている吉野山の桜の伐採なり移植が必要になるケースがあるんじゃないかと地元では言われているんですが。

知事:
 その通路になると伐採になるかもしれませんが、まだそういう計画はありません。景観を維持するため、むしろ桜をもっと植えなければいけません。桜の再生をしなければいけないという事情がありますので、それにむしろ力を入れることになると思います。木は、今あるものが一番いい状態かどうかわかりませんので、伐採と植栽を繰り返すというのが山の維持で最も大事です。どこを伐採してどこを維持するか。弱い木は伐採する、強い木は残すという、山の生態系に即した維持の方策が一番大事でありますので、リフトがあってもなくても同じようなことですけど、リフトがあっても山の健康を維持するというのは変わりないわけです。健康を阻害しないように、そのように象徴的に言われないようにするために環境省に入ってきていただきたいと思うものです。現実に山の生態系をよく見て判断していただきたいというお願いです。

奈良新聞:
 事業主体は吉野町になるんですけど、県としてはこのリフト整備についての期待というのか、どういう影響、効果を期待しておられるのかと、あわせて実現可能性について手応えが今どのようか。

知事:
 環境評価、実現可能性は吉野町がされていますので、実現可能性は十分あると思います。吉野町の観光の特色は、桜の時期だけ儲けてあとは休むというパターンですので、サービスのレベルは低くなる傾向があります。観光地は通年観光が一番いいですね。通年途切れなくお客さんが来る。先ほどの韓国との観光でも言いましたが、全方位観光、通年観光が一番効率的です。しょっちゅう人が来て、年中オープンしている観光地が一番いいわけです。

 吉野町は、それと逆を走ってこられました。桜の時期だけ開業して儲けたら、それで済んでたというのが吉野町の観光。それではいかなくなった。ロープウエーがありますが、桜のシーズンだけ運行して、あとは運休だったんですね。だから、ほかは来なくていいよということですが、むしろ新緑の季節とか、もみじの季節とかも、山の上から見るというのが大事です。

 それから、観光地で大事なのは、奈良の観光地は山辺に上ると、社寺がそうですが、海から来たものを山に奉納して奉るというのが基本的なパターンですので、観光地では、社寺は皆山に上っていく。皆若い間はいいですけど、年寄りになられると、こんぴらさんや高野山みたいな急な階段はなかなか上れない。登坂施設というのは不可欠になってきます。登坂施設はチェアリフトでもゴンドラリフトでも自動運転の車でも、参道を上るというものが開発されていて、山辺の観光地には不可欠な移動手段で、移動の円滑化というのは高齢者社会では不可欠になってきます。歩いて上るのはありがたいことですけど、階段が上れなくなってしまったからという年配の方がおられると、いや、自動運転のバス、あるいは電気のバス、あるいはリフトで山の上まで上れますよ。千本まで行ったことないけど、今度は奥千本まで行くことが可能ですねということは、今どこでもできる話。

 これはスイスが一番進んでいます。スイスの山をずっと1人リフトで3,000メートルぐらい登るんですね。ずっと怖かったですけど、昔登ったことがあります。スイスでは、ほとんど垂直のロープウエーもありますから、山の上は車は入れない。シャモニーもですけど、そのような進んだ観光地があったわけです。やっと日本は、山辺の観光地ということで、多少似たようなことができるようになったと思っています。

奈良新聞:
 やっぱり奥千本まで、5本必要ということなんですか。

知事:
 5本の案が出ていましたね、奥千本まで入って、蔵王堂まで行くのも。そこからジップライン(木々の間に張られたワイヤーを滑車で滑空するもの)という、ナイアガラの下を鋼鉄のロープで下るのを、吉野でもできないかという構想で、県としては推奨しています。山に、年配の方はリフトで上がってリフトでおりられる。今度は、若者はリフトで上がってジップラインで下まで下るというようなことができたらと構想はしています。

 

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リニア中央新幹線新駅について 

毎日新聞:
 リニア中央新幹線の新駅の話ですが、先日来、立て続きにね、橿原市長さん始め皆さんと、あと奈良市長さん来られましたけども、奈良市の案に八条なり大安寺の案が新たに加わったという部分について、知事としてはどのようにごらんになっておられるでしょうか。

知事:
 JR東海に名古屋以西の専門の担当部長ができました。田畑さんという方、とてもいい人なので、実務的な、信頼関係のある実務協力を進めています。これから環境アセスを開始することになりますけれども、環境アセスまでに整うべき情報収集されておりますので、それに協力するという形になると思います。これは、駅は政治的に決めるのではなくて、実務的に決めるのが一番いい。奈良市附近というのは今のところJR東海は堅持するよというような意向が伝わっております、奈良市附近という告示で決められたのは堅持しますよ。奈良市附近のどこかということが今、調査になっているということになります。

 そのときに、要素としては、何といっても工事費になります。工事費が安くなるというのはどういうことかということになりますが、それは用地取得が容易だということです。用地取得で交渉がうまくいかないとおくれますので、工事費にも影響する。用地取得が円滑にいくというのが一番大きな要素だと思います。これはまだどの場所を選んでも、奈良は用地取得が全国一難しい県ですので、用地取得が円滑にいくというのが一番大きい。

 もう一つは、土砂搬出、土捨てが大きな要素ですけど、県は土捨て場を五條の山の奥に、滑走路付き大規模広域防災拠点をつくるための土捨て場を用意いたしますので、という形での協力を申し込んでおります。もう一つは、住民の邪魔しないように、奈良は歓迎ですよということを具体的に調整する必要があります。基本的にはいいなということですけど、具体的に反対の人が出てくると、どうして反対なのかということを克服せないかない場合もあると。今、表立ってはありませんけれどもね。静岡のケースがありますので、そういうことがないようにということをJR東海は気にされているようであります。そのようなアセスメントの開始までに、予定でしたらもう3年後ぐらいにアセスメントが開始になるというようなことですので、随分近づいてきましたので、アセスメントを開始するということは、具体的な駅の位置が、大体姿が見えてくる可能性もありますので、最終的には工事の着工の直前になると思いますけどね。ここでこの工事をしますということは直前になると思いますけれども、アセスメントのところでどの方向で、どのような場所で駅の位置、ルートが決まるのかということはもう少し出てくると思います。それに県は全面協力するということであります。奈良市と、あるいは大和郡山市、その他の方からの知事宛ての陳情があったということであります。

 JR東海は、個別の場所の陳情は受け付けておられませんので、県単位で話をするというふうにされておりますので、その要望の調整ということに県の役割はなってきております。

毎日新聞:
 その県の役割ですけどね、何となく八条・大安寺に収れんされていくんじゃないかという気がするんですが。

 もちろん県が提案するという立場じゃないんでしょうけども。もちろん東海が決める話なんですけども、新奈良駅でしたっけ、これはJR西日本さんですけども、そこの新駅できてきて、知事もここをまた玄関部にしたいという思いもお持ちですし、あと、そこなら大和郡山もすぐ近くですからね。そうなると、何となくそこに収れんしてくるのかなという気がするんですが。

知事:
 記者さんの臆測じゃないの。

毎日新聞:
 それは臆測といえば臆測ですね。そういった思いとかお持ちなんでしょうか。奈良県としてね、まとめる立場にはないんでしょうけども。

知事:
 要は円滑に進むのが一番いいですよね。奈良市附近ということが堅持されればね、円滑に行くところ。それと県としては将来の発展性がいいところ、円滑にいくというのは用地取得にかかってきますので、最後まで一本に絞り切ることはないんじゃないかなと思ったり、2つ新幹線の駅はできないけど、2つその拠点ができても、3つできても別におかしくはないわけでありますので、どこに決まるか最後までわかんないほうがいいのかなと思ったり個人的にはするぐらいですけどね。

 私の立場は、円滑にいくようにということでありますので、その決める場所が奈良市附近であれば、県としてはいい場所、発展性のある地域になればいいなということ。これは八条町の駅の構想は別に新幹線が来るからという構想じゃなしに、何度も言いますけど、もとから新奈良駅をつくるというのを先行しておりました。インターチェンジと新奈良駅。新駅をつくるというのを、JR西日本はとても協力的ですので、JR西日本の新駅設置がスムーズにいった理由であります。

 これはリニアが来ても来なくても立派な駅になるようにというようなことでありますので、第二阪奈と京奈和の接続もこれに関係するのか関係しないのかというのはね、関係すると大きなジャンクションになってしまうので、接続は違う場所のほうがいいんじゃないかなと思ったりするんですけど、そういうような第二阪奈との接続、京奈和との接続も、このインフラの整備で関係いたしますので、奈良市の近郊が大きく変わると。特にリニアも来るとものすごく大きいですけれども、それとともにまちが大きくなるというのは今までないことでありますので、八条町の駅の整備、スマートシティーの構想で今進んでおりますので、あそこは京奈和のインターチェンジと新駅というのが大きな組み合わせであります。大安寺もありますので文化資源もあります。それらが大きな発展要素だと思います。

毎日新聞:
 今のところね、奈良市さん、生駒市さん、あと大和郡山市が手を挙げておられます。3つの自治体で挙がってますけども、県として1つにするというようなお考えは。

知事:
 東海との関係で、よく奥野先生が早く県で絞れよとおっしゃるんですけど、やっぱり東海との間合いというのがありますので、勝手に決めたらそれでいいかどうか。すると、県が決めると用地の取得を保障せないかん。奈良県はそんな土地柄じゃないですよね。だから用地が早くできたところを推薦しようかなと思ったりする。用地が、この線路、道路もそうなんですよ。ここで道路をつくってくださいというふうに陳情したら、ここがいいですよというふうに東海にご推薦しようかなと思ったり、ほとんど真面目に思ったりするぐらいなんですよね。新幹線とか道路は強制収用という道がありますけれどもね、そのような土地柄ですので、一番の難所が用地取得だと思います。

毎日新聞:
 そうすると、3つの分を何か1つにするというようなことは、今のところお考えはないという答えでいいんですか。

知事:
 そうですね、用地取得が一番進んだとこがいいんじゃないかと思っております。

 それが正直なところですね。用地取得は早く、俺の地面出すから早くつくれという人がわさっと線路上に、予定線路に集まると、ああ、ここがいいですよと、早く買収したらどうですかというふうには思っております。道路もそのようにしようかと思っている。道路用地が買えたから道路つくってくれという陳情を優先しようかと思って。

毎日新聞:
 わかりました。

司会:
 ほかにご質問はどうでしょうか。よろしいでしょうか。

 何かございませんでしょうか。よろしいですか。

 幹事社さんもよろしいでしょうか。

 それでは、これで知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

                             以   上

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