令和元年12月25日(水曜日)知事定例記者会見

司会:
 ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日の案件は、令和元年県政の主な出来事と、今年の漢字ということでございますが、まず1つ目です、令和元年県政の主な出来事で、お配りいたしました資料から知事より説明をいたします。まずは、よろしくお願いいたします。


今年の県政の主な出来事・今年の漢字について

令和元年 県政の主な出来事(pdf 200KB)

知事:

 主な出来事を、よく10大出来事とかおっしゃるんですけど、どのようにするのかなと思って考えました。この出来事を分析ということでざっと見てみますと、主な出来事だから、言い方を変えればニュースの重大性を振り返るということだと。ニュースの重大性というのは何かなとふと考えると2つの種類があって、1つは広く影響する出来事と、もう1つは、捉え方は難しいんだけど、歴史的に意味がある出来事と。歴史のほうが捉えにくい、割と日本人下手だからというような。広く影響するというのは、量的に広いというのと、特別に広いというような、広く影響という2つの種類があるように、これは勝手な解釈。歴史的に重要というのは、種類が割とあって、今小さい、ぽんとやるけど、将来に影響がある出来事、これは将来しかわかんないよという見方もあると思うんです。しかし、捉え方によっては、これはすごいことだと捉えられることもある、将来に大きく影響するよと。

 それから、逆に過去から見て長く続いたねというのがあると思うんで、それは遷都1300年とか、来年ですけど日本書紀1300年、そのような年期物というのが、長く続いたねというのがあろうかと思います。それから、歴史的に3つ目は、起点になる、始まったよというのとか展開点。ここまで真っすぐ来たけど、右に曲がった、左に曲がった、転回点になった。これも後で見ないとわからないことがあるけど、鋭く見る人は、これは転回点だといって大きくニュースにする人もいるという感じです。

 それから、わかりやすいのは初めてできたよ、初め物というのは大体ニュースになるという、年末だからこんな資料出すので、勝手に振り返っているんで、将来、歴史物は割と難しいなと改めて。将来に影響する、長く続いた、これはわかりやすい。それから、初めてというのもわかりやすい。それから転回点というのは割と難しいと、こういう感じがします。

 それで、この出来事を振り返りましたというシナリオですけども、広く影響したというので、奈良で書いてない、実は影響しなかったというのはニュースにならないんだけど、私なんかの立場で一番ありがたいのは災害がなかった。ほかは災害があって、ニュースの量もすごく多いんだけど、災害がないというのはもちろんニュースにならないんだけど、その出来事、できなかったことという意味で、この中で災害がないなというのが物すごくありがたいことだと振り返ります。

 また、歴史的なものというのはいろいろあるんですけども、これだけあるのに何か重要性のランクはないのかと、お聞きにならなければ、もうこのままで終わりますけど。

毎日新聞:
 聞きます。

知事:
 ありがとう。直前だけど、今みたいな形で考えましたというだけの話ですので、いろいろ違いはあると思いますが。それで多少ランクをつけて、そのような性格も見ながら振り返りましたというので、1番は、智恵の「都」をつくるの(6)ですね、新元号の令和と親謁の儀というのは、これは歴史的にも即位の儀式と関係しますので、奈良にとっても1番かなと思います。これは出来事としても広く影響あるし、歴史的なものでも長く続いていると、126代ということで、そういう性格で1番です。

 2番というのは、同じく智恵の「都」の(2)と(9)を同じとして、奈良の仏像海外展示ということになり、パリのギメ東洋美術館とイギリスの大英博物館での展示ということで、これは歴史的な観察からは初めてのものですねということで、これを2番に私としては挙げたいと思います。

 3番目に挙げるのは、初めてというのと将来影響あるよという2つの面で、便利な「都」をつくるの(3)、奈良公園バスターミナルですね。

 それから、4番目は歴史物の中でエポックものですね、長く続いたというのも、1300年ほどじゃないんだけれども、10回物が2つあります。健やかな「都」をつくるの(4)、奈良マラソン10周年と、智恵の「都」の(10)東アジア地方政府会合10周年というのを2つ、ランクで4番目に挙げたい。私の感じでは、ああよく続いたなと思う面があります。

 5番目ですけど、ニュースになったかどうかは別で広く影響があるというのと、初めてもので、広くニュースの中で、珍しいユニークな影響がありますよというのと、将来の見込みがありますよという意味で、智恵の「都」の1番ですね、アジアコスモポリタン賞の受賞。これは大賞の受賞が福田康夫さんであるのと、経済・社会科学賞がリチャード・ボールドウィンというアメリカの経済学者、今ジュネーブに住んでおられる方。これは2年に1度ですけども、毎回すごくレベルの高い人が来られて、アジアコスモポリタン賞と書いてますけど、その前に平城遷都1300年記念とついているのが正式の名前ですので、奈良ゆかりの賞ということで、奈良の出来事に挙げてます。

 それから、私の感じで6番目になるのが、賑わう「都」をつくるの(3)ですね、地域伝統芸能全国大会。これは全国的にはもう毎回やっていますが、奈良では歴史物として初めてということで、将来への影響というのは、この伝統芸能いろいろやっている中で、一つのきっかけになるというものです。

 7番目になりますと、近々影響が発揮されますねというようなタイプの出来事といいますか、進行中のものです。7番目に挙げたいと思いますのは、賑わう「都」の1番ですね、平城宮跡歴史公園1周年記念と南門の立柱、平城宮跡ものということで、これは着々とですけど、大変ユニークに進んでますので、南門の立柱式というイベントを行いましたけど、今18本の柱がもう立っていますので、現時点では完成はもう少し先ですけど、平城宮跡がいろいろ進んでますので、その象徴的に賑わう「都」の1番と、積水化学の南のほうとかも関係するという意味で、7番目という感じです。

 同じ種類ですけど、進んでますよという中では、賑わう「都」の(5)になりますけど、新ホテル・交流拠点が進んでおります。それともう一つは、ここに書いてないと思いますが、高畑の裁判所跡地のホテル開業も来年の春に迫ってますので、来年の春の開業に向けてという意味で、この大宮通りの新ホテル・交流拠点と高畑のホテルと、2つが並ぶように思ってます。高畑は出来事として書いてませんが、そのように思います。

 9番目になると、歴史の起点になったり、初物でもあるし、将来に影響ありますねというタイプの出来事になりますけども、爽やかな「都」をつくるの(2)ですね。県域水道ビジョンをつくって、一体化の出来事が進んでいます。これは将来影響ある出来事で、しかも初めてそのようなことが起こりましたということになります。

 同じように将来影響があって初めてというのは、田原本で初めて内水対策の起工式をしましたが、それも同じタイプで入ると思います。

 それから同じく9番目、今みたいなくくりにすると10がないので10番にしておくと、爽やかな「都」の(7)ですね、近鉄大福駅周辺の県営住宅建て替えということだけですけれども、県営住宅の建て替えは別にニュースにもならないけれども、考え方としては、広いところを集約してここだけ建てかえますよと、ここをまたまちづくりしますよと、非常に斬新なまちのリニューアルをやっていますので、その第1期工事が始まりましたという意味で、将来に影響あるというのと、公営住宅の転回点になりますというような意味を。

司会:
 内水対策は、愉しむ「都」をつくるの(5)の平成緊急内水対策事業、新たなステージへというのが、それに当たります。

知事:
 ああ、そう、愉しむのほうに入っている。

司会:
 それでは、ここで今年の漢字を知事さんから発表いただきたいと思います。よろしくお願いします。

知事:
 今みたいな振り返りの感覚ですので、私としては、これに奈良県は決まりだと思っていました。それはこういう「嘗」。

 これは大嘗祭の「嘗」なんですけど、日本書紀にこの漢字はもう入っているわけですけど、この際と思って書くに当たって意味も知らなきゃと思って調べた。その大辞典から引っ張ったのを出しました。その中で、やっぱりなめると、臥薪嘗胆の「嘗」ですね。肝をなめるというような、なめる。中国の古典から、なめるというのがある。そこから始まって、これは、後で行事があってつけ加えたんじゃないかと思いますが、新嘗祭というので、新しくとれた穀物を神に供える祭りというのが、今の新嘗祭、大嘗祭という、即位儀礼になったと思いますが、このような字は日ごろ使わないし、なめるってこんな字なかなか書かないこともあるので、大嘗祭という儀式の名前でセットであらわれてくるだけだろうかと思いますけど、大嘗祭の意味を勉強すると、非常に意味のある言葉だった。

 この「嘗」という行事が、人間の日ごろの食べる、それに感謝する。県の行政とこれ無理やり結びつけたとなると思いますが、食と農の振興条例、食べるというのは今、健康の関係でもとても重要になっています。世界中、とにかくこのなめる、食べる、口に入れるというのはとても重要な儀式に、行為になってますけど、それを即位の儀式にした天武天皇はどういう頭だったんだろうかと思ったりしますけど、大嘗の「嘗」というのを、奈良県にとっては、今年の特別言葉に私としてはしたいと思いました。

 これは県民だよりの1ページ目ですけど、どうしてこれを選んだのかという説明にもなろうかと思って、この言葉を考えてから書いたわけではなしに、大嘗祭は奈良とゆかりがあるなということでこれを書いてあったものですけど、大嘗祭の奈良とのかかわりがありますよというのと、奈良で始まった天武天皇2年(西暦673年)即位儀式で始まったというのは、この「嘗」と即位の儀式が交わってるというのが、さっきの歴史感覚ではとても大きな意味があるように思います。

 その結果というか、日本書紀の天武天皇2年(西暦673年)12月条に、大嘗の儀式のことが書いてあるんですけど、11月に行われたはずだと言われていますけど、今回の大嘗祭で、この暗いとこで向こうでうたわれた歌が、この最初の歌であります。国栖(くず)の古風(いにしえぶり)と説明があります。「橿の生(ふ)に横臼(よくす)を作り、横臼に醸(か)める大御酒甘らに聞こし以ち飲せまろが父」という歌ですけども、橿の林で横臼、瓶みたいなのをつくって、その横臼に醸むしたお酒をおいしく召し上がってください、我が父よということが、吉野の国栖でうたわれた。国栖は選挙のときしか行かないですけども、本当の田舎なんですけども、国栖の集落があります。国栖奏という音楽、お祭りも残っています。また、大饗の儀(だいきょうのぎ)という食事の会のときでは、久米舞(くめまい)が舞われ、その時に神武天皇の日本書紀にあります歌が、宇陀の高城って地名だと思います、「宇陀の高城(たかぎ)に鴫罠(しぎわな)張る」、鳥のシギをつかまえるわなを張って、私が待っていたが、シギはかからないで、どうしてか鯨みたいなのがシギをとる網にかかったと書いてある。何かおもしろい、漫画みたいな歌ですね。

 そのような歌と、もう一つは、これは新しい歌ですけども、天武天皇が吉野宮に行幸されたときに、日が暮れてきたと。琴を弾いていると山の端に神女があらわれて舞ったと。「少女(をとめ)ども少女さびすとも唐玉を袂(たもと)に纏(ま)きて少女さびすも」というのを、これは大饗の儀の昼食会のときに舞台がありまして、そこで舞台で雅楽が演奏されて、この少女がわりの5人の神女さんが踊られた。

 それは昼間の部屋の中ですから、最後の2つの歌はよく見えて聞こえたものです。でも音でこの意味を判断するのは難しいんですけど、その説明書がありましたので、すごいなと。隣の知事さんに、おい、奈良すごいな、奈良の歌ばっかりやないかと、こうおっしゃったので、ああ、そうかと思って調べたら、こういうことでしたというのが内実です。

 そのほかにうたわれた歌は全部今年各地でつくられた歌ですけど、この3つが選ばれて、大饗の儀、その前の大嘗祭でうたわれたというのはあまりニュースになってませんので、奈良としては私が県民だよりにご披露した、また今日このような「嘗」という字を、今年の漢字、トップだと思ったという理由です。

朝日新聞:
 今年の漢字のことで、まだ後でやりたいのがあるんですが、結局その「嘗」は、今年奈良にゆかりのある大嘗祭が営まれたことと、あと、なめる、食べるという行為が特に重要になっているという認識があると。

知事:
 後のほうはもうどうでもいいです。今年の行事と、後のことはこじつけですよね。すみません、余計なことを。

朝日新聞:
 わかりました。

時事通信:
 同じく漢字の話で、なめる、臥薪嘗胆の「嘗」でもあるとおっしゃいましたけども、具体的に臥薪嘗胆は何かありましたか。今年は知事さんも選挙がありましたけれども、そこで臥薪嘗胆ですか。

知事:
 臥薪嘗胆に話が飛びましたけども、もういつも臥薪嘗胆ですよ。何か肝が置いてあるようなね。いつも臥薪嘗胆じゃないかと思いますね、政治はですね。苦い肝をなめて身を苦しめた、そのつもりで努めている感じがします。今年はと言わない、毎日です。

時事通信:
 じゃあ、この主な出来事、全部臥薪嘗胆じゃないかと。

知事:
 臥薪嘗胆、いや、出来事はいいことがたくさんあると私は思います。これは臥薪嘗胆のたまものかなと思ったりします。実際に、では肝をなめてそんな気持ちかというとそうでもなしに、ああ、こんないいことあるとうれしいなと思うんですけど、政治家の気持ちとしては常に臥薪嘗胆の気持ちであるべしと思ってるところはありますので、今年はどうですかとご質問されたので、いや、毎日そういう気持ちでは過ごすようにしていますという程度です。毎日今日は肝をたっぷりなめたなというわけでもないですけど、喜んでなめるのを忘れることもありますけれども。

産経新聞:
 知事のこの県民だよりの中に、大嘗祭が新嘗祭に由来すると書かれているんですけども、新嘗祭が多分、僕の知識が間違っていたらごめんなさい、一番最初に行われたという文献で認める場所は、古事記に出てくる、雄略天皇の歌の中に出てくる、景行天皇の纏向(まきむく)日代宮(ひしろのみや)だと思うんですよ。

 今、纏向遺跡に伝承地がありますけども、日本の中でももう本当にトップの重要な遺跡ですけど、桜井市はすごく財政が悪くて、なかなかその発掘のほうにも手が回らないと。かといって橿考研がそんなに一生懸命やっているわけでもない。そんな中で、来年日本書紀1300年ということでかかわりがありますけど、飛鳥時代、奈良時代に関しては物すごく奈良県はお金を使ってPRしているかと思うんですけども、古墳時代のほうに何かこの目を向ける施策みたいなことは、何かお考えがありますか。

知事:
 この大嘗祭を、ああ、おもしろいなって、こういう儀式のもとを正直初めて知ったなと思って、家の本棚をあさると「大嘗祭」という新書が出てきた。そのときに、新年のインタビューで産経新聞さんが来られたので、何ていう先生だったかな。

産経新聞:
 工藤隆。

知事:
 「大嘗祭」という新書を読み始めて、工藤隆さんという人の本なんですよと言ったら、産経新聞の記者さんがよく知っているということで、東京に陳情に行ったときに事務所で早速会ったんですよね。その工藤隆さんの「大嘗祭」という本はユニークで、日本の歴史からさらにさかのぼって、新嘗祭のもとは長江の稲作の伝播と連なってることを実証されようとしているんですね。稲作儀式と似たような儀式が長江の稲作のところにある。だから今おっしゃった古墳時代の、弥生時代あるいは縄文時代でも稲作のあったときの儀式とともに日本に上陸あるいは到来したのではないかという説を唱えられています。もっともだなと思うんですけども、文献的にそのときの交流というのは、日本から向こうに行った人は中国の文献に残っているんだけども、中国から日本に伝わったというのは、正式の使者が何か行ったというのは残っているんだけども、その稲作文化が伝わったというのはどこの文献にもないわけですね。それは考古学の物で、同じような儀式の類型が中国の長江付近に残っているというので、伝わったという証拠はないけど、推察するというように今、学問が進んでいるように思います。

 日本のその新嘗祭とか大嘗祭って、すごい日本では古いと言われている儀式も、原形は伝わったという研究が進んでいるというのは、不思議ではないわけですね。島崎藤村の「流れ寄る椰子の實一つ」と、ヤシの実が流れ着く島国ですので稲作儀式が伝わってもおかしくないし、食糧のもとというのは人類が生きていく一番のもとですので、日本人の民族がここら辺にはびこってというかニーズがあったのは、あとはブナですね。ブナの木の広葉樹林の中で、栗とか食べ物で生き残った。山辺の人と田んぼ辺の人と分かれる、あるいは分かれないで両方やった。それから海辺の人と、海幸山幸の話にもつながったり、あるいはかぐや姫の話とか、原形が外にあるという研究が最近進んでますので、新嘗のお祭りも外から来たと思ってもおかしくない。今の纏向の遺跡にその原形が残っていると。明日香だけじゃなしにも、纏向にも残っていて、古墳の中で残っているというのは決しておかしくない、これから研究が進むように思いますけども。それが伝わって残すという点に、奈良、日本の民族のすごいとこがあるなと。伝わったものを残すというのはね、変形して残すというのが自家薬籠中のものにするという技能といいますか、メンタリティーがあるというのが今伝わっているように思います。

 にわか知識ですけども、その工藤隆さんの本を読んでも同じパターンで、最近は古代の向こうの文献、研究書、日本の文献で一番古いのはもう古事記と日本書紀しか、風土記とかその前にありますけどね、あのあたりから始まってます。漢字で皆書いてあるわけですので、それだけで世の中でき上がっていたというわけにもいかないし、先ほどの神武天皇のときの歌の、宇陀の高城にって、こんな神武天皇のときに本当にこのような漢字でうたわれたわけじゃないと思うんですね。音は発せられたかもしれない。それを飛鳥時代に、日本書紀をつくるときに、神武天皇はこのように出来事を、久米舞の中でこういう歌があったと日本書紀に書いてあるということですので、しかし日本書紀は神武の条から起こされてますので、それが延々と続いているという、即位儀礼の中であらわれていると思います。今の、神武天皇はいつごろかわからないけど、纏向だってもう神武天皇、今の雄略……。

産経新聞:
 12代景行天皇の時代。

知事:
 あっ、景行天皇はヤマトタケルの時代ですからね、もう十分歴史がある時代ですので、その後はまだ解明されていませんが、だから解明されないと、証拠のものがないと、なかなか世界遺産にならないとかいろいろありますので、証拠が出てくるのと一緒になると思います。今、橿原考古学研究所での、そこだけ掘ってわかるものと、掘って比較してわかるものというのの、比較して掘るというのをあまり日本の考古学はしてなかったですけど、橿考研の方向として、比較して向こうで掘ったもの、中国とか西アジアのほうで掘ったものというのは今までなかなかなかったですけれども、だんだん日本の発掘隊が行って掘ってわかってきてるものもあるんですよね。

 話が飛んで恐縮ですけど、高松塚美人のスカートはソグド人のスカートだって橿考研の菅谷さんが発見されて、論文書かれて、そうかということになって。それが今のウズベキスタンで、同じスカートが向こうの古墳にある。それから西安、長安の都のソグド人の集落の墓に同じスカートがある。そのように比較して、この高松塚のスカートはソグド人のスカートだと論文書かれて、初めてそうなってきているということ、比較研究と。これは日本の高松塚のスカートだけ見て、日本ではほかに類似がないので、これはソグド人のスカートだとなかなか否定できないと思いますが、そのような研究が進んでいるのが楽しみです。そのような研究は、中国とかウズベキスタンとこれからしたいと思っています。一つは、ウズベキスタンのサマルカンドと連携協定をする、来年のしかるべきときに向こうへ行ってサインをしようかと思っています。

産経新聞:
 ああ、そうなんですか。

知事:
 ええ、それはウズベキスタンの、私にとってはゾロアスターのふるさと、ササン朝ペルシャがゾロアスターが国境へ出てウズベキスタンのソグド人もゾロアスターだった時代ですので、そのときの交流でソグド人独特の人たちですけども、唐招提寺の4代目管長はソグド人だということがわかっています。安如宝(あんにょほう)という人ですけど、青い目をした4代、鑑真が連れてきたお坊さんの一人ですけども、わかってることもありますので、それと交流を結びつけるような活動はおもしろいかと思っています。安如宝がやったことじゃないかと思いますけども、唐招提寺の薬師如来の手の中にコインが入っているんですけど、これは今のソグド人も赤ちゃんに商業の民だからコインを握らせて、にかわでしばらく持たせ、コインを離すなよという風習がある。その風習を安如宝が薬師如来の手の中にしたんじゃ、今はその手の中から取り出せないんですが、エックス線で和同開珎だとわかっているんですね。2枚入っている。和同開珎と同程度の古いコインだとわかっている。それは、そんなことするのは安如宝じゃないかなと、私の推察なんです。それはいまだに続いているソグド人の風習。

産経新聞:
 ということは、この字を選ばれたということは、もう来年からは日本人の文化のルーツというところに関心を向けていこうという一つの宣言になっているんですか。

知事:
 ど素人ですけども、割と関心分野でありますので、奈良の意味、歴史の意味を発掘したり認識したりするのは国際性だと。おつき合いがあって、物が残っていると。日本書紀、古事記という書物、あれも日本書紀の半分ぐらいは唐の人がつくったという説が最近有力です。それは漢字が正しい、漢文で書いてあります。52巻ほど日本書紀がある中で、漢文が全く正しいのは唐人がつくったんじゃないかという説を、今、京都産業大学の森さんが言っておられます。

 で、ちょっと間違っているのは、日本人がつくったんじゃないかという説を唱えています。聖徳太子の十七条憲法の条は日本人がつくったんだろうか、唐人がつくったんだろうかというのも興味ありますね。間違った漢字も入っているということがわかってきています。漢字っていうのは、漢文ですね。だから、森さんは日本書紀で完璧な漢文をつくったのは、続守言(しょくしゅげん)と薩弘恪(さつこうかく)という、その二人だと。どうしてそういうことがわかるんかと思ったら、日本書紀の中にその二人ともう一人、三人に銀貨20枚を与えたと書いてあるんで、多分日本書紀の編集のための前渡金というか、お礼じゃないかなと、森さんが言ってて、ああ、そうかここが根拠かと。それは続守言、薩弘恪という名前があるから、この人たちだと。日本書紀の漢文をつくったのはこの二人プラス日本人の山田という人が書いて、その三人だということを言って、反論できる人は余りいないんですけども、そのようなことがありますので、日本の即位儀礼に触発されて、奈良の歴史というのはおもしろいなと思って、来年も奈良の歴史探求をさらに深めようかと。

 その一環で、青柳さんという方が橿考研の所長になっていただいたと。ニュースにも入ってますけども、それほど大きなニュースだと思います。で、サマルカンド州と交流するわけですけども、ウズベキスタンに奈良県が興味があるのは、今のウズベキスタンとの観光交流というよりも、昔の交流に、奈良県は歴史的な興味が十分ありますと言っています。

産経新聞:
 わかりました。大嘗祭に行かれたとき、隣の知事さんに、奈良すごいじゃないかとおっしゃられたと。それはどこの知事さんですか。

知事:
 はっきり覚えてない、隣で、多分三日月さんかな、ちょっと覚えてないですけど。
 大嘗祭で夜こうして、それから宮殿にバスで行って、暗いところだからわからないんだけど、あれ宮中の一角に大嘗宮がつくられてたんですよね。それは北の丸のほうの手前の門の中に入ったところあたりじゃないかと思うんですけども。というのは、外に出ると回っていくと右の方に丸の内から有楽町の大きなビルが明々と夜中ともってるビルが見えたんで、あら、東京というのはこんなに40階もビルが夜中まで灯がともっているのかと。で、行って泊まって、9時に終わって、10時ぐらいに帰って食事が出て、そこから12時にもう一度行って、その間に横で一緒に知事さんたち集まって、たむろして話している中でそうおっしゃって、音は聞こえるんだけど、意味がなかなかわからないんですね、わあっとおっしゃる。そのときに、読むとこういうことですと書いてあるしおりが配られて。それを見て、隣の知事さんが奈良の歌ばっかりじゃないのっておっしゃった。そのほかは、今年できた歌ばかりなんですよ。古い歌は奈良の歌しかない。日本書紀で始まったということだから、日本書紀は持統天皇までですからですね。

産経新聞:
 奈良はすごいなと言ったと。

知事:
 うん、そうおっしゃって、ああ、そうかと思って、それを見てフォローしたいなと思って、工藤さんの本を読み始めたということなんです。

奈良テレビ:
 確認したいんですけど、今年の主な出来事で、先ほど1番から10番までランキング発表されましたが、これは知事にとって、今年印象的だったものの順位ということでよろしいですか。

知事:
 そうですね、全く主観だと思います。10大ニュースとか主な出来事の捉え方というのを、事ほどニュース性というか、重大性と厳密に考えないで、俺たちが発表するのがニュースだとおっしゃるかもしれませんけども、客観的になかなか捉えようが難しいなとは思いますので、これは全く私の印象です。

奈良テレビ:
 知事にとって。

知事:
 いや、だからランクづけとか、そんな言っていいものかどうか一応聞いて、言いなさいとおっしゃったので言ったという形にした程度で、いや、客観性がないからなかなか、1番だとか10番だとか、ランク外だとなかなか言えないとは自覚をしてますけども。

 それと、先ほど言いました、ニュースになってないのが私としては大きなニュースですよ。災害がなかったというのが本当は最大のニュースに自分としては思ってますよということまで、余計なことまで述べさせていただきましたけども、考え方だと思いますけどね。何もないのは報道できないから大変、何もなかったということもできるかもしれないけどね、それは見方だと思います。つくづくと思いますけども、ほかの地域と比較すると、ニュースになると何もなかったな、ありがたいなというような気持ちとともに、災害がなかったのはありがたい。

 余り言うと、ああそんなに言うなら災害持っていこうかと神様がおっしゃると怖いなと思うから、あんまり言わないように。一応今日は災害がなかったのはありがたいですと申し上げたいと思いますが。


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奈良県内における政治意識調査について

朝日新聞:
 政治意識調査で、インタビュー類の実施は慎重に検討するとおっしゃっていましたが、まだ検討中ですか。

知事:
 まだ検討中ですね。北村先生等と一度お会いしたいなと思っています。内実を申し上げますと、年内にお会いする予定もあったんですが、先生がインフルエンザか何かに罹られて、年越しになりました。ただ、どのように進めるかは、また先生方と相談したいと思っています。年明けで、その先生方との話が進めば、その線に沿って進めていく。進めるというのは、慎重に進める、と考えております。

朝日新聞:
 前回の記者会見のときに、前の安孫子先生の話で説明したいとおっしゃっていたと思いますが、いかがですか。

知事:
 あのときは毎日新聞さんからいつ知ったかって(聞かれて)、私はニュースで知りましたと。そのとおりだった。その後、経緯を聞いてみますと、安孫子先生がおっしゃった真意が、聞き取りに反映されてなかったということがわかりました。安孫子先生のおっしゃったことが、そのままうまく伝わらないで公文書として外に出てしまったという。ああ、そういうこともあるんだなと。公文書として外に出て、皆さんが記事にされたんですが、その公文書として出たことも知らなかったわけなんですが、そういうこともあるんだなと。別に出ておかしくはないんです、公文書として出ることはおかしくないかもしれないけれども、不正確な公文書をつくったということになれば、安孫子先生に悪かったなとは思います。安孫子先生は、よく知っていますが統計の専門家なんですね。日銀に勤められていた統計の専門家だから、こういう聞き方がいいか悪いかという、そのセンシティブなマターを判断する気持ちはもちろんなかったと改めておっしゃっていますので、それが公文書になったのは、振り返って修正しなきゃいけない面があろうかと、安孫子先生のためにも思ったりいたします。だから今の実情を反映してご認識をしていただければありがたいなと思います、安孫子さんの意見ということですね。

 皆さんは公文書に書かれていることを見て、それだったらどうだ、こうだと。専門家がこう言っているからと、いつものテクニックなんですが、専門家が言っているからおかしいと、こう書くとわりといい記事になるという面もあると思うんですが、その専門家の意見が根っこが違ってたということであれば、そういう記事仕立ては悪いというのではなく、もとが間違っていたからそうなってしまったんだなと今は思っています。だから公文書になるようなものは、とにかく根っこが正確でないといかんなと。公文書の公開性というのはある程度確保されてきたと思いますが、その正確性をどこで吟味するのかということを、事務的な反省も含めてしなければいかんかなとは思います。すると、今度のその公文書に仕立ててレポートを上に上げたわけですが、それを安孫子先生に、このとおりでよろしいですかという確認をしなかった。それで確認しない文書が公文書となった。

 記事でもね、もとの先生が、あんなこと言ってないのに俺の言葉で書いたというのが、昔あったんだよね、どこの社とは言わないけども。その先生は怒ってた。しかし、もうそれは修正のしようがないので、そういうことを言ってますよということを支局長に言いに行ったことはあります。そういうこともあるんだから、それはわざとかどうかわかんないとこがあるんだけれども、思い込みということは往々にして公文書でもあるということは、反省です。反省せないかん。だから記事でも、ある事例は知ってますが、そういうことも世の中あるんだなと。発言者の真意を確認するのは大事かなと、こう思います。

 普通は座談会があると、必ずこういうことでいいですかと、記事は確認されますので、この度は確認作業がなかったので安孫子先生には大変迷惑かけたかなと私は思います。そういうことは一つの、特に公文書になる場合には、外部の人が言われた、あるいは内部の人でもそうですが、こう言ったんだろうなということは確認して正式文書にするというマニュアルがなかった面もあろうかと思いますが、そういうことはちゃんとしとかないと、人にも迷惑かけるという事例で、そのことは反省をしております。

朝日新聞:
 その運用の改善について、知事は指示をされたんですか。

知事:
 うん、そんなことを聞いたから、これから公文書はどのように作成して、どのように発表するという段取りをすればいいのかなと、不正確にならないようにする仕組みはないかなと検討をお願いしているというふうに私は今思っています。どのように言ったかというのはちょっと忘れましたが、そんな報告を受けて、なるほどそういうことだなというところまで、今申し上げたところまで私は認識しました。安孫子先生に確認するというのがいいのかなと思ったりはしているんですが、確認するようにと具体的な指示まではおろしていません。それは担当が考えて、そのようなことが上がってくればいいかなと思って、言われた方が正確に伝わったかどうかという確認作業は要るのかなと思っていますが、それも含めて正確な方向になるように検討してくださいとお願いをしています。

 担当は、今回のケースはこうだった、ああだったという、その事例についての検証で今精いっぱいですので、しからば今後どのようにすればいいかというところまでは、まだ私のところには報告が来ていません。けれども、年明けには「このようにしますので、不正確な公文書にはならないと思います」という報告が来ると思います。

朝日新聞:
 じゃあ、その公文書は安孫子先生のところが一部間違っていたということですね。

知事:
 そういうことですね。

朝日新聞:
 ではその公文書の修正版みたいなものを。

知事:
 ああ、そうなるかも。そうしたほうがいいのかもしれませんが、それは担当に、間違った公文書をどうするかも含めて、再発防止とこれまで出した公文書が間違った内容だったということも含めて、どうするか検討してもらいたいと思います。私がどうこうするというレベルの判断よりも、実務的にどうするかという仕立てを考えたほうがいいかと思います。

毎日新聞:
 先ほどの朝日新聞さんの質問に続きますが、公文書が間違っていたのもそうなんですが、安孫子先生がそういう指摘をされたということをね、その担当課なりが確認しなかったというのに問題があろうかと思うんです。

知事:
 ああ、そうですね。

毎日新聞:
 その情報を共有する、最終的に知事にまで上げるべき案件だったのかどうかは別として、リスクになりかねない情報なので、やっぱりどこかの時点で誰かが真意を探るのが必要だったと思うんですが、結果的に放置されていたということも問題だと思うんですが。

知事:
 問題だと思いますね。

毎日新聞:
 その辺どのようにお考えですか。

知事:
 だから、それをなくすために努力したいと思いますが、記事でもこう、反発するわけじゃない、記事でも同じことがありましたよということを、もう証拠は見せてもいいんだけど、別に修正記事が出たわけでもないんだけど、それはもう流して終わることがあるんだなと。私は深く臥薪嘗胆の「嘗」ですよ。嘗胆ですよ、本当にそうなんだけど。だからこの公文書とか、あなたに言われるんだけど、公文書はしっかりせないかんのは確かなんだけども、同じことが皆さんの世界でもありますよというのは知ってますからねということだけは、はっきりと言っておきたいと思います。もう一回、じゃあそれは何なのかと、言えと言われれば言いますが、それは傷つく人がいるからなかなか難しいと思います。言う気はありませんが、そういうことがあるんだなということがありました。恐ろしいことですよね、と思って気をつけてきたわけなんです。だからあなたに言われなくても、当然せないかんことだと思っています。

毎日新聞:
 報告についても、報告が上がりやすいような仕組みづくりみたいなことをお考えですか。

知事:
 まあそれも含めてね。だから、今言われたこと3つ、取材元というか本人元の確認。それから公文書に加載するとこの確認、それと上司に報告の展開と、この3つの要素がありますねということをこの議論の中で確認。同じことは、記事作成でも行われたらいいのになと、余計なことだけどもつけ加えておきます。

毎日新聞:
 その点はね、我々も確認はしています。

知事:
 おっ、ちょっと謙虚な態度。

毎日新聞:
 いやいや、謙虚です、いつも。

知事:
 当然ですよ。もっと、僕らよりも影響が大きいんだから当然ですよ。だからそういう事例があったのは、もうれっきとした証拠がありますから、それは過去のことだけども、お互いさまということはあると思います。それは確かだから。不正確な事実が流布するのは恐ろしい。今回もね。その不正確な公文書から皆様にご迷惑かけたと思いますので、ないようにしたいと思います。


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県立橿原公苑と橿原市運動公園の交換について

毎日新聞:
 橿原の運動公園をめぐる話ですが、橿原市長から、事務レベルの協議について、お願いしますといった要望書が来て、前向きな回答をされたようですが、そのあたりを含めてどのようにお考えですか。

知事:
 まず、橿原市長から要望書というものが提出されました。内容は「橿原運動公園で運動施設をつくることについて協議を始めたい、そのために協議の場をつくってほしい」というお願いです。議会のほうもその予算を出したけども、どういう内容になるのかわからないではないかという議論があったようです。県では、橿原運動公園につくるということで案をつくったことはまだないんですけれども、そういうアイデアを出して意見交換をしているという段階であります。

 じゃあどのような施設のレイアウトなり、基本構想ということになりますけれども、県の案がないとまずいけない。しかし他人の土地、橿原市の土地を譲るからつくれという段取りになるから、そういう案だったら譲るよと、どちらのほうが先かという議論になります。しかし今の状況では、案ができないと譲るも譲らないもないだろうというのは、ごく当然の自然なお考えだと思います。案をつくって、その会議の場で披露するというのが段取りかなと思っています。

 まず、県の中でどのように考えているのか、考えてきたのかというのを、もう完璧でこうだということにはならないと思いますけど、基本構想の部分で、どういうものが県としては要ると考えて、ここがふさわしいと思ったのかということを開陳しなきゃいけない。それで開陳する場がなかったわけなんですね。だからそれは前の市長にもそのような形で言っていて、いいねとおっしゃっていたんですけど、ただ非公式の話ですので、今度は公式の会議をつくって、その場で述べなさいというようなお申し出がありましたので、それも一つのやり方だと思って、県の考え方をまとめて練って、それをこの会議の場で、協議の形で提示することから始まるのかなというふうに思っています。

 だから、県で基本構想に当たるようなもの、どういう施設が必要と考えているのか、そのレイアウトは幾つもこれから出てくると思いますけども、例えばこのようなレイアウトも、イメージがわかないとあれですから、レイアウトの案、絵があったほうがいいかと。項目で、字で何々施設、何々施設というようなことも大事ですけども、その場所が限られていますので、そのレイアウトの案も必要かなというふうに思います。基本構想原案というような形を、県が中心の事業になりますので、それを提示して、ああ、それだったら橿原市民にとっても良いと、橿原市の土地を提供しても橿原市だけじゃなしに中和にとって良いというふうに議会も含めて思われるかどうかというのがこれからの判断だと思いますので、その元手がないと判断しようもないでしょうということは当然であります。そのような案を出していきたいと思います。

毎日新聞:
 すると、その初回のときには、もう県としての案は出されるんでしょうか。

知事:
 初回になるか、県の案が出たときに会議をするというのがまあ普通じゃないかなと思います。しばらく新年から練らないといけないと思います。もうでき合いがあるかというと、まだないです。そういう検討はしたことはあるんだけれども、外に出せる案まで昇華していませんので。

毎日新聞:
 そうしますと、スケジュールとしては、いつぐらいまでには、そういう県としての案を示したいとお考えですか。

知事:
 会議のスタートですね、いつになるかな。新年も行事が入っていろいろあるので、そういうので検討時間が制約されるという、物理的な計算があるんですけど。だから、もう案ができていてあとはお互いの会議の設定だけだというふうになればいいんだけど、練る時間が多少要りますので、その時間の使い方で会議が始まるというように思います。

 目途という意味では、いつやる約束だと、いつまでにつくるつもりかというようなつもりは当然つくらないといけません。検討のめどということ、検討ができたら披露しますよということだから。ほかのいろんな行事とか新年から海外出張が2つほど入るんですよね。ベトナムに二階幹事長と行くとか、スペインに行くとかという行事の予定。まだ確定してませんけども入るので、あとの行事が入ると、ちょっと私と担当との会議の設定の日程がやりくりがまだ確定してませんので、検討のめどは、それによりますということですね。1月中は難しいかもしれませんね。だから2月にはと思いますね、今のめど。3月になると、ちょっと遅くなり過ぎるので、2月には案ができるようにと、こう願ってます。まだ事務方にそれで大丈夫かとかまで相談してませんけれども、私がいなくても案は練ってもらえると思う。知事がそう言うなら、実はできてますというふうにおっしゃるかもしれませんけど、そういうことでもないような感じがするから、出てきてもやっぱり練らないといけませんので。だから2月には、その会議が始まるということは、案ができてというようなことだと思います。

 すると、あとの配慮は、案なしで橿原市の予算が出るのか。こちらの予算は検討予算です。検討予算はそれぞれで検討しようと。検討することも反対だという議会の考え方の人もいるかもしれませんけど、県では検討予算当然つけたいと思います。場所は未定だけども、想定場所は橿原市が一つ、まあ要望は五條市から出て、そのほかにもないかというのを、施設の設置場所は未定だけども、想定して検討できますので。その検討予算はつけることになると思います。橿原市はどうされるのかちょっとわかりません。

 ただ、その会議が2月ぐらいになると、当初予算はもう確定するかもしれません。その当初予算でこの場所に何をつくるかという、そんな予算はあり得ないと思いますので、それぞれ検討をすると。

 しかし、ああいう大きな施設は、10年後の国体を想定しているわけですけれども、建設にもやっぱり数年かかります、大きなものだと。土地の整備もかかるし、案を練って発注したりといったら結構そんなに時間がないというふうに担当が言っております。場所を決めて検討を具体的に開始するのが望ましいわけですけれども、その場所が確定するまでに検討してはいけないということでもないというふうに、今の時点では思っています。

 検討をしたい、協議をしたいという要望がありましたので、その持ち出す案を練る、今のご質問とも関係いたしますけれども、持ち出す案を新年から練ってもらって、じゃあ持ち出し案ですから確定案ではありませんので、このようなもの、というふうに多少ラフに考えますと、1月の末はスペインの出張も入ってきそうですのでいずれにしても2月になるかなと思っています。

毎日新聞:
 先ほど橿原だけではなくて、中和にとって何か裨益されるというご発言がありましたけども、そうすると施設の中にはそういう地域の方、橿原だけじゃない中和地域の方にも利用できるような施設となるのでしょうか。

知事:
 裨益はすると思います、それだけ大きな施設だから。大きな県民大会をしたりするような施設になると思いますので、県のつくる施設は県全体を裨益するということになります。とりわけ橿原につくると南和の人が利用しやすいというふうになりますので、橿原の運動公園と県営公苑もあるわけですけども、国体をするにはちょっと小さいかなというのでこんな発想が出ているわけなんです。将来の発展性から見ると、市営の運動公園は、今の橿原の県営運動場の3倍あるわけですよね。だからそれだけあっても不足はないですよと、過剰性はないですよというふうに判断して、そこが何かの使用ができればね、案のつくり方も違いますねということがあるので、ほかの県でも例もあるようですからいろんな例を調べながら。

 奈良県は、財政的な理由だと思いますけれども、運動施設が十分ではなかった面がありますので、国体があるときは運動施設をつくれよというような仕組みにもなってますので、これを機会にいい運動施設を、将来の県民全体が利用できるような運動施設の案ができたらというふうに思っています。場所をどこかというのは、県民の人がみんな使いやすいとこがいいに決まってますので、橿原市運動公園は有力な候補だと思います。

 橿原の外苑に奈良県の公苑がありますが、ちょっと手狭で、野球場、陸上競技場ということですけど、サブトラックがないと聞いてますので、全体として国体レベルの大会をするにはちょっと弱小感が否めないのでこの際、というふうに発意しているということから始まった議論であります。


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今年の県政の主な出来事・今年の漢字について

産経新聞:
 今年の漢字の「嘗」、「しょう」と読むんですか、それとも「じょう」と読むんですかね。

知事:
 大嘗の「嘗(じょう)」と言っているんですけども、新嘗の「嘗(なめ)」でもあるんだよね。だからもとは中国語だから、中国のどの地方では何々と発言で、日本人はもう器用に何でも発言、同じ漢字で、もう多様に発言するから変わった民族ですけども、好きなように使われると。

産経新聞:
 わかりました。今年の県政の出来事に絡めてこのコメントを、今年これを選んだ理由のコメントを一ついただきたいんですけど。

知事:
 今年の出来事から選んだということにも結局なりますよね。即位の儀式、大嘗祭に触発されて、奈良県はこれだと。

産経新聞:
 意味を見ると、試みる、試すという意味があるんですよね、今年何か試されたことで意義深いこととか。

知事:
 いや、それは後づけでしてもいいかもしれないけども、この選ぶときにはそこまでは。後づけ説明しようと思ったらそれはできるかもしれませんけども、しかし「嘗(じょう)」とか「嘗(なめる)」とかで、この試みる、試す、どうしてこの2つの意味が出てきたのかなとわからないとこもありますので。

産経新聞:
 多分だから新穀、その年にとれたお米を味見をするというところから来ているんでしょうね。

知事:
 かもしれませんけどね。この字のつくりは、「口」と、「旨」ということですよね、この日とヒがある。口で旨いということですから、漢文学者の白川静ふうに言うと、これはこういう意味ででき上がっているんだと漢字構造のことはおっしゃるかもしれませんけども。よくわかりませんが、口でおいしいかというのね、字の中に入っているというのがね、何かちょっと漢字自身で思ったわけじゃありませんけど。

 日本書紀の訳では、大嘗でも「おおにえ」って書いてありますね。持統天皇で2回目の大嘗祭があり、「おおにえす」と日本語訳で書いてあるので、そのころからすごく即位儀礼として重要視されたように思われますので、大はもうとにかくグレートで大きな、新嘗を大嘗にかえて即位儀式にしたんだから、この「嘗(じょう)」というのが肝の言葉だと思いますけどね。

 新嘗研究会というのがあったんですよね、記者さんもご存じかもしれません。新嘗研究会というのは三笠宮が始められて、柳田國男が論文を書いているんですね。柳田國男が新嘗祭の意味というのを書いていて、折口信夫の解釈も、その工藤さんの本に書いてある折口信夫の解釈も書いてあるから、何か奥深い研究の対象になっていたというので、おもしろいなと思います。工藤さんの話に書いてある大嘗祭というのは、即位の年にはニュースになるけど、あと何十年もニュースにならないお祭りだと書いてあるんですね。奈良県は継続的に大嘗祭というのはどんな意味があるのかというのを、もう少し研究してもいいのかなと思ってます、具体的にはどんなふうにすればいいのかわかりませんけども。

 天皇のあり方とも関係いたしますですよね。憲法の問題、それから大嘗祭の費用の出し方、秋篠宮の言っておられる内廷費か国家行事かというような議論も呼ぶような、前ほど思想対立はなくなっているように工藤さんはおっしゃっていましたけれども、私の感じでは、とても日本の国家の中で大事な儀式だというように思います。国家の中で大事な儀式が続いているのは、とてもすばらしいことだと思っています。

産経新聞:
 取ってつけたようなコメントはしないということですね。

知事:
 この10大出来事からやったわけじゃなしに。

産経新聞:
 ええ、ではないですね、でも、今年の漢字という位置づけですね。

知事:
 今年の漢字で、奈良の私が選ぶということでいえば、もうこれに決まりだと思ってこう書いたわけなんです。それは日本書紀で、こんな10大出来事ではなしに、日本書紀にも書いてあって、しかもずっと「おおにえす」と。
平城宮跡にも大嘗祭跡というのがあるんですよね、こんな実際にやった場所が残っているのは、ここだけじゃないかと思うんだよね。

産経新聞:
 そうですね。

知事:
 割と小さな場所なんですよね。またどっか行って写真でも撮ってくださいよ、ここだと。そういう場所があるというのが、民族とか国の歴史を振り返るのも、こういう機会だからいいじゃないですかというような気持ちもありますですけどね。


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国による地方への高級ホテル後押しについて

時事通信:
 国の話で、菅官房長官が新たな経済対策を融資制度を使って、全国の地方で高級ホテルを50程度つくるのを後押しするということを表明しております。奈良県も荒井知事の発案で高級ホテルが次々に今後建っていく運びになっておりますけども、受けとめですとか、何かお考えですとか、ありますでしょうか。

知事:
 あれは、骨太の方針の中に書いてあったか、地方創生会議のあれか。

時事通信:
 いや、新たな経済対策、この12月の頭に確定された。その後に、融資制度を使って高級ホテルをその後押ししますよというふうに。

知事:
 菅委員会の発想かな、50つくるという。

時事通信:
 50つくる。

知事:
 あれは官邸の発想ではないかと思います。それが政府の中の官公庁の政策とか、できてきていると思います。多分それは観光の菅委員会があって、月に1回、デービッド・アトキンソンなどの観光の人が集まっていろいろ意見言わせて、すぐに菅さんが、それはどうだ、どうだと、いうような官僚が恐れているようなすごく弾む観光の会議で、そこで決まったのかなと思いますけども。それはデービッド・アトキンソンが前から言っている発想につながっているように思いますが、それでどうかということはないけども、要はハイエンドのお客をもてなす仕組みは日本にないとデービッドがずっと言っていることと同じことなんですね。ハイエンドのマーケットがあるのに。今、多分、世界が貧富の差があって、ハイエンドの人がすごく出始めている。そのハイエンドを受け入れる仕組みというのが日本はあまりない、力を入れなかったというのがそういう発想で、50というのは単なる目標ですけど。

 その一環で、年末、日本財団の笹川さんに呼ばれたけども、いろはにほんプロジェクトと呼ばれるプロジェクトがあって、もうご披露してもよいと思う。奈良はあんたがもう少し力入れろと、このように笹川陽平さんがおっしゃって、会いに行ったんですよね。

 そのスキームは、仁和寺に1泊100万円の客が入っているんですね。それを奈良でもということで、日本財団は主に社寺等の使われていない建造物等の設備の改修に補助します。既にやられている仁和寺のスキームではインバウンド、ハイエンドの旅行客が支払う100万円のうち20万円は、全国の文化財の修復とか設備更新に回されるそうです。一方、8割までの改修費を出しますよというような提示があって、京都のお寺と奈良のお寺に話が来ています。奈良では、長谷寺と春日大社が手を挙げて折衝中です。今の50のハイエンド、高級ホテルの誘致については、それと別ですけども、趣向としてはハイエンドの客を狙うべきというような趣向で、日本財団とデービッド・アトキンソンさんが言っていることは同じ方向だというように感じましたので、そのような披露をさせていただきました。

 で、50のハイエンドのお客さんを狙うのは、まちの中にある高いビルの中の上級というホテルのタイプもあるし、今みたいな、極端にいくとお寺の宿坊というのもあるし、もう少し、公園の中の静かなたたずまいもあるし、都心から離れて、少し離れたところでもいいし、そのように世界のマーケットは動いているように聞いていますので、JTBの会長が言うんだけども、「都心の中に建てるのはもう限界ですよと、世界中限界ですよ」と。フィレンツェでも何でも、外で環境のいいところに建てて、まちの歴史物を見に行くと、まちへ通うというのがもうずっと前から流行になってますよと。日本もそうしたらというような動きは随分あります。奈良は、そういう立地にかなったところかなと前から思っていましたので、まちの中のイベントでは郊外の落ちついたところで泊まって通うというようにする。まちで泊まって社寺にバスで通うという、逆のパターンがハイエンドについては発生するということがマーケットの動きであると。

 だからそちらに強化しよう、政策的にも力を入れようという官邸中心の役所からの発想がありますので、その流れには奈良県は乗りやすいですね。日本財団だけではなく、ハイエンドのお客さんを郊外に持って、都心でもどこでも行きやすい、便利さがあれば行けますねということを標榜できる。世界のハイエンドの人は、ありきたりの部屋数が、都心で部屋数をたくさんつくるのは大変だけども、何にたくさんお金を払われるかというと、だんだんハイエンドの人は飽きてくるんですよね。家も豪華だから、部屋が豪華でもあまり関係ないんですね。その全体のたたずまいがいいと。食事だって、ハイエンドの人はそんなに食べない。おいしいものをちょっとだけだからというような、カルチャー志向、スピリチュアル志向があるから、先程の日本財団の発想とその展開につながってくると、同じ志向だというようには思って披露しました。

 ハイエンドのお客を狙いなさいよというので、奈良は模範生ではもちろんないわけで、ハイエンドを狙わなかった。ローエンドを狙ってたので、ローエンドというのは悪いけど、安い客を狙ってたと。それでおさまろうというようなデスティネーションだった。ハイエンドも狙っても大丈夫なような環境にあるよということを一生懸命やり出して、それが先ほどの10大ニュースの一角で、コンベンションと一緒になったハイエンドをターゲットにしたホテルもでき上がりますよと。

 高畑のホテルも、ハイエンドと言ってもいいかもしれませんけど、それを狙ってますよと。それから、吉城園も、森トラストさんですけども、遅れぎみですけど、ハイエンドの志向にかないますよというようなこと。

 それから、ほかにもそのハイエンドに向かうようなものは、今あるホテルと全く競合しないんですよね、ハイエンドを狙ってないから。ミドル、ローエンドのほうだから競合しない、ハイエンドのものがないから。ハイエンドの人しか来ないんだからと思います。だからホテル業界のことを知った人は反発がない、「早くつくればいいのに、コンベンションと一緒に」というような感触があります。だからホテルはそもそも何でもよくないというわけじゃないと思いますね、地元にとっても。奈良はそういうものを何でも排除してきた土地柄ですので、誰かに反省してもらわないといけないなと思います。だからホテル客室数が全国一、数でも一番低い、ハイエンドゼロというような観光地になってきたという、そういう政策の方向を変えていかなければいけないと私は思ってきました。で、世の中だんだんそのようになってきていると思います。

時事通信:
 ある種、今回の件は、奈良県の問題意識のほうが政府の問題意識より先に行っていたという気もしますけれども。

知事:
 それは臥薪嘗胆ではないけど、その事情で遅れているということが自明だったから、とにかくそういうふうにしなければいけないと焦ってたということですけどね。

時事通信:
 一方で、どういうスキームになるのか具体的には見えてないですけども、もう奈良県はつくり始めているし、もうすぐオープンするので、その支援が奈良県はこれから使えないという、今建ててるやつに関してはと思うんですけれども、そのあたり、知事の感情面ではどうですか、残念、悔しい、ありますか。

知事:
 あまりないですね。

時事通信:
 ないですか。

知事:
 こういう仕事は、頑張らなければいけない、改善されないポイントは物すごく目につくわけです。それはほったらかしにできないと常に思っていますけど、それは悔しいとはまた違って、いつもうまくいかないことが常にあるポジションだと思いますので、臥薪嘗胆のもとになるような事例は常にあって、皆様方も丁寧に、これを知ってるかとおっしゃっていただくのでありがたいことだと思っていますが、それを糧にして努めないといけないと思っています。糧にして努めるだけの仕事だと思っていますので。世の中不条理というか、変わったことを言うなという思いは時々しますけども、それがあるのが世の中だから、それを乗り越えて、これがいいと思って信じるところに従ってするのが、仕事のパターンだと私は思っています。

 その方向に向かってやっていると、どういうわけか道が開けてくるという、筋を曲げてはいけないと。障壁がたくさんあるにしても、これが正しい、この道がいい、壁に向かって仕事してるみたいだけど、これがいいと思ってするのがいいと、私のタイプでは思います。今までそんなことばかりだったけど、役所時代も。壁に向かってやっていると、壁が動いたなと思うときもありました、おもしろいことに。新幹線もそうだったし、すると助けがあるんですよね。

 海上保安庁でも、海上保安庁の長官会合というのをしたんですけど、こんなん何でするんかと。あるいはジャパンコーストガードに変えて国際化を図ったけども、こんなん何でするんかと2000年に初めて韓国、ロシア、日本とアメリカが参加する「北西太平洋地域海上警備機関長官級会合」っていうのを国費の予算なしに海上保安庁が開催したのだけれども、その時に日本財団が支援をしてくれた。すると2回目の会合からはカナダと中国も入ったわけです。この取り組みは、2017年に笹川さんが世界に先駆けて始めた世界海上保安サミットの前身ともいえるわけです。あなたが始めたこの仕事は世界になったぞと言っていただいたので、とてもうれしかった。国の予算なしでの長官級の会合を、そのときにしとかないととあの時に決断しなかったら後にここまで続かなかったというようなことがありますので。

 どこかにその壁に向かって、壁というほど大きなことではなかったけど、ロシアとの付き合いも、ロシアの最近、北のほうの漁場でだ捕されています。僕が長官のときは一度もなかった。向こうの、ウラジオストクの長官が、荒井さんのいるときは捕まえないからねって約束してくれた。本当なんだ、そんなこともある世界だからといって。自慢ではなく、そんなこともあるんだということが不思議です。今はそういうふうになっているけど、僕がいるときは一度も起こらなかった。しばらくは捕まえても1日か2日で釈放だった。おかしいなとみんな思ったんですね。それはロシアと仲よくして、一緒に違法操業も含めて密漁を取り締まろうというようなことをやってたから。中国とも仲よかった、韓国とも仲よかった、懐かしい時代だった。またそのように、警察は仲よくできるから戻ると思いますけどね。

 だから今の話では、感情がどうだこうだと、水を向けられてますけども、それは何か、これがいいと思って信念に従ってやっていると、後に助けがあってうまく残るもんだなという、その経験というか印象が強いから、余りそういうものにこだわらないで、これがいいんだということに、方向の信念に従ってというほうが結果的にはいいんじゃないかと。この立場は余計にそのように思いますけどね。それが世の中。

 中央も、そういう流儀は中央で発生しにくいところもある、いろんな関係者がいるから。調整してスタートということになる。調整する前に、県のレベルだと、これやるぞということで方向を決められますので、その方向がよかったら、国も後で来るとか。国が後で来る仕組みが結構たくさんあるんですよね。それは地方は創生ではないけど、何でもトライアルをする、イノベーションとか、スタートアップをする特権がありますので、多少の失敗はしても、その失敗が教訓になるからというふうに見てもらうと、大丈夫だと思いますけど、新しいことをやって失敗するのは、小さな地方でやるべしとも思います。そのような世の中にはなってきているように思いますので、来年もチャレンジというか、イノベーションにチャレンジ、取っかかる勢力というのは、日本全体としてはすごく弱まっているように思うんですよね。民間がそういうきっかけになるべしという論もあったけど、民間がすごくシュリンク(縮小、萎縮)しているような気がするんです。

 すると地方は特に、県ぐらいのものがプラットホームつくるというのと、イノベーションのきっかけをつくるような、スタートアップのきっかけをつくるような行政姿勢のほうがいいのかなと思っています。それが官のイニシアチブで民のイニシアチブを誘発することになる。実際そのようになる面もあるから、官ばかり囲うよと、そういうものではなしにスタート、あとは民がまねするなり、それを学習して新しくしてくださいというようなことになれば、それは一つの日本の発展形態の新しい形だと。そのような兆しが見えてきてます。

 発展形態の形は地方イニシアチブ、中央追従と言ったら中央は嫌がるけど、中央も競争してイニシアチブのスターターは誰か、イニシエーターは誰かということで、イニシエーターは地方の公でもありますよと。民がやるべしと言われてた時代が長かったんだけども、そうもなかなかいかないという感じです。公のイニシエーターがいるところのほうが今、力強く見えるんですよね。それはロシアとか中国だけども、しかし、必ずしもうまくいくとは限らない。公のイニシエーターは独裁的になってはいけない。イニシエーターだから、あとはなるべく任すというほうが発展形態としてはいいかと思うんですけど、日本はイニシエーターが不在になってきているのかなという感じがしますので、そのイニシエーターの小さな一角を志すという気持ちはございます。

 誰でもいいけども、会社でもイニシエーターがいると芽を摘まれちゃうんですよね。そんなことすると、おまえ何やってんだというあれで、摘まれる会社はなかなか大変だと。普通、競争の激しいところだったら生き残れないけども、公益事業的なところは結果的に生き残っているんだけど、古臭い経営マインドになってしまっていることは往々に見かけることですけど。日本全体が躍動的になればとは願ってますので、小さな地方の一角でも、そのイニシエーターのトライアルはできるのかなというのが、いろいろな面であらわれていますので、それは新しいことのきっかけになる、転回点になる、起点になるということを、整理してこう思いましたけど、小さなことでも大きな結果を呼ぶよというのはとてもうれしいことであります。

産経新聞:
 今のイニシエーターの話で、まさに奈良公園バスターミナルなんかは、そういう発想が必要ではないかなと思うんですけども、その辺いかがでしょうか。

知事:
 課題があるから、その解決の手段としてどうか。奈良のまちづくりと関係しますと、ターミナルがどこにもないんだよね。ほかのまちへ行くと、小さなところに行くと、駅前の鉄道、JRの駅でも立派なJRの駅が高架化されて、新幹線ができるともう一挙に良くなるんだけども、駅が高架化されて、中を通り抜けをして、広場ができて、大きな通りがあるというようなまちが、それで必ずしも発展するわけではないけど、そのようなまちは日本で随分でき上がってるけど、奈良はそんなまちがどこにもない。

 今、まちづくり連携協定をしてますけども、分析をすると、鉄道駅を中心としたまちづくりというのが一番数が多いんですね。55のうち15以上、鉄道駅のまちづくり。これはまちのつくり方というのがすごく遅れている県だなというふうに思われます。バスターミナルだって、ここへ辛うじてつくったけども、鉄道駅と併設したバスターミナルではないわけですよね。だからパターンとしては十分ではないけども、鉄道駅は近鉄ですから、近鉄奈良の駅前、道路の下に駅があるからターミナルではない。道路をつくって、東向商店街まで鉄道を延ばせといって東向の商店街がごりごり言った結果あそこが駅になったけども、本当は油坂でとまる予定だった。近鉄の人は前そう言って、油坂でJRと一緒にとまる予定だったのが、何といっても東向だといって、奈良市議会が東向まで延長しろと、路面を使えというので、路面で入っていって、僕が高校時代のときは路面電車で東向駅があった。

 だから地元では、あれは東向駅と言ってたんですよね。路面で来たのが、自動車交通になってきたから道路が混んできたから地下にしようと。ところが、県庁前は、興福寺の境内は前もっと細かったね、自動車も通れないような。田川さんがよく言うんだけど、それが県庁東から大仏殿前、あそこよりまだ細い通りしかなかった。三条通りのほうが広かったわけですね。ここは細かった。それを広げてしまって、県庁ができたらここまで広げて、あとは細くなっているというようなまちづくりだから、継ぎ足し発想でしてきた跡がもう如実だから困ったもんだと思うんですけども、それを今、何かリニューアルをどうしようかというのも四苦八苦。

 ベニスもそうだけど、とにかく奥に、人が殺到するデスティネーションがあると、ベニスの場合も道路がないから、手前で駐車して船で行くと、こういうような仕組みになっている。こちらは、なるべく手前でとめてバスで行く、あるいは場合によっては電車が入らないか。電車、近鉄線の沿線が、どうせなら地下に入ったら東向でとめないで大仏殿前に行けないかと、発想だけはできるわけで、近鉄には発想を提示はしてますけども。大仏殿前まで鉄道で行くというのは、発想は近鉄も鉄道屋として普通なら乗り気になるアイデアでありますので、そのようなことも構想だけですが議論はしています。

 そのような一環で、停留所をこちらに持ってくるという、不十分だけどもそれを試みたという程度です。すると、県庁東から大仏殿前のバス台数は、不十分だけど確実には減っているんですよね。日に何十台はこちらに来てとまっているんだから。今まではここに入ってたんだけど、渋滞度は改善された。渋滞度の改善具合が統計で出てないから、統計で出すように指示はしていますので、このように改善というか、変わりましたということを、改善点も多少ありますので、改善されましたというふうに後フォローしなければ、検証しなければいけないということは指示をしてます。その取っかかりの後、効果。それがまた次の、では次をどうするかとまたつながってくると思います。発想としては正しい方向だと思っています。

産経新聞:
 すごく大きな意味のあるターミナル、試みですよね。

知事:
 私は、大きな意味のある、試みと思っています。

産経新聞:
 今年の漢字に通じてくる。

知事:
 結びつけていただけるんですか。ありがとうございます。えらくポジティブに、終わりに当たって、ポジティブな励ましをいただいた気がいたします。


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奈良市の宿泊税導入について

毎日放送:
 先ほど高級ホテルの話も出てたんですけれども、今回の「主な出来事」の中の8番目にも上げられていますホテルづくりですが、先般の奈良市が進められている宿泊税について、この前の市長定例でも出て、意義のある施策だとおっしゃってたんですが、(知事は)懸念を示されているというとこもあったんですけどもね。今進められている、栄える、にぎわう、楽しむ「都」づくりという部分においては、どのような影響があるかなというところで、知事の見解をお聞きしたいんです。

知事:
 余りポジティブな影響はないんじゃないかということを既に申し上げています。先ほど出ましたように、宿泊の量が一番少ない地域ですので、奈良県の中で宿泊は奈良市に集約していますけれども、量が少ない。ほかの福岡市とか宿泊税を取られるところは、量が多いですね、税源が広いというような。宿泊税は観光に特化した目的税ですので、ほかの一般財源が困っているからといって取れる税金じゃないんですよね。しかも宿泊税というのは、外から来る人から取って、そこへの還元というのはなかなか難しいタイプの税。奈良市の宿泊者の3割以上は東京から来られる。そうするとふえていくのはインバウンド、ハイエンドのお客さんもインバウンドで来られる。その人たちに還元するというのはより難しい面がありますので、受益と負担という面では難しい税金だなと。観光に特化して、Wi-Fiをつくるとかというのにはなるかもしれませんけども、それはほかの財源でつくってますので、発想については、ちょっとよくわからないなというような印象です。

 それはほかの部局からの印象ですので、市の税金で、県は取る気はあるのか、福岡県みたいに県も市も分けて取るか。「県は取る気はありません」そのような考え方です。ということで、市は、市議会が通れば税金として発効する面もありますけども、考え方の根っこは皆さんも含めてよく吟味されたほうがいいのかなという印象は持っています。

毎日放送:
 何か市長と一緒にその話を、対談であったりとか、話しされる予定とかありますか、その件に関して。

知事:
 ありません。

毎日放送:
 全く。

知事:
 はい。


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三重・奈良・大阪リニア中央新幹線建設促進大会について

日経新聞:
 きょう午後にリニアの3府県の会議があると思うんですけど、一応3回目で、奈良でやるのは初めてで、意気込みじゃないですけど、JR東海の金子社長も来られて、それなりの盛大な会になると思うんですが、進捗状況とか今後どのように進めていくとか、その辺何かご意見あればお願いします。

知事:
 当日の私の挨拶を聞いていただいてと、思いますけども。

日経新聞:
 そうですか。

知事:
 きょうのこの時点ではご質問ちょっと予想してなかった。

日経新聞:
 来年聞くと多分忘れちゃうと思うんです。来年に回すと忘れてしまうので、せっかくの機会なんできょうと思って、ごめんなさい。まだ会議開かれてないですけど。

知事:
 そうですね、どういうのかな。これは大阪府知事が来られる、もう伝わってますか。最初は前の知事が来られたことあるんですが、そこからずっと新井さんという副知事だった。だから今の吉村さんになって初めてということで、これは一つ。それから、JR東海の金子社長が来られるというふうに聞いています。

 それで今の状況をどのように思って、どのように挨拶するかということになるんですけども、どのようになるのかな。

日経新聞:
 大丈夫です、ちゃんと聞きに行きますので。

知事:
 言おうとまだはっきり考えてないんだけど、これ終わったら考えようかと思ったんだけど。多分言うだろうと思ってますのは、静岡のことをどうこうはないんだけども、念頭に置いて、地元とうまくやるとスムーズにいきますねと改めて思いますよと、奈良県はね。奈良県は地元として工事主体のJR東海とうまくやりたいと。うまくやる基本は、JR東海の立場になると一番大事なのは土地の取得、土砂捨て場の確保、それから住民の理解というのが3本柱であります。それと、静岡のことを思うと、水というのも大きな課題だったなと。平城宮跡の地下水というのはそんなに大きな課題ではないと思いますけど、4つ目の柱は真っ白。3つを奈良では全面的に協力したいと思ってますよということは既に表明してますので、それを改めて申し上げることになるのかなと思っています。用地の確保と、土砂捨て場の確保と、住民の理解。

 土砂捨て場の確保は、これは余りJR東海さんに直接言ってないんだけども、土が出れば五條の谷に埋めて滑走路をつくるというようなことは想定してます。事務的には伝わっているかもしれません。しかし、どこで土が出てくるかわからないから、その3つの案件は総合的な意味で、具体的にはまだこれからということになると思います。

 環境影響評価をちゃんと予定どおり進めてくださいねというのが具体的な話になる。もう数年、3年か4年先ぐらいから始まる可能性がありますので、ぜひ、東の様子にかかわらず、西のほうは着実に進めていただきたいと思いますというようなことは、お願いとして言うのかなと思っています。多分そんな話を挨拶としてすると思います。

司会:
 よろしいでしょうか。
 この案件については、また昼からご取材いただければありがたいです。
 それでは、皆さん、よろしいでしょうか。
 幹事社さんもよろしいでしょうか。
 じゃあ、これで知事定例記者会見を終了させていただきます。 本日はどうもありがとうございました。

知事:
 いや、こちらこそありがとうございました。いろいろお世話になりました。


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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

お問い合せ先:奈良県広報広聴課 報道係  TEL 0742-27-8325

お問い合わせ

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